「大きなものを時間をかけてつくる時代は終わった。今後は日本をアジャイル化したいと思っている」
そう口にするのは、 アジャイルサービス部を率いるH.S.。彼の他にもSHIFTのアジャイルサービス部には、スクラムマスターやアジャイルコーチ・アジャイルQA・QAリードなど、アジャイル開発を進めるうえで重要な役割をもった、さまざまなメンバーが集結しています。
ウォーターフォール型の開発が主流である現場において、丁寧に一社一社とのコミュニケーションを行い、結果「課題解決にアジャイルが有効である」となれば全力でプロジェクトを牽引する… そんなアジャイル開発のプロフェッショナル達は、お客様とどのような思いで向き合い、具体的にどんな取り組みを進めているのでしょうか?そして冒頭で述べた「日本をアジャイル化したい」の真意とは?この記事でご紹介していきます。
※本記事の内容は、取材当時のものです。
H.S.(アジャイルサービス部 部長)
5年以上にわたり、ソフトウェア開発プロジェクトに参画。基幹システムを中心に、システム提案要件定義〜システムテストの全工程で実務を経験してきた。SHIFT入社後はMAを中心にパッケージ製品開発プロジェクトでの検証業務を担当。スクラムチームにおいて、検証観点整備・品質分析・プロセス改善などの経験を積む。その後、スクラムマスターとして基幹システム刷新プロジェクトに参画し、プロダクトオーナー支援・アジャイルプロセス改善・マルチベンダーに対するコントロールを行う。販売システムの品質保障体制構築を担当した後は、アジャイルサービス部部長としてアジャイル開発の推進に従事している。
Scrum Alliance アジャイルリーダーシップ Certified Agile Leadership for Organizations®を保持 Certified Agile Leadership Essentials®を保持
SHIFTのアジャイルを全て担うチーム
アジャイルサービス部は組織としては比較的古く、元々は全社横断的に技術支援を行う組織が前身として存在しました。時代が進むにつれ社内でもアジャイル開発に大きく取り組んでいこうという動きが見え始め、2021年9月に現在のDevOps推進部として再スタートを切りました。 アジャイルサービス部は、DevOps推進部の中に含まれるグループのひとつです。そんなアジャイルサービス部としての取り組みは大きく2つあり、お客様のアジャイル開発に関する全てと、自社組織のアジャイル化支援を行っております。
いまでこそSHIFTのアジャイル開発を司る部門の部長を務めている私ですが、SHIFT入社前は鉄道関係のソフトウェア開発プロジェクトに参画し、基幹システムを中心にシステム提案要件定義からシステムテストまで一通りの工程で実務を経験してきました。そこから私がSHIFTへ転職するきっかけとなったのは、いわゆる大規模開発プロジェクトにおける品質課題の存在でした。
前職では、どのプロジェクトにおいても受け入れテスト(UAT)付近で「あのとき、どうしてこうしなかったんだっけ?」というネガティブなやりとりが発生しており、根が深いなと思っていました。そんななか、プロジェクトの要件定義段階から品質の観点を取り入れてプロジェクトの上流工程から下流工程までを一気通貫で行うというSHIFTの存在を知ったのです。そうすることで、私が課題に感じていた「あのとき、どうしてこうしなかったんだっけ?」を解消することができます。
自身も「品質課題の解消を通してお客様の役に立ちたい」と考え転職を決意し、SHIFTに入社後はMA(マーケティング・オートメーション)を中心にパッケージ製品開発プロジェクトでの検証業務を担当いたしました。スクラムチームにおいては検証観点整備や品質分析、プロセス改善なども経験しております。その後、アジャイルが向かないといわれる基幹システム刷新プロジェクトでアジャイルを実践し、そのなかでPM支援やアジャイルプロセスの構築・運用、マルチベンダーに対するコントロールなどを担当して現在に至ります。
コンサルよりも手を動かし、ベンダーよりも口を動かす存在
アジャイル案件と一口に言っても、実に多種多様なご相談が私たちのもとに寄せられております。課題が明確に存在していてシンプルにそれを解決するための手が足りていないというケースもあれば、まずは情報収集として話を聞きたいというケースもあり、ご相談内容には様々な要素でグラデーションがかかっています。
しかしながら、どのお客様も「早くモノを世の中にリリースしたい」という想いについては共通しています。早く世の中に出したいけれども、品質レベルは落としたくない。けれども、品質を重視しすぎるあまりにリリーススピードが遅れるのは避けたい。そんなお悩みを抱えているお客様も多い印象ですね。それらを解決する具体的な進め方をご提案するために、私たちアジャイルサービス部は存在しています。
もちろん他にもアジャイルサービスを提供するベンダーは存在しておりますが、SHIFTは2つの観点で明確な差別化ができていると考えております。
まずひとつめに、既存ベンダーと比較をするとSHIFTは各工程を順番にこなすウォーターフォールの文化がないが故に、柔軟性やスピードを優先した“アジャイル全振り”が可能だという点です。昔からウォーターフォール型で案件を受けてきた大手ベンダーの場合、どうしても既存事業とのバッティングが発生してしまうため“アジャイル全振り”を行うことは難しくなっております。だからこそ、我々SHIFTのような既存事業とバッティングする可能性が低い振興ベンダーが機微まで対応できるといえるでしょう。
