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G検定レベルの知識を遊びながら学ぶ「AIカルタ」。AIのトレンドをどこまで学べるのか?
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G検定レベルの知識を遊びながら学ぶ「AIカルタ」。AIのトレンドをどこまで学べるのか?

岸 裕介
2023.06.07
この記事でわかること
スキルアップAI株式会社が提供する学習プラットフォームとは
遊びながら本格的に学べるAIカルタの概要と開発背景
AIエンジニアとして求められる知識と今後のトレンド

実践的なAI学習プログラムや人材育成プログラムを提供するスキルアップAI株式会社。創業5年で大手企業を中心に500社以上にプログラムを提供しており、AI学習プラットフォーム「スキルアップAI」では、AIの知識を体系的に学ぶことができます。日本ディープラーニング協会認定第1号プログラムとして、人工知能の資格試験で難易度の高いE資格※の合格者を多数輩出するなど、AI業界の人材育成に大きく貢献しています。

そんなスキルアップAI株式会社が開発した「AIカルタ」では、豊富な解説とイラストで分かりやすく、AIの基礎から実践的な内容まで学ぶことができます。さらに、AIを事業活用するための知識を問う検定「G検定」の試験対策にも使えるとのこと。カルタで学べるキーワードやAIの最新トレンドについて、同社でラーニング事業部マネジャーを務める安藤悠太氏にお話を伺いました。

※E資格……一般社団法人日本ディープラーニング協会が実施するAIに関する資格。国内の人工知能の資格試験としては最高難易度の試験として知られている。
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AIカルタ

累計8万人以上のAI人材の育成を行ってきた、AI人材育成のプロフェッショナルファーム、スキルアップAIが製作。50個のキーワードを説明文とイラストで学べる(読み札50枚、取り札50枚)。

G検定※頻出ワードを多数収録。JDLA(日本ディープラーニング協会)推薦商品。

※一般社団法人日本ディープラーニング協会が実施するAIに関する検定試験および民間資格。ディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して、事業活用する能力や知識を有しているかを検定。

スキルアップAI株式会社

代表取締役: 田原 眞一 設立: 2018年5月1日 従業員数:184名(業務委託含む)※2022年10月現在

ノーコードツールの出現で非IT人材もAI理解が急務に

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岸 裕介

御社の社名でもある「スキルアップAI」とは、どのような事業なのでしょうか?

安藤さん

Pythonや数学の基礎から機械学習、ディープラーニングまで実践的に学べる学習プラットフォームの運営です。AIを体系的に学べる日本初のプログラムがあり、未経験レベルから日本ディープラーニング協会のE資格取得レベルまであらゆる方に合わせた教育サービスを提供しています。

岸 裕介

エンジニアが在籍する会社からの依頼が多いのでしょうか?

安藤さん

意外にそうでもありません。ユーザー側の企業さんも多いです。今はノーコードで作れるツールも多いので、画面上で選択していくだけで予測モデルや画像認識モデルを作ることができるため、エンジニア中心の企業でなくともAIに触れる機会は多いです。またデータ活用やデータ分析の基礎の部分での研修の要望も多いです。

安藤さん

ノーコードとはいえ、AIが出した答えをどう解釈すべきなのか、作るときにどんなことに気をつけなければいけないかなど、AIの仕組みを理解しておく必要はあります。そこで当社の「スキルアップAI」の研修で、データ分析やAIについて学んでいただいています。

岸 裕介

なるほど。研修では具体的にどのようなことが学べますか?

安藤さん

実際に自社のデータに基づいて売り上げの予測をしたり、検品の正確性を高めたりするなど、かなり実践的な内容が多いです。いわゆる動画学習は事前学習という位置付けで各自理解を深めてもらい、ライブ配信や対面講義で実践的な内容に取り組む構成が多くなっています。

安藤さん

実務経験豊富な講師から実務に活かせる内容を学ぶことができるため、データを扱った経験の少ない会社でもデータ分析の活用方法を具体的にイメージできるようになります。医療AIや気象データ講座など、専門領域に特化した講座も用意しています。

岸 裕介

AIのトレンドとして、今どんな分野が注目されているのでしょうか?

