「AWS re:Post」とは?FAQとの違いやメリット・デメリットも解説
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「AWS re:Post」とは?FAQとの違いやメリット・デメリットも解説
アンドエンジニア編集部
2021.12.17
この記事でわかること
「AWS re:Post」はAWSが新たに始める公式の「Q&Aサイト」で、誰もが無料で利用できる
「AWS re:Post」はAWSが提供するナレッジ・マネジメントシステムと見て間違いない
「AWS re:Post」はAWS従業員、AWSパートナー、AWSユーザーの全員にメリットがある

AWS re:Postとは

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AWSは2021年12月2日、同社が開催中のイベント「AWS re:Invent 2021」で新たなサービス「AWS re:Post」の公開を発表しました。「AWS re:Post」について初めて知った方も多いと思いますので、ここでは「AWS re:Post」とは何か、その目的などについて見ていきます。

【参考】:Welcome to AWS re:Post

「AWS re:Post」は「Q&Aサイト」

「AWS re:Post」は一言で述べると、AWS公式の「Q&Aサイト」です。2017年頃から社内サービスとして利用していたものをベースに、これからはAWSユーザーやAWS関係の従業員、パートナー企業などが共同で利用できるコミュニティ型のサービスとして再出発をします。

AWSアカウントを持つユーザーであれば、誰でも参加できるオープンなサービスで、これまでのAWSフォーラムに代わるものとなります。AWSユーザーはAWSサービスに関する技術的な質問を投稿したり、逆に質問に対する回答を投稿したりできます。

質問への回答レベルが高いと、ポイントを稼いで回答者としての評価が上がります。「AWS re:Post」は今後、既存のコミュニティフォーラムも統合していく予定です。

「AWS re:Invent」とは

「AWS re:Post」の話題に入る前に、AWSの大きなイベントである 「AWS re:Invent」についても触れておきましよう。「AWS re:Post」と「AWS re:Invent」は一瞬混同してしまいそうになりますが、両者はまったくの別ものです。

「AWS re:Invent」はAWS(Amazon Web Services)社が毎年開催する年次イベントで、主にユーザーがAWSの新サービスについて学び、体験ができるカンファレンスです。2012年より毎年開催され、2021年は11月30日から12月3日(米国時)の期間、ラスベガスで開催されました。

「AWS re:Post」は「AWS re:Invent 2021」で発表されましたが、振り返ってみると「AWS re:Invent 2020」では新データベースサービスとして「Amazon Aurora Serverless v2」「Babelfish for Aurora PostgreSQL」「Babelfish for PostgreSQL」が発表されていたことが記憶に新しいですね。 このように「AWS re:Invent」ではAWSの重要な方向性やサービス計画などが発表されるので、関心を持っておくと、AWSに詳しくなれます。

Babelfish登場!話題のAWSの互換エディションとは?

AWS re:PostはAWSが提供するナレッジ・マネジメントシステム?

エンジニアの皆さんは「ナレッジ・マネジメント」(Knowledge Management)という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 「ナレッジ・マネジメント」は個々の従業員が持つ知識を共有、活用することにより、知識を高め、新たな知識を創造していく日本発の経営理論のことで、ITを用いることで「ナレッジ・マネジメント」は非常に便利な道具になります。

もともとは日本で生まれたナレッジ・マネジメントですが、今では世界中の多国籍企業で、ナレッジマネジメントプロジェクトが進行しています。「AWS re:Post」もまさにAWS独自のナレッジ・マネジメントの1つと考えてよいでしょう。

AWSとクラスメソッドとの関係

AWSのサービスを利用していると、クラスメソッドという会社が頻繁に登場します。今回ご紹介している「AWS re:Post」に関しても、クラスメソッドのblog記事で紹介をしていました。クラスメソッドとAWSの関係について気になる方もいるのではないでしょうか?

クラスメソッド社はAWSの戦略的パートナーであり、AWSとほぼ一体となって活動をしています。身近な所では、クラスメソッドはAWS利用料金の請求代行を行っています。他、「AWS支援」として、AWSになり代わってAWS利用に関するさまざまなサービスを提供しています。

たとえばクラスメソッドはAWS提案書の作成やAWSコンサルティング、さらには障害の監視、障害レポートの提供など行っています。「AWS re:Post」にもクラスメソッド社は深く関わっており、AWSと連携しながら「AWS re:Post」を自社のビジネスにも活用していると考えられます。

【参考】:AWS総合支援

ナレッジ・マネジメントのメリット

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「AWS re:Post」について、より理解を深めるためには「ナレッジ・マネジメント」について理解をしておくと良いでしょう。以下、「ナレッジ・マネジメント」のメリットについて、経営の視点からまとめてみました。「ナレッジ・マネジメント」を「AWS re:Post」のメリットに置き換えて読んでみるとさらに理解を深めやすいです。

情報共有の効率化

「ナレッジ・マネジメント」導入の最初のメリットは、情報共有の効率化にあります。これまでバラバラに保管されていた社内文書・マニュアル・規定類・重要事項などを電子化し、KW検索できるようにすることで、必要な情報に簡単にアクセスできるようになります。

これにより情報を正確、かつ迅速に共有ができます。従業員が必要とする情報や知識の共有により、従業員の仕事の効率が上がり、生産性向上・競争力強化へとつながります。

従業員のスキルアップと戦力化

ナレッジ・マネジメントでは情報は電子データがベースとなり、ペーパーレス化が進みます。このため、紙の購入や保管に関わるコストが削減され、SDGsの推進にもつながります。

また、ベテラン社員が持つ暗黙知(経験などに基づく知恵やノウハウ)を形式知として蓄積、共有することで、教育の負荷を軽減しながら、従業員のスキルアップ・戦力化を図ることができます。

