「日本をピボットする」というミッションのもと、ビジネスパーソンの学びとなるコンテンツを毎日配信しているビジネス映像メディア「PIVOT」。2022年の本格稼働から急成長し、約1年間で登録者数は50万人に到達しました。2023年5月には、エンジニア向けオリジナル音声Podcast「PIVOT Growth Drivers」の配信をスタートしています。
コンセプトは「プロダクト開発に関わるすべての人が、明日活かせる学びを得られる音声番組」。現場の最前線で活躍するエンジニア、デザイナー、プロダクトマネージャーなどをゲストに迎え、日本のモノづくりを深掘りします。
具体的には、番組のなかでどのような学びを得られるのか。司会進行と聞き手を務める「PIVOT」のプロダクトマネージャー・蜂須賀大貴さんに、お話をうかがいました。
PIVOT株式会社
代表取締役: 佐々木 紀彦 設立: 2021年6月1日
配信日:毎週 水曜日朝配信(無料) エピソードの長さ:毎話30分程度 配信媒体:Spotify / Apple Podcast / Amazon Musicなど 聞き手:PIVOT プロダクトマネージャー 蜂須賀大貴
日本のモノづくりを深掘りする「PIVOT Growth Drivers」とは
「PIVOT」の概要を教えてください。
「PIVOT」は、東洋経済オンライン、NewsPicksの創刊編集長を歴任してきた佐々木紀彦が立ち上げたビジネス映像メディアです。新しい時代の学びとなるような映像・コンテンツを毎日無料で配信しています。ユーザーは、自社プロダクトであるiOS・AndroidアプリやWeb、YouTubeですぐに視聴することができます。
いろいろなプラットフォームで視聴できるんですね。
ええ、2023年6月時点でYouTubeのチャンネル登録者数が50万人を越えました。直近1ヶ月で10万人くらい伸びています。アプリやWebでも数十万のユーザーが利用しています。
どんなコンテンツを配信しているのですか?
今を代表する起業家やビジネスパーソン、クリエイターなどによる質の高いコンテンツをスピーディーに届けることを意識しています。
最近始まったものとしては、脳科学者の茂木健一郎氏がホストを務め、テクノロジーとサイエンスを深掘りする「EXTREME SCIENCE」という番組があり、AI・量子コンピューターの未来予測など、エンジニアに近い領域のテーマも取り扱っています。
他のビジネス映像メディアとの違いを教えてください。
テレビのクオリティで勝負できるところです。元NHKのプロデューサーなどテレビ畑出身のメンバーが番組をつくっているので、他の企業のビジネス映像メディアでは実現が難しいようなコンテンツを提供できるのは大きな強みです。
独自性のある映像メディアなんですね。2023年5月10日にエンジニア向け音声Podcast「PIVOT Growth Drivers」の配信がスタートしたとうかがっていますが、どんな番組なのでしょうか?
「プロダクト開発に関わるすべての人が、明日活かせる学びを選べる音声番組」がコンセプトです。毎週水曜日の朝に、Spotify・Apple Podcast・Amazon Musicなど各種プラットフォームに配信しています。通勤時間などいつでも好きな時間に聞けるので、忙しい方にもおすすめです。
プロダクト開発に特化した番組は珍しいですね。
私が聞き手となり、開発現場の最前線で活躍するエンジニアやデザイナー、プロダクトマネージャーなどのゲストをお招きし、ここでしか聞けない話しを深掘りします。
主軸の映像コンテンツではなく、音声コンテンツで配信することにしたのはなぜですか?
