ワーケーションって実際どうなの?場所選びのコツとおすすめスポット3選
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ワーケーションって実際どうなの?場所選びのコツとおすすめスポット3選
岸 裕介
2023.01.31
この記事でわかること
ワーケーションの場所選定に欠かせない唯一無二の条件
「人とつながる」「1人で集中」…。目的に応じたプランや場所
「気分転換」「リラックス」だけがワーケーションの利点ではない

仕事(ワーク)と休暇(バケーション)を組み合わせた「ワーケーション」。観光地や自然豊かな地方都市に働く場所を移し、楽しみながら働けることが大きな魅力です。

コロナ禍でリモートワークなど時間や場所にとらわれない柔軟な働き方が推奨され、ワーケーションへの敷居も低くなりました。特にエンジニアは場所を選ばず仕事ができるため、ワーケーションを導入しやすい職種の一つです。

実際のワーケーションでは、自分好みの過ごし方を実現することに加えて、仕事のパフォーマンスを維持することが大切。そこで今回は、場所選びや必要な持ち物について、実際にワーケーションを体験した株式会社ビヨンドのエンジニア・小出将伍さんと広報担当・藤沢海さんにお話を伺いました。ビヨンド社は2021年10月にワーケーション制度を導入し、交通費や宿泊費を支給しながら、より自由な働き方を目指しています。

株式会社ビヨンド

代表取締役:原岡昌寛 設立:2007年4月4日 従業員数:59人(2022年12月現在) 業務内容:クラウド/サーバー事業、システム開発事業、Webサービス事業

ワーケーションに必須の環境・持ち物

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岸 裕介

ワーケーション先を選ぶときには、どんなことを確認しましたか。

藤沢さん

インターネットと電源が利用できるかどうかをまずチェックしました。それに、オンラインでミーティングをすることが多いので、イヤフォンをした状態で通話して大丈夫かどうかを確認しました。ホテルや旅館などでは気にする必要はありませんが、私が体験したお寺などでのワーケーションでは周囲への迷惑なども考えられるので、事前に確認する必要がありましたね。

小出さん

私は徳島県のワーケーションプログラムに会社で参加したのですが、その際に何よりも大切だと思ったのは、やはりWi-Fi環境です。私の場合は訪れた場所にワークスペースが用意されていたので問題ありませんでしたが、ワーケーション先を選ぶときには必ずチェックした方がいいと思います。地方など場所によっては、モバイルWi-Fiやスマホのテザリングなどで対応する必要があるかもしれません。

岸 裕介

ワーケーションの持ち物は、どんなものを用意しましたか。

藤沢さん

ノートパソコン、イヤフォン、充電ケーブル、着替え・宿泊グッズなど、出張や旅先で仕事をするときと変わりません。いろいろ持ち込もうとしなくても、ワーケーションプランを提供している宿泊施設では、充電ケーブルや延長コードなど必要なものを貸してくれることも多いので、心配しなくても大丈夫だと思います。

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岸 裕介

最低限の持ち物でも、仕事を進められるということですね。

小出さん

ええ、特に不便はありませんでしたが、強いて言えばモバイルモニターを持って行った方が仕事を進めやすいかもしれません。いつも使っているキーボードやマウスも、荷物にならなければ持って行った方がいいです。また、書類についてはデータ化してクラウド上に保管するなど、持ち物を減らしつつ紛失のリスクを避けることをおすすめします。

岸 裕介

藤沢さんはキャンプ場でもワーケーションを経験されていますが、「仕事上これはないとダメ」と感じたものなどありましたか?

藤沢さん

やはりWi-Fiが使える環境が何よりも大切ですね。キャンプ場も、探してみるとWi-Fiが使える場所はあるので、アウトドア用の机や椅子などを持って行けば問題なく仕事できます。

藤沢さん

ただ、電源があったとしてもとにかくスマホとPCを使い続けるので、モバイルバッテリーがあった方がいいと思います。私の場合は接続するケーブルを忘れてしまい、結局使えませんでした(笑)。仕事に使うPC関連のものは、しっかりと準備しておくことが大切です。

おすすめスポット① 徳島県 三好市「人の魅力を実感」

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岸 裕介

小出さんが行かれた徳島県 三好市はどんな所ですか。

小出さん

四国のほぼ中央に位置している町で自然が豊かでした。歴史的な文化遺産も多く、美しい景色を楽しめる地域です。非日常感を味わうことで、心身ともにリフレッシュして過ごせたかなと思います。古民家を活用したコワーキングスペースで仕事をして、一軒家のゲストハウスのような場所に2泊3日で宿泊しました。

小出さん

徳島県が「アワーケーション※」というワーケーション企画を進めており、そのプログラムに会社として参加したのです。都市部からワーケーションに来てもらい、徳島の良さと住んでいる人の魅力を知ることができました。

