JupyterLabとJupyter Notebookの違い
JupyterLabはJupyter Notebookの後継であるオープンソースのソフトウェアで、プログラムの実行結果を確認しつつ開発ができる対話型のソフトウェアです。これらのツールはPythonなどの言語で、データ分析をする際に非常に役立つツールです。
しかし、これらの具体的な違いについていまいちピンとこないという方も多いでしょう。そこで本記事では、JupyterLabとJupyter Notebookの違いについての解説と、JupyterLabへの移行方法やVSCodeでの使用方法などを紹介します。
Pythonを使ってデータ分析をしようとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
Jupyter Notebookより便利になったJupyterLab
JupyterLabはJupyter Notebookの次世代版のソフトウェアとしてリリースされたものです。そのため、Jupiter notebookより利便性が高くなっているのが大きな特徴でしょう。ここからは、JupyterLabでアップデートされた内容について、いくつかご紹介します。
【参考】:Jupiter公式 【参考】:JupyterLab 3.0 is released!
複数画面で同時に開発できるようになった
JupyterLabでは、画面を同時に開いて作業できる機能が追加されるようになりました。ちなみにJupyter Notebookでは画面を分割したいときには、ブラウザのタブをその都度切り替えなくてはなりませんでした。
JupyterLabではこの課題が解消され、同時に複数のソースなどを確認することが容易になりました。地味な改善ポイントかもしれませんが、画面切り替えのストレスもなくなり、開発の作業効率の向上が期待できます。
目次の拡張機能が同梱されている
目次の拡張機能などもJupyterLabでは同梱されており、簡単にドキュメントを参照することができるようになりました。この機能は、ご自身で分析したデータをまとめたいときに活躍します。
下図は目次を表示している画像です。ご覧の通り、JupyterLabではマークダウンを使用しています。そのため、見出しとして認識されるように記述をすれば、目次として認識してくれるので、見出しや箇条書きがより分かりやすくなります。
【図】:目次の表示画面
ビジュアルデバッガーが同梱されている
2020年にリリースされたビジュアルデバッガーですが、こちらはJupyterLabの中にデフォルトで同梱されています。ブレークポイントの設定や、コールスタック、変数の調査などもビジュアルデバッガーがあれば簡単に行うことができます。
言語パックが提供され、日本語の表示も簡単になった
JupyterLabでは言語パックが提供されるようになり、コマンドを使用するだけで日本語にも対応します。また対応している言語は他にもありますので、使用方法や対応言語を確認したい方はJupyterの公式サイトを参照してください。
このようにJupyterLabは、Jupyter Notebookよりも便利な機能が追加されていますので、こだわりがなければJupyterLabに移行することをおすすめします。
JupyterはVSCodeでも使用可能
Jupyter LabやJupyter Notebookは拡張機能をインストールすれば、VSCode上でも使用可能です。また、VSCodeで記述したファイルをJupyterLab上ですぐに確認できる機能なども設定できます。
しかし、現時点ではVSCode上でJupyterLabができるのは、実行結果を確認する機能にとどまります。一方でVSCodeでJupyter Notebookを連携して、コードを記述したり実行したりすることは可能です。
そのため、ここからはVSCodeを使用したJupyterLabと、Jupyter Notebookの使用方法をそれぞれご紹介します。
【参考】:Visual Studio Code公式
VSCodeでJupyter Notebookを使う方法
まずは、VSCode上でJupyter Notebookを使う方法を解説します。難しい手順は特にありませんので、余裕がある方は一緒に手を動かしてみましょう。
まず、VSCodeを起動してください。次に、画面左のアクティビティーバーから拡張機能を選択しましょう。検索窓に、Jupiterと検索すると下図のように結果一覧が表示されます。この中の赤枠で囲っている「Jupyter」を選択し、インストールしましょう。
【図】:Jupyterのインストール画面
