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体験型ストア「b8ta」が日本に上陸!気鋭のRaaS企業が目指すOMO時代の小売のあり方とは?
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体験型ストア「b8ta」が日本に上陸!気鋭のRaaS企業が目指すOMO時代の小売のあり方とは?

みつじ
2020.09.07
この記事でわかること
b8taは従来の小売店とまったく異なるビジネスモデルのRaaS企業。
b8taに出品することでオフライン出品にかかるコストを抑えながら良質なデータを得られる。
オンラインの情報が増えEC化が進んだからこそ、実店舗での発見や体験の価値が高まる。

8月1日、体験型ストア「b8ta」(ベータ)がついに日本に上陸しました。

b8ta | ベータジャパン

シリコンバレー発の、小売店を持つRaaS企業で、「購入」よりも「発見」や「体験」を押し出している点が特徴です。

日本上陸の場所として選んだのは新宿と有楽町の2箇所。

日本のb8taはどのような場所なのか。日本でも体験型の店舗は定着するのか。

ベータ・ジャパン合同会社 カントリーマネージャーの北川卓司さんにお話を伺いました。

kitagawa_profile
北川 卓司:2004年PR会社入社後、IRコンサルティング会社、スタートアップのCEOを経て、フランスのEMLYON経営大学院でMBAを取得。2015年ダイソンにリテールマネージャーとして入社し、世界初の旗艦店を表参道にオープン。東京統括部長を経て、2019年11月より現職。

RaaS?体験型ストア?「b8ta」の正体とは

みつじ

b8taは先日オープンし、各種メディアで取り上げられるなど、注目を集めていますよね。 とは言え、まだb8taについて知らない方も多いかと思います。 改めてb8taについて教えていただけますか?

b8ta 北川さん

b8taはアメリカのシリコンバレー発の「RaaS(リテール・アズ・ア・サービス=サービスとしての小売)」の企業です。 新宿と有楽町の2箇所に店舗を構えており、様々な商品を発見、体験、購入できる小売店になっています。

みつじ

RaaSって聞いたことはあるんですが…。 サービスとしての小売というのはどういうことですか?

b8ta 北川さん

b8taは、一般的な小売店のように商品を仕入れて販売しているわけではありません企業に月額のサブスクリプション契約をしていただくことで、b8ta店舗内の決められた区画に出品できるというサービスを提供しているんです。

b8ta 北川さん

場所の提供だけでなく、お客様への接客をb8taのスタッフが行いますし、お客様の行動データも提供します。 これらの提供サービスをまとめて、「サービスとしての小売」というわけです。

b8ta raas
b8taがRaaSとして提供しているサービス。
みつじ

従来の小売店とまったく異なるモデルですね…! b8taが打ち出している「体験型ストア」というのも詳しく教えてください。

b8ta 北川さん

写真で分かるとおり、その場で商品を実際に体験することができます。 一般的な店舗だと買わないといけないプレッシャーを感じて気軽に体験できないのが実情ですが、b8taはその場での商品の購入を主目的としておらず、体験していただくことを一番に考えているんです。

b8ta_yurakucho_inside_1
有楽町店の内観。決められた区画ごとに各企業の商品が設置されており、すぐに体験できる形になっている。
みつじ

そうはいっても、体験していると買わないといけない雰囲気になるんじゃ…?

b8ta 北川さん

b8taは出品企業から月額費用のみをいただくビジネスモデルなので、その場での購入はb8taの売上には関係がないんです。 スタッフも購入を促すようなことは一切せず、体験を第一にした接客を行いますし、出品企業様にもその点は十分に理解をしていただいています。

みつじ

ビジネスモデルがそもそも違うからできる取り組みなんですね…! 店員さんに押し売りされないなら、安心して見に行けるし体験もできます…!

みつじ

体験というと、コロナウイルスの対策はどのようにされていらっしゃいますか?

b8ta 北川さん

b8taでは、消毒やマスクの必須化、商品間の距離の確保、商品体験後のスタッフによる消毒などを徹底しています。 商品の体験は問題なくできるのでご安心ください!