岸 裕介

作業効率は普段と比べて変わりましたか。

小出さん

「いつもと違う場所で働くことで、作業効率が上がるのではないか」と期待する方もいらっしゃるかもしれませんが、いつもと同じペースで仕事をするのは思った以上に難しいですね。仕事以外のことも楽しむとなると、過ごし方によっては仕事の時間が細切れになることもあるので、ワーケーション前にある程度仕事を終わらせておいた方がいいと思います。

小出さん

今回の「アワーケーション」でも、スポーツや観光も楽しみながら仕事をしていたので、アクティビティと仕事のバランスが半々くらいでした。事前にそれを把握していたので、行く前に仕事をある程度進めておくなど、納期が滞らないように配慮しながらワーケーションに参加しました。

※アワーケーション……ワーケーションを通して、徳島の魅力である「自然」「食」「歴史」「文化」「SDGs」を体感できる。徳島県の「魅力発信」と「新たな人のつながり」、「新たな人の流れ」の創出を目指している。

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岸 裕介

参加したワーケーションのプログラムを具体的に教えてください。

小出さん

日程は2泊3日。到着した日は仕事をして、夜は地元の方たちと食事をしながら交流する時間でした。2日目はSUP(スタンドアップパドル=浮力のあるボードに立ち、パドルを漕いで進む)などのウォータースポーツを体験。さらに徳島の名所「かずら橋」を渡ったり、吉野川を遊覧船で観光したりしてから、夜にまた地元の方々との交流を楽しみました。3日目はお昼過ぎまで仕事をして、充実感いっぱいで帰ってきました。

岸 裕介

印象に残っているのはどんなことですか。

小出さん

交流会で地元の事業者の方々と話す機会が多く、「小さな投資でまずは始めてみる」姿勢に大きな刺激を受けました。自分と同世代にもかかわらず、ローカルの特性を生かしながら主体的にビジネスを展開しているのです。

小出さん

例えば、多くの人は巨額な投資でおしゃれな外観の建物を用意してからカフェを開業したりしますが、集客がうまくいかなければ大きな損害を被ります。それよりも、希望通りの外観でないとしても、居抜きの物件など初期費用のかからないかたちでスタートして、事業を大きくしていった方がうまくいきやすいということです。

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小出さん

私は何事も大きく始めようとする癖があるので、小さくてもいいのでまず始めてみて、自分のやりたいことを達成していくスタンスが素晴らしいなと。自分にはなかった考え方なので、積極的に取り入れたいと思いました。

小出さん

そのほかにも、実際に彼らが手がけたプロジェクトとして、地元で花火を打ち上げた話を聞きました。自分たちで自治体にはたらきかけ、資金を集めて実現させたそうです。

小出さん

こんなに実行力があって面白い人たちとの出会いがあるなら、「人とつながる」という視点でワーケーション先を選ぶのもありだなと思いました。エンジニアとしてというよりも、人として良い人生経験になりました。

おすすめスポット② 和歌山県 高野山「とにかく集中できる」

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岸 裕介

藤沢さんがワーケーション先として、和歌山県の高野山を選ばれたのはなぜですか。

藤沢さん

静かなところで仕事をしたいと思っていたところ、当社の代表に勧められました。会社近くの駅から電車に乗って、2時間ほどで行けることが決め手でした。ワーケーションはできるだけライトに考えた方が、実施しやすいと思います。

藤沢さん

予約前には、「高野山 宿坊」「高野山 お寺 ワーケーション」などのキーワードでまず検索して、ワーケーションのおすすめスポットを紹介するサイトをいくつか参考にしました。その中でGoogleマップを見ながら駅からバスで行きやすいかどうかを考えて、最終的に決めたのは精進料理付きのプランがあった宿坊です。Wi-Fiなどの環境も整っていたので、安心感がありましたね。

岸 裕介

お寺でワーケーションというのは斬新ですね。行ってみての率直な感想は?

藤沢さん

普段はPCやモニターがたくさんあるオフィスで働いているので、畳とこたつの宿坊で仕事をするのは新鮮でしたね。人がいなくて静かですし、驚くほど集中できました。PCのモニターがなかったので、少し不便を感じましたが作業効率は全く問題ありませんでした。

藤沢さん

精進料理もおいしく、朝食はご飯に漬物、豆、野菜、豆腐などが並び、とても健康的なメニューでした。夕食は野菜の陶板焼きなど、豪華なお膳だったのでいつもよりご飯をモリモリ食べちゃいました。

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藤沢さん

また、修行僧の方や僧侶の方々が気さくに話しかけてくれたのもうれしかったですね。お寺の中を案内してもらい、歴史的な貯蔵品の解説もしていただきました。みなさん礼儀作法がしっかりしており、おもてなしが心地よかったです。

岸 裕介

小出さんが指摘された「人との出会い」にも似たワーケーションの魅力ですね。

藤沢さん

お寺で修行されている皆さんは、一人ひとりが自分の意志を持ってテキパキ働いていました。その姿に刺激を受けたのはもちろん、和室の仕事部屋に聞こえてくる鐘の音、お経の声、そして静寂。清く正しい場所で仕事をすることによって、「自分もその場に合った人間にならなければ」という意識が生まれてきます。

