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ユーザーの声と大量のデータで女性をサポート!生理の常識をアップデートする「ルナルナ」が目指すもの
いしめぐ
2020.11.04
この記事でわかること
ルナルナは大量のデータを活用して、生理の常識を現代の日本人向けにアップデートしている
データ集めを目的にせず、あくまでもユーザーに寄り添うサービスであり続けることが大事
本人だけで抱え込まず、パートナーや医師に悩みやデータを共有することで、解決できることがある

一定の年齢の女性なら誰もが経験している生理(月経)

急に生理が始まって困った経験のある女性も多いはず。そんな女性たちとパートナーを支えているのが、次の生理開始日や排卵日がいつ来るのかを予測する”生理日管理”アプリです。

なかでも“生理日管理”のパイオニア「ルナルナ」はなんと今年でサービス開始から20周年

長期間の運営の中で蓄積したデータやユーザーの声をどのように活用しているのか

そして、生理の常識や社会認識をどのようにアップデートしていこうとしているのか

株式会社エムティーアイ ルナルナ事業部副事業部長 那須さん広報 小林さんにお話を伺いました!

※「生理」ではなく「月経」が正式な医学用語ですが、本記事では一般的に親しまれている「生理」という呼称を使用しています。

生理日管理アプリNo.1「ルナルナ」とは?

1500万ダウンロード突破!(2020年3月時点)

次の生理日や排卵日、妊娠しやすい時期/妊娠しづらい時期、ダイエットにオススメの時期や日々の体調などの情報が詰まった生理日管理アプリです。

iOS版はこちら、Android版はこちら

ユーザーの声と大規模なデータ分析から生まれた独自の排卵日予測

いしめぐ
ルナルナ、20年も続いているサービスって本当にすごいですね…!
エムティーアイ 那須さん
実はそうなんです。
20年前はフィーチャーフォンが主流でしたから、その頃から提供しています。
いしめぐ
この領域に古くからあるサービスですもんね。
今では多くの競合サービスがある中で、ルナルナはこれが強い!という部分を教えてください。
エムティーアイ 那須さん
独自のアルゴリズムを使った排卵日予測ですね。
これまでにユーザーさんに入力いただいたデータを元に、より高精度な予測を提供しております。
排卵は、卵巣から卵子が排出される現象のことであり、卵子は卵管を通って子宮へと運ばれる。一方で生理(月経)とは、卵が着床せず、子宮内膜は剥がれ落ちて腟から血液と共に流出する現象。日本産婦人科医会HPを参照
エムティーアイ 那須さん
排卵日予測には一般的に、次回の予測生理日から一律12〜16日前の5日間を排卵予定日とする、「オギノ式」と呼ばれる医学的な学説を用いています。
いしめぐ
あ、聞いたことある!保健の授業で習ったような気がします。
エムティーアイ 那須さん
ルナルナでも昔はオギノ式を用いていましたが、生理周期は人それぞれ異なる中で、本当に排卵日予測は一律でマイナスする算出方法でいいのか?という疑問があったんです。
いしめぐ
言われてみれば違和感が...。
エムティーアイ 那須さん
そこで実際に、排卵日※と生理周期を併せて分析したところ、予想通り、生理周期によって排卵のタイミングが異なることが明確に分かりました。

※医師の判断もしくは排卵検査薬で確定した排卵日を記録した、信頼できるデータのみを使用。

エムティーアイ 那須さん
排卵日と、生理痛の強さや眠気など生理前の不調の関連も分析してみたんですが、そちらはあまり関連がないこともわかりました。
いしめぐ
医学的にも常識とされていたことを、データによって覆したんですね!
いしめぐ
あれ?でも、ルナルナってもともと生理日予測アプリでしたよね。
どうして排卵日のデータがあったんですか?
エムティーアイ 那須さん
排卵日のデータを記録することでルナルナを妊活に利用するユーザさんが非常に多かったんです。
早くお子さんを授かりたいという方が本当に多く、ルナルナとしても強くサポートしたい気持ちで開発をしています。
いしめぐ
ルナルナでの妊娠報告ってどのくらいの数になるんでしょう?
エムティーアイ 那須さん
厚生省発表の2019年の出生数が90万を下回るなか、年間28万人ほどの方が「ルナルナ ベビー」で妊娠を報告してくださっています。
出生数及び合計特殊出生率の推移。内閣府HPより
いしめぐ
すごい利用率…!それだけ妊娠を希望される方にルナルナが選ばれているんですね。