みつじ

商品はどのようなものが多いんでしょうか? やはり最新ガジェットのようなものが中心?

b8ta 北川さん

ガジェット系の商品はもちろん多いのですが、コスメやサプリ、食品や飲料品など、様々なジャンルで新しく面白い商品があります。 色々な方が楽しめる場所になっていますよ。

image

b8ta Tokyo - Shinjuku Maruiの内観。様々なジャンルの商品が多く出品されている。

実店舗ならではの「体験」と「出会い」

みつじ

b8taが「体験」にこだわるのはなぜですか?

b8ta 北川さん

「体験」こそが、実店舗が提供できる最大の価値になると思っているからです。 今はオンラインで何でも購入できるので、実店舗は「購入」以外の価値を持つ必要があります。

b8ta 北川さん

一方で、お客様からすると、WebサイトやSNSから得られる情報だけでは、商品の良さをすべて理解することは難しく、購入に踏み切れない面もあります。 そこで「体験」が価値を持つと考えているんです。

みつじ

オンラインの情報が増えてEC化が進んだからこそ必要な形なのか…!

b8ta 北川さん

「体験」に加えて「発見」や「出会い」とういのも実店舗ならではの価値だと思っています。

image
様々な商品が目に入り、すぐに手に取って体験できる環境。
b8ta 北川さん

今ってオンラインの情報はかなりパーソナライズされていますよね。 例えば僕だと商業施設や将棋に関するニュースや広告ばかり流れてきます。 SNSもやはり触れる情報は偏ってしまいます。

みつじ

いわゆるフィルターバブルですね。

b8ta 北川さん

そうなると、購入する商品や身の回りのものも固定化されてしまうと思うんです。 b8taはその中で新しい発見や出会いをつくりたい。

b8ta 北川さん

オンラインとは違って、自分の興味関心以外のものが目に入り、それがすぐに手に取れる。 これが実店舗だからこその強みですね。

b8taに出店するメリットは「コスト」と「データ」

みつじ

b8taに出店するメリットは何なんでしょう?

実店舗の出店にかかる「コスト」を最小化

b8ta 北川さん

まず、出店やポップアップストア設置に通常かかる費用が不要という点があります。 実店舗やポップアップストアを構えるよりも低コストで、新宿と有楽町という都内の一等地で商品を販売することができます。

みつじ

確かに新宿や有楽町にゼロから実店舗をつくるというのは現実的じゃないですもんね。

b8ta 北川さん

また、スタッフの採用や教育なども不要です。 各商品の質問に答えられるようトレーニングを受けたb8taのスタッフが接客を行います。

image
b8taのスタッフが体験をサポートしながら接客をする。
b8ta 北川さん

店舗費用もスタッフ費用も、実店舗を出す際には大きなコストになってしまいます。 それを最小化できるのがb8taを利用するメリットですね。

b8taだからこそ得られる「データ」

b8ta 北川さん

もう一つのメリットはb8taの実店舗で得られる「データ」です。 特に、b8taの店舗内に多数設置されているカメラから得られるユーザーの詳細な行動データやデモグラデータですね。

b8ta data
b8taのダッシュボードで確認できるデータ例。細かく分類された指標ごとのデータが分かりやすく提供されている。
b8ta 北川さん

現状だと、百貨店さんや量販店さんに出店・出品したとしても、これほど細かいデータは通常得られません。 b8taは店舗レイアウトやカメラに力を入れ、非常に細かく精度高くデータを取得・提供しています。

みつじ

商品の前を通り過ぎたインプレッション、5秒以上滞在したディスカバリー、体験を行ったデモ、と指標が非常に細かく分類されていることに驚きました。 デジタルマーケティングのような細かさでデータが手に入るんですね。

b8ta 北川さん

商品のカラーバリエーション、設置の仕方、訴求方法など、細かいA/Bテストもできます。 これらの細かいデータを元に、商品やマーケティングの改善につなげていただけると思います。

得られたデータをもとに出店戦略を立案

b8ta 北川さん

得られたデータは商品やマーケティングの改善だけでなく、出店戦略に活きるインプットにもなると思います。 なので、実店舗やポップアップストアを出す前の検証としてもb8taを活用してほしいんです。

みつじ

どういうことですか?

