アイドル育成のソーシャルゲームは数多くありますが、「仮想通貨アイドル」を皆さんはご存じでしょうか。仮想通貨を擬人化・アイドル化しており、ゲーム内で仮想通貨を獲得するブロックチェーンゲーム「コインムスメ」の中でさまざまなキャラクターが活躍しています。
「コインムスメ」は2024年春のリリースを予定していますが、既にX(旧Twitter)などで話題に。どのように「仮想通貨アイドル」は誕生したのか、リリース前からバズっている理由とは?「コインムスメ」の開発を行っているEureka Entertainment Ltdで代表を務める辻拓也さんにお話を伺いました。
コインムスメ
Eureka Entertainment Ltd.が「新しい熱狂を生む、Play to Earnの世界的ロールモデルの創出」を掲げているブロックチェーンゲーム。仮想通貨をモチーフにしたアイドルキャラクターたちが登場。
▼公式サイト:https://coinmusme.com
▼X(旧Twitter)アカウント 日本:https://x.com/coinmusme_jp グローバル:https://x.com/coinmusme_en ベトナム:https://x.com/coinmusme_vn 韓国:https://twitter.com/coinmusmeKR 中華圏:https://x.com/coinmusme_cn
遊びながら仮想通貨を獲得する「Play to Earn」とは?
「コインムスメ」はどのようなゲームなのでしょうか?
いわゆるブロックチェーンゲームという、新しい分野のゲームとなります。遊びながら稼げる「Play to Earn」の世界的ロールモデルを創出しようと取り組んでいます。目指しているのは、ソーシャルゲームと従来のブロックチェーンゲームの中間の立ち位置。バトルやガチャなどソーシャルゲームの要素を取り入れることで、仮想通貨を触ったことがない人でも気軽に遊べる設計になっています。
ゲーム内でどのように仮想通貨を獲得するんですか?
仮想通貨を擬人化したアイドルキャラクターたちをガチャで獲得し、バトルによってキャラクターポイントを稼ぎます。キャラクターポイントを最終的に投票すると、仮想通貨が稼げるという流れになっています。
ソーシャルゲームのように遊んでいる中で仮想通貨を獲得できるんですね。
ええ。アイドルのゲームなのでダンス・ソング・アクトの3つのゲームがあり、5つのステージを戦います。ステージごとにダンスステージやソングステージなどがあるので、ダンスの得意なキャラクターをダンスステージに出したり、相手も同じように考えてくるので意図的に負けて次のステージで勝とうと考えたり、いろいろと戦略を練りながらバトルをしていきます。
バトルはリアルタイムで行われるのでしょうか?
個々のデッキにデータを記憶させておいて、それにアタックするという設計なので、リアルタイムでマッチングする必要はありません。また、挑まれた側は勝っても負けても関係なく、あくまで挑んだ側が勝った場合にポイントがもらえるシステムとなっています。
バトルで勝ち上がっていくとランクも上がっていく?
そうです。ランクが上がればもらえるポイントも増えますが、相手も強くなっていきます。
初心者も勝てるボーナスステージの仕組み
初心者も楽しめるのでしょうか?
もちろんです。ボーナスステージには「High and Low」というゲームがあり、ここで正解を当てるとポイントが増えます。
「High and Low」はどんなゲームなんですか?
