
熱狂から2年、仮想通貨はもう「オワコン」なのか?専門家に聞いてみた!
2020年、「仮想通貨」から「暗号資産」へ

本日は、仮想通貨について…。

ストップ!!! 「仮想通貨」って名称、もう古いんですよ。 2020年の5月に「改正資金決済法」と「改正金融商品取引法」が施行され、名称が「仮想通貨」から「暗号資産」に正式に移行したんですよ。


何が変わったんですか?

実態は特に変わってないのですが、私は「暗号資産」のほうが適切だと思いますよ。 「仮想」通貨だと、まるで本物の通貨じゃないような印象を与えるので。

たしかに「仮想」「バーチャル」って、「本物じゃない」を含んじゃいますもんね。 仮想現実(VR)とか、仮想環境とか。

暗号資産は、既に支払いに使用されていたり、投資対象として運用されていたりと、全然「仮想」じゃないんです。 だから、今回の改正はポジティブかな、と(笑)

なるほど、ではこれから「暗号資産」と呼びます(笑)
投資先としてオワコンと思いきや…。

ビットコイン(以下BTC)などの暗号資産って、2018年にブームが終わって以来、下火じゃないですか。色々事件もありましたし…。 「デジタル・ゴールド(※)」なんて言われてるのに、コロナショックの際に1日で半減したらしいですし。 正直、投資先としては「オワコン」なんじゃないですか?
※デジタル・ゴールド…金のように、金融市場の混乱時にデジタル上でお金を置いておく安全な避難先と捉えられているという意味

確かに、コロナショックの初期、特に3月の中旬にはかなり下がりました。が、話はそこからです。 BTCの価格は、それから順調に上がってきてるんですよ。


え!? 何がプラスに働いてるんですか…?

5月12日の半減期など様々な要因はあると思いますが、第三者の介入がないからという面もあるのではないでしょうか。 今の資産価格って、BTCに限らず、実体経済と乖離しているケースが珍しくないんですよ。あくまでこれは個人的な見解ではあるんですが。

自粛で消費・生産が落ち込んでいて、GDPがマイナス40%とか言われているのに、日経もダウも全然下落していない。 その背景には、各国中央銀行の買い支えがあります。

日銀もETFの買い入れを拡大しています。


つまり、中央銀行による不健全な量の買い支えで、資産価格が変動している状況って、投資家からすると、とても不安だと思うんですよね。 一方で、暗号資産は中央銀行が存在せず、新規生産量もあらかじめ決まっています。 そういった、第三者の介入がない性質が評価されているんでしょうね。

なるほどな〜。
取引所のハッキング対策は改善された?

とはいえ、暗号資産って、数年前は何度もハッキングされたじゃないですか。 コインチェック事件が記憶に新しいですよね。 そういった、ハッキング事件はまだ発生し続けているんですか?

最近は、大きな事件は聞かないです。 「コールドウォレット(※)」を用いれば、セキュリティリスクがかなり限定的になることはご存知ですか?
※コールドウォレット…インターネットから完全に切り離されたウォレット

確かに、コインチェック事件のときに聞いたような…。

現在では、過去の事件の反省を生かして、メジャーな取引所はどこもコールドウォレットを用いて資産を管理しています。 それだけでは不安な利用者が、取引時以外に、自身のコールドウォレットに暗号資産を移して管理する例も増えています。

業界として、セキュリティのレベルが向上しているんですね。
「日本人がカモにされた」ICO事件

そういえば、「ICO(Initial Coin Offering)」って、一時期めちゃくちゃ流行ったじゃないですか。 これからの資金調達はICO!みたいな雰囲気もあったり…。 でも、最近めっきり聞かなくなりましたね。これも“オワコン感”を感じる理由なんですが…。

たしかに、ICOは圧倒的に減りましたね。 世界中で詐欺が横行してしまったのが問題だったと思います。


なかには、いざ蓋を開けてみると、サイトに男性器のスラングを記載して音信不通になったコインもありました。

日本でも芸能人が絡んだ有名なフェイク案件がありましたね。 当時は「ホワイトペーパー(※)が長いほどお金が集まりやすい」という傾向があって。 なので、「数十万円でホワイトペーパーを書く」というだけの仕事があったらしいです(笑)。
※ホワイトペーパー…ICOのプロジェクト概要を記したレポート

ヒドい例がたくさんありますね…。

特に、日本人は新しいもの好き。そのため、世界の中でわかりやすくカモだと思われていました(笑)。 「日本人はcoolと書いておけば何でも買ってくれる!」とまで言っていた外国人もいました。
今の時代はICOではなくIEO

じゃあ、ICOってもう「オワコン」なんですか?

