―― 世界一のわがまま男・ハル。その相方のガク。
二人でつかめ！1,000,000,000,000ドル！！

2020年12月、小学館「ビッグコミックスペリオール」で**起業家とエンジニアが主人公の漫画『トリリオンゲーム』の連載がスタート**しました。

**原作は『アイシールド21』（作画：村田雄介）、『Dr.STONE』（作画：Boichi）の稲垣理一郎先生**、**作画は『サンクチュアリ』（原作：史村翔）の池上遼一先生**というレジェンドがタッグを組んだ本作品。

『スタートアップ』『プログラミング』を題材に、大成功していくストーリー展開が若手ビジネスマンや起業家を中心に話題を集めています。

主人公は**コミュニケーションは天才的だが技術を持たない起業家の「ハル」**と**PCスキルは天才的だがコミュ力がないエンジニアの「ガク」**。
彼らが手を組み、GAFAの時価総額1兆ドルを稼いでこの世のもの全てを手に入れる計画「トリリオンゲーム」を開始するところからストーリーが始まります。

**もともと理系で自作ゲームのプログラミングもしていた**ものの、文転して漫画業界に身を投じた稲垣先生。
『トリリオンゲーム』を通して「理系はかっこいいとアピールしたい」という思いもあったとのこと。
とはいえ、起業家とエンジニアが主人公のストーリーを作るのは今回が初めて。

キャラクター設定やハッキングコンテストのシーンを考えるうえで苦労した点などの作品の裏話を、**原作の稲垣先生と技術監修を担当した株式会社Flatt Security代表の井手康貴さん**に話を聞きました。

## 野望に満ちた主人公をいつか描きたかった

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稲垣先生は、『アイシールド21』や『Dr.STONE』など少年向けに大ヒット作を生み出してきましたよね。

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今回「起業家」をテーマに物語を作ろうと思い至ったのにはどのような理由や経緯があったのでしょうか？

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**昔から起業モノみたいなのはやりたいなと思って**いて。
『サンクチュアリ』が好きだったクチなので、野望のために成り上がっていく主人公にすごいビリビリきてました。
なのでお金儲けのことだけを考えて邁進する奴がいたら逆に気持ちいいんじゃないかと。

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主人公のハルは最初からお金のことに全力ですよね（笑）。

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**とにかくビッグになってお金を儲けることを目的とする男がいたらキャラクターとして単純に面白いし、そんなやつをいつか描きたいと思っていた**んです。
それは池上先生の描く男の像と凄くマッチしていたので、今回池上先生に描いていただけるのは願ったり叶ったりで、非常にありがたいです。

~~2話より。読者がカッコいいと思う男性キャラクターが描かれている。~~

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「お金をたくさん儲けたい！」という気持ちを恥ずかしいと思っているような現代だからこそ、ハッキリ言い切っているのは凄く良いですよね。

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でも、登場人物みんなそんな奴だと感情移入しにくい。
なのでそこはダブル主人公という形にして、**一人は読者がシンパシーを感じやすい振り回される側で、というようなキャラ配置の計算**をしています。

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確かにガクはかなりまともでですよね。
身近にいるエンジニアで何人か似た人を知ってるくらいのエンジニア像です。

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ハルくんという主人公をどのように魅せていくかと考えた時に、**まともな視点のガクくんを置くことで、ハルくんを立たせるというスタンス**です。

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ダブル主人公も『トリリオンゲーム』の特徴だと思っていましたが、感情移入のしやすさを計算して配置されていたんですね。

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そうです。基本的に主人公は「憧れ型」と「感情移入型」の2パターンしかないと思っています。
ハルくんは「憧れ型」で、ガクくんは「感情移入型」。

## ベンチャー企業は事業内容ではなく「人」に出資してもらう

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そんなハルは、起業家の井手さんご自身と比べてどのように映っていますか。

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僕自身はお金のためにやっているみたいな目的は薄いですね。
それでも、「一兆円企業を目指す」「日本を変える」という目標は最初から公言しています。
『トリリオンゲーム』の一兆ドルとは単位が違うんですが（笑）。

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僕の場合は**日本が世界経済の中で凋落しているという危機感が元々あって、だからものづくりで世界で戦えるようなIT企業を作りたい**んです。
そして日本を変えられるくらいの影響力を持ちたいというのが起業の動機です。

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井手さんも漫画の主人公みたいなこと言いますね。

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僕はまだまだ全然です（笑）。
ただ、人の巻き込み方は似ていますね。
実際に**僕がエンジェル投資（創業したばかりの企業に個人で出資すること）をしてもらった段階では、厳密には何をやるか決まっていない状態**でした。

