リモートワークの浸透に伴い、Web会議に便利なヘッドセットが飛躍的に進化しています。マイクの実装は当たり前で、ノイズキャンセリング、耳せん機能、デバイス同士のシェアなど、多彩な機能を持つイヤホン・ヘッドホンが続々とリリースされています。
そこで今回はエンジニアにおすすめの最新オーディオ機器をご紹介します。話を聞いたのは、エレコム株式会社のオーディオチームでスーパーバイザを務める橋本 武志さんです。番外編として、ゲームやアウトドアにおすすめの周辺機器についても伺いました。
■ エレコム株式会社 共同社長執行役員:石見浩一 設立: 1986年5月 従業員数:716名(2023年3月31日現在) HP:https://www.elecom.co.jp/
イヤホン&ヘッドホンのトレンド

まず、最近のヘッドセットのトレンドについて教えていただけますか。

コロナ禍にリモートワークが広まったことにより、2020年頃からマイク付きイヤホン&ヘッドホンの需要が急速に増えています。その後、販売数自体は落ち着いてきていますが、オフィス以外で働くことも増えてきているので、ヘッドセットのニーズが多様化しているような印象です。

コロナ以降、特に人気なのはどんなタイプの商品ですか?

マイク付きオーバーヘッドタイプのヘッドセットが大きく伸びました。あとは、会議室用のスピーカーも、多くの企業様で導入されて一般化してきたように感じます。


たしかに、リモート会議などでよく見かけます。人気のヘッドセットについても教えてください。

特定の商品が大きく売れているというよりも、個々のニーズに合わせて選ばれるので人気が分散しています。「コンパクトに持ち歩きたい」、「周囲の音を遮断したい」、「Web会議で疲れにくいものを」など、一人ひとりの作業環境や好みによって、最適なヘッドセットが変わってきます。

一つの商品だけでは、全てのニーズをカバーできないこともありそうですね。

そうですね、個々のシチュエーションに合わせていくつかのヘッドセットを使い分けるのが良いかもしれません。スピーカーフォンやマイクロフォンなど、それ以外の機器も活用することで、理想のオーディオ環境を実現できると思います。
エンジニアにおすすめの完全ワイヤレスイヤホン3選

最初に、ワイヤレスイヤホンについて教えてください。

とてもコンパクトなので、通勤通学などの移動時にもおすすめです。最近のワイヤレスイヤホンは、音質やマイクの性能もかなり進化しており、徐々に会議でも使われ始めています。
完全ワイヤレスBluetoothヘッドホン LBT-TWS16


最初に紹介する「LBT-TWS16」シリーズは、今回紹介するなかで最もコンパクトです。手のひらサイズの充電ケースで、イヤホンも極小サイズになっています。普段から荷物が多かったり、移動が多かったりする方におすすめです。


ポケットに入れたときでも、かさばったりせず便利そうですね。かなりコンパクトですが、マイクの性能は?

集音性の高いMEMS型のマイクを実装しており、高品質な通話音質(HD Voice)を実現します。耳のかたちに合わせたエルゴノミクスデザインを採用しているので、長時間つけていても疲れにくいと思います。また、耳元での操作がしやすいタッチセンサーで、装着中にずれにくくなっています。


カラーバリエーションもかなり豊富ですね。

ええ、クリームソーダをモチーフにしたレトロポップなデザインも展開しています。 「クリアな充電ケースがかわいい」と、多くのお客さまにご好評いただいています。
完全ワイヤレスBluetoothヘッドホン LBT-TWS17


続いて紹介するのは、耳を圧迫しないセミオープンタイプの完全ワイヤレスイヤホンです。

周囲の音や話し声が聞き取りやすいので、耳栓タイプが苦手な方も使いやすそうです。

高音質コーデックAACに対応し、クリアなサウンドが体感できます。片耳では約3gと超軽量で、快適に装着いただけます。


充電ケースは丸くてかわいい形ですね。

はい、マカロンのような色のデザインもあり、パッケージにもこだわっています。フェイクブック風のパッケージデザインで、ギフトやお部屋のちょっとしたアクセントにもぴったりです。

完全ワイヤレスBluetoothヘッドホン LBT-TWS13


続いて紹介するのは、周囲の騒音を気にせず音楽を楽しめる「アクティブノイズキャンセリング機能」を実装した完全ワイヤレスイヤホンです。

音楽だけが聞こえるので、集中して作業できそうです。

音が途切れにくいことも特長です。従来のワイヤレスイヤホンは、片側がまず接続してそこからもう片方に接続する「リレー方式」を採用していました。一方、本商品の場合は左右同時に接続する伝送技術MCSync(Multi Cast Synchronization)を採用しているので、途切れにくく安定した接続を実現します。


移動中の電車で音が途切れることもあるので、これは便利ですね。

また、低遅延モードにしていただけると、Bluetooth特有の映像と音の遅延を軽減し、ストレスなく動画視聴やゲームを楽しめます。
Web会議におすすめのヘッドセット3選

Web会議に使いやすいヘッドセットは、どんな観点で選ぶと良さそうですか?