伏せられたプレーヤーの手札が、場に表示される1から13のカードに比べて大きい(High)か小さい(Low)かを予想するシンプルなルールです。成功すると獲得ポイントが1.5倍、失敗すると0となり、失敗するまで何度でも挑戦が可能です。なぜ、こういった運の要素を入れているのかというと、強いプレイヤーが勝ち続けるゲーム設計ではプレイヤーの裾野が広がらないと考えているからです。
初心者でも強いプレイヤーに勝てることがあるということですね。
はい、それがプレイヤーのモチベーションにつながると思います。一例として、私は趣味でポーカーの大会によく出るのですが、先日国内の大きな大会で優勝したんです。賞金獲得ランキング100位以内の人限定の大会で、私より上手い人ばかりだったのですが、それでも勝てる可能性がある。だから燃えるし、やろうと思えます。そういったジャイアントキリング(大番狂わせ)の要素はコインムスメでも大切にしています。
稼いだポイントはお金として引き出せるわけですよね。
ええ、キャラクターポイントはあくまでゲーム内のポイントでして、ポイントを稼いだ後に、どのキャラクターのパフォーマンスが一番良いかを当てる、つまり仮想通貨の値動きに対して投票する「騰落率ライブレース」の結果に応じて、配当が決定します。仮想通貨MSM(ムスメコイン)を受け取り、換金することができます。
レース結果に応じて、どれくらいのポイントを獲得できるんですか?
順位と騰落率によって変化します。設定ポイントはレースによって異なりますが、例えば1位のキャラクターが10万ポイントでトップになり、自分が1%を投じていれば、1000ポイントを獲得。2位が5万ポイントで自分が50%投じていれば、2万5000ポイントを獲得。1位を当てなくてもポイントを多く獲得できる可能性があります。
なるほど、いろいろな楽しみ方ができるんですね。
キャラは最初に無料で手に入れることもできますが、無限にアカウントを作ってbotを作られないよう、一度は課金をしないとお金を引き出せないようになっています。
仮想通貨がアイドルに!コインムスメ誕生秘話
今までにない新たな試みだと思いますが、なぜこの企画を始められたんですか?
私は15年間ソーシャルゲームを作ってきて、今まで50タイトル以上に携わってきました。その中で感じたのは、ソーシャルゲームの体験はかなり限界にきているということです。グローバルで売れるタイトルを作るためには100億、200億といった予算規模が必要で、日本はなかなかそこまで予算をかけられる企業がありません。そのなかで最も可能性を感じたのが、ブロックチェーンゲームでした。
なぜブロックチェーンゲームに可能性を感じたのでしょうか?
ブロックチェーンゲームで現在大きなタイトルを持つ会社は大手ではありませんし、ゲーム専門の会社ではないこともあります。まだ十分に開拓されていない分野だからこそ、さまざまな新しい挑戦が求められ、ベンチャーが勝つ要素があると感じました。また、ブロックチェーンゲームはゲーム体験に配当金が絡むことで、格段にドキドキ感が出ますし、マインドスポーツとしての面白みが出ます。
ベンチャー視点とユーザー視点の両方で可能性を感じられたのですね。
はい。開発の理念として「ユーザー還元の最大化」を何よりも重視しており、運営費をなるべく抑え、ユーザーに返していきたいと考えています。ユーザーが使ったお金の一部を運営費としていただき、残りをエコノミクスに還元していく。その仕組みを実現しようとするには、開発費用に何十億円もかけていたら成立しません。そもそも必要以上のリッチなビジュアルは求められていないので、ユーザー体験が高まるように、誰でも遊びやすいシンプルな設計にしています。
ソーシャルゲームでは広告をつけるイメージがありますが、広告費についてはいかがでしょうか。
我々は広告費をあてにしたくないと考えています。そもそも、ゲーム中に広告が出てきたら嫌じゃないですか。ユーザー体験が下がりますし、広告費をもらうためのゲームを作らなければいけなくなってしまう。あくまでもユーザーの「面白い」という感情を大事にしています。
ちなみに、「コインムスメ」というタイトルはどのように決まったのでしょうか。
我々は日本語がネイティブで、日本人が多いチームだったこともあり、「日本らしさ」を伝えていきたかったんです。日本文化を大事にしたいという思いもあり、「ムスメ」という単語を入れています。
たしかに、日本らしさを感じるタイトルです。「仮想通貨アイドル」というコンセプトは、どのように生まれたのでしょうか。
アイドルを応援することと、Web3の相性が良いなと考えたところから始まりました。例えば、リアルなアイドルのキャラクターを作って、それをファンが買ったり、購入額によって次の曲の「センター」が決まったりしたら面白いだろうなと思ったんです。
最初はリアルなアイドルをもとにしたアイデアだったんですね。
ただ、その仕組みでは初期のユーザー獲得などが難しいなと。そこから、アイドルという要素を活かしながらも、ゲームのコンセプトをブラッシュアップしていきました。ヒントになったのは、仮想通貨の歴史です。昔からのファンもいるので、その要素も最大限生かして「仮想通貨を擬人化したアイドルキャラクター」を作り上げていったんです。
それぞれのキャラクターは、どのように作られているのでしょうか。
各キャラクターに仮想通貨のコインの歴史が反映されています。例えば、ドジィはアメリカ人エンジニアが日本の柴犬をモチーフにコインを作っているので、キャラクターも柴犬の耳と尻尾がついています。
なるほど。仮想通貨が元々好きな方は、そういったキャラクターの文脈も楽しめるわけですね。キャラクターたちの関係性にはどんな設定が?
