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エンジニアの成長を加速!面白法人グループのユニークな社内制度
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エンジニアの成長を加速!面白法人グループのユニークな社内制度

岸 裕介
2023.04.19
この記事でわかること
サイコロ給などユニークな社内制度が話題のカヤック社。社内制度が生まれる背景とは?
エンジニアが自由に作りたいものを開発できる「FTD」制度
エンジニアが立ち上げたグループ会社・カヤックボンドの社内制度

数々のプロモーション企画や「うんこミュージアム」といったバズるイベント企画開発、ソーシャルゲーム開発など多様な“面白”サービスで唯一無二の存在感を放つ面白法人カヤック。 面白いサービスを生み出す会社は、社内制度もユニーク。所属エンジニアたちも日々、クリエイティブ意欲を刺激される環境にいるようです。

今回は株式会社カヤック 管理本部/広報部長の梶 陽子さん、ゲーム事業部 ディレクター・Unity エンジニアの佐藤 宗さん、面白法人グループのエンジニアリング会社カヤックボンドで採用広報を担当する西村 朋香さんにお話を伺いました。

株式会社カヤック

設立:1998年8月3日 従業員数:577名(グループ)、270名(単体) (2022年12月末時点/正社員・契約社員)

株式会社カヤックボンド

設立:2011年6月20日 従業員数:86名(役員2名・従業員79名・フリーランス5名) (2022年10月7日時点)

カヤックでユニークな社内制度が誕生する理由

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カヤックの社員名刺は、すべて本人を漫画風に描いた「似顔絵名刺」
岸 裕介

面白法人カヤックといえば、ユニークな社内制度が度々話題となっています。どういった背景から独自の制度が生まれているのでしょうか?

梶さん

当社では会社にも人格があると考えていて、「面白法人」であるためにはどうあるべきか考えてきた結果だと思います。

梶さん

当社が考える面白法人には、3段階のステップがあります。 まずは自分たちが面白がろうっていうのが、第1段階目。2段階目に、周囲からも面白い人と言われる。3段階目に、誰かの人生を面白くする、世の中を面白くしていく。この3段階で、「面白法人」が出来上がると考えています。

梶さん

その第1段階である「社員全員・自分たちが面白がる」を体現するために社内制度を作っています。一番有名な制度で言うと「サイコロ給」ですね。

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岸 裕介

サイコロで給与を決めるという制度ですね?

梶さん

そうです。ボーナス的な賞与なのですが、評価だけではなく運に任せてみよう、給与自体も面白くしようということで、「サイコロ給」を実施しています。

梶さん

人は他人の評価ばかりを気にしていては、楽しく働けません。もっと面白く働いてほしいという思いが「サイコロ給」に込められています。他の制度に関しても、面白く働くことができるかどうかが肝となっています。

岸 裕介

そのほかにはどんな制度があるのでしょうか?

梶さん

カヤックでは、入社時も退職時もブレストをやるくらい、ブレストを大切にしています。中でも泊まりがけで1日ブレストを行う「ぜんいん社長合宿」はカヤックを象徴する制度です。全社員が社長になったつもりで、さまざまなお題に対してブレストし、アイデアを出していくというもの。次の日には発表や賞品も出ます。

岸 裕介

カヤック流のブレストのポイントとはどういったものでしょうか?

梶さん

カヤックのブレストで大切にしているルールがあります。1つは、「とにかく数を出す」こと。数を出すことを重視すると、人のアイデアを否定しなくなるんですよね。それはちょっと違うんじゃないか、とか言っていると数が出なくなるじゃないですか。なので、とにかくアイデアの数を出す。

梶さん

2つ目は、「乗っかる」ということ。数を出すためには全く新しいアイデアだけではなく、誰かのアイデアに被せていったり、一つのアイディアを膨らませていったりする必要があります。そうやって進めていくと、最初に言った人が誰かではなく、みんなのアイデアになっていくのです。

梶さん

自分を含めたチームのアイデアになれば、主体性が生まれます。そのアイデアを実現するときにも「責任を持って頑張ろう」と自分ごと化して考えることができる。このような形で、ブレストの一番の効用はチームビルディングだと考えています。

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面白法人カヤックのブレストを楽しみながら学べるカードゲームも。
岸 裕介

エンジニアもブレストでスキルアップやアイデア創出ができているのでしょうか?

佐藤さん

エンジニアも積極的にブレストに参加していますね。カヤックのブレストって、答えや解決策を見出すのが目的ではなく「アイデアがたくさんあれば深刻化しないし、アイデアに乗っかれば選択肢が広まる」という考え方なんです。エンジニアとしてというよりも、いち社会人として物事をポジティブに考えたり、挑戦的になる動きがしやすくなったりするというのが大きいと思います。

エンジニアが自由に開発できる「FTD」制度

岸 裕介

ゲーム事業部では開発制度「FTD(フリーにつくるダンジョン)」があるそうですね。

佐藤さん

はい。「FTD」は2020年8月に始まった開発制度で、つくりたい人が3人集まったら業務時間を使ってつくっていい制度です。1人あたり16時間が付与され、3人チームなら48時間を付与。さらにメンバーが増える毎にチームに16時間ずつ加算されます。与えられた時間はチームでどう割り振っても良いとしています。月末にはつくったものを発表してもらっています。

岸 裕介

どのような背景で作られた制度なのでしょうか?