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**先に大きなビジョンを描いて、事業ではなく「人に出資してもらう」**というのは、『トリリオンゲーム』のストーリーに近いかなと思っています。

~~2話より。ハルとガクは「人に出資」をしてもらえる魅力がある。~~

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本当に漫画みたいですね！

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Flattさんからお聞きしたエピソードを元に作っている部分も多くありますからね（笑）。

## 経営者は「ピエロ」。メンバーのためにサポートに回ることが重要。

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「俺みたいな、口とハッタリで世渡りするみたいな奴と。ガクお前みたいな、ちゃんと腕のある奴が両輪になるんだよ。」とハルが言うシーンや、セキュリティチャンピオンシップの予選でガクのためにあらゆる手を使ってハルがサポートに回っているシーンなども共感しました。

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だいたい**起業家や社長ってピエロみたいなものだ**と思っていて。

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ピエロ！？ですか。

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僕はそう思っています（笑）。
自分が口とハッタリで本当に能力のある人を集めたり、優秀な従業員のためにお金持ってきたり、そういった思考で動くこともあるので。

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**Flatt Securityには世界トップレベルの技術者と誇れるメンバー**がいます。
僕も元々はエンジニアで、創業当初は一兆円企業のために自分が技術面も引っ張っていくぞみたいな気持ちがありました。

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しかし今は**自分より優秀なエンジニアしかいないから「じゃあ自分はピエロとして踊ってお金を持ってくるぞ」と言う価値観に変わりました**。
まさにハルのような立ち回りですが、それはそれで楽しいですよ。

~~1話より。ハルとガクは起業家の理想的なコンビの形なのかもしれない。~~

## 稲垣先生も「人に投資したい」と感じた

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井手さんからのお話が作品に影響を与えている部分もあると思うのですが、稲垣先生自身は監修の過程で井手さんとやりとりする中で感じたことなどありますか？

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**お金を出したいな**と思いました。

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え、投資したいってことですか！？

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そうですね（笑）。というのも、**ストーリーを考えていて一番面白かったのが「人に対してお金を出す、出資する」というところ**なんです。
元々ベンチャー投資にそういった性格があることを知識としては知っていたんですが、「そんなんでいいの？」って思っていたんですよね。

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僕としては**ガチガチに完成されたプロダクトと事業計画を見て「それいいね」「そのアイデアは素晴らしいし成功するよ」と投資するのをイメージ**してましたから。
だから最初はびっくりしたんです。

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確かに驚きますよね。

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でも、自分を出資する立場に置き換えてみると、確かにって思えてきたんです。
成功するかどうかは分かんないですし、**「こいつだったら成功させるだろう」みたいな信頼の方が大事**だなと。
井手さんと話していても、この人達だったらお金を出しても成功しそうだなって思いました。

#### balloon niconegoto right
そう思っていただいていたんですね！ とてもうれしいです。

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だから、**序盤の展開なんて井手さん達の実体験からほぼコピー**しています（笑）。
桐姫みたいな投資家は実際にはいなかったでしょうけど。

#### balloon niconegoto right
桐姫がいたらよかったんですけどね（笑）。

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急に一億円出してくれる投資家ですね（笑）。

~~3話より。いきなり一億円の出資オファーが。~~

## プログラミング経験があるからこそリアリティのあるエンジニアを描きたい

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稲垣先生にとって、ガクのようなソフトウェアエンジニアの主人公って初めてだと思うんですが、背景や思いはあるのでしょうか。

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**元々僕がプログラミングをやっていたのもあり、エンジニアのキャラクターには思い入れ**があります。
なので、演出のために**エンタメに出てくる嘘くさいハッカーにはしたくない**というこだわりがあるんです。

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ドラマや映画でもよくありますね。
フードをかぶったハッカーがエンターキーを押すと、ハッキング完了するシーン。

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でもガクくんは映画みたいなスーパーハッカーじゃないんですよ。
多分、**プログラマーを100人並べたらおそらく上から2番目くらい**なんです。
現実でギリギリありえるラインのことは全部できちゃう、くらいの凄腕が欲しかったんですね。

#### balloon and-engineer left
100人や1000人の中でも1番のスーパーハッカーを描くって方針もあり得たと思うんですが。

#### balloon reach_ina right
そうしなかった理由は大きく分けて二つあります。
まず一つは**作品のリアリティの基準が下がっちゃう**ことですね。
この漫画はあくまでも現実の話で、超能力はやっぱり出しちゃいけない。

#### balloon reach_ina right
もう一つ、**あくまでもこれはハルくんの物語**なんです。
とやかく余計なことは考えずに、目の前のことだけを考えて、最高にビッグになりたいって言っている、シンプルでトリッキーな男を描く漫画ですから。