安藤さん

さまざまな分野が注目されていると思うのですが、個人的なトレンド感でお話をすると、自然言語処理が急速に伸びていることを実感しています。

安藤さん

AIが得意とする「画像認識」、「音声認識」「予測」のここ数年の伸びに比べて、「自然言語処理」は他の分野と比べると内容が難解なこともあり開発・活用が遅れていた印象でした。しかし今話題になっているChatGPT含め、近年急速に技術的な進化が進み、広く使われるようになってきています。

岸 裕介

ChatGPTは世間的にも大きな話題になりましたよね。

安藤さん

はい、ChatGPTは2020年に発表されたGPT3という言語モデルを元に作られており、今はGPT4にバージョンアップされているのですが、新しいモデルが発表されてから2年ほどで一般活用されています。技術の進歩も速くなっていますが、社会実装の速度も上がっていることを実感しますね。

G検定レベルの単語を学べる「AIカルタ」

岸 裕介

遊びながらAIを学習できる「AIカルタ」はどのようにして生まれたのでしょうか?

安藤さん

たくさんの人にAIをより身近に楽しんでいただく目的で開発しました。AI関連の勉強をしたことのある方なら、一度は見たことのあるような単語が並んでいます。日本ディープラーニング協会のG検定で頻出するキーワードを中心に収録しているため、テスト対策の一環としてもおすすめです。

岸 裕介

制作にあたり、工夫された点などはありますか?

安藤さん

カルタなので絵があるのですが、AIの概念的な言葉をどう図示するかは色々と議論しました。デザイナーさんがAIに詳しいわけではないので、どう分かりやすく絵や図にするかは苦労した部分ですね。AIの知識がない方に、どう教えたら簡単に理解できるか、私たちも学びながら作りました。

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岸 裕介

「想像以上に本格的」「IT企業の飲み会にピッタリ」などといった口コミもあるようですが、安藤さんはユーザーからどのような反応を感じられていますか?

安藤さん

企業で購入いただくことも多く、AI研修の導入として、アイスブレイクも兼ねて使っていただいています。人数がいると盛り上がるので、企業の研修にはもってこいのようですね。また、展示会などで置いていると、関心を持っていただくことが多いです。Amazon Alexaスキルに対応しており、Alexaが読み札を読み上げてくれるため、1人で学習するときにも使えますよ。

エンジニアが知っておくべきAIキーワードとは?

岸 裕介

「AIカルタ」の中から、エンジニアが知っておくべきキーワードをご紹介いただけますか?

安藤さん

今後エンジニアが気にしておいた方が良い単語としては、「XAI」ですかね。簡単に言うと「説明可能なAI」ということですが、AIの社会実装が進むにつれて重要になってくると思います。

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安藤さん

基本的にAIはブラックボックスなので、回答の根拠がわかりません。例えば「明日の天気は?」と聞いて「晴れ」と返ってくることはあっても、なぜ晴れという回答を導き出したかは分からない。雨雲や気圧の流れなどのデータについて気象予報士が解説してくれるのとは異なり、計算結果の「晴れ」という回答しか示されません。

岸 裕介

なるほど。

安藤さん

でもデータの根拠が見えないと困るケースが多いんです。例えば、企業が顧客対応にチャットAIを導入するケースが増えていますが、そこで差別的な回答をすると企業の信用は一気に失墜してしまいます。あるいは、自動運転で人を検出できなかったら、なぜ人を検知できなかったのかを解明する必要があります。そういったときにAIの各プロセスを可視化したり、入力変数と出力結果の関係を示すなどにより、AIが導き出した回答を説明可能にするという技術です。

岸 裕介

確かにそれは重要ですね。説明ができずに差別的な回答がされてしまったら、AI導入自体を取りやめる企業も増えそうです。

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安藤さん

はい。ですから、XAIでAIの品質を担保し、改良を加えていくということはとても重要です。何か問題が起こったときにも、どの工程で不十分な点があったのか、責任がどこにあったのかが議論できるようになります。

AIカルタで学ぶG検定頻出キーワード

岸 裕介

AIエンジニアを目指している方が知っておくべきキーワードはありますか?

安藤さん

いろいろありますが、一つ挙げるとすればAIの学習方法についてでしょうか。AIの学習方法には、教師あり学習・教師なし学習というものがあります。

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安藤さん

教師あり学習というのは、AIの学習において、人間が正解を与えた状態で学習させる手法です。例えば犬と猫の画像を見分ける学習をさせるときに、正解の犬の画像はどれか、人間がラベルをつけて示すということです。

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岸 裕介

教師なし学習はどういったものでしょうか?