生理についての常識は50年も変わってない?大規模なデータ調査で見えたこと

いしめぐ
排卵日予測の他にも、ルナルナを通して収集されたデータが有効活用されている場面を教えてください!
エムティーアイ 那須さん
色々あるのですが、データの学術的利用はいい例だと思います。
そもそも生理関連の医学的な知見は、少ないし古いんです。
たとえば、オギノ式の予測は、約100年前に発表されています。
いしめぐ
オギノ式ってそんなに古かったんだ…。
エムティーアイ 那須さん
生理のデータ収集は継続的に協力してもらう必要があるため、非常に手間がかかります。
医療者や研究者の方々は、日々の研究や業務から立てた仮説があるけれど、多くのデータが必要となる検証は、あまりできないという状況のようです。
いしめぐ
そこで膨大なデータをもつルナルナの出番、というわけですね。
エムティーアイ 那須さん
そのとおりです。
既に国立成育医療研究センターさんとの共同研究の結果発表がされていて、月経周期の分布が年齢とともに変化する一方、季節や居住地の影響はほとんど見られないことが明らかになりました。
季節ごとの月経周期。季節は日本人女性の月経周期にほとんど影響がないことが判明した。これまで医師向けの教科書で使用されていた月経に関するデータは研究対象者数が650 人(3万月経周期)だったのに対し、今回の研究では約30万人、約600万周期分のデータを使用した。エムティーアイNEWS RELEASEより
エムティーアイ 那須さん
他にも、 生理周期や基礎体温の基準値の見直しの共同研究を東京大学さんと一緒に進めています。
様々な研究結果とも照らし合わせて、今までサービス上で提供していた基準値も変えていくことになると思います。
エムティーアイ 那須さん
50年ほど前のデータを元にした医学的知見がいまだに主流で、ルナルナもそれを元にしているので、大量のデータを使って再検証できるのはとても意味があることだと思います。
自社サービスのみならず、医学分野の知見の見直しに貢献できれば、と期待しています。
いしめぐ
なるほど!
ルナルナさんが研究機関と協力することで、生理に関する常識がどんどんアップデートされているんですね。

データ収集は、UXと医学のバランスが重要

いしめぐ
研究や自社でのデータ分析をすすめるためには、データの収集が非常に重要になりますよね。
どうやってデータ収集をされているんですか?
エムティーアイ 那須さん
データの性質によって収集方法が違います。
生理日や排卵日、基礎体温などのデータは、ユーザさんが日々使ってくださる中で入力されているため、そちらを利用させていただいています。
ストレスや体調に関するデータは、アンケートのような形で定点的に集めることが多いです。
「ルナルナ」アプリの生理日入力画面。ユーザは生理に関する情報を入力していくことで、次の生理日予定日や排卵日予定日を知ることができる。
いしめぐ
データを集める際に注意していることなどありますか?
エムティーアイ 那須さん
まずは、データを集めるための監修です。
今は初期段階から医師の方に声をかけることも多いですが、少し前までは、企画をはじめる際にまず日本産婦人科が公開しているガイドラインを見ながら企画者で検討して、監修医の先生に企画案を確認してもらっていました。
医師の方もアプリをどう作ればいいのかということに関して知見があるわけではないので。
いしめぐ
なるほど、非情報系の専門家との協力が必要な場面では、叩き台を作ることが重要なんですね。
エムティーアイ 那須さん
あとは、データ収集を重視するあまり、ユーザさんに負担をかけすぎない、ということも重要です。
医師からは、「お腹が痛い」という情報だけでなく、お腹どの部分が痛いのか・どんな痛みなのか、といった情報もとった方が良いのではないか、とアドバイスいただくことがあります。
エムティーアイ 那須さん
けれど、サービスとして質問が細分化して多くなると、UXは悪くなってしまいがちです。
ユーザーさんにとってのわかりやすさ医学的な観点からの情報の細かさ、両者のバランスを取る必要があります。
いしめぐ
データを入れてもらわないと、分析どころかサービスも使ってもらえないですもんね。
エムティーアイ 那須さん
そうですね。
そもそも、ルナルナではユーザさんのニーズに応えるためにデータ記録機能を提供していて、そこで集められたデータが、結果的にサービス改善はもちろん研究にも役立ったんです。
データ収集に主眼をおいてしまうのは本末転倒ではないかな、と思っています。

ルナルナを使う男性も、実は多い?