#### balloon reach_ina right
これでもし**ガクくんがスーパーハッカーだと、ハルくんの成功の要因はガクくんというファンタジーキャラを捕まえたことになってしまい、コンセプトがずれてしまう**んですね。

#### balloon and-engineer left
なるほど。すごく計算されたキャラ設定なんですね。

#### balloon reach_ina right
**リアリティを出すには現場の凄腕の方々に聞くのが一番なので、Flatt Securityさんに世界観やセリフを作って**もらいました。

~~1話より。専門用語が羅列されるシーンは技術監修の賜物。~~

## 『トリリオンゲーム』で夢を持つ人が増えてくれたら嬉しい

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僕らが監修に参加しているのにも原体験があって。
例えばうちのCTOの米内は、**『BLOODY MONDAY（ブラッディ・マンデイ）』（原作：龍門諒・作画：恵広史）に影響されてセキュリティを学び始めている**んですね。

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漫画の影響力って大きいですし、エンジニアと一緒に大きな夢を目指す物語に関われるのはすごく嬉しいんです。
『トリリオンゲーム』は素晴らしい作品なので映像化もされると思うんですけど、**原作や映像を見てエンジニアに興味を持つ方もいるでしょうし、ハルに惹かれてビッグになりたい方も現れる**と思うんですよね。

#### balloon niconegoto right
『Dr.STONE』もたくさんの子供に影響を与えていますよね、これってエンタメにしかできないことだと思うんですよ。
それを技術の観点からサポートできるのはすごく嬉しいですね。

## 作品を通して社会を変えようという思いは1ミリもない

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稲垣先生としても、社会に影響を与えられたら嬉しいという思いはあるのでしょうか？

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その質問、よく聞かれるんですけど、**自分の作品で社会を変えてやろうみたいなのは1ミリもない**んです。

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ないんですか！？意外です。

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読んでくれた人が、「あー面白かった」と言ってポイっとゴミ箱に捨てて、次の仕事に行くかって思ってくれればいいと思っているタイプなので。
ただ、**エンターテイナーの矜持として、「あなたがこの作品を読む時間を最高にするためなら俺はどんな犠牲でも払う」**というのはあります。

#### balloon reach_ina right
その時間にどんな楽しい要素を込めるかって考えた時に、僕の趣味は色濃く出ちゃうので、「野望を持ってガンガン起業したら社会が面白くなるぜ」とか「地味なエンジニアってかっこいいよね」ってなるのかなと。

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**僕はプログラミングやってた人間なんで、そこをかっこいいって思って欲しい**んですよね。
とにかく、理系かっこいいんだぞっていうところをアピールしたい気持ちがすごくて。
**自分がド理系の性格だったからこその僕の思いは、多分作品の味付けに出ちゃってます。**

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そんな熱い思いもこの『トリリオンゲーム』には、特にガクの活躍には込められているんですね。

~~5話より。ハッキングコンテストでガクが活躍を見せる。~~

## ハッキングコンテストのシーンは作品史上一、二を争うほど苦労した

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ガクがメインで活躍する回だとハッキングコンテストの予選があると思います。
リアリティの求められる場面ですが、ストーリーづくりで苦労されたところはありますか。

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この回はすごく辛くて『トリリオンゲーム』史上で一、二を争うほど時間がかかった回でした。
何を取捨選択するのかがものすごく難しかったんです。

#### balloon reach_ina right
僕は大会に出たことがないので、どういう競技なのかやプレイングの流れなどの情報を集めてネームを描いたんですが、起こっていることが難解すぎてそのまま描いても漫画にならないなと。
ある程度の誇張はしますけどリアリティの基準を下げたくなくて、井手さん達に相談しました。

~~6話より。ハッキングコンテストのシーンはエンジニア総出で監修に参加した。~~

#### balloon niconegoto right
**わかりやすさも必要で、その上でちゃんとハッキングコンテストとして成り立たないといけないという制約があったので、そこが難しかった**ですね。
違和感がないように、かつ技術的に正しく成立させるために、社内では監修に参加していたエンジニア全員で議論していました。
僕らが辻褄を合わせればあとは面白くなるように稲垣先生が準備してくださっていたので、技術的な部分に集中することができました。

## エンジニアとのコミュニケーションで大切なのは「お互い歩み寄る」こと

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古い体質の企業がどんどん新しいエンジニアの技術を取り入れて、先進的なIT企業になっていこうという、DXという流れが世界的に起きていると思います。

#### balloon and-engineer left
そこで問題になっているのが**「ビジネス職とエンジニアで言葉が通じない」「コミュニケーションが難しい」という点**なのですが、監修の中で意思疎通を図るために工夫されたことなどありますか？

