IE向けサイトがEdgeで閲覧できる?
「Internet Explorer」(通称IE)はWindowsの標準ブラウザとして長年利用されてきましたが、2022年6月15日に一部のLTSC版(企業向けの長期サポート版)を除いてサポートが終了しました。
最新バージョンのWindows10では、IEは起動できなくなり、IEの代わりに「Microsoft Edge」が起動するようになりました。
しかし、IE向けに開発されたWebページは地方自治体やオンラインバンキングのサイトを中心に残っており、そのページを利用できないと困る人がいます。そこで、IE向けのサイトをEdgeで利用できるようにと登場したのが「IEモード」です。
この記事では、IEモードとは何か・どうすれば利用できるのか・いつまで利用できるのか、といったエンジニアとして知っておきたいことを中心に解説していきます。
【参考】:Internet Explorer 11 はサポートを終了しました。|Japan Windows Blog
Edgeの「IEモード」とは?
Edge(Microsoft Edge)は、Windows標準ブラウザだったInternet Explorerの後継ブラウザで、2015年7月に初版がリリースされ、Windows 10から搭載されています。
Edgeはブラウザとして圧倒的なシェアを占めるChromeの互換ブラウザとして、2020年1月から新バージョンに移行しましたが、その際にInternet Explorer 11との互換モード「IEモード」を搭載しています。
「IEモード」を利用すると、Edge上でInternet Explorerでしか開けないページの表示が可能となるため、Internet Explorerユーザーにとっては大変便利な機能です。
そこで気になるのが、「IEモード」のサポート期限です。Microsoft社はEdgeの「IEモード」を2029年まではサポートすると発表していますが、期限が過ぎればIE向けWebページの閲覧が難しくなるため、IE向けサイトは計画的にサイトの再構築を行っていく必要があります。
【参考】:Microsoft Edge の Internet Explorer モード|Microsoft
IE専用ページとは?
「IEでしか開けないWebページ」とは、どのようなページなのでしょうか?一時期、Internet Explorerは最もよく利用されているブラウザであり、全盛期にはIEで利用することを前提にしたWebページが多く作られました。
Internet Explorerは、HTMLレンダリングエンジン(ウェブページを解析して表示するソフト)として「Trident」を利用しています。一方、Chromium系のChrome・Edge・Operaは「Blink」を利用しており、「Trident」と「Blink」の違いがChrome系とIE系の非互換発生の要因となっています。
また、IE固有のActiveX技術も非互換の原因となっており、ActiveXを用いたWebサイトはIE以外のブラウザでは利用できません。国税庁のe-TAXサイト※はマイナンバーカードとの連携にActiveXを利用していたため、IEを標準ブラウザにしていましたが、現在はEdgeやChromeの利用が可能です。
今でもこれらの名残りがあり、一部のWebサイトではIEでのアクセスを推奨しています。他、企業内サイトを中心にIEでの利用を前提にして構築した企業もあり、こうした企業においてはEdgeの「IEモード」機能は大変重宝されています。
【参考】:※Windows10のご利用について|e-Tax
IEモードを利用する方法
IEモードはEdgeのデフォルト設定で無効になっています。IEモードを利用する場合は、Microsoft Edgeの設定画面でIEモードの有効化をする必要があります。以下、手順を示しますので実際に試してみてください。
Edgeの設定を変更する
次の5ステップの操作によってEdgeの設定を変更することで、IEモードが有効化されます。
1.Edgeを起動したら、画面上部右側にある[…]アイコンをクリックし、メニューを表示します。
2.メニューの下部にある[設定]をクリックし、設定画面を開きます。
3.左の設定ペインで[既定のブラウザー]を選択します。
4.右側のペインの[Internet Explorer の互換性]の下に表示されている[Internet Explorerモードでサイトの再読み込みを許可]のプルダウンリストから[許可]を選択します。
5.続いて表示される[再起動]ボタンをクリックし、Edgeを再起動します。
以上でIEモードが有効になりますが、「edge://settings/defaultBrowser」をアドレスバーにコピペすると、「1.~3.」のステップを省略して「4.」から開始できます。
IEモードにしてページを表示する
IEモードの設定ができても、IE向けサイトが自動的にIEモードで開くわけではありません。サイトをIEモードで開くには、サイトを開いた状態で、以下の手順を実行する必要があります。