藤沢さん

仕事の合間には、何も考えない時間もつくることができたので、自分を客観視することもできました。周りと比べず、今自分にできることやっていきたい。いわば、「地に足がつく」感覚になったので、今までの人生を振り返る意味でもいいかもしれません。

おすすめスポット③キャンプ場「自然に囲まれ楽しく仕事」

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岸 裕介

ワーケーションで行ったキャンプ場はどんなところですか。

藤沢さん

滋賀県にあるファミリーキャンプ場(十二坊温泉ファミリーキャンプ場)です。広葉樹中心の山林で、新緑と紅葉を楽しめる自然豊かなキャンプ場であり、最寄りのインターチェンジから近いのも魅力。このときは当社の代表が1人でワーケーションをしており、そこに私が日帰りで参加しています。

藤沢さん

キャンプをしている人がほかにいなかったこともあり、とても静かな環境で自然を満喫できました。キャンプ場は平日空いているので、ワーケーションにいいかもしれません。このときに他の社員は、1週間ほど滞在してワーケーションを楽しんでいました。

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岸 裕介

キャンプ場でのワーケーションに必要な持ち物を教えてください。

藤沢さん

そのほかの荷物は、日帰りだったので普段オフィスに行くときとあまり変わりませんでした。ただ、野外なので暑い時期には小さい扇風機、冬の時期には防寒具など、キャンプと同じく気候に合わせた持ち物が絶対に必要だと思います。私の場合、普段はインドアな生活なのでキャンプの経験があまりなく、前日にアウトドア用の椅子を買いにいきました(笑)。

岸 裕介

実際に仕事をしてみてどうでしたか。

藤沢さん

訪れたキャンプ場は、全てのサイト(テントを張るスペース)に電源があり、Wi-Fiも使えたので不便を感じることがありませんでした。折り畳みの椅子に座り、小さなテーブルで作業しながら「仕事は意外とどこでもできるもんだなあ」と実感していました。

藤沢さん

ただ、実はその日に新卒採用の面談が入っておりまして…。他の方に迷惑にならないように、テントを離れて草むらのようなところで、森を背景にオンライン面談を行いました。自然いっぱいの背景に相手の学生はびっくりしていましたが、結果的には「自由な雰囲気の会社」だと肯定的にとらえていただき、そのご縁から採用につながっています(笑)。

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岸 裕介

キャンプ場で面接とはすごい体験ですね。何か新たな発見もありましたか。

藤沢さん

キャンプ場でオンラインミーティングをすると、自分が話すときのテンションがほかの人よりも高めだと感じました。外にいて開放的な気分になっているので、仕事をちゃんとやっているように見せようと、そのテンションを抑えるように意識していましたね。

藤沢さん

また、外で仕事をすることにより、新たな考え方が生まれることもあるかもしれません。豊かな自然のおかげで気分転換になりますし、心が浄化されるような感覚もありました。

未経験者におすすめしたいワーケーションの魅力

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岸 裕介

ワーケーションでおすすめのポイントはどんなところでしょうか。

小出さん

アクティビティも取り入れながら働くことで、心身ともにリフレッシュしながら働けるのでとてもいいと思います。私も体を動かすことが好きなので、SAPは本当に良かったです。体を動かすことが苦手なエンジニアは、肩や腰の痛みに効く温泉地でのワーケーションもいいかもしれません。

小出さん

それに、人との出会いがあります。地元で行われているビジネスについて学べますし、人との縁が増えるのがうれしいですね。仕事の活力をチャージしたいときにも、ワーケーションはおすすめだと思います。

岸 裕介

ワーケーションは、仕事とアクティビティの両方を味わえるということですね。

小出さん

両方をバランスよく楽しめるからこそ、仕事に充てられる時間が少ないこともあるので、仕事に関してはタスクを若干緩めに設定しておくことが大切です。

岸 裕介

藤沢さんが感じたワーケーションの魅力は?

藤沢さん

「仕事へ気合を入れるための気分転換」という魅力がワーケーションにはあると思います。私の場合、ワーケーションに行こうとしたきっかけが、「家でもオフィスでもない場所で仕事をしたい」「なるべく1人で集中したい」という思いでした。お寺はそのニーズを叶えられる場所だったので、本当に行ってよかったと感じています。

藤沢さん

日常の仕事の空間から離れ、働く場所にこだわらず楽しく仕事がしたい、あるいは日々の仕事に追われるのではなく、ゆっくり考えごとをしたいと思う人には、ワーケーションのメリットが大きいのではないでしょうか。

ライター

岸 裕介
大学卒業後、構成作家・フリーランスライターとして、幅広いメディア媒体に携わる。現在は採用関連のインタビュー記事や新卒採用パンフレットの制作に注力しながら、SaaS企業のマーケティングにも携わっている。いま一番関心があるのは、キャンプ場でワーケーションできるのかどうか。
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