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MITライセンスとは

MITライセンスとは、オープンソースソフトウェアを開発・配布する際に利用する代表的なオープンソースライセンスを指します。MITライセンスでは利用許諾のための条件などを定めています。まずはMITライセンスの詳細や内容、MITライセンスを利用してできることについて詳しく紹介します。
MITライセンスはオープンソースライセンスの1つ
MITライセンスは、マサチューセッツ工科大学で作成されたオープンソースライセンスです。MITライセンスの規定は、「ソフトウェアを自由に扱えること、再頒布時に著作権とライセンスの表示が必要であること、著作権者はいかなる責任も負わないこと」を定めています。
MITライセンスを利用することで、公開されているプログラムを自由に改変できます。また、公開されたプログラムを自身のプログラムに組み込んで作成した著作物は、ソースコードを公開しなくとも配布が可能です。
さらに、MITライセンスの制限が比較的少ないため、他のライセンスと組み合わせた場合、ライセンスの互換性が高いことも特徴です。例えば、GPLライセンスでは、上記のような行為を禁じている場合が多く、著作物のソースコードを公開する必要がある場合もあります。

MITライセンスの利用条件
MITライセンスを利用する場合、利用条件というものがあります。MITライセンスの利用条件は、著作権の表示とMITライセンスにおける条文の記載の2つです。
なお、MITライセンスの条文を記述する代わりに、MITライセンスの条文が記載されているWebサイトのURLを載せることで対応することも公認されています。そのため、ユーザにとって使いやすいライセンスと言えます。
また、Webサイトに著作権の表示とMITライセンスの条文を記載し、URLを1つのファイルとして掲載するという方法も可能です。条文の日本語訳は以下のURLから閲覧できます。
【参考】:The MIT License
MITライセンスを利用してできること
MITライセンスによって条件を守りさえすれば、ソフトウェアやライブラリを無償で自由に扱うことができます。したがって、ソフトウェアの複製・変更・掲載・頒布・商用利用などを行うことが可能です。
例えば、サンプルコードを元として、新しいコードを作成する場合、複製を行い修正してコードを作成することができます。また、作成したコードの配布や商用利用も可能です。
複数のライセンスが適用されることも
ソフトウェアには複数のライセンスが適用されることがあります。例えば、大規模なソフトウェアを開発する場合、多数のライブラリを使用することで複数のライセンスが適用されることも珍しくありません。また、ソースコード自体はMITライセンスで、関数は他のライセンス、などといった場合もあります。
こういった複数のライセンスがある場合、ライセンスによって条文が異なるので、組み合わせることが可能かどうかなどの判断が必要です。GitHubが公開している各ライセンスの求められていること・制限されていることをまとめた表があるので、ライセンスの両立性を図る場合には下記を参考にしてください。
【参考】:GitHub:ライセンスの表
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そもそもオープンソースソフトウェアライセンスとは

MITライセンスは制限が少なく、使いやすいライセンスであることが理解できたでしょう。MITライセンスの理解を深めるためには、オープンソースソフトウェアについて正しく知る必要があります。
ここでは前提知識として、オープンソースソフトウェアの概要とオープンソースソフトウェアライセンスについて紹介します。
オープンソースソフトウェアとは
オープンソースソフトウェアとは、利用者の目的に関係なく、ソースコードを使用・調査・再利用・修正・拡張・再配布ができるソフトウェアの総称を指します。オープンソースソフトウェアは、英語では「Open Source Software」と訳されることから、「OSS」と略される場合が多いです。
オープンソースの定義は、「Open Source Initiative」というオープンソースの促進を目的とした組織により、Open Source Defitionという形態で定められています。なお、Open Source InitiativeとOpen Source DefitionはそれぞれOSI・OSDと略される場合が多いです。現在は、OSDがオープンソースの定義として事実上の標準となっています。
OSSライセンスとは
OSSライセンスとは、OSSの使用許諾条件のことを指します。したがって、OSSは著作権に基づき、利用条件を定義する必要があります。つまり、OSSはOSSライセンスを遵守することで使用可能です。OSSライセンスはOSSの定義に基づいていれば、著作者が独自に定められます。
例えば、GitHubの中を見てみると、OSIにより承認されたライセンスで公開されたOSSが多いことを確認できます。OSSライセンスの種類は多数あり、MITライセンスはその中の1つです。
OSSライセンスを理解するためのポイント3つ
OSSライセンスを理解するためのポイントとして、以下の3点が挙げられます。
1.保証がない OSSライセンスでは、著作者はソフトウェアの動作を保証することはなく、結果について責任を一切負わないという免責条項があります。したがって、ソフトウェアを利用し、予想した通りの動作を行わない場合でも、著作者は保証する必要はありません。また、その動作によって発生した損害などに対しても一切責任を負う必要もありません。
2.著作権の表示 派生させたソフトウェアを配布する場合、利用したOSSの著作権やライセンスに関する文、免責事項などを表示する必要があります。具体的に表示する内容はライセンスごとに変わる可能性があるため、詳細については自身が利用するライセンスを確認することが重要です。前述の通り、MITライセンスの場合、著作権の表示とライセンス全文を記載する必要があります。
3.著作権やライセンス文を記載する位置 ソースコード形式で頒布する場合は、利用したソースコードの中に著作権とライセンス文が記載されているため、特に改めて記述する必要はありません。実際に公開されているOSSのソースコードを確認してみても、特別明記していない場合のソフトウェアも少なくありません。
一方、バイナリ形式で頒布する場合は、コンパイルを行う際にライセンス文がなくなってしまうため、バイナリファイルとは別にライセンスを表示するためのファイルを用意して記載しておく必要があります。
その他のOSS
MITライセンスの他にもさまざまなOSSがありますが、以下に主なOSSを3つ紹介します。
【GPL】 「GNU General Public License」の略で、Wordpressなどさまざまなソースコードに付与されていることで有名なライセンスです。GPLを利用して製作したものはGPLライセンスを継承する必要があります。例に挙げたWordpressの場合は、テンプレートなどはWordpressの二次創作物となるため、GPLの適用が義務付けられています。
【Apache License 2.0】 「アパッチ・ライセンス」と読み、Apache Licenseのバージョン2のライセンスです。プログラミング言語の「Swift」のライセンスで有名です。ソフトウェア以外にも、無料の写真や画像などを配布するサイトやWordpressのテーマやプラグインなどもあります。MITライセンスと比較すると、変更箇所の告知事項や特許に関する事項など条件は多めです。
【修正BSD(3条項BSDライセンス)】 BSDとは「Berkeley Software Distribution License」の略で、修正BSDは最新版です。コピーレフトのあるGPLなどとは異なり、BSDライセンスで公開されているプログラムの改変や、二次創作物のソースコードを未公開での配布や販売が可能で、さらにそれをBSD以外のライセンスで提供することができます。条件を守れば再利用も再配布も自由なライセンスです。
MITライセンスを利用する上での注意点