私たちは毎週のように「PIVOT」ユーザーへのインタビューを行っているのですが、そのなかで7割以上のユーザーが映像の視聴と併用して、音声だけを「ながら聞き」していることがわかりました。
例えば、通勤時間帯に電車に乗っている時は映像を視聴し、歩いている時は音声のみといったように使い分けをしている方もいます。私たちのコンテンツは対談が多いので、音声だけでも充分楽しめるんです。
忙しいと勉強時間を捻出するのが難しいので、通勤時間に学べるのは便利ですね。
「ながら聞きのニーズ」は予想外の発見でした。あらためて考えてみると「ながら聞き」をすることで、限りある時間を使って効率的にインプットできます。
プロダクト開発現場の「リアル」を紐解くコンテンツが必要
番組立ち上げのきっかけを教えてください。
テクノロジー系のコンテンツを増やしていきたいと思っていたのですが、テクノロジーってすごく広い領域なんです。それまでの「PIVOT」では、未来を見据えたもの、5年・10年先の実用化を目指す研究段階のものといった先進的なテーマがメインでした。
私自身エンジニア出身のプロダクトマネージャーとして働いているので、現場のリアルを取り扱ったコンテンツも必要だと感じて提案したのが始まりです。音声コンテンツなので、先ほどお話しした「ながら聞きのニーズ」にも応えられます。
たしかに現場のリアルを知りたいエンジニアは多そうですね。
会議で軽い気持ちで発言したのですが、「詳しいからMCもやって」とブーメランで返ってきました(笑)。開発現場を理解していてユーザーに近い属性ということで、テーマやお招きするゲストの企画から聞き手まで、メインで動いている感じです。
エンジニアのリアルなニーズをどのように汲み取り、番組づくりに活かしているのでしょうか?
私自身が、エンジニア出身でアジャイル系を中心に技術コミュニティなどに参加し、登壇もしているのでそこで得たニーズがベースです。社外のプロフェッショナルと日々のリアルな課題やトレンドを常にディスカッションしているので、現場での気づきを鮮度の高い状態で反映しています。
ゲストの人選はどのように行なっているのでしょうか?
あるテーマをより深掘りして、最適なゲストをお招きする場合が多いですね。場合によってはトレンドを取り扱い、その背景を紐解くようなコンテンツにすることもあります。
「PIVOT」のゴールはどのようなものなのでしょうか?
弊社のミッションは「日本をPIVOTする」です。私なりに解釈すると、コンテンツを通してインプットして学びを得てもらい、新しいポジションに挑戦する・フリーランスになってみるといった方向転換をサポートすることだと思うんです。「PIVOT」が成長し新しいチャレンジが増えた結果、日本のモノづくりの現場がよくなりイノベーションが生まれるといいなと考えています。
学ぶだけではなく、アクションを後押しするという点が新しいと感じました。
モノづくりに携わる人たちの情報格差を解消できるのも大きいですね。認知の特性上、目から情報を得ることが得意な人と耳から情報を得ることが得意な人がいます。どちらも同じくらいの割合で存在するのですが、テックブログなど文字情報はあふれているのに、音声・映像といった形の情報はまだまだ少ないのが現状です。
耳から情報を得ることが得意な人は、目から情報を得ることが得意な人と比べ、不利だといえます。「PIVOT」が、音声・映像で学べるコンテンツを提供することで、情報格差を解消していきたいですね。
LINEフェロー横道稔さんと「プロダクトマネジメント」を深掘り
初回のゲストはLINEフェローの横道稔さんでした。プロダクトマネージャーの役割や顧客価値を最大化するための考え方について、とてもわかりやすく説明されていましたね。
そうですね、以前と比べて「プロダクトマネジメント」という言葉が広まってきているのを感じる反面、仕事内容や求められることは企業によってまだバラバラです。さらに、プロダクトマネージャーは周りから見ると、何をしているのかよくわかりません。
一方で、プロダクトマネジメントの考え方は、全てのビジネスパーソンにプラスになる視点だと感じています。横道さんには、国内外の現場のリアルな事例をもとに解説してもらいました。
横道さんとのやり取りで特に印象に残っていることを教えてください。
顧客価値への考え方です。「ユーザーの声を鵜呑みにしていいのか」「会社の方向性に合っているのか」「顧客が求めているものの本質は何か」をしっかりおさえることで、顧客の想像を超えた、本当にいいプロダクトづくりにつながると思います。
本質的な顧客価値を見極める視点は、目の前の業務や成果に追われるとつい忘れがちです。しかし、プロダクトマネージャーのみならず多くの職種で必要なものだと考えています。
