OpenCVに関わる基礎知識
最初にOpenCVとはどういうものか・ライブラリとは何かなど基本的なことについて解説しています。OpenCVは画像処理を行う場合に便利なライブラリです。ぜひこの機会にOpenCVの使い方を覚えてください。
OpenCVとは?
OpenCVは「Open Source Computer Vision Library」の略であり、画像処理に関連する処理をまとめたライブラリです。開発者はCPUで有名なIntelです。OpenCVはオープンソースなため誰でも無料で活用し、自由にWebアプリなどを作成することができます。趣味の範囲だけでなく、商用利用も問題ありません。
OpenCVはすでに多くの場面で使われており、人工知能開発・ロボット開発・モバイルアプリ開発など、数多くのアプリケーションがリリースされています。OpenCVの利点はさまざまなプラットフォームで動作することです。Windows・Linux・スマホなどOSに縛られず使用することができます。
【参考】:OpenCV
ライブラリとは?
ライブラリとはよく使う機能がパッケージとしてひとまとめになったもののことです。インストールして使うことができ、ライブラリを自分のプログラムに読み込ませることで特定の機能を使うことが可能です。
ライブラリにはインストールして使うものの他に、最初から使える標準ライブラリというものもあります。Pythonなどにも数多くの標準ライブラリがあります。
画像処理とは?
画像処理とはコンピューターを使って画像の色や大きさを変えたり、画像から別の画像を作り出したりする処理の全般を指します。人工知能の進歩と共に画像処理も徐々に進化を遂げています。ディープラーニング技術を使うことによって、猫の画像をコンピューターが識別できるようになったことは大きな話題となりました。
そして画像処理を応用することで、さまざまなアプリケーションを作ることができます。作成可能なアプリケーションの一例として、顔認証アプリや文字認識アプリなどが挙げられます。
OpenCVが使えるプログラミング言語
OpenCVはさまざまなプログラミング言語で使用することができます。使用可能なプログラミング言語にはC言語・C++・Javaなどがありますが、特にPythonで使われることが多いです。
Pythonは人工知能開発で多く使われる言語であり、他にも多種多様なライブラリを使うことができます。Pythonには「OpenCV-python」というものがあり、こちらをインストールすることでOpenCVを活用可能です。OpenCVで画像処理を行いたいなら、Pythonを使うのがおすすめです。
OpenCVでできること
ここではOpenCVを使ってできることをまとめました。OpenCVでは具体的にどのような画像処理ができるか解説します。画像処理について知識を深めたい方はぜひお読みください。
画像の表示
まずできることは画像の表示です。OpenCVでは画面に表示する画像を数値で書き表すことが可能です。数値で書き表すだけでOpenCV内のプログラムが画像表示をしてくれます。
具体的にはimreadというメソッドを活用します。imreadにファイル名を指定すれば画像が読み込まれ、その後imshowメソッドやwaitKeyメソッドなどを使って画像を表示させます。画像はカラーのまま表示することも、白黒で表示することも可能です。またimwriteメソッドで画像を別ファイルに保存することもできます。
画像の編集
OpenCVでは画像の編集が行えます。画像の大きさの調整や切り取りも簡単に実行することが可能です。大きさの調整はresizeメソッドで行えます。こういった画像編集は機械学習を行う上では欠かせません。人工知能が画像を読み込む際は画像のサイズなどの要素を統一した方が学習しやすくなります。
ノイズ除去
OpenCVにはノイズ除去を行うためのメソッドも、多く用意されています。blurメソッドやGaussianBlurメソッドを状況に応じて使い分けることで、綺麗な画像を作成できます。解析処理を行う際、ノイズが邪魔をして上手く解析できないことはあります。そういった場合はOpenCVを使ってノイズ除去を行います。
類似画像の検出
見本画像と似ている画像なのか検出することが可能です。こういった処理をテンプレートマッチングと呼びます。OpenCVでは「matchTemplate」などのメソッドを使用することで、テンプレートマッチングを行うことが可能です。
OpenCVを使うメリット
続いてOpenCVを使うメリットを解説します。画像処理はOpenCVを使わなくても可能ですが、OpenCVを使った方が開発作業が効率化されるなどの利点があるでしょう。ここではOpenCVを使う具体的なメリットを解説します。
使い方が簡単
OpenCVのメリットは使い方が簡単なことです。Pythonで利用する場合コマンドを使うだけでインストールが完了します。Windowsではpipコマンド・Macではbrewコマンドを使います。またOpenCVはメソッドの使い方さえ覚えてしまえば、初心者でも使いこなすことが可能です。
VR開発にも応用可能
