エンジニアにとって、エナジードリンクを飲みながら長時間の作業に没頭するのは“あるある”ではないでしょうか。時には徹夜が続いてしまう…ということも。眠気に負けそうになったとき、エンジニアの新たな相棒となってくれる飲料が「KILLER COFFEE」です。
苦み・甘みで“眠気を殺す”という斬新なコンセプト&デザインを開発したのは、サントリー食品インターナショナル株式会社。缶コーヒー業界を牽引するサントリーが、なぜ今新たな挑戦をおこなったのか。味わいへのこだわりと開発までの道のりを、サントリー食品インターナショナルのKILLER COFFEE開発担当者に伺いました。
KILLER COFFEE
【商品名】:KILLER COFFEE 覚醒ビターBLACK、KILLER COFFEE 覚醒スイートLATTE 【容量】245g缶 【希望小売価格(税別)】 144円 【販売チャネル】Amazonストアページ、一部大学生協 ネクスコ東日本、中日本、西日本のサービスエリア内自販機 ※一部取り扱いのない自販機あり
“眠気を殺す”KILLER COFFEEとは
「KILLER COFFEE」とはどのような商品なのでしょうか?
2022年12月6日に新発売した、“眠気を殺す”缶コーヒーです。「KILLER COFFEE(キラーコーヒー) 覚醒ビターBLACK」と「同 覚醒スイートLATTE」の2種類があり、カフェイン含有量の多さや、「苦み」「甘み」で“眠気を殺す”味わいが特徴です。眠気に負けている場合じゃない、試験前の学生さんや、運転中の方、仕事中の方に向けて開発した商品です。
眠い時に缶コーヒーを飲む方もいますが、今まで“眠気を覚ます”ことに特化した缶コーヒーはありませんでした。
はい。コーヒーはどちらかというとリラックスできる商品が多かったと思います。コーヒーはエナジードリンク同様カフェインを含む飲料でもありますし、刺激に特化したコーヒーがあってもよいのではという発想から生まれたのが、今回の「KILLER COFFEE」です。
エナジードリンクのコーヒー味というのは見かけますが、「KILLER COFFEE」はコーヒーのジャンルなんですね。
ええ、あくまでコーヒーでありながら、“眠気を殺す”というコンセプトにこだわった商品となっています。
普通の缶コーヒーよりも大きいサイズなのも特徴的ですね。
そうですね。通常の缶コーヒーは190g程度のものが主流で、工事現場の方々が10〜15分の短い休憩時間中に飲みきれることを想定した量になっています。一方、今回の「KILLER COFFEE」は245gと通常よりもサイズが大きいです。1本でしっかり満足したい学生や、すぐに飲みきる必要はなくむしろゆっくりコーヒーを楽しみたい社会人に向けて開発したからこそ、このサイズとなっています。
ロング缶のコーヒーは最近あまり見ないので、大きさも斬新に感じました。
当社の缶コーヒー全体でも、地方で一部販売されているだけで全国的に発売しているロング缶の商品はありません。サイズの面でも“違和感”を感じていただければと思いました。
今はどんな場所で買えるのでしょうか?
Amazonと大学生協、全国の高速道路沿いの自動販売機にて発売しています。
Amazonでも購入できるんですね。発売は2022年12月でしたが、発売後の反響はいかがでしたか?
Amazonのコーヒーランキングで1位を獲得したり、大学生協でもエナジードリンクと同じくらい売れていたりと、多くの方から反響をいただいています。発売時がちょうどW杯が開催されている時期だったため、放送を観た後に徹夜明けで仕事に向かう方々に見つけていただき、飲んでいただけたようです。メディアでもそのように取り上げていただけて、海外のスポーツ中継を見る方にも支持される商品だと、意外な発見がありました。
W杯やWBCでは深夜や早朝に試合があるので、仕事中が眠いという声は多かったですよね。まさに時代のニーズに合った商品ですね。
尖ったネーミング「KILLER COFFEE」が生まれた経緯
“眠気を殺す”というのがとても印象的なコンセプトですが、これはどのように生まれたのでしょうか?
