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【eスポーツとは】eスポーツの種類、日本で普及が遅れている理由を解説
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【eスポーツとは】eスポーツの種類、日本で普及が遅れている理由を解説

牧野武文(まきの・たけふみ)
2021.04.06

近年、「eスポーツ」という言葉を聞く機会が増えました。ただ、話題にはなっているが、どんなものか詳しくは知らない…という方も多いと思います。

今回は「eスポーツ」の種類や話題になっている背景、日本ではまだ普及が遅れている理由などについて解説します。

eスポーツとは

eスポーツとは、コンピューターゲームを競技として捉えた場合の名称です。ゲームがスポーツなのかと疑問を感じる人も多いかと思いますが、スポーツの本来の意味は「競い合い」でした。17世紀頃には貴族の遊び全般がスポーツと呼ばれていたようです。その後、20世紀になり、主に身体能力を使って競い合いをすることがスポーツと呼ばれるようになっていきました。そのため、国際的にはチェスもスポーツのひとつとして認められています。

チェスのような頭を使う競技はマインドスポーツ、エンジンを使う競技はモータースポーツと呼ばれるように、コンピューターを使う競技がeスポーツと呼ばれます。

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eスポーツにはどんな種目があるのか

eスポーツで行われる競技は、コンピューターゲームすべてです。しかし、世界のスポーツのすべてがオリンピック競技に採用されるわけではないように、大きな国際大会が開催されるeスポーツは、やはり、競技人口が多く、見ても楽しめるジャンルのゲームが主流になります。

eスポーツとして大会がよく開催されているのは、次の6ジャンルが主なものになります。

MOBA(モバ、Multi-Player Online Battle Arena)

通常は3人程度のチームで対戦し、俯瞰視点のバトルエリアの中で、敵チームの本陣に突入することを競い合います。チームプレーによる駆け引きが勝負の決め手になります。

FPS(First Person Shooting)

一人称視点のシューティングゲームです。戦場などが舞台になることが多く、敵をいかにうまく倒すかを競います。

バトルロイヤル

無人島が舞台となり、武器や道具を集めて、対戦相手を倒していき、最後の1人になることが目的です。

対戦型格闘ゲーム

技を繰り出して、相手が操作するキャラクターを倒すことが目的の1対1の格闘ゲームです。

RTS(Real-time Strategy)

指揮官になって兵士に命令を出し、対決するゲームです。刻々と変化する状況に応じて、適切な戦略を建てられるかが鍵になります。

カード対戦ゲーム

さまざまな特徴をもったカードデッキを使って、対戦するゲームです。

この他にも、ゲーム開発企業は自社で開発したゲームの大会を開催しています。

eスポーツが話題となっている背景

eスポーツが近年話題になったのは、YouTube LiveやTwitchというライブ配信プラットフォームが広がって、eスポーツの大会を簡単にライブ中継できるようになったことが大きな要因です。中には数億人が視聴をするような大会もあり、ゲーム好きの人の間だけでなく、ビジネスとしても注目をされるようになっています。

規模の大きな大会では、高額の賞金が提供されることもあり、世界各国でプロチームも生まれています。ゲーム開発企業、イベント運営企業、芸能事務所などが投資をしたり、雇用をしたりする形のオフィシャルなプロチームもあれば、ゲーム実況や投げ銭などで活動資金を集める独立系のプロチームもあります。

また、各国にeスポーツの運営委員会も誕生していることから、オリンピック競技に選ばれる環境が整い、国際オリンピック委員会(IOC)もeスポーツをスポーツ活動と認める発言をしていることから、オリンピック競技になる可能性も生まれてきました。

ただし、暴力の伴うゲームは、オリンピックの精神とは異なるため、当初は現実のスポーツをシミュレーションしたゲームが参考競技として採用されるのではないかと見られています。

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日本でeスポーツの普及が遅れている理由は?

日本は、残念ながらeスポーツ先進国だとは言えません。それにはさまざまな課題があるからです。

PCゲームのプレイヤーそのものが少ない

eスポーツで競技になるゲームの多くは、ゲーミングPCで動作するものです。敏捷性や操作性を重視するため、高性能のPCが必要になります。日本は、家庭用ゲーム機が主流であったため、eスポーツの競技になるゲームのプレイヤーが多くありません。

しかし、近年では、家庭用ゲーム機がネットワーク接続に対応し、eスポーツ競技として楽しまれるゲームも登場しています。

大規模な大会が開催できない

eスポーツの大規模大会では、高額の賞金が提供されるのが一般的です。しかし、その種目のゲームの運営や開発元が大会の主催をする場合、不当景品防止法に触れる可能性があります。ゲームの運営企業が高額の景品を提供するとみなされるからです。そのため、利害関係のまったくない第三者が大会を主催する必要がありますが、その場合はなかなかスポンサーが見つからないという問題があります。

しかし、eスポーツ大会の高額賞金は、景品にあたらないという解釈もあり、今後、環境整備がされていくと期待されています。

eスポーツビジネスへの期待

日本には、ゲーム開発企業も多く、世界中で楽しまれているゲームも少なくありません。そのため、eスポーツイベントのビジネス面も大きく注目されています。その理由のひとつは、eスポーツはプレイヤーだけでなく、見て楽しむ観客の数が多いからです。他のプロスポーツと同じように、興行ビジネスが期待できるのです。

会場への入場料、ライブ中継の視聴料だけでなく、広告収入、グッズ販売など既存のプロスポーツ興行と同じビジネスモデルが考えられます。

日本では法的に問題がありますが、国際大会では、どのチームが優勝するかを賭けるスポーツベッティングも大きなビジネスになっています。

また、eスポーツに採用されるゲームは、長く遊ばれるようになることもゲーム業界にとって大きなメリットになります。通常のゲームであれば、流行り廃りがあるため、数年でユーザー数は大きく減りますが、eスポーツに採用されるゲームは、新しい世代が流入をしてくるため、寿命が長くなります。研究開発費は同じであっても、収益に占めるコスト割合としては低くなるため、ゲーム開発企業の収益構造が健康的になります。また、最初からeスポーツに採用されることを目指して、多額の研究開発費をかけることもできるようになり、ゲームの質そのものが向上することも考えられます。

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(日本でも経済産業省が、経済効果だけでなく社会的意義もあるとして、eスポーツの支援を始めている。経済産業省の資料より引用)

まとめ

eスポーツとは、ゲームを競技化して、国際競技にしようという挑戦です。日本は、家庭用ゲーム機の存在があったため、eスポーツでは米国や韓国、中国に出遅れていますが、統括団体が統合されるなど、国際大会にも対応できる環境が整ってきました。

経済産業省も、周辺市場や産業への経済効果があるばかりでなく、クールジャパンや地方創生、人材育成など多くの分野で社会的意義があるとして、促進策の検討を始めています。すでに日本にもプロチームが複数誕生し、活動をする状況になっています。興行ビジネスとしての期待は大きく、各方面から期待されています。

ライター

牧野武文(まきの・たけふみ)
テクノロジーと生活の関係を考えるITジャーナリスト。著書に「Macの知恵の実」「ゼロからわかるインドの数学」「Googleの正体」「論語なう」「街角スローガンから見た中国人民の常識」「レトロハッカーズ」「横井軍平伝」など。
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