MITライセンスによってソフトウェアを無料で商用利用することもできますが、「利用する際の注意点には何があるか」という疑問が浮かぶ方もいるかもしれません。ここでは、MITライセンスを利用する上での注意点について4点ご紹介します。
MITライセンスは「無断転載禁止」を記載して使うことができるか?
MITライセンスの無料テンプレートを修正して、商用としてWebサイトで利用したい方もいるでしょう。その際に、「All right reserved」という「無断転載禁止」を意味する用語を記載して、自身が著作者として使うことはできるのでしょうか。この場合、MITライセンスのテンプレートに「All rights reserved」を追加することはできません。
MITライセンスの下で提供されたソフトウェアを修正することは可能ですが、修正後も元のライセンス条件を満たす必要があります。具体的には、修正したソフトウェアのすべてのコピーや重要な部分に元の著作権表示とライセンスの通知を含める必要があります。
MITライセンスのソフトウェアは商用利用することができる?
前述のように、MITライセンスのソフトウェアを商用利用することはできますが、著作権とライセンス全文の表示を行う必要があります。
MITライセンスの表記方法
MITライセンスをWebテーマとして利用する場合は、ライセンスの表記方法はどうすべきでしょう。「HTMLのヘッダー部分に表示する」「Webサイトのフッター部分に表示する」「Webページを追加で作成する」など、どこに書くと良いのか悩む方も多いはずです。
この場合、Webサイト上にMITライセンスに関する表記している場所があるならば、そこに記載しましょう。
表記がない場合は、ヘッダーやフッターに記載したり、HTMLのコメントとして記述したりという方法でも問題ありません。
ソフトウェアを公開する場合におけるMITライセンスの表記方法
MITライセンスには、「著作権の表示と本許諾の表示を、ソフトウェアの重要な部分に記載するものとする」と定義されています。そのため、MITライセンスのソースコードを利用したソフトウェアを公開する場合、ソースコードの中にライセンスに関する文を記載することで義務を果たせたと言えるでしょう。
例えば、LICENSE.MITファイルに、MITライセンスに関する文書を記載するなどで十分です。ただし、ライセンスに関する文は、わかりやすい部分に記述した方が良いでしょう。一般的に、ライセンスに関する情報はソースコードの最初に入れることが多いです。
また、最初の位置にライセンス文を記載することで利用者にとってもわかりやすいと言えます。さらに、オリジナルのソースファイルなどにもリンクとして記載すると良いかもしれません。
MITライセンス違反に該当する事例

これまでMITライセンスについて条件や注意点を解説しました。ここでは、MITライセンスの違反に該当してしまうケースについて紹介します。
著作権表示とライセンス条文を明記しない
前述したように、MITライセンスの条件には「著作権の表示」と「MITライセンスにおける条文の記載」の2つがあります。これらを無視してソフトウェアを公開した場合は、当然ライセンス違反となります。
「無保証」条項の文章を改変・削除する
MITライセンスの条文には提供するソフトウェアについて「いかなる種類の保証も行われません。」と明記しています。これを「保証される」と捉えられるように条文を改変した場合は違反に該当するため、必ず全文そのまま記載しなければなりません。
別のライセンスに変更する
MITライセンスを使用して作成したソフトウェアに、新たな別のライセンスを追加・適用して複数のライセンスを適用させるのは問題ありませんが、MITライセンス自体を別のライセンスへ変更するのは違反になります。複数のライセンスを使用する際は、必ずどちらも明記せねばなりません。
MITライセンスは制限が少なく、使いやすいライセンス

これまでにMITライセンスの概要や条件、注意点、MITライセンスを利用してできること、OSSの知識などについて解説しました。MITライセンスとは、OSSを開発や配布する際に利用する代表的なOSSライセンスの1つです。
MITライセンスを使用するに当たっての利用条件は、著作権の表示とMITライセンスにおける条文の記載の2つであり、他のライセンスと比較すると制限が少なく、使いやすいライセンスと言えます。
MITライセンスは条件を守りさえすれば、ソフトウェアの改変や配布、販売、商用利用など、多種多様なニーズに合わせて対応することができます。これは開発者にとって大きなメリットです。また、ライセンスには多くの種類があり、それぞれ特徴があります。ライセンスを利用する場合は、自分のニーズに合わせて比較や検討を行いましょう。
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