体験型ストア「b8ta」が日本に上陸!気鋭のRaaS企業が目指すOMO時代の小売のあり方とは?
8月1日、体験型ストア「b8ta」(ベータ)がついに日本に上陸しました。
シリコンバレー発の、小売店を持つRaaS企業で、「購入」よりも「発見」や「体験」を押し出している点が特徴です。
日本上陸の場所として選んだのは新宿と有楽町の2箇所。
日本のb8taはどのような場所なのか。日本でも体験型の店舗は定着するのか。
ベータ・ジャパン合同会社 カントリーマネージャーの北川卓司さんにお話を伺いました。
RaaS?体験型ストア?「b8ta」の正体とは
b8taは先日オープンし、各種メディアで取り上げられるなど、注目を集めていますよね。 とは言え、まだb8taについて知らない方も多いかと思います。 改めてb8taについて教えていただけますか?
b8taはアメリカのシリコンバレー発の「RaaS(リテール・アズ・ア・サービス=サービスとしての小売)」の企業です。 新宿と有楽町の2箇所に店舗を構えており、様々な商品を発見、体験、購入できる小売店になっています。
RaaSって聞いたことはあるんですが…。 サービスとしての小売というのはどういうことですか?
b8taは、一般的な小売店のように商品を仕入れて販売しているわけではありません。 企業に月額のサブスクリプション契約をしていただくことで、b8ta店舗内の決められた区画に出品できるというサービスを提供しているんです。
場所の提供だけでなく、お客様への接客をb8taのスタッフが行いますし、お客様の行動データも提供します。 これらの提供サービスをまとめて、「サービスとしての小売」というわけです。
従来の小売店とまったく異なるモデルですね…! b8taが打ち出している「体験型ストア」というのも詳しく教えてください。
写真で分かるとおり、その場で商品を実際に体験することができます。 一般的な店舗だと買わないといけないプレッシャーを感じて気軽に体験できないのが実情ですが、b8taはその場での商品の購入を主目的としておらず、体験していただくことを一番に考えているんです。
そうはいっても、体験していると買わないといけない雰囲気になるんじゃ…?
b8taは出品企業から月額費用のみをいただくビジネスモデルなので、その場での購入はb8taの売上には関係がないんです。 スタッフも購入を促すようなことは一切せず、体験を第一にした接客を行いますし、出品企業様にもその点は十分に理解をしていただいています。
ビジネスモデルがそもそも違うからできる取り組みなんですね…! 店員さんに押し売りされないなら、安心して見に行けるし体験もできます…!
体験というと、コロナウイルスの対策はどのようにされていらっしゃいますか?
b8taでは、消毒やマスクの必須化、商品間の距離の確保、商品体験後のスタッフによる消毒などを徹底しています。 商品の体験は問題なくできるのでご安心ください!
商品はどのようなものが多いんでしょうか? やはり最新ガジェットのようなものが中心?
ガジェット系の商品はもちろん多いのですが、コスメやサプリ、食品や飲料品など、様々なジャンルで新しく面白い商品があります。 色々な方が楽しめる場所になっていますよ。
b8ta Tokyo - Shinjuku Maruiの内観。様々なジャンルの商品が多く出品されている。
実店舗ならではの「体験」と「出会い」
b8taが「体験」にこだわるのはなぜですか?
「体験」こそが、実店舗が提供できる最大の価値になると思っているからです。 今はオンラインで何でも購入できるので、実店舗は「購入」以外の価値を持つ必要があります。
一方で、お客様からすると、WebサイトやSNSから得られる情報だけでは、商品の良さをすべて理解することは難しく、購入に踏み切れない面もあります。 そこで「体験」が価値を持つと考えているんです。
オンラインの情報が増えてEC化が進んだからこそ必要な形なのか…!
「体験」に加えて「発見」や「出会い」とういのも実店舗ならではの価値だと思っています。
今ってオンラインの情報はかなりパーソナライズされていますよね。 例えば僕だと商業施設や将棋に関するニュースや広告ばかり流れてきます。 SNSもやはり触れる情報は偏ってしまいます。
いわゆるフィルターバブルですね。
そうなると、購入する商品や身の回りのものも固定化されてしまうと思うんです。 b8taはその中で新しい発見や出会いをつくりたい。
オンラインとは違って、自分の興味関心以外のものが目に入り、それがすぐに手に取れる。 これが実店舗だからこその強みですね。
b8taに出店するメリットは「コスト」と「データ」
b8taに出店するメリットは何なんでしょう?