いしめぐ
そういえば、今のルナルナってプロフィールで男性が選べますよね。
どうして男性って選択肢があるんですか?
「ルナルナ」アプリでは、性別で男性が選択可能
エムティーアイ 那須さん
サービス内のアンケートで男性の方が回答してくださったりと、男性もサービスを使っていることが分かったからです。
掘り下げていくと、パートナーの妊活のサポートや、ホルモンバランスによる気分の落ち込み、体調不良をサポートしたいという想いで利用されていることがわかりまして。
いしめぐ
なるほどー!男性がパートナーの生理のデータを入力して、日々の調子をパートナーの視点で見ているんですね。
エムティーアイ 那須さん
そういった男性からの声を受け、生理予定日などをお知らせするパートナー共有機能も追加しています。
自分では調べづらいけれど、メールが自動的に届くことでパートナーの辛さを理解する機会ができたなどポジティブなご意見をいただいています。
共有する項目を選んでメールで体調を知らせることができる「パートナー共有機能」。
いしめぐ
パートナーの生理について知るいいきっかけになっているんですね。
エムティーアイ 那須さん
あとは、生理に関するコミュニケーションの円滑化に役立っているようです。
女性の生理って、やっぱりパートナーにも伝えづらい場合が多いみたいです。
精神的にも体調的にも落ち込みやすいですから。
そんなとき、メールによって機械的に知らせてくれることで負担なく、また重くなりすぎずにパートナーに伝えられます。
いしめぐ
なるほど!
ちなみに、基本的には女性向けのプロダクトですが、開発チームの男女比っていかがですか?
エムティーアイ 那須さん
開発チームは、限りなく女性が少ないです。
いしめぐ
そこは普通のIT企業と変わらないんですね。
男性のメンバーは知識が足りずに困ることはないのでしょうか?
エムティーアイ 那須さん
情報が足りていないと、男性メンバーはサービス改善の方向性や施策の実施理由が理解しづらいこともあると思います。
そのため、新しく配属された方には、女性の身体の仕組みについての勉強の場を設けています。
いしめぐ
なるほど、そこでしっかり勉強できるんですね!
エムティーアイ 那須さん
業務では生理日などのワードが頻繁に飛び交うので、最初はすごくびっくりされますね(笑)。

イチオシは医療機関とのデータ共有機能!婦人科受診をもっと身近に

いしめぐ
機能が充実している反面、他の女性向けヘルスケアアプリに比べてメニューが多いですよね。
もっと使ってほしいイチオシの機能があれば、ぜひ教えてください!
エムティーアイ 那須さん
イチオシは「ルナルナ メディコ」です。
ルナルナで記録したデータを、医師の方にそのまま見ていただけるサービスになります。
エムティーアイ 那須さん
診断の際に医師に正確な情報を伝えるのは意外と難しいので、「ルナルナ メディコ」によって情報伝達がかなりスムーズになると思います。
全国800施設以上に導入。「ルナルナ」アプリ内の病院検索から「ルナルナ メディコ対応済み」の施設を調べることもできる。
いしめぐ
確かに、病院でいつどんなことがあったか?と聞かれても、答えられないことが多いです...。
エムティーアイ 那須さん
特に妊活中で婦人科に通っている方におすすめです。
基礎体温などの記録を紙で提出されている方も多いので、アプリの記録をそのまま医師に提示できるのはかなり便利という声をいただいています。
エムティーアイ 那須さん
また、ピルを服用中の方が、服用や副作用の記録をして通院時に共有いただくといった使い方もできます。
いしめぐ
先ほどのパートナー共有機能にしても、自分以外にデータを共有するというのが、他のサービスと違う考え方だと感じます。
エムティーアイ 那須さん
そうですね、ルナルナを通して、もっと婦人科を身近に感じていただきたいです。
継続して相談できる「かかりつけ医」がをもつことで、女性の悩みへのより良い解決が得られると思います。
いしめぐ
今後、こういったデータ共有の範囲をさらに拡げていく計画はあるのでしょうか?
エムティーアイ 那須さん
弊社は多くのヘルスケアサービスを提供しているので、それらのサービスをどんどんつなげていくことで、日々の健康を促進するような価値を提供したいと思っております。
いしめぐ
企業向け、健診機関向け、電子カルテなど様々なサービスを運営されているんですね。
特にこのサービスやデータを掛け合わせたいと考えているものはありますか?
エムティーアイ 那須さん
健康診断のデータは、婦人科系の疾患に関する項目もあるので連携することに価値があると思っています。
また、将来的な話にはなりますが、閉経が近づくと生活習慣病にかかるリスクがぐっと上がるので、閉経後も含めた一生涯の健康をサポートしたいと思っています。
エムティーアイ 那須さん
エムティーアイのヘルスケア部門は、妊活、妊娠中を含めてマイナス1歳から100歳までサポートすると掲げているので、ユーザーさんに寄り添い続けられるサービスを提供し続けていきたいですね。