会議の場所が多様化しているので、外出先でも対応できるようにノイズキャンセリング機能はあった方が便利だと思います。また、Web会議に使用する機器もタブレットやスマホなど多様化しているので、さまざまな端末に対応できることも重要です。それから、会議が長引いたときに疲れてしまうこともあるので、ソフトな「装着感」のヘッドセットがいいかもしれません。
小型両耳ノイズリダクションヘッドセット


周囲の雑音を抑えてクリアに音声を伝えられるヘッドセットとして、こちらの商品がおすすめです。周囲の雑音(環境音)を拾うマイクと、口元の音声(通話音)を拾うマイクの2つを搭載しています。外部ノイズをカットする「デュアルマイクノイズリダクションシステム」も搭載しているので、不要なノイズをカットして口元から発した音声のみをクリアに相手に伝えます。

どれくらい雑音をカットしてくれるんですか?

当社が実際にカフェで行った実験では、PCのマイク(左半分)と比較したときに、ノイズリダクションヘッドセット(右半分)で大幅に雑音をカットできました。日常の使用例でも、地下鉄車内(80dB)のような騒音下で通話をするときにも、相手には図書館内(45dB)で会話しているように聞こえます。

それはすごいですね。自宅でリモートワークをする場合、家族が突然入ってきてしまうケースもありますが、子どもの音声もカットできますか?

はい、近くで話している人の声も抑制してくれるので安心していただければと思います。社内でも実験しましたが、周囲の声は全くと言っていいほど入りませんでした。普段のテレワークで非常に便利だと思います。
指向性マイク モバイルヘッドセット 耳せんタイプ USB Type-C


続いてのヘッドセットも、音声をしっかり聞き取れて遮音性に優れた商品なのですが、大きな特徴としてUSB Type-Aはもちろん、USB Type-Cにも対応できることが挙げられます。

スマートフォンもType-Cが主流になってきているので、有線タイプを使っている人には便利ですね。


スマートフォンもPCもType-Cは増えていますね。ドライバーが不要で、PCなどのUSBポートに接続するだけですぐに使用できます。有線タイプの中ではとてもコンパクトで、バッグなどに入れやすく持ち運びにも便利です。
有線骨伝導ヘッドセット USB-A


続いての「骨伝導ヘッドセット」ですが、通常のヘッドセットと比較したときのメリットは?

「長時間の会議でも疲れにくい」ことが大きなメリットです。耳に入れることなく骨の振動で音を伝えるので、装着時間が長くても耳が痛くなることがありません。リモート会議の普及で、会議時間が増えてヘッドセットをすると疲れる方におすすめです。

耳を塞がないということは、周囲の音も聞こえるということでしょうか?

はい、先ほどのノイズキャンセリング機能付きのタイプとは違って、こちらは周囲の音も聞こえるので安心感があります。用途に合わせて使い分けていただければと思います。


耳から入る音を遮断したいときに使える耳せんも付属しています。

ヘッドセットと耳せんを併用できるんですね。集中したいときに良さそうです。
エンジニアにおすすめのマイクロフォン&スピーカーフォン3選

ヘッドセット以外にも、Web会議におすすめの音響機器はありますか?

はい、マイクの集音性や音質が高いマイクロフォンやスピーカーフォンがおすすめです。
ゲーミングマイク USB-A


こちらの商品はゲーム実況・配信のボイスチャットに特化した設計ですが、Web会議にも使えます。一番の特徴は、マイクの上部についているミュートボタンです。タッチセンサーでさっと音声がオフできるので便利です。


また、マイクに内蔵したLEDイルミネーションライトがグラデーションに光ります。日々の業務の気分転換にもなるのではないでしょうか。

チーム内でのミーティングが盛り上がりそうです。

はい、見た目だけでなく、機能性が高いのもおすすめポイントです。吐息や声色などの繊細なニュアンスを表現できる高感度仕様マイクで、正面にはポップガードがついているのでノイズを最小限に抑えます。飛沫がマイクに直接当たらないのも衛生的です。
ミニサウンドバースピーカー“behav”


こちらのサウンドバースピーカーの特徴は?

