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毎週1.2万人が参加!AtCoder高橋直大に聞いた「#競技プログラミングは役に立つ」?
yshmt
2020.06.02
この記事でわかること
競技プログラミングは本当に役に立つのか、どうすれば役立てられるのか
なぜ企業は競技プログラマを求める?競プロへの評価が高い企業の見つけ方
コンテストに参加して、競技プログラミングを楽しもう!

近ごろ、ますます勢いづいている「競技プログラミング(競プロ)」

ソフトウェアエンジニア界隈や情報系学生なら、一度は耳にしたことがあるはず。

プログラミングを用いたコンテストの中でも、ものづくり的なアイデアを競う部分を排除し、純粋に技術のみで戦うこの競技ですが、少しハードルが高く感じられる面もあります。

また過去には競プロに関する議論がTwitter上でたびたび巻き起こり、「#月刊競技プログラミングは役に立たない」というハッシュタグが定期的に現れていたことも。

実際のところ役に立つのか、役立てるためにはどうすればいいのか。今回は「世界最高峰の競技プログラミングサイト」を掲げるAtCoderの代表取締役 高橋直大さんに直接聞いてみました!

AtCoder
高橋直大【たかはし・なおひろ】AtCoder代表取締役社長。Imagine Cup 2008 Algorithm部門 世界3位、TopCoder Open 2017 Marathon部門 世界2位など、多数のプログラミングコンテストで好戦績を残す。2012年にAtCoder株式会社を創業。プログラミングコンテストサイト「AtCoder」の開発・運営を行っている。ハンドルネームは「chokudai」。

毎週12000人がコンテスト参加? AtCoderの魅力とは?

yshmt
以前にもましてAtCoderが盛り上がっていますよね。
Twitterでコンテストのたびに関連ワードがトレンド入りしてますし、この間はAtCoderの問題がキッカケで「余弦定理」がトレンドに入っていたとか。
AtCoder 高橋直大さん
最近だと、毎週末に12000人が競い合ってます
yshmt

すごい!めちゃくちゃ増えてませんか?
2年前は2000人ぐらいしかいなかったような…。

AtCoder 高橋直大さん
例年だと4月ごろに増えやすいんですが、今年はおそらく新型コロナウイルスの影響で特に増えていますね。
yshmt
コロナウイルスで、ですか?
AtCoder 高橋直大さん
外出自粛です。
AtCoderって「家からみんなでワイワイ盛り上がれるゲーム」として、在宅とめちゃくちゃ相性良くて
yshmt
高橋さんがよくおっしゃっている「ネトゲ」ですね…!
でもどちらかというと、競プロって「難しい問題をじっくり頭を使って解く」イメージがあるんですが。
AtCoder 高橋直大さん
確かに、アルゴリズムや数学的知識を要求するという意味で、難しい部分もありますが…。
実際にハマっている人に話を聞くと、「パズル的な面白さ/楽しさ」に魅力を感じて参加してくれている人が多いです。
実際そこがAtCoder社の一番の軸でもあって、多くの人に競プロの楽しさを知ってもらいたいと思ってやっています。
AtCoder 高橋直大さん
あとは「スキルアップ」や「就職・転職」のためにやっている、という声も大きいです。
yshmt
確かに、ゲーム感覚で楽しめて、さらに役に立つなら嬉しいですが…?

就職・転職でAtCoderは役立つか

yshmt
実際のところ、就職にどう役立つんですか?
AtCoder 高橋直大さん
まず、新卒採用だと「競プロ」をやっていることはかなり強みになると思います。
AtCoder 高橋直大さん
新卒採用って難しくて、「学生がすでに何らかのプロフェッショナルである/業務内容に精通している」というケースは稀じゃないですか?
となると、業務の知識は入社してから身につけていくことになるので、採用時点で業務の知識を見ても、あまり意味はないですよね。
yshmt
そうですね。
「即戦力」なんて言いますけど、真に「即戦力」というのは理想でしかなさそうです。
AtCoder 高橋直大さん
つまり、戦力になるまでの学習速度、成長曲線や、一人前になってから発揮できる実力が知りたい。
この点について、競技プログラマはかなりのポテンシャルを秘めていると言えます。
「自主的にコンテストに参加し、継続して成長していける」というのは、それだけで1つのサインになっていますから。
新しいスキルを学ぶための学習意欲を高めたり、習慣化したり、ということが出来ている。
母校の筑駒で公演をする高橋さん
yshmt
なるほど…。
それでは「転職」ではどうでしょう?
AtCoder 高橋直大さん
転職となると、どうしても業務経験が重視されがちなので、新卒ほどの強みはないかもしれません。
ただ「新卒時の就活で失敗して、正当に評価されないような職場で、こき使われている」といった場合には、役立てることができると思います。
yshmt
「競プロ自体が業務で役立つ」ことはないんですか?
AtCoder 高橋直大さん
業種によりますが、もちろんあります!
例えば「検索システム」や「負荷の高いゲームのバックエンド」などでは直接アルゴリズム力が問われますし、そうでなくともコードを書く際に、自然とそれぞれの処理の計算量をきちんと意識できているというのは重要です。
yshmt
「ざっくりと"重そう/軽そう"は分かるけど、具体的な計算量までは…」という人も多そうですね。
AtCoder 高橋直大さん
競プロをしっかりやると、必ず計算量を意識して問題を解くことになるので、パズル感覚で楽しみながら計算量と仲良くなれます。
そういった部分を評価してもらえる企業さんへの転職では、武器として役立てられます。
寿司打で高得点を叩き出す高橋さん