ネットで話題になった「女性のための福利厚生」は男女ともに好評

いしめぐ
エムティーアイさんといえば、独自の女性社員向け福利厚生制度として、『ルナルナ オンライン診療』を活用した婦人科受診と低用量ピル服薬支援が話題になっていましたよね。
こちらの制度の活用状況はいかがでしょうか?
ルナルナを運営するエムティーアイさんの女性向け福利厚生制度
エムティーアイ 小林さん
ネットで話題になったのは2月から開始された実証開始のニュースでしたが、実際に半年間の実証を経て、10月より本格的に導入します!
いしめぐ
おお…! ということは好評だったんでしょうか?
エムティーアイ 小林さん
希望した女性従業員のみの検証ですが、生理が辛くて仕事のパフォーマンスに影響が出てしまう日数が、3.1日/月から1.15日/月に減少したという結果が出ました。
いしめぐ
効果てきめんですね!
エムティーアイ 小林さん
実際にオンライン診療やピルの服用が日常生活や仕事に役立つことは、弊社としても発見でした。
いしめぐ
制度に参加された方以外からの評判はいかがですか?
特に、制度を利用できない男性からの評価はどうでしょう?
エムティーアイ 小林さん
女性だけなぜそんなに手厚くしてもらえるんだ、という反応も予想はしていました…が、社内の男性にアンケートを取ったところ、女性よりも賛成の割合が高い結果となりました
いしめぐ
意外な結果!
エムティーアイ 小林さん
男性も女性社員と仕事中に接する中で、たぶん生理で体調が悪いんだろう、となんとなく感じていた人が半数程度いたようです。
でも、どう声をかけていいかも分からず、何もアクションできない方が大半だったみたいで。
いしめぐ
あらゆる職場に共通する問題ですよね…。
エムティーアイ 小林さん
そこで、会社からの公式なサポートによって、女性のパフォーマンスが向上したり、コミュニケーションが円滑になることに反対する理由はないというのが賛成する方々からの意見でした。
結果的に、男性からの意見が聞けたことも大きなプラスでした。
いしめぐ
男性側の気持ち、私もあまり考えたことがなかったです。
こうした実験的な取り組みは、社会全体で理解を得られることにもつながると思うので、社外の自分からしても本当にありがたいです…!
エムティーアイ 那須さん
生理にまつわる症状って、我慢して当たり前とか仕方がないものというイメージが非常に強いので、男女問わずしっかりと理解を促進していくことが大切だと思っています。
エムティーアイ 那須さん
この取り組みを始める時にも外部の医師を呼んできちんと勉強会を実施しました
女性の身体について学ぶ機会はなかなかないので、女性社員自身も知らないことも多くあり、男性社員からも好評でした。
エムティーアイ社内での福利厚生制度の説明会のための勉強会の様子
いしめぐ
知識を得る機会が同時にあったこともこの施策に対するポジティブな反応の一因かもしれませんね。
こういった生理に対する理解を得られる取り組みを、社外にも促進する予定はあるんでしょうか?
エムティーアイ 那須さん
この「ルナルナ オンライン診療」と「ルナルナ」を活用したピル処方の福利厚生は、他の企業さまにもぜひ広がっていくといいなとは思っており、他社への導入も検討しています。
エムティーアイ 那須さん
ここ数年で以前より女性の健康についてオープンに話せるようになってきているので、コミュニケーションを後押しするようなツールとしてルナルナを活用いただけるといいなと思います。
いしめぐ
お話、ありがとうございました!
1つのサービスの枠を越えて、日本の生理の常識をアップデートし続ける「ルナルナ」とエムティーアイさんの取り組み、1人の女性として応援し続けたいなと思います!
いしめぐ
とあるスタートアップのプロダクトマネージャー、元ゲームプランナー。漫画を毎日読みます。
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