#### balloon reach_ina right
Flatt Securityの皆さんは僕の目線に降りてきて話してくれますね。

#### balloon niconegoto right
**お互いに歩み寄っている**というのが一番大きいと思います。

~~2話より。ハルは当たり前のようにエンジニアの環境を整える。~~

#### balloon and-engineer left
ハルがガクのために20万円もする椅子を買ってあげたり、**ビジネスサイドの人がエンジニアのことをわかっている描写**がされていますよね。
これがうまくできていない企業も多いと思うんですが、Flatt Securityさんだとどんな取り組みをしていますか？

#### balloon niconegoto right
**前提としてお互いの職種に敬意を払う**というのはあります。
その上でエンジニアサイドからもビジネスのことを理解しなきゃということでマーケの勉強会を実施したりしますし、セキュリティの基礎講義みたいなものをエンジニアが実施してコーポレートを含めたビジネスサイドのメンバーが学習したりもします。

2020年12月、小学館「ビッグコミックスペリオール」で起業家とエンジニアが主人公の漫画『トリリオンゲーム』の連載がスタートしました。
原作は『アイシールド21』（作画：村田雄介）、『Dr.STONE』（作画：Boichi）の稲垣理一郎先生、作画は『サンクチュアリ』（原作：史村翔）の池上遼一先生というレジェンドがタッグを組んだ本作品。『スタートアップ』『プログラミング』を題材に、大成功していくストーリー展開が若手ビジネスマンや起業家を中心に話題を集めています。もともと理系で自作ゲームのプログラミングもしていたものの、文転して漫画業界に身を投じた稲垣先生。『トリリオンゲーム』を通して「理系はかっこいいとアピールしたい」という思いもあったとのこと。キャラクター設定やハッキングコンテストのシーンを考えるうえで苦労した点などの作品の裏話を、原作の稲垣先生と技術監修を担当した株式会社Flatt Security代表の井手康貴さんに話を聞きました。

稲垣理一郎先生

Flatt Security 井手さん

『アイシールド21』『Dr.STONE』原作者の稲垣先生が起業家＆エンジニアを描くことになった背景は自身の思う「カッコいい男像」とプログラミング経験。

意外にも、ベンチャー企業の社長に求められるのはメンバーのサポートをする「ピエロ」としての立ち回り。

多くの企業が持つ「ビジネスサイドとエンジニアがすれ違う」というDXにおける課題解決のヒントは「兵站」。

【制作秘話】漫画『トリリオンゲーム』は"理系"だからこそ生み出せた。原作・稲垣理一郎 × 技術監修が語る起業家&エンジニアのリアルとは？

**「[積読ハウマッチ](https://tsundoku.site/)」を筆頭に多くのサービスを展開し、並行して受託開発なども行っている[合同会社めもらば](https://memory-lovers.com/)**。

~~めもらばで開発・提供しているサービスの一覧~~

**個人開発と受託開発を両立する**「めもらば」で開発を担当するのは、**「フリーランス」のエンジニアであるきらぷかさん**です。
フリーランス……とても自由に見えて魅力的に思える反面、実際に活動していくには不安定さもあり苦労が絶えない面も。

**大手SI企業からフリーランスへ転向**したきらぷかさんですが、その背景には何があったのでしょうか。
フリーランスとして働く上での苦労や、個人開発に対する考えなどを伺いました。

## 「自分で手を動かしたい」思いからフリーランスへ

#### balloon and-engineer left 
まずはきらぷかさんのキャリアから教えてください。
10年くらい前から大手SI企業で開発のお仕事をされていたんですよね。

#### balloon kirapuka right
そうですね。新卒でSIerの企業に入り、社内ツールを開発する部署にいました。
社内の様々なプロジェクトを見ながら「どういうツールがあれば開発が楽になるのか」を考える仕事に取り組んでいました。

#### balloon kirapuka right
入社したばかりの頃は「企画されているツールの開発」だったのですが、年次を重ねるにつれプロジェクトのマネジメントを行う機会が増えました。
**もともと開発をするのが好きだったので、自分で手を動かす機会が少なくなってきたことから、転職を考え始めた**んです。