共通の目的として「仮想通貨の素晴らしさや面白さを伝えながら、世の中をもっと良くしていく」という点は一致しています。そのなかで、モチーフにしている仮想通貨に合わせて、覇権を取ることを目指していたり、ただ楽しいからやっていたりするので、個性や関係性はさまざまです。
いろいろなキャラクターがいるので、推しの「仮想通貨アイドル」が見つかりそうです。
キャラクターを演じている声優さんたちのライブイベントも行っていますが、Web3では声優やアイドルのコラボで世界へ羽ばたいているコンテンツはまだないと思うので、いつかキャラクターや声優さんたちと一緒にワールドツアーもしてみたいですね。
声優さんのファンの方も、「コインムスメ」をきっかけにWeb3を知ることができますね。
ええ。応援してくださっている方のなかには、ビットコインすら全く触ったことがない人も多くいらっしゃいます。Web2とWeb3の架け橋になっていけたらと思っています。
ムスメちゃんに聞く!コインムスメ公式Xはなぜバズる?
私が最初に「コインムスメ」のことを知ったのはX(旧Twitter)でした。「ムスメちゃん@コインムスメ公式広報担当!」のアカウントが非常にバズっており、話題を集めていますよね。
ありがとうございます。一般的なゲームの広報は「メンテナンス入ります」「ゲームのリリースは2週間後です」といった形式的な告知が多いので、「もっと読み物として面白いものを作りたい」という思いで始まりました。
漫画のパロディなどもあって、思わず笑ってしまうポストが多いです。
一つひとつが面白いコンテンツになるよう、単なる情報告知に留まらないことを意識しています。有名漫画のパロディが広く拡散されたのは、SNSならではの文化「ミームカルチャー」とWeb3の文脈の相性が良かった結果かなと思っております。ここまでハマるとは思っていなかったので、我々も驚いています。
ムスメちゃん、特に人気だった投稿を紹介してもらえますか?
みんなー!ムスメちゃんなのよーーっ!訓練されたフォロワーのみんなが超しゅごいおかげで、ついにムスメちゃんは超メディアデビューまで超果たしたなのよっ!ほんといつもありがとうごじゃいまっしゅ!いぇーい地元のみんなみてるー???ピースピース!
どの投稿も、しゅげー思い出深いから、とても絞れない感じだったんだけど、特に反響があった投稿をいくつか紹介するなのよっ!
どんな投稿が人気だったのか気になります!
まずはひとつ目ー!やらかしたなー!これね、トレンド入り目指して考えたハッシュタグをムスメちゃんが勝手に変えて長くしたら、長すぎてトレンドに載らなくなってみんなの応援を水の泡にしちゃうとこだったなの…!
そっか、ムスメちゃん処されるんだな…!て震えて新しいハッシュタグ「ムスメやらかした」でもっかい挑戦したら、みんなの超しゅげえ応援と拡散のおかげでトレンド入りしたのよーーーーーーっ!
