AWSのマネージドサービスとは?
AWSでは、豊富なサービスを提供しています。AWSは企業ユーザの利用を推進するために、運用管理サービスをAWS Managed Services(AMS)として提供しています。このサービスは、クラウドサービスを利用する大規模ユーザを対象として展開を進めています。 参考:AWS Managed Services
AMSが実装しているサービスは、AWSサービス利用で必要とされるインフラ運用管理機能を提供することです。実際の運用管理は、AWSマネージドサービスパートナー(AWS Managed Services Partners)と言われる認定パートナー制度を整備しサービス提供しています。
マネージドサービスの目的は?
通常利用者は構築したシステムやサービスを一定の水準に維持するために、運用管理を通じて想定する機能や性能を維持していきます。しかし、その運用管理コストはシステムやサービスの複雑性の高まりにより、技術習得や蓄積あるいは障害対応プロセスの整備等が一層複雑になっています。
例えば、運用監視の中でセキュリティ対策を行ったり、障害発生時の検知から対応・復旧までの一連の流れは従来のITシステムでは自社でコントロール可能でした。クラウドサービスにおいては自社の分担の他クラウドサービス事業者との契約内容に依存したクラウド固有の対策が求められ、障害復旧の難易度が高まっています。
マネージドサービスはその専門性を持つ外部プロバイダーへ委託することにより、運用管理をサービスとして受けるアウトソーシングモデルを指します。そのため要求するサービス水準を、サービスレベルアグリーメント(SLA)として委託側と受託側で締結します。
マネージドサービスはシステムインテグレータ各社より提供されており、AWSにおいても2016年、AWS Managed Services(AMS)と言う自社サービスとして提供を開始しました。
AMSのメリットとデメリットは?
マネージドサービス利用のメリットは、自社で吸収しにくい最新技術に追従しやすく、求められるサービス品質の維持とリスク管理の効率性が向上することです。特にクラウドサービス利用が急増する中、クラウドテクノロジーの習得は投資なので、AWSによるAMSを活用することで運用コスト削減のメリットがあります。
AMSのデメリットは、一般的なマネージドサービス同様に自社の専門技術が向上せずにマネージドサービスプロバイダーへの依存度が高まることが挙げられます。そのため、コスト削減もある程度までは可能ですが、マネージドサービス提供者の意向に左右されてしまうリスクがあります。
加えて、AMSにおいてサービス保証の観点からサポートされるOSやセキュリティ関連サービスが限定されることが挙げられます。マネージドサービス対象外のサービス利用については、個別にマネージドサービスプロバイダーと調整が必要です。
また、現在サポートされる言語は英語のみとされていますので、グローバル企業を中心としたサービス展開顧客が現在のAMSのターゲット層と言えるでしょう。AWS ソリューションプロバイダーパートナー (SPP)においても同等のサービスを提供しているので、AWSサービスのマネージドサービスをメニュー提供する外部プロバイダーを活用していくのが良いでしょう。
AMSの特徴は?
AWSのマネージドサービスであるAMSの特徴は、以下の運用品質向上のメリットがあります。
・クラウド移行促進 クラウド移行時に生じるアセスメント作業を効率的に実施するために、企業向け実証結果(ベストプラクティス)に基づくワークロード移行が可能です。AMS利用により、ITIL準拠の運用プロセス・フローを実現できます。
・最新運用プロセスへの追従 Enterprise DevOpsにより、企業向けワークロードからクラウドネイティブワークロードまで対応可能です。DevOpsとITILを統合した最新運用フローが定義できます。その結果、開発者はアプリケーション開発に注力できます。
・セキュリティ対応 近年セキュリティ強化の必要性が高まっています。AMSでは、HIPAA・HITRUST・GDPR・SOC・NIST・ISO・PCI・FedRAMPのコンプライアンス要件に準拠するための機能を提供しています。
これらのサービス利用の結果、運用品質が向上し運用コスト削減が図られるでしょう。
AMSを提供しているリージョンは?