#### balloon kirapuka right
その前に、**技術の動向のキャッチアップをして市場価値を高めてから転職したい**と思い、フリーランスになりました。

#### balloon and-engineer left 
なるほど、一度フリーランスになって市場価値を高めようと考えられたんですね。

#### balloon kirapuka right
**フリーランスをやってみると結構お客さんもついてくれて、フリーランスとしての楽しさも見えてきました**。
なので、現在もどこかの企業に転職はせずにフリーランスを続けています。 

#### balloon and-engineer left 
腰掛けのはずが、そのままフリーランスになったというパターンなんですね！
フリーランスの初期の案件は、どのような経緯で決まるのでしょうか？やっぱりツテを頼ったり…？

#### balloon kirapuka right
実はそういうツテとかがなく独立してですね（笑）。
**クラウドソーシングのサイトに登録して、そこで募集している案件に応募**していました。 

#### balloon and-engineer left 
クラウドソーシングのサイトの案件は単価の低いものが多い印象があります。

#### balloon kirapuka right
おっしゃる通り、単価はまちまちなのが実際のところかなと思います。

#### balloon kirapuka right
**募集する側は、ソフトウェア開発に慣れている人ばかりではありません**。
なので、**「実情は分からないけれど、安くできたら嬉しいな」という感覚で普通に開発会社に払うよりも低い単価になっている**のかもしれませんね。

#### balloon and-engineer left 
その中で生計を立てていくためにはどのような工夫をしたのでしょうか。

#### balloon kirapuka right
中には単価が良いケースもありますが、今のところはまだ多くないイメージです。
私の場合は、最初はクラウドソーシングのサイトで実績を積み、並行して個人開発プロダクトを出していくことで、**現在ではクラウドソーシングサイトのプロフィールや公式サイトを見て声をかけていただくことが多い**状態です。

#### balloon kirapuka right
案件に応募して実績を積み高い評価を受けると、サイト上で優良な業者だと認定されるんです。
ここで**実績と評価を高めることで、知名度や信頼感が高まり、結果として新しいクライアントからお声掛け**いただけるようになりました。
今は営業などもしていないんですが、十分な数の案件をいただけている状況ですね。 

#### balloon and-engineer left 
なるほど。サイト上の仕事へ応募していた時期の案件と、現在受けられている案件を比べると、やっぱり性質や規模感は少し変わっているんでしょうか。

#### balloon kirapuka right
より単価は高くなってきていますし、継続的な案件も増えてきています。
ただ、**公開で募集されている案件には「様子見」のものもあり、受けてしっかり仕事をすることで大きな案件に繋がる**こともあります。

#### balloon and-engineer left 
現場での開発経験後に現場から離れてマネジメントを行い、現在では再び自ら手を動かすところに戻られていますよね。
そのブランクを経ての再開はスムーズでしたか？それとも苦労しましたか？

#### balloon kirapuka right
製品開発のマネジメントをしていたので完全に離れていたわけではないんですが、自分で手を動かしていなかったので不安はありました。
なので、**会社に居た頃から業務外で個人でコードを書いて開発をしていました**ね。

#### balloon kirapuka right
個人でコードを書いてリリース・運用するなかでのインプットは開発の際のハマりどころを察知するなどマネジメントにも役立てられたので、個人開発はやって良かったですね。

#### balloon and-engineer left 
ちなみに当時作られていたものは、[めもらばさんのポートフォリオ](https://memory-lovers.com/products)のAndroid用アプリなどでしょうか。

~~めもらばで提供しているAndroidアプリ~~

#### balloon kirapuka right
現在は公開していないものもありますが、このあたりのAndroidアプリやゲームを作っていました。
そのため、フリーランスとしての初期の案件もAndroidアプリが多かったですね。

#### balloon and-engineer left 
働きながら個人開発にも取り組まれていたのは、独立を見越しての実績作りのためだったんでしょうか。
それとも自分の腕をサビつかせない目的だったのでしょうか。

#### balloon kirapuka right
どちらかと言えば後者ですね。
開発力を取り戻したいのと、新しい技術を触ってみたい、というモチベーションがメインでした。
**個人開発をやっていたからこそ、独立してすぐに案件を受けられた**と思います。

## 個人開発のアイデアは「めんどくさい」の解消

#### balloon and-engineer left 
個人開発は「一発あてるぞ」という考えの方も多いイメージですが、**きらぷかさんのプロダクトの中でも反響の大きい「[積読ハウマッチ](https://tsundoku.site/)」や「[カブれこ](https://kabu-reco.app/)」はお金に直結するジャンルではない**と感じます。
作るものはどういう風に決めているんですか？

#### balloon kirapuka right
**1番は皆さんと同じでお金**ですね〜（笑）。収入源を増やしたいなっていう思いです。
ただ、**その中でも自分がユーザーになれるもの**を作っていますね。
最近つくった「[ウマ育ノート](https://umaiku.app/)」も自分が『ウマ娘』をプレイしていて「こういうツールがあったら良いな」と思って作りました。

~~きらぷかさんの開発する「ウマ育ノート」~~

#### balloon kirapuka right
**基本的には自分が課題に思ったものを作り、反響が大きかったものを育てる**感じですね。
あとは、**触ったことがない技術やライブラリをいきなり案件で使うのは怖いので、個人開発で使ってみて経験を積む意味合い**もあります。