OpenCVはVR開発にも応用することが可能です。画像だけでなく物体を読み込んで動きや位置を解析することができるためです。
VRやARの開発にはUnityを使う方が多いでしょう。UnityにはOpenCV for Unityというプラグインがあり、こちらを購入してダウンロードすればUnityでOpenCVが使えます。
他のPythonライブラリと併用可能
Pythonには他にも数多くのライブラリが存在します。計算結果を表示できるmatplotlib・数値計算を効率的に行えるNumpy・多くの機械学習アルゴリズムが実装されたscikit-learnなどです。これらのライブラリとOpenCVを組み合わせることで、さらなる効果を発揮します。
OpenCVの活用事例
ここではOpenCVの具体的な活用事例を紹介します。OpenCVを使ったアプリケーションは私たちの生活のいたるところで既に活躍しています。今回はそれらの一部をご紹介します。
人物の顔を判断する
OpenCVによる人間の顔を判断する顔認証システムが開発されています。コンピューターは多くの画像を学習することにより、人の目や顔がどこにあるのか認識することが可能です。顔認証システムは実にさまざまな所で使われています。
顔認証システムの一例として空港でのセキュリティチェックやスマホのID認証などが挙げられます。顔認証は指紋認証よりも精度が高いと言われており、今後更に活用されていくと推測されます。
交通標識を自動認識する
OpenCVによる交通標識の自動認識アプリも開発されています。交通標識があるとスマホが作動しARで交通標識の意味を教えてくれるというものです。外国人観光客などは日本の交通標識の意味を知らないこともあり、そういった場合に活用されています。
【ONETECH】AR + AIで標識認識アプリ作成しました。
ゲームの戦況分析
OpenCVで画像認識を行うことでゲームの戦況を可視化するツールも開発されています。戦況を画面上に表示させることで、戦況を見つつキャラコントロールを行うことが可能です。ゲームにおいてもOpenCVのさまざまな機能が活用されています。
C++/OpenCVでスプラトゥーン2の戦況を可視化する索敵補助ツール作ってみた
OpenCVの学習方法
ここまでOpenCVでできることやメリット・活用事例について詳しく紹介してきました。ここではOpenCVの使用方法や活用方法を学ぶのにおすすめの手段をいくつか紹介します。
セミナーを受講する
OpenCVについて学ぶ方法のひとつとして「セミナーの受講」があります。オンラインで受講できるものが多く、中には実際に自身のパソコンにOpenCVをインストールし使用するというセミナーもあります。
セミナーにはOpenCVの基礎から応用まで学べるものもあれば、OpenCV以外の知識についても身につけることができるものあり、自分の知りたいことに合わせて学ぶことができます。
書籍を購入する
OpenCVを自分のペースで学んでいきたいという場合におすすめなのが、書籍を利用した学習方法です。画像処理や機械学習などある機能に特化したものから全てを網羅しているものまで、OpenCVについて解説・説明している書籍は数多くあります。そのため自分が学びたいことを明確にしてから選ぶことが大切です。
OpenCV学習におすすめの書籍
OpenCV学習におすすめの書籍をいくつか紹介しています。他にもOpenCVについて学べる書籍はありますので、自分に合ったものを探してみてください。
・「解説 OpenCV 3」 カメラ入力やファイル出力の方法から物体や動きのトラッキング方法・機械学習方法まで丁寧に解説されています。OpenCVについて基礎から学ぶことのできる一冊となっています。
【参考】:解説 OpenCV 3
・「OpenCVによる画像処理入門」 画像処理について解説されているだけでなく、実際に手を動かしながらOpenCVについて知識を深めていける一冊です。C言語・C++・Pythonの3言語に対応しています。
【参考】:OpenCVによる画像処理入門
・「OpenCVとPythonによる機械学習プログラミング」 OpenCVによる機械学習プログラミングを学びたい場合におすすめの一冊で、書籍版とPDF版があります。多種多様なアルゴリズムとOpenCVとの使用方法について分かりやすく解説されています。
【参考】:OpenCVとPythonによる機械学習プログラミング
OpenCVを習得してスキルアップを目指す
本記事ではOpenCVでできることやメリット・具体的な活用事例などについて詳しく紹介してきました。OpenCVは簡単にインストールすることができます。また使い方も分かりやすく、初心者でも勉強しやすいライブラリとなっています。
画像処理や人工知能開発は今後更に需要を伸ばすと推測される分野です。こういった分野の勉強を今のうちにすることは、エンジニアとしての市場価値を上げることに繋がるでしょう。この機会にOpenCVを習得してエンジニアとしてのスキルアップやキャリアアップを目指してみてください。
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