実店舗の出店にかかる「コスト」を最小化
まず、出店やポップアップストア設置に通常かかる費用が不要という点があります。 実店舗やポップアップストアを構えるよりも低コストで、新宿と有楽町という都内の一等地で商品を販売することができます。
確かに新宿や有楽町にゼロから実店舗をつくるというのは現実的じゃないですもんね。
また、スタッフの採用や教育なども不要です。 各商品の質問に答えられるようトレーニングを受けたb8taのスタッフが接客を行います。
店舗費用もスタッフ費用も、実店舗を出す際には大きなコストになってしまいます。 それを最小化できるのがb8taを利用するメリットですね。
b8taだからこそ得られる「データ」
もう一つのメリットはb8taの実店舗で得られる「データ」です。 特に、b8taの店舗内に多数設置されているカメラから得られるユーザーの詳細な行動データやデモグラデータですね。
現状だと、百貨店さんや量販店さんに出店・出品したとしても、これほど細かいデータは通常得られません。 b8taは店舗レイアウトやカメラに力を入れ、非常に細かく精度高くデータを取得・提供しています。
商品の前を通り過ぎたインプレッション、5秒以上滞在したディスカバリー、体験を行ったデモ、と指標が非常に細かく分類されていることに驚きました。 デジタルマーケティングのような細かさでデータが手に入るんですね。
商品のカラーバリエーション、設置の仕方、訴求方法など、細かいA/Bテストもできます。 これらの細かいデータを元に、商品やマーケティングの改善につなげていただけると思います。
得られたデータをもとに出店戦略を立案
得られたデータは商品やマーケティングの改善だけでなく、出店戦略に活きるインプットにもなると思います。 なので、実店舗やポップアップストアを出す前の検証としてもb8taを活用してほしいんです。
どういうことですか?
自分たちで実店舗を出すのってかなりリスクがあるんです。 エリア選定はミスできないですし、実店舗をつくるのはかなりのコストがかかります。 経験がなく検証が不十分ななか飛び込むのはあまりにリスクが高い。
検証のためにポップアップストアを出したりしますが、使用料が高い割に期間が短いですし、やはりスタッフの教育コスト等もかかる。 b8taであればコストを抑えて出店できますし、新宿と有楽町のデータ次第でどのエリアにブランドがマッチするのかが分かります。
b8ta Tokyo - Yurakuchoの外観。駅近のビルの低階層の店舗に出品することができる。
実店舗を出すリスクをかなり軽減できそう…!
また、b8taにはエクスペリエンスルームという、複数の商品を出品できる広いエリアがあります。 こちらに出品いただければ、空間や壁面のデザインなど世界観の部分も検証できますし、実質的にポップアップストアとしてご利用いただけると思います。
b8taには月額30万円の出店料がかかりますが、1日1万円と考えれば広告費に比べるとかなり小さいのではないでしょうか。 かんたんに出品できて良質なインプットを得られるb8taの利用をぜひご検討いただきたいです。
b8taのミッションと目指す小売の未来
b8taでは「リテールを通じて人々に“新たな発見”をもたらす(Retail designed for discovery)」というミッションを掲げています。 小売の実店舗が、販売だけではなく発見や体験ができる場所になるべき、というのが我々の考えです。
まずはb8taの実店舗がその成功例としての姿を見せ、その後は他の小売の企業にもb8taのシステムやソフトウェアをOEMの形で提供していきたいと考えています。
b8taの実店舗だけに収まらない構想なんですね…!
b8ta以外の企業で導入していただくことで、より多くの実店舗が発見や体験ができる場所に変わっていってほしいです。 アメリカだとトイザらスさんなどで導入されていますが、日本でもそのような事例を増やしていきたいですね。
私たちがもう一つ大事にしているのが、「メーカー、消費者両者にとってリテールをより身近な存在にすること」です。
それは現在のb8taの店舗や提供サービスにも反映されているんですか?
もちろんです。 メーカーにとっては、b8taの区画を購入いただくことですぐに実店舗に出品できます。 b8taの存在によって、お客様に商品を触れてもらうまでのハードルが低くなっています。
消費者にとっては、小売店をより気軽に訪れられる場所にしていければと思っています。 体験型ストアであれば買わなきゃというプレッシャーを感じなくてよいですし、遊びに行く気持ちで足を運べる小売店を増やしていきたいですね。
自分もそうなんですが、お店に行くのが億劫な人って多いと思います。 でも、b8taのように気軽に行けてワクワクできる場所であれば行きたいですね…!
最後に読者の方、特にエンジニアの方に向けてメッセージをいただけますでしょうか。
エンジニアの方は、新しいもの・面白いものへの感度が高い人が多いと思います。 なので、どういったものを置いて欲しいか教えてもらえると嬉しいですね(笑)。
b8taは来るたびに新しく興味のある分野が見つかるような店舗にしていきたいと考えています。 エンジニアの方だとガジェット系に興味のある方が多いと思いますが、それ以外の面白いものも見つかる体験を提供します。 仕事帰りでも休日でも、ぜひ一度いらっしゃってください!
筆者も有楽町のb8taに訪問したのですが、本当にワクワクする空間でした。
読者の皆様もぜひ一度足を運んでみてください…!
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