ほいでふたつ目ー!これは、コインムスメがパシフィックメタさんとコラボして、海外マーケティングがんばるぞてときにムスメちゃんはTOEICは98点余裕で英語はvery goodだから採用してって言ったらあと2点で満点だったね惜しいねってなったー!なんでバズったんかなー!
そんでみっつ目ー!これは、コインムスメとSTEPNとコラボして、ガバナンストークンのGMTから新キャラクターのジェムティちゃんがデビューしたときの投稿なのよっ!しゅんごいコラボだから、反響もたくさんもらって、Find Satoshi Labやばすぎぃ!ってなった!これからもムスメちゃん色んなWeb3プロジェクトとコラボして、一緒にブロックチェーンゲームやWeb3の世界を盛り上げていきたいって思ったなの!
今後のXの運営について抱負は?
ムスメちゃんがまだギリギリ☆BAN☆されずに息してるのは、いつもムスメちゃんの投稿を見てくれるみんなのおかげ!ホントにしゅげーマジでハイパー心からありがとうごじゃいましゅ!もしこの記事を読んでくれてる人でムスメちゃんのこと知らなかったよって人は、ちょっとでいいからムスメちゃんアカウントのぞいてみてなーっ!
ここに載せたらなんかよくなさそうっていうギリギリの投稿がたくさんあって苦笑いできるなのよ!ムスメちゃんこれからもリリースまで全力だから、これからも超絶よろしくお願いしまっしゅ!
生徒会がコミュニティをリード?コインムスメ学園
「コインムスメ」はコミュニティ形成にも力を入れていますね。Discordコミュニティ「コインムスメ学園(CoinMusme Academy)」について教えてください。
生徒会や部活などの組織にメンバーが所属し、「コインムスメ」を活性化する様々な活動を行うコミュニティです。初心者に向けた初心者部屋もあるので、Discordが初めての方も安心です。日本語・中国語・韓国語・英語・ベトナム語の5言語に対応しています。他のプロジェクトではDiscordでポイントをもらえたり、宝くじみたいなものがあったりとインセンティブで人を集めているのですが、我々はファンの熱量を取り込んだ、よりゲーム運営に近いコミュニティを作りたいという思いで設計しています。
コミュニティでは、どのような取り組みが行われているのでしょうか?
「コインムスメ学園」という名前の通り、コインムスメについて学べる場になっています。生徒会や部活もあって、生徒会の方々は自分でもゲームを作っているエンジニアの方々が多いです。9月に「東京ゲームショウ2023」に出展した時は、みなさんボランティアで手伝いに来ていただきました。東京ゲームショウに運営として来ることは滅多にないので、その機会を楽しんでいただけたようです。
たしかにエンジニアとしてもワクワクする体験ですよね。リリース後はどんなことを期待していますか?
カスタマーサポートのような機能を期待しています。通常カスタマーサポートは大量の人材を抱えなければならない上に、我々のサービスだとWeb3の知識が必要になります。そういった人材を見つけるのはかなり困難です。一方でコインムスメ学園のコミュニティ参加者はWeb3に相当詳しい方々ですから、みなさんが初心者に楽しみ方を教えてもらえたらうれしいですね。
その他にも、「ムスメちゃん」の各国・地域別コミュニティ展開を開始し、カントリーリーダーを募集されていますよね。
ファンの方々からカントリーリーダーをやりたいと言っていただいたことがきっかけでした。韓国やベトナム、マレーシア、中華圏のコミュニティもあり、世界中でコインムスメのコミュニティが形成されています。
日本のアイドルカルチャーを意識したゲームであることも、世界中で関心を集める理由かもしれませんね。最後に、ユーザーの皆さんへのメッセージをお願いできますか。
2024年春のリリースを目指して鋭意制作中ですが、新たな挑戦なので不安な気持ちも感じながら制作しています。それでも、今までにない新たなユーザー体験を生み出すため、内容に妥協せず、スタッフ全員で“攻めた”面白いゲームを作ろうと日々開発を進めています。応援していただけると嬉しいですし、ぜひ一緒に「仲間」としてブロックチェーンゲーム文化を広げていきましょう。
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