AIが70万通りの中から、一人ひとりに最適な枕をパーソナライズして提案・作成してくれる「THE PILLOW(ザ ピロー)」。オンライン上で日々の睡眠や枕に関する18問の質問に答えるだけで、最適な枕の形状や容量を1g単位で計算し、自分にぴったりの枕を届けてくれます。
本サービスを提供しているまくら株式会社は、14万人以上を対象にした枕の利用実態調査を実施。その結果、使っている枕に満足できない「枕難民」が半数を超えることが明らかに。エンジニアが自分に最適な枕を探すにはどうすればいいのか。「THE PILLOW(ザ ピロー)」のプロデューサーを務める大谷 恵さんと、同社で睡眠改善インストラクターとして活躍する益田 桃花さんに伺いました。
オンライン上で睡眠や枕に関する18問の簡単な質問に答えるだけで、AIがあなたの体型やBMI値のほか、睡眠リズムや寝姿勢、枕の好みなどを推測して枕カルテを作成。そのデータをもとに70万通りの中から最適な枕を作成。
最適な枕の高さと堅さは一人ひとり違う
まず、睡眠の質と枕の関係について教えてください。眠っているときに枕はどんな役割を果たしているんですか?
枕は布団やベッドなどの寝具と首のすき間を埋めるのに、重要な役割を担っています。睡眠時の良い姿勢は、立っているときの姿勢をそのまま寝たときに維持できること。首の自然なカーブを、横になったときにキープするには枕が必要です。
首のカーブは人によって違うのでしょうか。
はい、一人ひとり異なりますし、体型や体重によって寝具から首までの高さも変わってきます。そのため最適な枕はそれぞれ違うというわけです。
貴社には20年に及ぶ枕の販売と企画開発で、14万人にも及ぶ枕の利用実態データを取得していますが、それらの分析からどんなことが分かりましたか?
まず、枕を使っていない人が6.3%で、その割合は若い世代ほど高いことが分かりました。睡眠の悩みが比較的少ないからだと考えられます。また、枕を使わない理由としては「良い枕が見つからない」という回答が3割ほどで最も多かったです。バスタオルを枕にしている方も2割ほどいました。
当社のECサイトのランキングにもそういった「タオル枕」の商品が入ってきています。人気商品なので、低い枕を好む方もある程度いらっしゃるようです。
人によって枕の高さは違うんですね。ただ、自分にとって最適な枕の高さというのがよく分からないのですが。
そうですよね。利用実態のデータでも「枕の高さの好みは?」という質問に対して、「分からない」と答えている方が最も多かったです。
枕の標準的な高さというのはどれくらいなんですか?
当社では頭を乗せた状態での高さを基準にしていて、今回ご紹介する「THE PILLOW」では標準的な高さを6cmに設定しています。見た目の高さと、頭をのせたときの高さは当然変わってくるので、標準的な枕の高さは素材によっても変わってきます。
頭を乗せたときの高さが基準になってくるんですね。枕の素材については、今回の調査で何か分かりましたか?
綿の枕を使用している人の6割が不満を感じていることが分かりました。柔らかく沈みこむ素材なので、「頭をしっかり支えてくれない」と感じる方が多いのかもしれません。一方で、昔ながらの愛好家がいる「そばがら」素材や、体圧分散にすぐれた「ジェル」素材の枕は比較的満足度が高いようです。
枕の堅さについても、好みは本当に人それぞれなんですね。
AIが睡眠も分析してパーソナライズ
2023年にリリースされた「THE PILLOW(ザ ピロー)」が注目を集めていますが、他の枕と比べてどんなところが優れているんですか?
オンライン上で枕診断を行っていただくことで、一人ひとりに最適な枕を提案できることが大きな特徴です。その診断内容をもとに、AIが70万通りの中から、体型や睡眠リズム、寝姿勢、さらには枕の好みも考慮して世界でたった一つの枕を導き出します。
私も実際に枕診断を受けてみたのですが、普段の睡眠習慣についても質問するんですね。どんなカテゴリーの質問が設定されているんですか?