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安藤さん

教師なし学習の中のクラスタリングでは、いろいろなものがある中で似たものをグループ化することができます。例えばたくさんの花の写真がある場合、分類数を指定してあげるとAIが「赤い花」「白い花」「青い花」のようにグループ化してくれます。学習データやラベル付けが不要であり、時に予想外の結果を得られることもあります。

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岸 裕介

なるほど。

安藤さん

教師あり学習と教師なし学習の中には、線形回帰やサポートベクターマシーン、k-means法、主成分分析など多数のアルゴリズムが存在します。 これらはG検定でもよく出てくる内容なので、それぞれの特徴をよく理解しておくと良いと思います。

AIエンジニアの需要と今後のトレンド

岸 裕介

スキルアップAIではAI人材の採用支援も行われていますが、AIエンジニアの需要は高まっているのでしょうか?

安藤さん

そうですね、AIは全ての仕事において自然に組み込まれていっていますし、より多くの分野で今後AIの技術は求められていくと思います。

安藤さん

例えばGmailの迷惑メールの自動振り分けもAIが処理していますし、特定のサービスを購入するときの自動チャットや、スマホで写真を撮るときに人にフォーカスが当たる技術もAIです。さまざまな場面でAIが活用されているので、AIエンジニアに限らずどんな仕事をしていても自然とAIに関わっていくでしょう。

岸 裕介

エンジニアをしていれば、どのような分野でもAIが関わることになるのですね。

安藤さん

自分が開発しているサービスの一部にAIが使われることも増えてくるので、AIの仕組みを理解しておくことは全てのエンジニアにとって大切だと思います。

岸 裕介

御社ではAI人材の育成経験を活かして、エンジニア人材の紹介も行われているそうですね。

安藤さん

はい。スキルアップAIが独自開発したアセスメントサービス『SkillCheck AI』を用いて、人材の強みや得意領域を定量的に可視化し、企業のニーズとマッチした人材を紹介しています。企業の中に入って人材育成や組織構築を行っているからこそ、人材ニーズを精度高く認識し、求職者の志向とスキルに合った人材紹介が可能です。

岸 裕介

最近急速にAIの導入が増えている事業はありますか?

安藤さん

今までは製造業の製造ラインの検品作業や、コールセンターでの質問の振り分けなど、企業の内部でAIを活用することが多かったように感じます。でもAIの精度が上がっていくにつれて、今後はtoCサービスにもAIの活用が増えていくのではないでしょうか。

岸 裕介

AIエンジニアとして働きたい場合、どのような経歴や経験が役立ちますか?

安藤さん

現在AI開発の主流はPythonなので、Pythonの経験がある方はとっつきやすいでしょう。また統計学や数学に知見があると良いですね。自分が向いているか向いていないかを判断する意味合いも含めて、一度G検定を受けてみることをおすすめします。

岸 裕介

安藤さんが今着目している分野はありますか?

安藤さん

私自身が現在注力して取り組んでいる分野に量子コンピュータがあります。スーパーコンピュータの開発が進み、計算速度はとても向上していますが、それでもまだまだ足りない領域が存在します。例えば建築資材や衣類など新しい素材を作りたいときにどのような物質を組み合わせれば良いのか、新薬を作るときにどんな化学合成が良いのか。さらには、渋滞を無くすために道路を走っている自動車それぞれの目的地と交通量を考慮し適切な進路を割り出したいなどです。

安藤さん

量子コンピュータはまだまだ開発途上であり、よくニュースなどで言われているような「スーパーコンピュータと比較して何でも爆速で計算できる」わけではありません。ただ、量子コンピュータが解くのが得意な問題というのは徐々に分かってきていますので、いわゆるノイマン型コンピュータと併用するような形で、私たちの生活に大きな変化をもたらしてくれるであろうと予想できます。社会全体がさらに大きく変わると考えられています。

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ライター

岸 裕介
大学卒業後、構成作家・フリーランスライターとして、幅広いメディア媒体に携わる。現在は採用関連のインタビュー記事や新卒採用パンフレットの制作に注力しながら、SaaS企業のマーケティングにも携わっている。いま一番関心があるのは、キャンプ場でワーケーションできるのかどうか。
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