こんにちは、アンドエンジニア編集部です。
昨年『3行要約AIが話題!“東大”発のAIプロフェッショナル集団『ELYZA』が目指す未踏の領域』にてインタビューをさせていただいた、AIプロフェッショナル集団『ELYZA』様。 3行要約AI『ELYZA DIGEST』に続き、新たなAIツールを公開し話題となっております!
そのツールの名前は、『ELYZA Pencil』。
今回は、この『ELYZA Pencil』に関する記事をお届けします!
今回の案内人そのいち。文系出身の元webデザイナー。
今回の案内人そのに。アンドエンジニア編集部のえらいひと。
↓前回のインタビュー記事はこちら↓
『ELYZA Pencil』とは?
とは?(チラ)
キーワードを入力すると、AIが日本語の文章を自動生成してくれるツール だよ。
うわすごいやつだ!どんなジャンルの文章でもつくれるんですか?
今サイト上にタブとして存在するのは「ニュース記事」「メール文」「職務経歴書」の3つだね。 聞くところによると、リリースしてから11日で11万人が利用したらしい…。
うわすごいやつだ…!メール文なんて全人類使えるやつじゃないですか?我々編集部としてはニュース記事も参考になりますね!
そうだね。あと我々アンドエンジニアの運営元はマイナビエージェントだから職務経歴書も気になるところ…実際にどんな感じの文章ができるのか試してみよう!
AIで職務経歴書をつくってみた
そうだなぁ…試しにサンプルキーワードに記載されている「エンジニア」「Python」「3年間」を入れてみようか。
承知です!
3つキーワードを入れて…AI執筆スタート!
本当に秒ですね!?
文章も自然だね。
「金融業界向け」などのAIが付け加えた細かい単語は後から調整すればいいですね。そのまま使うというよりは、自分専用のお手本が用意されるという感覚でしょうか?それだけでだいぶ効率に差が出ますよね。「これだ!」っていうお手本をネット検索で探そうとすると割と時間を使いますもん。
痒いところに手が届く…。
AIと人間の文章を比べてみよう
AIと人間は戦う運命にあるんですよ。
映画にありがちなこと言い出すじゃない。
話を聞こうか。
ルールは簡単!6つの共通キーワードを使って、AI代表:『ELYZA Pencil』と人間代表:私がそれぞれ職務経歴書を作成します。そして作者を伏せた状態で第三者に見せ、どちらがAIかを当ててもらいます!!
AIがいかに人間に近づいているかという検証だね。映画で見た。
今回、回答者としてマイナビエージェントのキャリアアドバイザーさんにご協力いただきました。数多の職務経歴書を目にしてきたプロですね…緊張…!
それでは早速!勝負!!
第1問
共通キーワードは「システムエンジニア」「オープン系」「PHP」「DB設計」「Redis」「Memcache」です。
A.(なお作成)
システムエンジニアとして、Web・オープン系のシステム開発に携わって参りました。
大規模なウェブサービスを担当したことによって最新の技術に触れる機会が多くなり、PHPによるプログラム、DB設計、Memcache・Redisなどを使った負荷分散、検索システムの構築、リッチコンテンツの開発など多岐に渡る業務に関わりました。
B.(AI作成)
私はこれまで、オープン系システムエンジニアとして、大手メーカーや官公庁の案件に従事してまいりました。
また、RedisやMemcacheなどの最新技術についても積極的に取り組んでいます。PHPやDB設計、データベース設計については豊富な経験があります。今後は、これまでに培った知識や経験を活かしつつ、さらに上流工程にチャレンジしたいと考えております。
キャリアアドバイザーさんから回答を預かってるよ。
回答
BがAIかなと思います。理由は「DB設計」と「データベース設計」が同じことを指しており、文章に違和感があったためです。
おみごと!
言われてみれば確かに「DB設計」と「データベース設計」は同じだね。
(言われるまで気付かなかったなんて言えない…)同じものなので本来並列して書くべき単語じゃないですけど、AIが「DB設計」と「データベース設計」は同系統の単語であると学習できているとも言えますね。
第2問
共通キーワードは「プログラマ」「開発」「Java」「リーダー」「管理」「一般法人」です。
A.(なお作成)
プログラマとして一般法人に向けたさまざまな業務システムの開発プロジェクトに携わって参りました。主な使用言語はJavaで、いくつかのプロジェクトでは開発リーダーを担い、工程管理やコスト管理を意識した開発業務を実践してきました。
また、教育担当として新卒・中途社員が作成したプログラムの品質チェックなども行って参りました。
B.(AI作成)
プログラマとして自ら設計、開発を担当した後、2007年からはリーダーとしてプログラマを管理。一般法人および個人顧客のシステム開発に従事してきました。Javaを用いた開発を得意としており、大規模なプロジェクトの管理、進行経験もあります。
回答
正直どちらも違和感はなかったのですが…どちらかと言えばBがAIっぽいでしょうか…?Aと比べるとやや箇条書きとなっているような印象を受けました。
おみごと!!ぎ、ぎりぎり
それほど『ELYZA Pencil』のAIの精度が高いということですね。キャリアアドバイザーさんもさすが!
