Jupyter Notebookの使い方とは?基本操作と起動しない場合の対策も解説
Jupyter Notebookの基本的な使い方を解説
Jupyter Notebookは、Pythonなどのプログラミング言語をWebブラウザで記述し、実行することができるツールです。Jupyter Notebookを利用すると、コードを逐次実行してすぐに結果を表示したり、Markdownテキストを併記したりできるので、記録や報告に役立てられるメリットがあります。
今回はJupyter Notebookの使い方を解説します。Jupyter Notebookの起動・終了などの基本操作・セルの編集方法・作成したノートブックの共有方法・Jupyter Notebookが起動しないなど、困ったケースについても解説します。
Jupyter Notebookの基本操作
まずは、Jupyter Notebookの基本操作である、起動・ノートブックの作成・ノートブックの保存・停止の方法を説明します。
Jupyter Notebookを起動する
Jupyter Notebookを使用するには、まずNotebookサーバを起動する必要があります。サーバが起動した後に、ブラウザでJupyter Notebookを起動します。しかし、サーバの起動とブラウザの表示は1つの操作で簡単に行えます。
コマンドプロンプトを起動して、「jupyter notebook」と入力し、実行します。すると、Webサーバが起動し、その後自動的にブラウザが開き、Jupyter Notebookダッシュボードが起動します。
起動するディレクトリは、Cドライブ直下でなければどこでも構いません。
起動直後には、起動したフォルダ内にあるフォルダやファイルが表示されます。
Notebookの起動中は、起動に使用したコマンドプロンプトはそのままにしておいてください。停止する際に再び使用します。
ノートブックを作成する
Jupyter Notebookが起動したら、ノートブックを作成することでPythonのプログラムを実行できます。 新しいノートブックを作成するには、Notebookダッシュボードの画面右上に表示されている「new」をクリックして、表示されるメニューの中の「Python3」をクリックしてください。
新しいノートブックが作成され、表示されます。
ノートブックを作成すると、テキストボックスが表示されます。このテキストボックスのことを、「セル」と呼びます。
早速Pythonのプログラムを実行してみましょう。 セルのテキストボックスにPythonのプログラムを記述し、[Shift]+[Enter]を押すと、プログラムが実行され、下に実行結果が表示されます。
ノートブックを保存する
ノートブックに記述したプログラムや実行結果を保存しましょう。 画面上の「File」メニューをクリックし、表示される「Save as」をクリックします。
ノートブックの保存ウィンドウが表示されますので、保存するノートブックの名前を入力し、「Save」をクリックしてください。これで、ノートブックを保存することができます。
保存したノートブックは、拡張子が「.ipynb」のファイルになっています。これは、Jupyter Notebookのノートブック用ファイルであり、Pythonの実行ファイルであるpyファイルとは異なりますので注意が必要です。
Jupyter Notebookを停止する
Jupyter Notebookでの作業が終わったら、サーバを停止します。
起動する際に使用したコマンドプロンプトを再度表示させてください。Jupyter Notebookが動作するたびにログが残りますので、コマンドプロンプトの表示内容は起動直後の状態と変わっているはずです。
コマンドプロンプトをアクティブにして、[Ctrl]+[c] キーを押すことで、Jupyter Notebookのサーバが停止します。 コマンドプロンプトは、カレントディレクトリの入力受付状態に戻ります。
サーバを停止した後、ブラウザ上に残っているノートブック作成画面を確認すると、サーバのカーネルが停止したことを示す表示が出ています。
このまま状態でノートブック画面を表示させ、Pythonのプログラムを実行しようとしてもサーバが応答しないため、セルの左側に「in[*]」と表示されて実行されません。
Jupyter Notebookでノートブックを編集する
次に、Jupyter Notebookでノートブックを編集する方法について解説します。
ノートブック編集の基本となるテキストボックスである「セル」には、「エディットモード」と「コマンドモード」という2つのモードと、「Codeセル」と「Markdownセル」という2つの種類があります。
エディットモードとコマンドモードの切り替え
Jupyter Notebookのセルには、「エディットモード」と「コマンドモード」の2つのモードがあります。
エディットモードは、セルにプログラムや文章を入力したり編集したりするモードです。
セルをエディットモードにするには、セルのテキストボックス内をクリックするか、マウスクリックや上下キーを使用してセルを選択し、[Enter]キーを押します。エディットモードの時は、セルの枠は緑色で表示されます。
一方、コマンドモードは、セル自体の削除や追加など、セル自体に関する操作を行うモードです。
セルをコマンドモードにするには、セルのテキストボックス以外のどこかをクリックするか、セルが選択された状態で[Esc]キーを押します。 コマンドモードの時は、セルの枠は青色で表示されます。
Codeセルの操作
Jupyter Notebookのセルには、「Codeセル」と「Markdownセル」の2つのモードがあります。新しいセルを追加すると、セルの初期状態はCodeセルです。