2021年6月現在、各リージョンのAMSのサービス提供状況は以下の通りです。
北米地域:7つのリージョン中、以下の4つのリージョンでサービス提供中 ・米国東部(バージニア北部)リージョン ・米国西部(北カリフォルニア)リージョン ・米国西部(オレゴン)リージョン ・カナダ(中部)リージョン
南米地域:サービス提供中 ・南米(サンパウロ)リージョン
欧州/中東/アフリカ地域:8つのリージョン中、以下の4つのリージョンでサービス提供中 ・欧州(フランクフルト)リージョン ・欧州(アイルランド)リージョン ・欧州(ロンドン)リージョン ・欧州(パリ)リージョン
アジアパシフィック地域:9つのリージョン中、以下の5つのリージョンでサービス提供中 ・アジアパシフィック(東京)リージョン ・アジアパシフィック(ソウル)リージョン ・アジアパシフィック(ムンバイ)リージョン ・アジアパシフィック(シンガポール)リージョン ・アジアパシフィック(シドニー)リージョン
日本においては、アジアパシフィック(東京)リージョンにおいてAMSが提供されています。 参考:AWS リージョン別のサービス
AMSの料金体系は?
AMSの料金体系は、他のサービス同様に従量制の料金体系です。具体的な料金は、利用サービスに応じて請求されます。詳細は以下の問い合わせリンクからお問い合わせください。 参考:AWS Managed Services- Contact Sales
AMSの購入方法は?
2021年4月29日の発表によると、AMSのAWS ソリューションプロバイダーパートナー (SPP)からAMS アドバンスド運用プランが購入可能になりました。これにより、通常付き合いのあるソリューションプロバイダーを通じてAMSが利用可能です。 参考:AWS マネージドサービス (AMS)の新機能
日本の登録AWSパートナーは、全体で721社です。詳細は以下の検索サイトで確認できます。 参考:AWS Find an AWS Partner
AMSのマネージドサービスの種類は?
AMSでは、2つの運用プランを用意しています。
・AMS Accelerate運用プラン(Accelerate Operations Plan) AWSの基本プランです。サービスデスク・運用監視・バックアップ管理・コスト最適化・ロギング・レポーティング・サービスデリバリ・パッチ適用・アクセス管理・セキュリティ管理からになります。
・AMS アドバンスド運用プラン(Advanced Operations Plan) AMSの基本プランに加えて、変更管理を用いた予防措置等を提供します。基幹業務向けプランです。サービスデスク・運用監視・バックアップ管理・コスト最適化・ロギング・レポーティング・サービスデリバリ・パッチ適用・ランディングゾーン(マルチアカウント)と、アカウント運用・配布・変更管理・アクセス管理・セキュリティ管理・ITSMの統合運用からになります。
それぞれ提供サービスレベルが定義されているので、詳しくは以下のリンクをご参照ください。 参考:AWS Managed Services Accelerate 参考:AWS Managed Services Advanced
AMSでカバーされる管理機能は?
AMSの2種類のプランでは、契約に応じて以下の項目についてサービスを受けられます。
・サービスデスク - SLAに応じた問い合わせ対応 ・運用監視 - パフォーマンスと可能性の監視と修復 ・バックアップ管理 - 定期バックアップとリカバリー ・コスト最適化 - AWSの利用状況に応じた推奨事項の提供 ・ロギング - サービスログおよびシステムログの集約と保存 ・レポーティング - 月次サービスレポートの提供 ・サービスデリバリ - 保守・運用作業 ・パッチ適用 - パッチ導入の実施と確認 ・ランディングゾーンとアカウント運用 - 認証、セキュリティ等のアカウント管理 ・配布・変更管理 - サービスプロビジョニングと変更管理の提供 ・アクセス管理 - ActiveDirectoryによるアクセス管理 ・セキュリティ管理 - 個人情報、機密情報の保護と流出ブロック ・ITSMの統合運用 - ServiceNowとお客様のITSMとの統合をサポート
詳しくは以下のリンクをご参照ください。 参考:AWS Managed Services Features
AMSマネージドサービスパートナーとは?
AWSマネージドサービスパートナーは、AMSを活用してAWS利用者のマネージドサービスを支援するパートナー事業者です。AWS マネージドサービスパートナーは、AWSが提供するインフラ管理・セキュリティ・コンプライアンスコントロール機能を用いてコスト最適に運用監視していきます。現在17社がパートナー登録を行っています。 参考:AWS Managed Services Partners
AWSのマネージドサービスは運用品質確保とコスト削減の選択肢です
従来より運用アウトソーシングとしてAWS向けのマネージドサービスは、システムインテグレータ各社より広く提供されています。
2016年より、AWSマネージドサービスがAWSの自社サービスとして開始され選択肢が広がりました。AWS ソリューションプロバイダーパートナー (SPP)を通じて最適な運用計画が検討可能となりますので、既存の運用の見直しを行い、品質確保とコスト削減に役立てましょう。
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