b8ta 北川さん

自分たちで実店舗を出すのってかなりリスクがあるんです。 エリア選定はミスできないですし、実店舗をつくるのはかなりのコストがかかります。 経験がなく検証が不十分ななか飛び込むのはあまりにリスクが高い。

b8ta 北川さん

検証のためにポップアップストアを出したりしますが、使用料が高い割に期間が短いですし、やはりスタッフの教育コスト等もかかる。 b8taであればコストを抑えて出店できますし、新宿と有楽町のデータ次第でどのエリアにブランドがマッチするのかが分かります。

b8ta_yurakucho_outside

b8ta Tokyo - Yurakuchoの外観。駅近のビルの低階層の店舗に出品することができる。

みつじ

実店舗を出すリスクをかなり軽減できそう…!

b8ta 北川さん

また、b8taにはエクスペリエンスルームという、複数の商品を出品できる広いエリアがあります。 こちらに出品いただければ、空間や壁面のデザインなど世界観の部分も検証できますし、実質的にポップアップストアとしてご利用いただけると思います。

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Googleが出品しているエクスペリエンスルーム。Googleの世界観が実現されている。
b8ta 北川さん

b8taには月額30万円の出店料がかかりますが、1日1万円と考えれば広告費に比べるとかなり小さいのではないでしょうか。 かんたんに出品できて良質なインプットを得られるb8taの利用をぜひご検討いただきたいです。

b8taのミッションと目指す小売の未来

b8ta 北川さん

b8taでは「リテールを通じて人々に“新たな発見”をもたらす(Retail designed for discovery)」というミッションを掲げています。 小売の実店舗が、販売だけではなく発見や体験ができる場所になるべき、というのが我々の考えです。

b8ta 北川さん

まずはb8taの実店舗がその成功例としての姿を見せ、その後は他の小売の企業にもb8taのシステムやソフトウェアをOEMの形で提供していきたいと考えています。

tracking
多くの小売店でこのような分析がされることが主流になっていく…?
みつじ

b8taの実店舗だけに収まらない構想なんですね…!

b8ta 北川さん

b8ta以外の企業で導入していただくことで、より多くの実店舗が発見や体験ができる場所に変わっていってほしいです。 アメリカだとトイザらスさんなどで導入されていますが、日本でもそのような事例を増やしていきたいですね。

b8ta 北川さん

私たちがもう一つ大事にしているのが、「メーカー、消費者両者にとってリテールをより身近な存在にすること」です。

みつじ

それは現在のb8taの店舗や提供サービスにも反映されているんですか?

b8ta 北川さん

もちろんです。 メーカーにとっては、b8taの区画を購入いただくことですぐに実店舗に出品できます。 b8taの存在によって、お客様に商品を触れてもらうまでのハードルが低くなっています。

b8ta 北川さん

消費者にとっては、小売店をより気軽に訪れられる場所にしていければと思っています。 体験型ストアであれば買わなきゃというプレッシャーを感じなくてよいですし、遊びに行く気持ちで足を運べる小売店を増やしていきたいですね。

みつじ

自分もそうなんですが、お店に行くのが億劫な人って多いと思います。 でも、b8taのように気軽に行けてワクワクできる場所であれば行きたいですね…!

みつじ

最後に読者の方、特にエンジニアの方に向けてメッセージをいただけますでしょうか。

b8ta 北川さん

エンジニアの方は、新しいもの・面白いものへの感度が高い人が多いと思います。 なので、どういったものを置いて欲しいか教えてもらえると嬉しいですね(笑)。

b8ta 北川さん

b8taは来るたびに新しく興味のある分野が見つかるような店舗にしていきたいと考えています。 エンジニアの方だとガジェット系に興味のある方が多いと思いますが、それ以外の面白いものも見つかる体験を提供します。 仕事帰りでも休日でも、ぜひ一度いらっしゃってください!

筆者も有楽町のb8taに訪問したのですが、本当にワクワクする空間でした。

読者の皆様もぜひ一度足を運んでみてください…!

b8ta_yurakucho_inside

ライター

みつじ
京都大学経済学部を卒業後、Web系のコンサル会社を経て株式会社Tenxiaを創業。 最近はコードを書く機会がなくてPMみたいなことばかりしている。 サウナとアイドルとスマブラが好き。
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