1.画面上部右側にある[…]アイコンをクリックし、メニューを表示します。
2.メニューの下部にある[Internet Explorerモードで再読み込みをする]をクリックします。
3.アドレスバーにIEアイコンが表示されたことを確認し、IEマークの下に「このページはInternet Explorerモードで開かれています」というインジケーターが表示されていたらOKです。
Edgeのバージョン102からは、インジケーターに「互換表示でこのページを開く」のメニューが追加されていますが、これによりIE11にあった互換表示設定「互換表示をするサイトを追加する」と同等の効果が得られます。
4.IEアイコンを再度クリックし、アクセスしているサイトをIE互換モードで表示したい時は、「互換表示でこのページを開く」の右にあるスライドボタンをONにします。
さらに、そのサイトを次回以降もIEモードで開きたい場合は、「次回このページをInternet Explorerモードで開く」の右にあるスライドボタンをONしておきます。
以上の手順で、Edgeの設定メニューの[既定のブラウザ]の右側ペインにある「Internet Explorer モード ページ」に該当サイトのURLが追加され、30日間は常に自動的にIEモードでアクセスできます。
登録したサイトを解除したい場合は、「Internet Explorer モード ページ」に表示されているサイトの右側にあるゴミ箱アイコンをクリックしてください。
IEモードをシンプルに利用する
ここまでMicrosoft EdgeにおけるIEモード設定と利用方法について解説しましたが、ここからはIEモードをシンプルに使う方法について紹介をしていきます。
「IEモード」ボタンをEdgeに追加する
ここまでの方法では、IEモードを利用したい時にその都度[…]アイコンをクリックし、設定メニューから[Internet Explorerモードで再読み込みする]を選択しなくてはなりません。
頻繁にIEモードを使う必要がある方は、ワンタッチでIEモードに切り替える方法をおすすめしますので、以下の手順で設定を行ってください。
1.Edgeを起動したら、画面上部右側にある[…]アイコンをクリックし、メニューを表示し、設定をクリックして設定画面を表示します。
2.設定画面の左側ペインで[外観]の項目を選びます。
(注:上記の1.~2.は、アドレスバーに「edge://settings/appearance」を貼り付けることで省略できます。)
3.右側のペインを下にスクロールし、「ツールバーに表示するボタンを選択してください」というタイトルを見つけてください。各設定のオン/オフができるスライドボタンが沢山並んでいる個所です。
4.[Internet Explorerモードボタン]の項目を見つけ、右端のスライドボタン「オン」にします。
再起動すると、Edgeの右端、個人アイコンの左隣にIEモードのアイコンが追加されます。アイコンは目立ちませんので、よく見て探してください。
以上で、IEモードボタンのオン/オフでIEモードの開始、終了がワンタッチで行えるようになります。
組織でIEモードで開くサイトを一括管理する
企業などの組織では、IEモードでアクセスするサイトの設定を個々の従業員に任せるのではなく、一元管理がおすすめです。一元管理の方法としては、IEモードで開くサイトのリストを作成し、Active Directory※の「グループポリシー」を設定して、各端末に配布する方法があります。
IEモードで開くサイトのリストは、Microsoftが配布している「Enterprise Mode Site List Manager」を使って作成します。これにより、従業員はIEサイトを意識せず利用できるようになります。
【参考】:Active Directory Domain Services の概要|Microsoft 【参考】:Thank you for downloading Enterprise Mode Site List Manager (schema v.2)|Microsoft 【参考】:Microsoft Edge のエンタープライズ サイト リスト マネージャー|Microsoft
ブラウザに強いエンジニアを目指そう
ここまで、Microsoft EdgeのIEモードの概要や利用方法などについて解説してきました。IEモードはサポートが終了したInternet Explorerにしか対応できていないサイトの利用には大変便利な機能だと分かりましたが、2029年にはIEモード自体が消滅する可能性があります。
そのため、今後はInternet Explorer向けサイトの再構築案件も増加することが予測されますので、エンジニアの中でも特にフロントエンドエンジニアを目指す方は言語知識に加え、ブラウザに関する知識やスキルを高めていく必要があります。この機会にぜひ、ブラウザにも強いエンジニアを目指しましょう。
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