SES出身、累計売上900万円以上の個人開発者に聞いた「売れる開発者のなり方」
エンジニアと生まれたからには
誰でも一生のうち一度は夢見る
「個人開発で売上を立てたい」
今回アンドエンジニアでは、個人開発アプリでの累計売上900万円オーバーの開発者、takashiさんにアプリ開発者として成功する秘訣についてお話を伺いました!
「初めはSESだった」エンジニア街道を登ってきたtakashiさん
takashiさんはいつから個人開発を初められたんですか?
実はエンジニアとしてのキャリアの最初はSESです。 SESを2年半やった後、受託開発のSIerで2年半働いて…。 SIerにいたときに、業務でWebシステムの開発をやりながら、業務外でiOSアプリ開発を始めてみた、というのがキッカケです。
SESからだったんですか!?
はい。 個人でiOSアプリ開発を始めた頃も、会社での業務は全部Windowsで、周りにMacを使っている人が誰一人いなくて。 「iOSアプリを作るためにMacを買いました」と周りに話したときは、「普通PCはWindowsでしょ」「アプリ開発をやったことがないのに、上手くいく訳がない。PC代がもったいない」って周りからバカにされましたね(笑)。
すごい逆境ですね。
個人アプリを3つリリースしたタイミングで、モバイルアプリ開発の会社に転職して、現在はフルリモートの会社に勤めています。
理想的な未経験からのキャリアパスですね…。
「特定のニーズに特化しろ!」アプリ開発のターゲティング
takashiさんのプロダクトの中で、一番ヒットしたものって「文字数カウントメモ」ですか?
そうですね。 累計の売上の、7,8割は「文字数カウントメモ」が占めていると思います。
てことは、このアプリ1つで700万円以上は稼いでるってことですか。 ズバリ、「ヒットの秘訣」って何なんでしょうか?
色々ありますが…。 まずは「ターゲット層の選定」が重要かと思います。
私が「文字数カウントメモ」をリリースした頃は、公式のメモ機能も含めて、「文字数をカウントする」っていうニーズに主軸を置いたアプリが存在してなかったんですよね。 私は「文字数をカウントすること」に主軸を置いて、ターゲット層を絞り込み、アプリ名にまで持ってきました。 ここでターゲット層を絞らず、万人受けしそうなアプリ名にしていたら、ここまでヒットしていなかったのではないでしょうか。
あ〜、確かに、自分もそういうニーズで検索しますね。 アプリじゃなくても、ブラウザで「文字数」だけで検索したり。
アプリを必要としている人に届けることが、何よりも大切ですからね。 「広く浅く」で下手に汎用的な名前にするよりは、特定のニーズに特化したほうが良いです。 個人開発だと広告にお金をかけづらいですから、特定の分野でトップを取ることを考えたほうが、成功する確率は上がると思いますね。
「出してからが本番」リリース後の機能チューニング
また、これは個人開発者の方が陥りがちな罠なのですが、「リリースして満足してしまう」とアプリの人気を伸ばすのは難しいかなと。 ユーザ視点での開発にとって、本当に大事なのは「リリース後、ユーザの要望を聞いて改善していく」部分ですから。
「リリースして満足」は耳が痛い…。 「文字数カウントメモ」もリリース後の改善が大きいんですか?
リリース当初は、本当に「メモができて、文字数がすぐ分かる」だけでした。 ただ、リリースするとユーザから「この機能はないのか」といった問い合わせがたくさん来て…。 ユーザと議論しながら、自分でも必要だと思った機能を追加していきました。 中には、自分が良かれと思って追加したものの、ユーザが望んでおらず、廃止した機能もあります。 そういうサイクルを繰り返して、「文字数カウントメモ」のターゲット層にマッチするアプリに成長していった、という感じですね。
確かに、今見ると、たくさん機能がカスタマイズできるようになってますね! こういう改善って、すぐにインストール数に効いたりするんですか?
それがいい改善であれば、数ヶ月もすれば確実にアクティブユーザ数などに効いてきますよ。 アクティブユーザ数が増えたり、滞在時間が伸びたりすると、ストア上のランキングも下がりにくくなるので、いい循環が回ります。 やはり、ヒット作を出しているアプリ開発者を見ると、リリース後にアプリの改善を繰り返している人が多いですね。
「強い開発者」は盗むのが上手い
そこ! 聞きたかったんですが、個人開発者ってコミュニティがあったりするんですか?