この際に、「Pythonの拡張機能が必要です」と表示されてしまった場合には、メッセージダイアログの「はい」ボタンを押します。
【図】:メッセージダイアログが表示されている画面
画面が自動的に遷移しますので、表示されたPythonの拡張機能をインストールしましょう。
拡張機能のインストールができたら、次にJupyter Notebookを使ってみます。まずは、Jupyterを使うためのサーバを起動します。画面上部の「表示」から「コマンドパレット」を選択するか、「Ctrl」+「Shift」+「P」を押してください。
コマンドパレットの候補の中の、「Jupiter:インタープリターを選択してJupiterServerを開始する」を選択しましょう。
【図】:コマンドパレットの画面
次に、サンプル用のファイルを作成します。画面上部メニューバーの「ファイル」から「新規ファイル」を選択します。ファイルの形式の候補がいくつか出てきますので、この中から下図を参考に「JupiterNotebook」を選択しましょう。
【図】:JupiterNotebookのファイルを選択
ファイルが作成されたら、コードを適当に記述してみます。今回は試しに「print(“Hello World”)」と記述しました。コードを記述したら左側のボタンを押しましょう。(①)実行結果が表示されれば完了です。(➁)
【図】:コードの実行結果を表示している画面 【参考】:Jupyter - Visual Studio Marketplace
JupyterLabで実行結果をすぐに確認する方法
次に、JupyterLab上で実行結果を表示する方法をご紹介します。この設定をしておけば、VSCodeでクリックするだけでJupyterLabを起動できます。そのため、いちいちコマンドを叩いて起動する必要もありません。便利な機能ですので、余裕があればぜひ本記事の手順を参考に設定を済ませましょう。
こちらも拡張機能を使用しますので、まずはVSCodeを起動して拡張機能のアイコンをクリックします。検索窓で「JupyterLab-Browser」と検索し、下図の拡張機能をインストールしましょう。拡張機能のインストールが完了すると、画面右上にノートブックのアイコンが表示されます。
【図】:拡張機能「JupyterLab-Browser」のインストール画面
こちらのアイコンをクリックすると、JupiterLabが起動してすぐに実行結果を確認できます。このように、VSCodeの拡張機能を活用すれば、より便利にJupyterを活用できます。
ちなみにJupyter関連の拡張機能は他にもたくさんありますので、もし時間があるときにVSCodeのマーケットプレイスや拡張機能の画面からチェックしてみるとよいでしょう。
【参考】:JupyterLab ブラウザ
JupyterLabへの移行方法
すでにJupyter Notebookを使用している人の中には、Jupyter NotebookからJupyterLabに切り替える方法をお探しの方もいるかもしれません。
このJupyter NotebookからJupyterLabへの切り替え方法は非常に簡単です。JupyterLabをコマンドでインストールした後に、WebブラウザのURLのリンクを変更するだけで切り替えができます。
Jupyter NotebookはWebブラウザのURLの末尾が「/tree」となっていると思いますが、下図を参考にして「/lab」に変更しましょう。これだけでJupyter NotebookからJupyterLabへの切り替えが可能ですので、ぜひこちらも上手く活用してみてください。
【図】:JupyterLabの末尾のリンク 【参考】:JupyterLab URLs — JupyterLab 3.6.1 documentation
Jupiterを活用してデータ分析をより快適に進めよう
JupiterLabは、Jupyter Notebookよりもより機能が充実したものだとお分かりいただけたかと思います。JupiterLabとJupyter Notebookのどちらを使うか迷っている方は、ぜひ次世代版のJupiterLabを活用してみましょう。
また、VSCodeでデータ分析をする方法も本記事ではご紹介しました。すでにVSCodeを使って普段開発をされている方は、使い慣れたVSCodeを活用してJupiterを使用した方が良いかもしれません。
ご自分の環境にあった方法で、ぜひJupiterLabやJupyter Notebookを活用して開発を快適に進めましょう。
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