いやいや、最近でもありますよ。トークンセールと呼ばれ、より規制に沿った形になりつつあります。 例えば、秒間5万トランザクションを処理できるブロックチェーン・SolanaのSOLや、 MIT研究者らが主導するアカデミック色のあるAlgorandのALGOなどは有名ですね。


ICOも健全な形に変容しつつあるんですね。

それに、新しく「IEO(Initial Exchange Offering)」というのが流行り始めてるんですよ。

IEOとはなんですか?

IEOでは、発行元が取引所に販売を委託し、取引所は、技術内容や市場の状況などから適正価格を決めた後に売りに出すんです。 つまり、取引所が暗号資産の信頼性を担保してるんです。

信頼できる取引所がバックにつくことで、詐欺も起こりづらくなるわけか…。 セキュリティ面のアップデートが目立つな…。
エンジニアと暗号資産は「ゲーム」でも関わることができる

エンジニアならではの暗号資産への関わり方ってありますか? プロトコル自体の開発者や研究職はすぐに思いつくんですが、一般のエンジニアが仕事として関わるのは難しいかな、という気がしてて。

取引所で働く、というのは一つの手ですかね。 あと、先ほど説明したコールドウォレットの開発を行う企業で働くとか。

うーん…でも、今までの話を聞いていると、どれもお堅い仕事な会社ですね。

変わり種だと、ブロックチェーンゲームの開発なんてのもありますね。 有名なタイトルだと、「Gods unchained」とか。 ゲームデザインは既存の「Hearthstone」とほぼ一緒なんですが、「Gods unchained」内では、カードは個人の資産であり、カードの売買も暗号資産でできるようになってます。


ブロックチェーンってゲームにも応用できたんですね…!

それに、「ブロックチェーンの社会実装をすすめる企業」という選択肢もありますね。

というと?

そのままで、今ある問題をブロックチェーンによって解決するための企業や、そのバックアップをする企業です。 例えば弊社は、企業向けブロックチェーン業界分析レポートの提供、企業との共同開発、ビジネス講座などを提供することで、ブロックチェーンの社会実装をサポートしています。

暗号通貨クラスタが一番こだわるもの

ここまでで暗号資産のことが2年前から一気にアップデートできた気がします。ではいまの暗号資産の一番の魅力ってなんなんですか?

開発・発展に一貫した思想があるところです。 初期の暗号資産に惹かれた人たちって、社会にすごい不満があった人達なんですよ。 例えば、国際送金をよく使う人だと、「ただ自分のお金を移動させてるだけなのに、なんでこんな高い手数料を取られなきゃいけないんだ」とか、手違いで銀行に資産を差し押さえられてた人だと、「なんで自分のお金が使えなくなるんだ」とか。

世の中に対する、社会改革的なところがあるんですね。

そうです。対して、暗号資産は、現行の金融システムと違い、使用・運用・保持に対する制約がすごく小さくて、誰でもインターネット環境があれば利用可能です。 アルゼンチンの、インフレを生き抜くために暗号資産を活用したり、18歳の女の子が、暗号資産で人生初のローンを使ってみた例もあります。

とはいえ、暗号資産がアングラな人達の違法取引やマネー・ロンダリングに使われることって結構あるじゃないですか。この問題について、コミュニティの人達はどう考えているんですか?


犯罪やマネロンはもちろんダメですが、送金に関しては個人的観測では暗号資産のコミュニティの中で、半数くらいが、「使いたい人がいるなら使えるようにすべき」と考えていて、もう半数が「暗号資産も規制されるべきだ」という考えですかね。

ただ、規制でがんじがらめにすると、暗号資産がさらに地下に潜って使われて、イタチごっこになるだけという認識は全体にあります。 なので、規制が必要だと考える人も、暗号資産関連の規制を包括的に整えることで、望ましい使い方を模索していくべきだと考えています。

では、さっきのゲーム会社の事例はどうでしょう?法的にはセーフかも知れませんが、元のゲーム会社のゲームデザインには反してますよね?

たしかにそうかも知れませんが、ゲームが面白いか、ユーザが使いたいと思うものをデザインできているか、のほうが重要じゃないですか?

なるほど…。

暗号資産でカードが売買できるゲームは、そこに不満を持つユーザへの代替案なんです。 もちろんゲームの世界はお金じゃないから楽しい、って部分もあると思いますし、全部のゲームでそうなるべきだとは考えてなくて、どちらも共存していくんじゃないかなと思ってます。

既存の常識や社会をアップデートしていく人たちってことですね。ありがとうございます!
ライター

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