缶コーヒーは工事現場で働く方を中心に、ミドル〜シニア世代の方に支持されています。普段コーヒーを飲まない学生や若い社会人などの層にもコーヒーを飲んでもらうために、リラックス出来たり、カフェインや苦味などの刺激で目が覚めたりするコーヒーの提供価値のうち、刺激の部分にフォーカス したコーヒーを考えたらどうか、という話から開発が始まりました。
なるほど。
学生の皆さんは試験勉強の追い込みのときや、若い社会人の方々は答申の前に気合いを入れるなど、“ここぞのとき”にエナジードリンクを飲むことがあると思います。そんな方々にエナジードリンクだけでなくコーヒーという選択肢もあるんだと知ってほしい、そのためには強く瞬時に印象に残るコンセプトワードが必要だと思い、チームで議論した結果、「眠気を殺す」「KILLER COFFEE」というキーワードが生まれ、そこから商品のデザインや味わいが決まっていきました。
「KILLER COFFEE」というネーミングについては、社内で議論はあったのでしょうか?
そうですね、「KILLER」という言葉が強すぎるのではないかという声が社内であがりました。そういった社内の懸念を払しょくし、消費者のみなさまにも誤解を招くことがないようにデザインや商品ポスターのコピー・説明文・注釈等は最後の最後まで微調整を実施し社内でギリギリまで議論しました。実際に販売した後に確認した結果、当初懸念していた悪い印象を受ける方はおらず、むしろパッケージやネーミングを「カッコいい!」と評価してくださる方が沢山いらっしゃって努力が報われた思いでした。
ネーミングが決まった後はどのように進んでいったのでしょうか?
「KILLER COFFEE」という言葉が決まったことで、デビルのようなイメージも湧いてデザインの方向性が固まっていきました。ただ、デザインの着地までにはいろいろと試行錯誤しましたね。
どのような苦労があったのですか?
最初のデザインはもっとロックなイメージで、開発チームの中では「かっこいいね」と話していたのですが、消費者調査をしてみたところ、全く評価されませんでした。「コーヒーらしい品質感」があまり感じられなかったため、「美味しそうじゃない」「質が悪そう」と言われてしまったんです。コーヒーは品質が重要な飲料カテゴリーなので、デザインでもコーヒーの美味しさを伝えることが大切だと気付かされました。
なるほど。それで今のデザインになったのですね。
現在のデザインをよく見ていただくと、デビルのキャラクターではあるのですが、「紳士的なデビル」のデザインになっているのが分かっていただけると思います。シルクハットを被って、ソーサーとカップでコーヒーを飲んでいます。
確かに、言われてみると細かい部分に紳士さを感じますね。
「KILLER COFFEE」というコンセプトを体現しながら、コーヒーの美味しさ・品質が損なわないデザインになったと感じています。発売後、このコンセプトとデザインについて反響をいただいており、グッズが欲しいという声まであがっています。たくさんの好評の声をいただき、デザインにこだわって良かったと改めて実感しています。
コーヒーらしさを損なわない味への追求
コーヒーでありながら刺激的な“眠気を殺す”商品にするためには、味に関しても開発の苦労があったのではないでしょうか。
そうですね。「覚醒ビターBLACK」は眠気の覚めるような苦みが特徴ですが、コーヒーは苦味だけを強めていくと焦げ臭くなって、コーヒーとしての美味しさを感じなくなってしまうんです。そのため、苦さはありながらもコーヒーとしての美味しさを両立できるよう、開発部署で何度も試行錯誤してきました。
発売後の反響はいかがですか?
実際に飲んだ方からは「缶コーヒーらしい味わいはあるが、渋みが美味しい」「苦味がそこまで強くないのにエナジードリンクと遜色ないくらいのパンチがある」などの声をいただいています。
試行錯誤された成果ですね。「覚醒スイートLATTE」のこだわりもお伺いできますか?