コミュニティと言えるほどかは分かりませんが、私の場合、アプリで成功されている経営者や、個人アプリで売上を立てている方たちとTwitterでゆるく繋がっています。 そこでお互いの良いところを盗みつつも、競い合っているというか…。 ヒットするアプリを出している方は、自分のやるべきことに集中しながらも、人の良い部分を盗むのが上手いですね。
「盗む」というと、例えばどういうことですか?
例えば、繋がっている開発者の方でも、文字数をカウント出来るメモアプリをリリースしたり、リリースしているメモアプリの機能に、文字数カウント機能を付けたりされている方も、普通にいらっしゃいます(笑)。 他のアプリの良い点をすぐに吸収し、即行動につなげている人が多いです。 今となっては、文字数カウント機能がついたアプリは沢山ありますね。
そんな私も、たくさんのアプリをダウンロードして、UI・UXを勉強しています。
他の人のアプリも参考にする、と。
そうですね。 成功されている開発者ほど、色々なアプリを落として考えてアプリを作っているでしょうね。
「ストイックなやつが勝つ」徹底的な時間捻出力
takashiさんって、今でもフルリモートとはいえ、フルタイムで働かれている訳ですよね。 「個人開発と仕事を両立するコツ」ってあるんですか?
個人開発って、まとまった時間を取ってやるものと思われがちなんですが、私の場合は違うんですよね。 どちらかと言うと、「1日最低1時間」を毎日継続していく感じです。 時間はかかっても、継続できればアプリは完成するので。 「日々の時間意識を高めること」が重要だと思います。
時間意識ですか。 具体的にされていることってあります?
まず、便利家電を使って、疲れにくい状況を作り、効率よく動けるようにしています。 ルンバ、食洗機、ドラム洗濯機、コーヒーメーカー等々…。 家具の配置も考えていますし、業務もリモートで、基本的に全て家で物事を完結できるようにしています。
エンジニアの方からすると、意外に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、私は勉強会にはほとんど行きません。 ほぼ、自宅での独学で済ませています。 それと、友達と会う時もお酒は飲みませんし、飲み会には年に数回しか行かないですね。
ストイックというか、合理的と言うか…。 なかなか、誰でもできることじゃないですね。
休むときは休んでいるし、自分はあまりストイックとは思っていないんですが(笑)。 こういった「メリハリをつけること」をゲーム的に楽しめるかどうかは、個人開発適性の一つかもしれません。
自分は極論、会社の方で給料をもらっているので、個人開発は「趣味」でいいと思っています。 ただ、趣味でも熱中できるぐらいやったほうが楽しく、将来的に実になるし、業務でも役に立ちます。 自分は、一瞬で終わる楽しみよりも、経験になったり、長く楽しみ続けられるものに投資したいと考えていて。
直近では筋トレアプリをリリース
つい先日、筋トレのビフォー・アフターを記録するアプリをリリースされましたけど、どういった経緯で作られたんですか?
筋トレはモチベーション管理が重要だなと思っていたのですが、既存の健康管理アプリはグラフしか見れなかったんですよね。 一方で、「筋トレインフルエンサー」は筋トレのビフォー・アフターをSNSにあげてバズっている。 やっぱり、画像で変化を比較をすると、成果が印象深く残るじゃないですか。 このビフォー・アフターを管理できるアプリを作れば、自分の筋トレのモチベーション管理にも役立てられるぞ、と思ったのがキッカケですね。
ここでも合理的ですね…。 そういえば、開発もFlutter(Googleのクロスプラットフォーム開発フレームワーク)でされているらしいですね。
そうですね。 ネイティブでiOS・Android両方作る事の大変さを感じていて、Flutterはそれを解決する優れた手段だと感じたので。 個人開発でFlutterを試したいと思って、平日休日問わず勉強した結果、業務でもFlutterの採用に繋がったので、そういう流れを作れて良かったです。
個人開発での経験が、業務に活きたわけですね。 有言実行力がすごい!
ありがとうございます。 岡部さんも、筋トレをやられる際には是非ご活用ください(笑)。
takashiさんの個人開発での成功の裏には、確固たる戦略と、ストイックな時間捻出力がありました。
その態度を有言実行し、アプリをリリースし続ける力には感服です。
takashiさん、ありがとうございました!
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