#### balloon kirapuka right
以前はWebの案件はあまり受けていなかったのですが、**Webアプリの個人開発を通してNuxt.jsなどが使えるようになったことで今ではWebの案件も受けて**います。
技術の学習と自分の課題の解決を兼ねたものを作り、そちらでもお金ももらえたら嬉しい、という感覚ですね。

#### balloon and-engineer left 
もし個人開発だけで暮らしていけるなら暮らしていきたいのでしょうか。
それともあくまで副収入という立ち位置は変わらないんでしょうか。

#### balloon kirapuka right
本収入になるのであれば本収入にしたいですね（笑）。
個人開発のプロダクトに専念できる状態になれば、そちらに集中してみたいですね。

#### balloon and-engineer left 
今はNuxt.jsで案件も受けているとのことでしたが、始まりは個人開発で作るところからだったんですね。

#### balloon kirapuka right
僕のスタイルとして請け負いでやることが多く、そのときに**サーバーもWebフロントもアプリも、色んな事がフルでできる方が安心していただける**んです。
その能力を広げようと個人開発の時間を使っていたら、ちゃんと本業の方にも活きてきました。

#### balloon and-engineer left 
クロスプラットフォームでアプリを書けるFlutterにも意欲を示されていましたもんね。

#### balloon kirapuka right
個人開発でも両OSでアプリを出したいのと、**アプリの案件でも両OS対応して欲しいと言われることが多い**んです。
両方ともネイティブで開発だとコストがかかるのでお客さんの予算と合わないケースも多く、なんとかできないかなと思っていて。

#### balloon and-engineer left 
フリーランスとして広い領域でできるのは大事なんですね。

#### balloon and-engineer left 
「ウマ育ノート」で気になったんですが、更新の頻度が早く、素材の数もすごく多いじゃないですか。
そのモチベーションはどうやって保たれているんでしょうか。

#### balloon kirapuka right
今は作りたてですし、やっぱり**反響があったり、使ってくださる人が多いっていうのが一番のモチベーション**ですね。
「積読ハウマッチ」も応援してくれる方・シェアしてくれる方がいるので、収入になるわけではなくても改善を続けています。

~~めもらばでの個人開発サービスの中でも知名度の高い「[積読ハウマッチ](https://tsundoku.site/)」~~

#### balloon and-engineer left 
個人開発では、テストなどもかなりしっかりやって完璧に仕上げてから出すものでしょうか。

#### balloon kirapuka right
個人開発だと、テストはしているのですが、**バグがあったときの影響の大きさによって、テストの実施度合いに色をつけている**ような感じで、リスクベースドテストという考え方を取り入れています。

#### balloon kirapuka right
もちろん、**決済が絡む部分やデータ汚染がされそうなところなど、致命的になりうるものはしっかりテスト**しています。
表示が崩れるくらいなら何とでもなるのですが、致命的なリスクは担保してから出しますね。

#### balloon and-engineer left 
守るべきところは守ってって感じなんですね。

#### balloon and-engineer left 
ちなみにお仕事の案件と個人開発での時間配分はどのようにされていらっしゃいますか。
新しい技術へのキャッチアップや個人開発は、本業にも活きてくる投資の面もあるとは思いますが。

#### balloon kirapuka right
**メインはもちろん受けている案件で、空き時間に個人開発**をしています。
案件の状況は、案件が多くてほぼほぼフルで働かないといけない時もあれば、逆に案件が少ない時期もあり、そうなると個人開発の時間が多めになる感じですね。

#### balloon kirapuka right
個人開発は細かい空き時間や余裕があるタイミングで一気に進めます。
会社員の時にも仕事をして帰宅後や土日に少しずつ開発し、連休でガッツリやる感じだったので、当時からあまり変わりませんね。

#### balloon and-engineer left 
余談ですが推しのウマ娘はどのキャラクターでしょうか。

#### balloon kirapuka right
すごく難しい質問ですね。
以前はトウカイテイオーが好きでガチャも引いたんですが、今はストーリーを読んだらすごく良かったのでナイスネイチャですね。 

~~きらぷかさんの推しであるトウカイテイオーとナイスネイチャ~~

#### balloon and-engineer left 
最近のサービスはゲーム関連も多いように見えるのですが、ゲームに関するサービスはモチベーションに繋がるんでしょうか。

#### balloon kirapuka right
**情報整理したり痒い所に手が届くツール系のサービスで、ちょっとめんどくさいなというのを解消するのが好き**なんです。
ゲームをやっていて感じる「こういう情報を一気に見れたらいいのに」とか「こういうフィルタができたらいいのに」みたい気持ちが元ネタになっていますね。 