第3問
共通キーワードは「プロジェクトリーダー」「システム構築」「開発環境」「開発言語」「上流工程」「フレームワーク」です。
A.(AI作成)
<プロジェクトリーダーとしての経験>
約3年間、金融業界でシステム開発に従事し、要件定義や設計、テスト、保守運用などを担当した後、2018年からはシステム構築の上流工程に携わっています。
プロジェクトリーダーとして、顧客やメンバーの管理、全体のスケジュール調整、開発言語の選定など幅広い業務を担当。メンバーへの適切な指示や顧客との調整により、システムの品質を維持しながら期日通り納品できています。
B.(なお作成)
入社後プログラマとして経験を積み、3年目からプロジェクトリーダーとしてチームを牽引して参りました。
プロジェクト発足にあたっての開発言語、フレームワーク、ミドルウェア等の選定を含めた開発環境整備の経験が豊富にあり、予算面や開発ターゲットなどシステム要件に応じて最適な開発環境を選定することができます。
また、担当案件ではチームを率いると同時に自身も上流工程担当として基本設計および実装工程を担当し、常にプロジェクトの状況把握および調整を行いました。
回答
BがAIだと思います。「自身も上流工程担当として基本設計および実装工程を担当し、常にプロジェクトの状況把握および調整を行いました。」の一文と、上流工程を担当しているという記載がある中で実装工程を担当している点に違和感がありました。
oh…
正解はA?
です…。
ううーん結果1-2ですけど、2問目のことを考えるとほぼ引き分けみたいなものですね?
ある意味1番「AIが人間に近づいている」結果かもね。ELYZAさんのAIとマイナビエージェントのキャリアアドバイザー、どちらも大変優秀という結果になったかと思います。
AIと人間…争うのではなく共存の未来を歩んでいきたいですね。
映画の締めみたいなコメントだなぁ。
『ELYZA Pencil』について、もっと詳しく聞きたい!
と、いうわけで…今回も曽根岡さんにいろいろとお話をお伺いいたしました!
『ELYZA Pencil』開発背景
こんにちは、今回もこのような機会をいただきありがとうございます!
それでは早速ですが…3行要約AI『ELYZA DIGEST』がSNSで話題となったのも記憶に新しいですけれど、今回『ELYZA Pencil』を開発した背景はどのようなものでしょうか?
背景としては、まずひとつ目に、ここ3年で言語・文章を扱うAIが大きな進化を遂げていることが挙げられます。「大規模言語AI」と呼ばれる技術の登場によって、まさにパラダイムシフトが起きているんです。
前回記事の、「コンピューターの性能向上」「ベースとなるモジュールの進化」「膨大なデータを読み込めるモデルの大規模化」という要素の掛け合わせによって大幅に精度が向上しパラダイムシフトが起きた…というお話ですね。
はい。3年前までのAIは人間に遠く及ばない精度でしたが、このパラダイムシフトによって、英語では人間より精度高く現代文の問題を解いたり、人間と遜色のないレポートを書くようになってきています。
このような背景の中で、我々ELYZA(イライザ)は、人間超えの精度で日本語を扱うAI技術を3年ほど研究開発してきており、このAI技術を用いて、日常生活や仕事のあり方を変えることができないかと年間100社を超える企業の方と議論をしておりました。
年間100社!すごい数ですね…どの企業も困っていることは共通しているのでしょうか?
そうですね、議論を通して「文章の要約作業」「コールセンターや会議での対話内容のメモ作成業務」が非常に負担になっていることを認識しました。そこで弊社サービスの第一弾として開発し、昨年8月に公開をしたのが、長文要約AI『ELYZA DIGEST』です。
ああーーー!3行要約AI!!ああーーーーー!!!繋がりました!!!!!
"議論を通してキャッチアップした課題"を解決するためのツールが満を持して登場!だったんですね。これは喜んだ方がたくさんいらっしゃったのでは?