Codeセルは、Pythonのプログラムを記述し、実行するために使用するセルです。 テキストボックスにプログラムを入力し、[Shift]+[Enter]を押すと、実行結果が表示されます。
実行後のテキストボックスの左には「in[1]」のように実行したプロセス数が表示されます。
Codeセルの実行結果には、グラフなども表示させることが可能です。Pythonのグラフ描画を行うライブラリであるMatplotlibでグラフを表示させると、以下のようになります。
Markdownセルの操作
一方、Markdownセルは、Markdownテキストを表示させるためのセルです。Codeセルとは異なり、プログラムを実行することはできませんが、Markdown記法を使用したテキストを表示することができます。
CodeセルをMarkdownセルに変更するには、ツールバー内で「Code」と表示されているドロップダウンメニューをクリックし、「Markdown」をクリックします。
セルがMarkdownセルに変更されました。
Markdownセルは、Codeセルの時に表示される「in[ ]」が表示されないことで、Codeセルと見分けることができます。
Markdown記法は、特定のルールに従って記述することで、文章の強調やリスト表示が容易に行える文書の書き方のルールです。 例えば、文章の頭に「#」を付けると見出しになり、「**」で括った部分は強調表示されます。
セルに入力して [Shift]+[Enter] を押すと、Markdown記法が反映された文章が表示されます。
Jupyter Notebookのノートブックを共有するには
Jupyter Notebookのノートブックは、Pythonのプログラムの実行結果と、Markdown記法による文章を併記できるため、記録や報告に適しています。
ノートブックを共有する相手がJupyter Notebookを使用することができれば、自分が保存したJupyter Notebook用の「.ipynb」ファイルをそのまま共有すれば、相手も閲覧することが可能です。
Jupyter Notebookを使用できない相手にも、PDFファイルやHTMLファイルで共有することが可能です。
PDFファイルで共有
ノートブックをPDFファイルでダウンロードします。PDFファイルに変換するにはいくつか方法がありますが、ブラウザで表示させてPDFに変換するのが最も簡単です。
ノートブック画面上の「File」メニューをクリックし、表示されたメニュー内の「Print Preview」をクリックします。
ブラウザ上に印刷用の画面が表示されますので、マウスの右クリックメニューを開いて、「印刷」を選択します。
「送信先」で、「PDFに保存」を選択します。ここでは、Google Chromeでの例でご紹介していますが、ブラウザによって操作する項目が異なる可能性があります。
実際に使用しているブラウザの印刷設定で、印刷に使用するプリンターの項目の、PDFで出力する選択肢を選択してください。
HTMLで共有
HTMLでノートブックを共有する方法について解説します。
ノートブック画面上の「File」メニューをクリックし、表示されたメニュー内の「Download as」をクリック、さらに「HTML(.html)」をクリックします。
ファイル保存画面が表示されますので、名前をつけてHTMLファイルとして保存してください。
Jupyter Notebookを使っていて困ったら
ここでは、Jupyter Notebookを使っていて起動しない、Python3を実行できないなどの困った状況の解決方法について解説します。
Jupyter Notebookが起動しない
Jupyter Notebookをコマンドプロンプトから起動しようとした時、「.html」の拡張子がブラウザ以外に関連づけられているなど、何らかの理由でブラウザが起動しないことがあります。
その場合、別でブラウザを起動し、コマンドプロンプトに表示されている3つのURLのうちどれかをコピーして、ブラウザのアドレスバーに貼り付けてアクセスすることで、Notebookダッシュボードが表示されます。
表示されている3つのうち、1番上のURLへアクセスしてみます。コマンドプロンプトからコピーして、ブラウザのアドレスバーに貼り付けます。
[Enter]キーを押してURLにアクセスすると、Notebookダッシュボードが表示されます。
Jupyter NotebookでPython3を実行できない
Notebookダッシュボード画面で、「new」をクリックし、表示されたメニューから「Python3」をクリックしても、ノートブックが開けない場合があります。
「Python3」をクリックしても、以下のエラーメッセージが表示されてノートブックが作成できません。
これは、Cドライブ直下でJupyter Notebookを起動しようとしたことが原因です。
Cドライブ直下では、ファイルの作成権限がないため、新規ノートブックを作成することができません。コマンドプロンプトで別のディレクトリに移動してJupyter Notebookを起動しましょう。
別のケースとして、Notebookダッシュボード画面で「New」をクリックしても「Python3」が表示されないことがあります。
その場合は、Python3がインストールされていないことが原因である可能性が高いと考えられます。Python3をインストールして、もう一度試してみてください。
Jupyter NotebookでPythonを活かしたドキュメントを作成しよう
この記事では、Jupyter Notebookの基本的な使い方について解説しました。
Jupyter Notebookは、Pythonを手軽に実行して結果を確認でき、Markdownテキストで補足やメモを残すことができる便利なツールです。興味がある方は、ぜひ1度使ってみてはいかがでしょうか。
編集部オススメコンテンツ
アンドエンジニアへの取材依頼、情報提供などはこちらから