また、こちらも既存のコンサルティング会社との比較となりますが、基本的にコンサルティング会社はアドバイザリーに対する報酬が対価となるのに対して、SHIFTはシステム構築や運用を"実現"させるまでパートナーとして伴走していきます。
つまり、私たちはベンダーよりも口を動かしコンサルよりも手を動かす存在として、唯一無二の価値をお客様にお届けすることができるのです。
先日、お客様から「これまで一度もリリースを実現することができなかったのに、SHIFTさんにお願いをしたら2ヶ月で実現いたしました」とうれしいお言葉をいただきました。また、こちらは一例で他にもたくさんのお声を頂戴しております。
ウォーターフォール型の進行に慣れたチームの場合「時間をかけてでも、一回でプロジェクトを終わらせる」という意識がまだ根強く残っています。もちろんどの進め方が正解ということはありませんが、選択肢として「少しずつリリースして改善しながらプロダクトを磨いていく」アジャイルを持っておくに越したことはありません。まずは、アジャイルの進め方に関するメリットを感じていただけるようSHIFTはお客様への働きかけを行っております。
本質的な対話力こそ、スクラムマスターに欠かせないスキル
スクラムマスターの役割と聞くと、スプリント計画の進行やデイリースクラム、スプリントレビューの開催などをイメージする方が多いのではないでしょうか。もちろんそれらも重要な役割の一部ではありますが、根本としてより大切なのは「チームをよりよい方向に導く」ということです。
私自身、多くのアジャイル開発プロジェクトを経験してきましたが、お客様はスクラムマスターそのものを求めているわけではありません。お客様が求めているのは「短サイクルで安心なリリースを行うこと」です。
その期待に応えるためにはいわゆるスクラムマスターの仕事だけをやるのではなく、チームの困りごとを解消するために気を配り、あらゆる手段を使って「チームをよりよい方向に導く」「問題の解決に向けて具体的に前に進めようとする」人が、SHIFTのスクラムマスターであると私は考えています。 このマインドがアジャイルサービス部の文化としてある種定着をしているのは、背景にSHIFT全体としての文化があることも大きいと感じています。
というのも、大前提として私たちSHIFTのメンバーは何か課題が発生すると「自分たちがもっている技術を活用し、まずは自分たちで解決を試みる」姿勢を大切にしているのです。もちろんそれで解決が難しい場合は外部リソースを使うのですが、まずは内製でなんとかやってみる文化があるからこそ「なんとか前に進めよう」というアジャイル的な文化が自然とSHIFT全体に醸成されてきたのだと思います。
それでは、チームを前進させるためには具体的にどんなスキルが必要なのか?その点について、私は「対話力」だと考えています。
「対話力」とは、ただ話が上手ということではありません。人の気持ちを一歩前へと進めるコミュニケーションをとることができるか?押すだけでなく、手を引くこともできるか?異なる立場の人の間に立ち、パイプ役となることができるか?…
自分自身が話の内容をしっかりと理解することができているのかをつねに振り返ったうえで、相手と自分の会話のバランスをとって認識の齟齬が発生していないかを注視すること。言葉だけではない、そんな「本質的な対話力」こそがスクラムマスターに欠かせないスキルだと私は感じています。
ぜひ「変化を楽しみたい人」に来てほしい
スクラムマスターは難度の高い業務であることは間違いがないのですが、一方で、お客様の課題を自社の技術を使って解決していくのは非常に楽しくやりがいもあると思っております。私自身、組織のマネジメントをしながらお客様のプロジェクトにも入ってつねに新しい課題と向き合っており、大変ではありますがお客様にとっての新しいフェーズをご一緒できるのはとても貴重でやりがいのある体験だと感じているんです。
私が所属するアジャイルサービス部はSHIFTのなかでも特に若いメンバーが多く、半数以上が20代のメンバーで構成されている点が特徴的です。もちろん年齢が上であったり経験が長い人がジョインされてもウェルカムな雰囲気となっており「年齢や経験に関わらず、みんなで成長していこう」というフレッシュなエネルギーに満ちていると、仕事をしながらいつも感じております。
多種多様な経歴・経験をもつメンバーがどんどん増えているので、いろんな知識がそれこそ無尽蔵に入ってきておりチームひいては会社としてできることも組織の変化・成長に伴って爆発的に増えていると実感しています。そんなアジャイルサービス部にこれからジョインしていただけるのであれば、ぜひ「変化を楽しみたい人」に来ていただきたいと思っています。逆に言えば「変化を恐れる人」「やりとりの透明化に抵抗がある人」には馴染みにくいかもしれません。
今後、私はSHIFTに留まらず日本をアジャイル化したいと考えております。すでに「大きなものを時間をかけてつくる」「このシステムを買えば幸せになる」という時代は終わったと考えており、「一つひとつの部品を組みあわせ、型通りのシステムではなく状況にマッチしたより良いサービスや体験をしてもらう」ことが大事なフェーズとなっていると感じているのです。
それらを成し遂げるには、私たちアジャイルサービス部はまだまだ小さすぎます。大きな目標に向け、一緒に日本のアジャイル化を目指して活動しませんか?ご応募をお待ちしております!
◆株式会社SHIFT:https://www.shiftinc.jp/
◆外部協力:長岡 武司(執筆)
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