はい。こちらも甘さが強い中でも、コーヒーらしさを感じていただけるように開発しました。甘みの度合い・方向性は無限にあるので、どの甘さならコーヒーとの美味しさと両立できるのか、さまざまな強さや方向性での味を試していきました。開発期間は社員みんなで日々飲み比べていましたね。若いお客様はフラペチーノなど甘い飲み物もよく飲まれるので、それも踏まえてある程度強い甘さがあっても良いのではないかと、いろいろと検討を重ねました。
発売後の反響としてはいかがでしょうか。
お客様の反応としては、「コーヒーの美味しさがあるのに苦味があまりなくて飲みやすい」「キャラメルマキアートみたい」といった声を頂いております。単に甘いだけでなく、コーヒーとしての魅力を感じていただけていて嬉しいです。コーヒーの苦味が苦手な学生さんには「覚醒スイートLATTE」が人気のようですね。ネーミングのとおり、しっかり甘いので、頭を使うエンジニアの方々にもおすすめです。
コーヒー自体へのこだわりについても伺えますか?
豆の焙煎加工を行っているサントリーコーヒーロースタリーのチームと一緒に開発を行い、ブラジル・エチオピア産を中心としたコーヒー豆を厳選してブレンドしています。深煎りの焙煎をすることで、豆の特性に合わせて苦みや美味しさを引き立てられるようこだわっています。
「覚醒スイートLATTE」では甘さを引き立てるために厳選された牛乳をふんだんに使用し、牛乳・砂糖とコーヒーとの最適なバランスを探りました。
開発にはどのくらいの期間がかかったのでしょうか?
サントリー内でも新しい試みだったため、通常の開発期間の倍となる1.5年ほどかけてじっくりと開発を行いました。先ほどお話しした通り、中身やデザインについても細かく検討を重ねています。容量も通常の缶コーヒーとは異なる245gにしているので、何本も飲むことを前提とした190gとは異なり、1本で満足感が得られる商品を開発できたのではないかと思っています。
「KILLER COFFEE」をエンジニアの勝負どころの相棒に
エンジニアへのおすすめのポイントはありますか?
ビジネスパーソンを応援したいという思いで“眠気を殺す”味わいの設計をしたので、長時間での仕事も多いエンジニアの方にはまさにおすすめの商品です。ぜひ、大規模な開発など「ここぞ!」という時に飲んでいただきたいです。また、勝手ながら私たち「KILLER COFFEE」の開発背景が、エンジニアの仕事と似ているように感じています。
どのような部分でそう感じますか?
「KILLER COFFEE」は尖ったコンセプトとデザインでロックな見た目なのですが、細かい部分の調整や試行錯誤、味・香りへのこだわりなど長い開発期間を経て、現在の商品にたどり着いています。エンジニアの方々が面白いサービスを作るため、細かい作業や検証を重ね、真剣に作業しているのと似ているように感じるのです。そういった“仕事への姿勢”という意味でも重なる部分があるので、エンジニアの方々にぜひ飲んでいただきたいですね。
たしかに、商品が生まれる過程がエンジニアの仕事と重なりますね。「KILLER COFFEE」の今後の展望を教えていただけますか?
エナジードリンクでも、リラックス指向でもない「眠気を殺すコーヒー」というのは、飲料業界において初めての商品だと思います。現在とても好評を頂いているので、今後もっと市場を広げ、より多くの人に試していただきたいと思います。皆さんが購入できる場所がまだ限られているので、販路をどんどん拡大していきたいですね。
また、エナジードリンクの味が好きじゃないけれど、眠気は抑えたいという方にもぜひ試していただければと思います。ぜひ運転中や仕事中の“ここぞ”という時に、「KILLER COFFEE」を飲んでみてください。
ライター
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