カテゴリーは4つに分かれています。まず1つ目は、性別や年齢、身長などの質問ですね。ここでBMIを出して寝具がどれだけ沈みこむのかなどを判断していきます。2つ目は普段の睡眠習慣についての質問で、睡眠スタイルよく眠れているか、寝ている途中に目を覚ますかなどを聞いています。
3つ目が、肩こり、首こり、いびきなど睡眠に関連した悩みについての質問になります。そして最後の4つ目が寝姿勢や枕の好みについてのカテゴリーになっています。
自分の枕の好みとAIの診断が逆になることもあるんですか?例えば、柔らかめの枕が好きだけどAIは堅めの枕を提案するなど。
BMIの数値が全体の基準になってくるので、枕の好みを反映しつつも回答者の体型を考慮しながら最適な柔らかさを提案します。例えば、スポーツをしているなど筋肉質の男性はBMIが高く、堅めの枕を基準に提案していきます。そういった過去のデータも反映されているので、BMIが高めの方には「堅めの枕」が提案される傾向にあります。
当社が支援しているアメリカンフットボールのチームでも、「THE PILLOW」を提供した選手のほとんどが「堅めの枕」という結果になりました。もちろん、BMIだけでは判断できないのでその他の回答や好みも反映してAIが提案しますが、BMIによって枕や寝具の沈みこみ方が大きく違うので、全体の基準になるということです。
なるほど。実際に提案された内容も見てみたのですが、枕の中が7つのポケットに分かれているんですね。
そうなんです。一つひとつのポケットに中素材をどれくらい入れるのか、枕診断の内容に合わせてパーソナライズしています。例えば、横向き寝をよくする方にはある程度の高さが必要なので、両サイドのポケットに素材を多めに入れるなど調整しています。また、素材の種類も変えられるので、首元のポケットだけ別の素材を詰めることも可能です。
ちなみに素材の種類はウレタンやパイプなど5パターンを用意しており、堅さがそれぞれ異なっています。
自分に最適な堅さや高さを導き出してくれるのはもちろんですが、睡眠の分析までしてくれるんですね。ちなみに、これは何パターンくらいあるんですか?
睡眠のリズムや時間、平日と休日の睡眠時間のバランスなどをもとに、20種類の睡眠タイプから最も当てはまるものを出しています。普段なかなか意識することのない睡眠の質をあらわすスコアも表示しているので、ぜひ参考にしていただければと思います。
枕が合わないときも永久的にサポート
「THE PILLOW 」はAIを駆使した画期的な枕ですが、開発のきっかけは?
構想自体はかなり古くからありました。近しい取り組みとして、Web上で質問に答えていただいて希望の枕を絞り込めるようなサービスを昔から提供しています。それでもオンラインで枕を選ぶ難しさはあるので、試行錯誤の結果たどり着いたのがAIです。「THE PILLOW」により、今まで以上にお客さまへ最適な枕を提供できるようになりました。
今までにない枕ということで開発が大変だったかと思いますが、特に苦労したのはどんなところですか。
BMIが全体の基準値になっており、そこがずれると枕の高さや硬さに大きな誤差が出てしまうので、数値の設定はかなり慎重に行いました。数値が本当に正しいのかどうか何度も見直しています。例えば小柄な方が高めの枕を使うと、首や腰に体圧が集中して身体の不調につながるので、BMIを基準に全体のバランスをとれるように数値を調整しました。
ちなみに「THE PILLOW 」で作成した枕が、万が一身体に合わないときは?
「THE PILLOW」は永久的にサポートを行っているので、診断結果をもとにした微調整のアドバイスや、寝心地の違和感、睡眠に関するご相談など、いつまでも対応していきます。コンシェルジュ常駐の専用サポートデスクもあるので、お気軽にいつでもご相談可能です。
私たちは「THE PILLOW」をご提供して終わりではなく、そこからお客さまとの関係が始まると考えています。普段使われている寝具の硬さによって枕の感じ方も変わってくるので、ご自身の布団やベッドでゆっくり試していただいて、合わない場合はいつでもメンテナンスさせていだきます。
永久的にサポートしてくれるのは安心ですね。実際に購入するときは、月額払いのサブスク型も提供されているんですね。「枕のサブスク」は新しいと思いました。
やはり枕をECで購入するときには「自分に合うかどうかわからない」という不安があると思います。そういった思いを持った方も、できるだけ気軽に始められるようにサブスク型のプランを始めてみました。
エンジニアの悩みを解決する最適な枕は?