大変ありがたいことに、5日間で13万人を超える方にご利用いただくほど、反響をいただきました。
今回は、その第二弾として「ホワイトカラーの業務の30%以上を占める文章を書くという業務をAIでサポートしたい」と思い、文章執筆AI『ELYZA Pencil』の開発・公開を行ったんです。
それが開発背景の2つ目ですね。ちなみに、構想から実現までにどれくらいの時間が掛かりましたか?
かれこれ3年以上の研究開発してきた技術を元に、構想から4ヶ月弱でリリースにいたりました。
満を持してだ…。
『ELYZA Pencil』開発での課題
AIをキチンと狙い通りに動かすのはとても大変そうと思うのですが、特に大変だった点などはございますか?
いろいろ大変だった点はありますが、一番大変だったのはAIに差別表現・暴力的な表現などの不適切な文章を書かせないようにすることでした。
差別表現・暴力的な表現などの不適切な文章を書かせない…?気を付けないと書いちゃうんですか?
そうですね、ありとあらゆる日本語の文章…具体的には、日本語のWikipediaの全ページに書かれている文章の50倍以上のテキストを読んで勉強しているため、その過程でAIが差別的な表現を少し学んでしまうんです。
ああーーー確かにWikipedia50倍以上のテキスト量があったら、差別的表現が文中に含まれている可能性もありますよね…!
なので、そういう表現をしないように、学習するデータから不適切な文章を取り除いたり、システムの方で不適切なワードを検知して出力させないようにしています。
また、現時点でも残る課題ですが、日常生活や仕事で使うには、まだ精度が少し足りていない印象があります。今後は、実際に日常で利用いただけるレベルに昇華できるよう、学習データ量を増やしたり、特定の文章に特化させることで精度をあげていきたいと思います。
もっと賢くなっていくんですね!楽しみです!
『ELYZA Pencil』の価値
『ELYZA DIGEST』の価値として「長い文章を要約すること」が挙げられますが、『ELYZA Pencil』の価値はいかなる点にあると考えておられますか?
『ELYZA Pencil』の価値は、「文章を書く作業の簡略化」になります。
と、いうと…?
ホワイトカラーの方の業務の中では「ある程度似たような文章を書く」業務が多くを占めています。例えば、全業務のうち28%の時間はメールの返信に使われています。
先程ちらっと仰ってましたね!それにしても全業務の約3分の1…結構な時間をメール返信に使っているんですね…。 ああでも、言われてみれば確かに、冒頭の「お世話になっております、株式会社●●の●●です」や、最後の「お手すきの際にご確認頂けますと幸いです、何卒よろしくお願いいたします」なんかは1日に何度も同じような文章を打ち込んでいる気がします。
最初と最後以外の部分も、骨組みは似ていることが多いです。文章を書く際に、内容の骨子を思い浮かべて、ときには箇条書きを行ってから、それを肉付けする形で文章を書く方がいらっしゃいますが、『ELYZA Pencil』は「肉付け」の作業をAIが支援してくれるようなイメージで、大量の「書く作業」を支援しようとしています。
あっ私そのタイプかもしれません!特に肉付け作業に時間がかかるタイプの人間なので、そこをAIに手伝って貰えたらかなりの時間短縮になりそうな予感…!
さいごに
『ELYZA Pencil』を、どのような人・どのような場面で活用して貰いたいでしょうか?
先程も申し上げましたが、ホワイトカラーの業務の中で、大量に文章を書く作業があります。その中で大きな割合を占めるのは主にメールですが、例えばお医者さんですとカルテや紹介状、弁護士ですと契約書など…業種によって作業は多岐にわたります。それらの負担となる業務を『ELYZA Pencil』で幅広くサポートしていきたいと思っています。
人それぞれに合った活用場面がありそうですね。誰でも気軽にAIを使って効率化ができるようになるというのは、とても素敵な未来だと思います。
曽根岡さん曰く『ELYZA Pencil』のネーミングは、最終的に「文房具を使うように、誰もが当たり前のようにAIを使って文章を書く」ようにできればと思い、Pencilという名前にしているとのこと。
"AI"と聞くとまだまだ遠い存在に感じますが、"Pencil"という名前が付くとグッと身近に感じますね。今後の成長も楽しみです!貴重なお話、ありがとうございました!!
【関連サイト】 ◆株式会社ELYZA(https://elyza.ai/) ◆ELYZA Pencil(https://www.pencil.elyza.ai/)
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