## バランス感覚を支えるリスク管理と家族の存在

#### balloon and-engineer left 
きらぷかさんはこれまで10年ほど開発のお仕事をされており、現在はフリーランスなわけですが、今後どういう風なキャリアを考えられているのでしょうか。

#### balloon kirapuka right
個人開発者としてはやはり**個人開発で売り上げが立つものを作りたい**ですね。

#### balloon kirapuka right
フリーランスとしては、**ソフトウェアの開発を発注する前段階、要件定義や発注先探しなどから困っているような方のサポート**も行いたいですね。
どう発注したらいいのか分からない、どう作ったらいいか分からない、予算は最初だから全然出せない、など困っている方がかなり多いと感じるんです。

#### balloon and-engineer left 
開発だけではなく、コンサルのような役割も考えられているんですね。
SIer企業で上流工程やマネジメントを経験されていたり、今も要件定義から開発まで、開発もサーバーサイドからフロントエンドまでカバー範囲が広いからこそ、向いているように感じますね。

#### balloon and-engineer left 
企業勤めから独立してフリーランスとして活動するメリットや楽しさ、デメリットや苦労することも両面あるかと思います。
それぞれきらぷかさんはどのように感じられますか。

#### balloon kirapuka right
独立してよかったのは、やっぱり**色々なお客さん・案件に関われること**ですね。
企業勤めだと1つの案件やプロダクトに深く関わるので、**設計の見直しなどのチャレンジはしにくいですし、視野も広がりにくい**と思います。
もちろん、突き詰めていくことでその言語や領域の深堀りはできるので、どちらが良いかは難しいですが。

#### balloon kirapuka right
フリーランスで**色々な案件に関わることで「こういう案件だとこういう点が重要」みたいな経験で視野が広くなっていきますし、設計を思考できる回数が案件数に比例して増えていくので、設計面はかなり力をつけられる**と感じています。
ここは楽しくもあり実力にもつながるところで、今後のキャリアにつながるポイントになるなのかなと思います。 

#### balloon kirapuka right
デメリットとしては、**個人でやることが多いのでチーム作業の経験は少なくなる**ことですね。
また、自分より技術面でスキルが上の人がいないので、技術的なところで後ろ支えがいないっていうのも、精神的には厳しいところかなと。

#### balloon kirapuka right
企業勤めだと深堀りしていけるし、困った時には助けてもらえる。
ただ、関係者が多く一存で希望どおりに進めるのが難しいので、やりたいことができるかというと難しく、担当を持つため、別のことにチャレンジしにくいので視野が広がりにくい。

#### balloon kirapuka right
フリーランスだとその逆で、案件も自由に選べるといえば選べるし、色々な案件を通して視野が広がるし様々なチャレンジができる。
けれども、同じ組織の相談相手がいないので自分で何とかしないといけないプレッシャーが大きい。

#### balloon and-engineer left 
そうしたメリットデメリットを踏まえて、フリーランスとしての活動と個人開発をやるという判断はどう思いますか。

#### balloon kirapuka right
個人的には向いてるかなと思います。
色々なお客さんと話したり、業務を深く知ったり、様々なパターンを考えてみたりというのが好きなので、**常に新鮮な気持ちでいられて常に勉強しなきゃと思わせてくれる今の環境は好き**ですね。

#### balloon kirapuka right
それに**早起きしなくて良い**ですし（笑）。
自分でスケジュールをコントロールできる面はすごく働きやすいかなと思います。

#### balloon and-engineer left 
関係者が少なく希望どおりに進められるので、時間の使い方が自由という点は魅力的ですが、甘えてしまうリスクもあると思います。
きらぷかさんの場合はご家族もいらっしゃるなかで、そのあたりのメリハリはどのように工夫されているのでしょうか。

#### balloon kirapuka right
家族がいるからだらけれないっていうのはあります。
**生活費と養育費と考えて、この辺まではしっかりという最低ラインが引かれるので、それが一番のプレッシャー**になります。
1人だったらもっと酷いと思いますよ（笑）。

#### balloon and-engineer left 
自分以上に技術ができる人っていうのが周りにいない状況ですが、それってプレッシャーやそれがネガティブになることってあるんでしょうか。

#### balloon kirapuka right
難しいですけど、プレッシャーの一方で自分が頑張るモチベーションの1つでもあります。
不安がないというと嘘になりますが、ある程度プレッシャーがある状況だとモチベーションが上がるタイプなのでそのおかげで頑張れていますね。