デスクワークが多いエンジニアは、枕選びでどんなことを考慮すればいいですか?
目の疲れが肩こりや首こりにつながることもありますが、首をしっかり支えていないことでそれらが起こってしまうことも多いです。枕は高すぎても低すぎても身体の不調を引き起こすので、自分に最適な高さの枕を選ぶことが大切です。その前提として、自分の睡眠について改めて見直すと良いかもしれません。
自分の睡眠について知るには、どうすればいいんですか?
良い睡眠がとれているかどうかは、なかなか自分で分かりにくいと思いますが、いくつか自分で判断できる基準があります。例えば、「よく眠れているのか」については、寝つきが悪い、夜中に目が覚める、朝の目覚めが悪い、などのことがある場合には注意が必要です。また、「枕が合っているかどうか」については、朝起きたときに肩こり、首こり、腰痛、頭痛などの症状がある場合には、枕や寝具が合っていない可能性が高いです。
そういったお悩みに合わせて枕を選ぶこともできるんですか?
はい、最近リリースさせていただいた「THE PILLOW Preset シリーズ」では、ご自身が抱えている悩みに合わせて最適な枕を選ぶことができます。
従来の「THE PILLOW」とはどんなところが違うんですか?
こちらの「THE PILLOW Preset」では、課題に合わせて中素材の種類や充填量をあらかじめ22種類設定しています。例えば、お悩みが「いびき」であれば、それを解決するために最適な枕をお届けできるというわけです。
お悩みが明確にある方には良さそうな枕ですね。
「いびき」の他にも「肩こり」「ストレートネック」など22パターンでプリセットして、順次リリースしていく予定です。従来の「THE PILLOW」と同じく、こちらも永久的にメンテナンス対応しているので、一度使っていただいてから中の素材や充填量について調整は何度でも可能です。
首こりで悩んでいるエンジニアにおすすめの枕
「THE PILLOW」以外にも、エンジニアにおすすめの枕があれば教えていただけますか?
長時間のデスクワークによる首こりにお悩みの方には「スマートネックフィット」という枕がおすすめです。首こりが起こる原因として、枕で首元が支えられていないことが大きな原因としてあげられるんですが、本商品は首と枕の隙間をしっかり埋めてフィットするような形状になっています。
寝る時の姿勢は人それぞれですが、この「スマートネックフィット」は仰向き寝や横向き寝などにもフィットして自然な寝姿勢をキープします。気道の圧迫や肩のことをしっかり考えた構造になっています。
高さを変えられるシートも付いているので便利ですね。他にも人気の枕があれば教えていただけますか?
「THE EARTH PILLOW(アースピロー)」という枕があるんですが、こちらはメッシュ構造でとても通気性が良いので暑い時期には特におすすめです。水洗いもできて衛生的に使えると思います。
商品コンセプトが壮大ですね。どんな寝心地の枕なんですか?
頭をのせた瞬間に「ふわっ」と軽くなる心地良さが特徴です。睡眠時に首や肩にかかる重力負担が最小限になるよう設計されているので、エンジニアの皆さんのお悩みを解消できるかもしれません。
素材的には「3Dポリゴンメッシュ」を使っており、縦、横、斜め、さらには浮く、沈む動きにも対応した三次元構造になっています。地球の重力から頭部を守るために、高反発性と弾力性を備えています。
すごい!ペンが飛ぶんですか!?
そうなんです。この画像のようにペンを「THE EARTH PILLOW」に立てて押し込んで、その手を離すとペンがロケットのように飛び上がります。また、枕の位置によって異なる高反発力量を配置しているので、体圧を効率的に分散して、私たちの頭部や頸椎をしっかりと支えられます。
今回紹介した枕の他にも、世の中にはさまざまな枕があります。ただ、自分に合う枕を選ぶのはなかなか大変なので、オンラインですぐにできる「THE PILLOW」の枕診断や睡眠分析なども活用しながら、まずは自分の睡眠や体型に最適な枕を可視化していただければと思います。
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