なるほど。今のお話も踏まえ、プロダクトマネージャーに必要なスキルとはどんなものなのでしょうか。
どんな時でも「顧客の価値」と向き合い続けることです。言葉にすると簡単ですが、本質的に理解して実現できている人はまだまだ少ないのではないのでしょうか。番組では、プロダクトマネージャーや周囲のメンバー、海外の事例を踏まえて多角的に話しているので、そちらもぜひ聴いてみてください。
「プレーリーカード」坂木茜音さんが語る「愛される体験のつくり方」
2人目のゲストは、デジタル名刺サービス「プレーリーカード」の共同代表・坂木さんでした。どのようなテーマでお話をされたのでしょうか。
ユーザーに愛される「体験のつくり方」について対談しました。「プレーリーカード」は、スマートフォンをかざすだけで交換できるデジタル名刺です。非常に話題になっているプロダクトで、その理由はただ単に便利であるだけではなく、体験のつくり方にあると思っています。
特に印象に残ったお話しを教えてください。
オリジナルデザインのデジタル名刺をつくると、ユーザーの手元にはまるで結婚式の招待状のような高級感のある封筒で紙の名刺が届きます。開けた瞬間の感動までデザインされていて、届くと嬉しいですし大切にとっておきたくなります。
素敵ですね。プロダクトに込めた思いが伝わってきます。
デジタル名刺のサービスって、温かみがないと思われがちですが、むしろ人と人との繋がりを大切にしているプロダクトだと感じました。番組では、プレーリーカードが生まれた背景や原体験についてもうかがい、顧客体験をつくるにあたって活かせるヒントがたくさんありました。
ユーザー目線に立って疑問を深堀りする
他のエンジニア向けコンテンツにはない「PIVOT Growth Drivers」の強みを教えてください。
その業界の事情や奥深さを知っているからこそ、深掘りできることがあります。現場で実際に働くプロダクトマネージャーの私が「PIVOT Growth Drivers」をする意義は、そこにあると思うんです。ユーザーと同じ目線でリアルなことを徹底的に深掘りするのが、私の使命であり番組の要だと思っていますね。
また、話の深さだけではなく「話の関連性」にもこだわっていきたいです。エンジニアだけではなく、プロダクトマネージャーやデザイナー、さらに研究者やマーケターなどモノづくりに関わる全ての方との対談を配信することで、ユーザーの引き出しが増えたり興味の幅が広がったりするきっかけになればと考えています。
深さと広がり、どちらも兼ね備えているメディアは貴重だと思います。配信後の反響で印象的だったものを教えてください。
ゲストが1人で話すのではなく対談形式なので、もう1つ深い視点が加わる点を評価いただいています。メディア出演の多いゲストでも、新しい切り口が提供できている点が好評です。
その他にも、日々SNS上でうれしい声や反省すべき声をたくさんいただいていて、課題とやりがいを感じています。横道さんとの話にもつながるのですが、ユーザーの声をもとに番組の本質的な価値をいかに高めていくのか、プロダクトマネージャーとしての腕の見せどころですね。
今後は各社のアウトプットを支援する施策も
「PIVOT」の今後の展開について教えてください。
今はとにかくYouTubeチャンネルのグロースが目標です。ただ、来年の2024年には「PIVOT」そのものが次のステージに移行しようと考えています。まだ詳しいことはお伝えできないのですが、私もプロダクトマネージャーとして、その準備に日々奔走しています。
「PIVOT Growth Drivers」ではどのような取り組みを考えていますか?
「日本をピボットする」というミッションを達成するには、ユーザーがコンテンツを通してインプットするだけではなく、アクションを起こしてもらう必要があります。しかし、現状はアウトプットの支援ができていない状態です。今後は番組として、勉強会やオンラインセミナー、スクール事業など、さまざまなアウトプットにつながる施策をしていきたいですね。
これからどのような方がゲストとして出演する予定なのでしょうか?
有名な経営者や新卒でGAFAに入社した方など、素晴らしい方々が名を連ねています。メディア出演経験がない方でも、ユーザーのみなさんが聞きたいと思う話ができる方はどんどんお招きする予定です。
話を聞きたい方や深掘り して欲しいテーマがあれば、ご連絡いただけるとすごく嬉しいです。Twitterで「#PIVOT」をつけてつぶやいていただくか、私のTwitter DMまでご一報ください。
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