#### balloon kirapuka right
ただ、**むちゃくちゃ難しい案件は受けない**ようにしています。
案件を受ける前に「どのあたりまで考えていますか、こういう場合は契約変更できますか」と、結構深くまで話を聞くことが多いんです。
**自分が本当に対応できるかどうかのレベルまで話し合い、許容リスクのラインより厳しい要件は、考えられるリスクが許容できる範囲になるまで相談させていただいて**います。

#### balloon and-engineer left 
それはすごく大事そうです。ちなみにラインの引き方はどのような形なのでしょうか。

#### balloon kirapuka right
基本的には**「技術的な不安が無い」というライン**ですね。
ただ、中には「どうしても頼みたい」というお客さんもいるので、そういう時は「スキルセットや経験が足りず時間がかかる可能性がある」という話をして受ける形が多いです。

#### balloon kirapuka right
そこは包み隠さず、**発注する際のリスクや懸念をお伝えして、判断をお客さんにお任せ**します。
組み込みなど完全に畑違いのものはやはりお断りしています。

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フリーランスのエンジニアからたまに聞くのは、会社勤めが嫌になったから辞めて何か案件をつかみ取らないとと思って探し、外れくじをつかんでしまうケースです。

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最初だと、すぐに案件を取らなきゃという気持ちが焦って、無理な見積もりや条件で頑張ってしまいがちですよね。
自分はSIer企業に勤めていたからかもしれませんが、リスクを考えてバッファをとることが多いです。無理はいけません。

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そういうバランス感はすごく大事だなと、お話を聞いていて改めて思いました。

#### balloon kirapuka right
無理をして案件を受けてつぶれてしまっても、誰も幸せにならないですからね。 

## フリーランスに無理は禁物。石橋を叩きながら。

#### balloon and-engineer left 
読者には、これからフリーランスになりたい方や今フリーランスで今後の方針を考えている方もいらっしゃるかと思います。
5年前、10年前のきらぷかさんに近い方々に対して、なにかアドバイスをいただけますでしょうか。

#### balloon kirapuka right
やっぱり「無理はしないで」と。
僕も最初のころ結構無理をして辛かったり、怒鳴って来るような怖いお客さんから受注しちゃったりしたこともありました。
**焦りすぎずに、ゆとりをもって仕事をしてほしい**です。

#### balloon and-engineer left 
今のようにうまく回り始めた要因は何だったのでしょうか。

#### balloon kirapuka right
「運がよかった」が一番かなと思っています。
ただ、**会社員の間に個人開発をしてキャッチアップをしつつ、独立後に小さい案件で実績を積んでより大きな案件につなげていく、という流れは結構良かった**なと思います。

#### balloon kirapuka right
会社を辞めるのもいきなりじゃなくて、事前にどれくらいの単価でどういう案件が募集されているかを調べてから辞めるとか。
**事前にある程度は辞めても大丈夫かは確認**していました。

#### balloon and-engineer left 
会社員時代から、フリーランスでやっていくための準備をしていたんですね。

#### balloon kirapuka right
paizaのスキルチェックなど、**自分の技術力を客観的にも確認**していました。
Aくらいまで行けて年収1000万レベルと評価されたので、それなら大丈夫かなと安心できたり。

#### balloon and-engineer left 
しっかりと準備をする大切さを感じます。
フリーランスを目指す方にとって参考になるお話でした。
ありがとうございました！

めもらば ｜ いつも自由に 想いをかたちに

「積読ハウマッチ」を筆頭に多くのサービスを展開し、並行して受託開発なども行っている合同会社めもらば。個人開発と受託開発を両立する「めもらば」で開発を担当するのは、「フリーランス」のエンジニアであるきらぷかさんです。フリーランス…とても自由に見えて魅力的に思える反面、実際に活動していくには不安定さもあり苦労が絶えない面も。大手SI企業からフリーランスへ転向したきらぷかさんですが、その背景には何があったのでしょうか。フリーランスとして働く上での苦労や、個人開発に対する考えなどを伺いました。

きらぷかさん

独立を検討するなら個人開発などで独立前から手を動かして開発力を高めておいた方がスムーズ。

フリーランスでは適度なプレッシャーはだらけずに仕事をしていくうえでも大事。

フリーランスとして働くうえで無理は禁物であり、石橋を叩くようにリスク管理をしていくことは大切。

「めもらば」代表・きらぷか氏に聞く「個人開発とフリーランスエンジニア」のバランス感覚

アニメやゲームといった*クリエイティブ産業*に欠かせないのが、登場するキャラクターに命を吹き込む**「声」**。

またオーディオブックや駅での音声案内なども一般化しており、**音声の用途は年々多様になっています。**

しかし声の聞きやすさはアクセントや抑揚の調整など**話者の技術に依存**しており、*高クオリティの「声」を収録して利用するには、数十万はかかってしまいます。*

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