PCやスマートフォン、タブレット、TVなど接続機器を問わず、さまざまなシーンで使用できます。また、とにかくコンパクトなのでモニター下などにすっきり置けます。


すごい、立てて置くこともできるんですね。

ええ、デスクの場所を取ることなく省スペースで使えます。操作もしやすく、上下の丸型部分を回せば簡単にモード切替やボリューム調整ができます。
会議用Bluetoothスピーカーフォン


こちらはさらにコンパクトなサイズのスピーカーフォンで、設置場所にとらわれず置けるのが特徴です。一昔前は大型のものが多かったのですが、最近は小型のものがリリースされ人気になっております。バッグに入れてもかさばらないので、いろいろな場所で使うことができます。


タッチセンサーでボタンの操作音が聞こえないのもいいですね。

集音性にもこだわっていて、4つの無指向性MEMSマイクにより、360度全方向から集音。複数の参加者の声をしっかり聞き取れます。ワイヤレス接続にくわえて、ヘッドホンを差せば集音機能のみを使うことも可能。ヘッドホンで相手の声を聞けるので、外出先の会議でも便利です。
【番外編】ゲーム&アウトドアにおすすめのタイプ

仕事以外の場面でも使える、おすすめの音響機器があれば教えてください。

はい、「航空機に乗っているとき」、「TVゲームをしているとき」、「アウトドアを楽しんでいるとき」を想定してオーディオ機器を選んでみました。オフの時間がさらに楽しくなる商品なので、ぜひ参考にしてみてください。
Bluetoothオーディオトランスミッター/レシーバー


こちらのオーディオトランスミッターは、どんな使い方をする商品ですか?

航空機内のエンターテイメントや、自宅のテレビの音をいつも使っている無線イヤホンやヘッドホンで聴くことができます(送信モード)。私も出張時にはよく使っています。


たしかに、航空機内のテレビをいつものイヤホンが使えるのはうれしいですね。

2台同時につなげられるデュアルストリーム機能も実装しており、2人で音楽や動画をシェアすることもできます。


また、「受信モード」ではスマートフォンとBluetoothを搭載していないコンポやスピーカーなどを接続することで、それらの機器からワイヤレスで音楽を再生して楽しめます。
LEDハウジングゲーミングヘッドセット(USBモデル)


続いてのヘッドセットはとにかく見た目が派手でスタイリッシュですね。

ゲームを楽しむ方々の間では、LEDライトでマウスやキーボード、あるいは全体を「ゲーム部屋」として装飾するカルチャーがあると思います。そういった用途にフォーカスした、光るヘッドセットになっております。

ヘッドバンドだけではなくハウジング(耳を覆う部分)も光るので、インパクト大ですね。見ているだけでテンションが上がります。


もちろんデザインだけではなく、3Dサラウンド搭載で音にも妥協がありません。また、指向性マイクによるノイズキャンセリング機能で、自分の声をクリアに届けられます。

なるほど。全体の素材も柔らかく、耳に当たる部分も肌触りがいいですね。これならゲームに没頭して長時間になったときも、耳へのストレスが少なそうです。
NESTOUT オープンイヤーウェアラブルスピーカー SPEAKER-1


最後に紹介するヘッドホンに見えるこのデバイスは、アウトドアに最適なウェアラブルスピーカーになります。デバイス同士で音楽などをシェアできるので、周りを気にせず複数人の仲間と一緒に楽しむことができます。また、シェアリング中に電話がかかってきたときは、通話状況はシェアされることはないので安心して使えます。


今までにはない画期的なスピーカーですね。耳に入れるイヤホンとは違いますか?

はい、自然の音や会話も一緒に楽しめるオープンイヤー型になっています。耳を塞ぐカナルタイプのイヤホンとは違い、音楽を聴きながら家族や仲間と会話できます。骨伝導式とも違い、圧迫感も少ないのが特徴です。


アウトドアにぴったりですね。

はい、アウトドア好きな社員が開発しているので、細部の設計にもこだわりがあります。グローブを付けていても操作しやすい大きめのボタンにしていたり、バッグに掛けられるカラビナを付属していたりするので、アウトドアでとにかく使いやすいと思います。
イヤホン&ヘッドホンの商品開発における今後の展望

今後イヤホンやヘッドホンのトレンドは、どのように変わっていくと思いますか?

“イヤホン疲れ”を感じている人が一部ではいらっしゃるように、これからは耳に入れないタイプがどんどん増えていくのではないかと考えています。

今回紹介していただいた商品でも、骨伝導タイプやオープンイヤータイプなど、新たなかたちのヘッドセットが出てきましたね。

ええ、おそらく今後も既存の発想にとらわれない新たなヘッドセットが登場してくるのではないでしょうか。当社でも時代のニーズに合わせながら、より多くの人のオーディオ環境を快適にできる画期的な商品を開発していきたいと思います。
ライター

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