競技プログラマを求めるIT企業

yshmt
「競技プログラマを評価する企業」というのは検索システムを持っているところやゲーム系など、業種によるということなんでしょうか?
それだけだとかなり限られてくると思ったのですが。
AtCoder 高橋直大さん
それが実は、「業種よりも企業マインドの面が大きい」んですよね。
ゲーム系だと顕著なんですが、一番はじめにスポンサーになってもらったスクフェスで有名なKLabさんだと、「アルゴリズムの能力についてももちろん大切だし、加えて毎週末コンテストに参加してコードを書くのが好きという人がそもそも貴重で、高く評価できる」と。
KLab開催の天下一プログラマーコンテスト2012決勝。現在も問題に挑戦できる
yshmt
逆に、あまり評価しないゲーム系企業はどういったところなんでしょう。
AtCoder 高橋直大さん
「自分でアイデアを形にして、プロトタイプを作り出せる力」を重視している企業さんですかね。
そこで求められる力は、AtCoderでは全く測定できないので、あまりマッチしないかもしれません。
そういった企業さんで「きちんとバックエンド職が評価されているのかな」と少し心配になったりもしますが…。
yshmt
「どの企業が評価してくれるか」というのは何を見たらわかるんでしょうか?
AtCoder 高橋直大さん
AtCoderでコンテストを開催している企業さんや、AtCoderJobsに求人を掲載している企業さんには高く評価されると思います。
就職希望先がこの中にあるなら、AtCoderに取り組むのはかなり有力な選択肢です。
企業側からしても、コンテストを開催すると、優秀なコンテスト参加者とコンタクト可能なので、「一回開いたら十数人の内定者が取れました!」という企業さんもあったりします。
採用コストも低いし、取れる人も優秀だし、とてもいいですよね。
企業コンテスト一覧はこちら
yshmt
しかも、参加者もどんどん増えているんですもんね。
AtCoder 高橋直大さん
そうです。
それに対して、コンテストを開催する企業さんはそこまで増えていません。
yshmt
採用チャンスというわけですね!
開催企業が増えれば、コンテストも増えて採用にもつながって、みんな嬉しいですね。

AtCoderの始め方・続け方

yshmt
面白そうだし役立ちそうだから、「今から競プロを始めよう」と思ったらどうすればいいでしょう?
AtCoder 高橋直大さん
まずはチュートリアルを参考に週末のコンテストに参加ですね
色々な言語が使えますし、プログラミング自体そもそも未経験という場合でもAtCoderにC++の入門用教材があります。
yshmt
その場でジャッジしてもらえて、教材として使いやすいですね!
でも、何度もコンテストに参加するのって大変じゃないですか?
AtCoder 高橋直大さん
一発で実力を測りたいということであれば、「第三回アルゴリズム実技検定」が外出自粛を受けて特別に6/6まで無償提供中なので、この機会に是非挑戦してみてください!
アルゴリズム実技検定はこちら
yshmt
続けていくと、レートや色(ランク)が気になると思うんですが、注意点はありますか?
AtCoder 高橋直大さん
当人のバックグラウンドによるので、自分の目標をきちんと定めることが大切ですね。
AtCoder 高橋直大さん
例えば、ガチガチの文系出身なら「茶色でも十分すごい」と言えますが、数学が得意という人ならもっと上を目指して欲しいです。
AtCoder(競技プログラミング)の色・ランクと実力評価、問題例
yshmt
上を見たらキリが無いですが、化け物レベルの人たちと同じ問題に挑戦できたり、回答を見て勉強になるというのもいいところですよね。
AtCoder 高橋直大さん
Twitterを中心としたコミュニティの力が強くて、解説ブログもたくさんありますし、有志によるツールも充実しています。
有志たちの力を借りて、純粋培養競技プログラマたちが、業務での開発に関する知識について学べるコンテンツなども用意できればいいなと考えています。
yshmt
AtCoderを通してIT業界をより活性化できるといいですね。
AtCoder 高橋直大さん
もっと楽しいコンテストを開いて、たくさんの人に競プロを広げて、副次的に世に役立つような貢献ができればなと思います!
yshmt
ベンチャーでソフトウェアエンジニアとしてアプリ開発をしている。好きなものは便利なもの。苦手なものは〆切と移動。よく書く言語はRubyとSwiftとKotlin
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