顧客満足度の向上

従来の営業スタイルでは、営業担当者が顧客に関する情報を個人の営業ノウハウとして独り占めしているケースがありました。この結果、営業担当者の退職・転職によって顧客離れが起きることも少なくありませんでした。

しかし、顧客情報をデータベース化し、さらに顧客へのアプローチの状況・商談履歴・顧客ニーズなどを組織で共有することで、営業担当者個人に依存せず、企業として顧客に最適な提案やフォローが行え、顧客満足度向上と企業への信頼感アップにつなげることができます。 こうしたナレッジ・マネジメントは、SFAやO2Oマーケティングのベースとなっています。

「FAQ」と「AWS re:Post」の違い

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最近では、どこの企業のサイトにも「FAQ」のコーナーが設けられるようになりました。「疑問や質問に対する答えをすぐ知りたい」という顧客のニーズに対して、このFAQはある程度有効ですが、では「AWS re:Post」と「FAQ」とでは何が違うのでしょうか?その違いを考察してみましょう。

専門性が高く実際に役立つ回答を得られる

「FAQ」はFrequently Asked Questionsの略語で、よくある質問に対する回答集です。よくある質問ですので、「FAQ」はディープで専門的な質問というよりは、一般的な質問が対象になります。

また、FAQは自社のサービスや製品を利用している顧客向けというよりは、潜在顧客を対象とし、より自社のサービスや製品を顧客に理解、認知してもらうための手段として利用しています。

一方「AWS re:Post」では実際にAWSのサービスを利用している顧客、サービスを提供しているAWS従業員、サービスに関わっているパートナーがその対象です。そのため「AWS re:Post」の質問内容は専門性が高く、またその回答が問題解決に役立つものであることが求められます。

全員参加型である

FAQでは顧客から問い合わせの多い質問をスタッフがとりまとめ、製造部門やサービス部門の担当者に質問を投げて得た回答をアップしています。FAQのとりまとめを行っているのは担当スタッフであり、そこに参加している人はかなり限定されます。

一方「AWS re:Post」では、実際にAWSのサービスを利用しているユーザーが直接質問を投げ、それに対して他のユーザーやAWSの関係者などが回答する仕組みになっており、フォーラム形式の全員参加型で運営がなされている点が大きく異なります。 また、さらに専門家が回答を監修することで回答の信頼性を担保しています。

ナレッジが蓄積され、製品やサービスの開発に生かされる

「AWS re:Post」は参加するユーザーが増えれば増えるほど、AWS側にはさまざまなニーズや問題点、改善案などが集まります。ユーザーの質問から、障害の原因となるバグなどが見つかることもあるでしょう。

これらの情報は不具合の発生を未然に防ぎ、しかもAWSのより良い製品やサービスの開発に役立ちます。多くの企業ではモニタリングやアンケートで顧客の声を集めるための活動を行っていますが、AWSはそれらを行わなくとも「AWS re:Post」がその役目も果たしてくれるでしょう。

ユーザーに対するトータルサポートが行える

企業は、自社製品やサービスを継続利用するユーザーに対して、大変な時間と労力を用いてフォローを行っています。操作マニュアルやFAQを整え、チャットボットやコールセンター、ヘルプデスクを設けている企業もあります。しかし「AWS re:Post」は、それらの役目をほとんど包含しており、AWSのユーザーはこの「AWS re:Post」に参加し、質問を投げるだけでサポートを得ることができ、しかも自身のナレッジを高めることが可能なのです。

AWSのファンが増大する

「AWS re:Post」はフォーラムの1種です。フォーラムとはテーマを設け、結論を得るための議論の場です。参加者は「AWS re:Post」に参加することで、問題解決のための答えを得られるばかりか、主体的に関わることで自己実現欲求を満たし、さらにAWS関係者を含めて連帯感すら味わえるでしょう。

「AWS re:Post」に参加した人の多くは、AWSに対するロイヤルティが高まり、AWSのファンとして定着する可能性も高まります。方や「FAQ」は一方通行であり、顧客は参画意識を持つことはできず、「FAQ」によって顧客の支持率が高まることはあまり期待できないでしょう。

「AWS re:Post」の活用法

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「AWS re:Post」の概要については理解できましたか?ここでは「AWS re:Post」はどんな時に利用すれば良いのか、どうやって利用するのかについてまとめてみました。ぜひ参考にして利用してみてください。

「AWS re:Post」の利用シーン

「AWS re:Post」は次のようなニーズ、局面で利用すると効果的です。

▪AWS環境でアプリケーション開発をする際、AWS の最適なサービス、ベストプラクティスについて知りたい。

▪AWS について学習中、AWS 認定試験に向けて準備中で、AWS のサービスについて質問したい。

▪開発プロジェクトで、AWS での設計や開発、デプロイや運用についての議論がまとまらない。

▪AWS の専門知識についてコミュニティと共有して、コミュニティのエキスパートとして評判を高めたい。

「AWS re:Post」を利用する方法

「AWS re:Post」は開かれたフォーラムであり、AWSアカウントを持つ人であれば、無料アカウントの人でもコンテンツを参照できます。AWS アカウントでサインインしたユーザーは、自身のプロファイルを作成し、質問や回答の投稿、コミュニティメンバーとの交流が行えます。

【参考】:Amazon Web Services ブログ

「AWS re:Post」に学びナレッジ・マネジメントを進めよう

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この記事を読まれたエンジニアの皆さんは、「AWS re:Post」からナレッジ共有の重要性を理解されたことと思います。皆さんが開発プロジェクトなどに参加する際には、このナレッジ共有をうまく進めることで、プロジェクトの成功率を一気に高められるでしょう。 問題点や課題、さらには解決法や必要な知識を共有し合う習慣をぜひ身につけてください。

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