佐藤さん

元々はボトムアップでも組織や事業をつくっていけきたいという思いから始まりまして、最初の頃はみんなで企画を持ち寄って、投票で選ばれた上位2企画がその月間につくっても良いという制度でした。

佐藤さん

ただ僕が事業部長に就任した昨年には参加者の数が落ちてきていたことと、コロナ禍で出社が減ってきた中、みんなが交流したり一緒につくれる機会を増やしたいという思いもあり、“3人集まればつくれる”というルールに改訂しました。

岸 裕介

2023年1月9日には、「FTD」制度を活用して制作されたゲーム『Hexrogue(ヘクスローグ)』が発売されたそうですね。

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「FTD」で開発されたSteamゲーム『Hexrogue』
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敵を攻撃する「村」、資源を獲得する「鉱山」「植林場」、装備品を作成する「工房」など必要な施設を自分のターンで建築し、敵を倒しながら島を開拓していく
佐藤さん

「ローグライトゲーム」と「箱庭ゲーム」をかけ合わせたゲームで、道や村を作りながらバトル要素もあるのがユニークです。ゲームが好きなエンジニアが自分自身が面白いと思う要素を組み合わせたゲームを考えてFTDを利用して開発したところ、社内でも評判が良かったのでPCゲームとしてリリースすることとなりました。FTDがボトムアップで製品を世に出せた一例となりました。普段の仕事ではつつくらないようなゲームに取り組み、技術・表現を極めたいときにも活用できる制度だと思います。

岸 裕介

「FTD」で作るのはゲームがメインですか?

佐藤さん

実は、そうとも限らないんです。例えばDIYで社内にバーカウンター作ろうとか、3Dプリンターの使い方を覚えたいから練習として何かやろうぜ、とか。子供向けのキャラクターアニメを作りたいという話もありましたし、かなり多岐に渡っています。

岸 裕介

エンジニアの部署でありながら、DIYもありなんですね!「FTD」はエンジニアの成長にもつながっていますか?

梶さん

同じ事業部でも作るゲームが違えば仕事で一緒になる機会がないので、「FTD」を通して新しい交流が生まれていると思います。そこから知識・ノウハウの共有があったり、お互いに勉強しあったりしているので、エンジニアの成長につながっていると感じています。

エンジニアが立ち上げた会社・カヤックボンド

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岸 裕介

カヤックのグループ会社、カヤックボンドでもユニークな社内制度がいろいろあるそうですね。具体的な内容の前に、カヤックボンドがどんな会社なのか教えてください。

西村さん

エンジニアが立ち上げ、エンジニアが運営している会社なので、クリエイターファーストという目線はすごく大切にしています。エンジニアはもちろん、PMや進行ディレクター、ゲームプランナーなど、さまざまな職種のクリエイターが成長できる環境を用意することに注力している会社です。

西村さん

受託開発事業でも、個人のやりたい案件に近づけるよう、一緒にキャリアを形成していこうと考えます。会社自体が「みんなのキャリアを一緒に考える」というスタンスですね。

西村さん

また、優秀なエンジニアが多いので、技術のキャッチアップがしやすく、異業種からの転向者でもキャッチアップできるのではないかなと。自分に合ったスキルや経験を、着実に伸ばしていける環境にこだわっています。

岸 裕介

面白法人グループで連携することもあるのでしょうか?

西村さん

そうですね、採用面でもカヤックとはよく連携していますし、月に1回開催しているエンジニアの勉強会では、カヤックのエンジニアにカリキュラム作成を手伝ってもらっています。案件を一緒に行うことも多いですし、グループのつながりを感じる機会は多いです。

岸 裕介

カヤックとカヤックボンドの社風で、違いはありますか?

西村さん

カヤックは“面白がる”スタンスを持った社員が多いと感じていますが、カヤックボンドは真面目な社員がほとんどですね。面白法人グループに準じてまだ1年ほどしか経っていないので、これからエンジニアの交流も活性化していきたいと考えています。今もカヤックのイベント「つくっていいとも」に、カヤックボンドのエンジニアも参加させてもらっています。

岸 裕介

「つくっていいとも」はどんなイベントでしょうか?

梶さん

有志を中心に毎月1回開催している社内イベントです。参加者自身が心から作りたいものを制作して発表します。FTDと違って事業部発信ではないので、自分の業務時間外で自由に制作して発表できる場です。

梶さん

コロナ前はオフラインの開催で、作ったものを見せ合ったり、プレゼンしたりして、審査員が自費で用意したビールなどを景品にしていました。今は主にオンライン開催です。「Webサイト「つくってみたラボ」には、「つくっていいとも」で発表された実験的な作品を数多く掲載しています。

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エンジニアに支持される、カヤックボンド社の社内制度

岸 裕介

カヤックボンドでは公認サークル制度というのもあるそうですね。

西村さん

はい、元々あった制度なのですが、カヤック面白法人グループに入ってより本格的になってきたサークル制度です。概要としては、部員から立ち上げの連絡があれば、それに応じて年間予算が付与されます。ある程度の費用補助が受けられる中で活動できるので、「ポケモン部」が初心者向けのスターターデッキを買って用意していたり、私は「ボードゲーム部」を立ち上げて、みんなでかるた大会を開催したりして楽しんでいます。社員同士の交流を図れるサークルが、どんどん立ち上がっています。

岸 裕介

他にも「シャッフルランチ」という制度も交流が生まれそうですね。

西村さん

隔週の水曜日に実施されていて、参加希望者はランダムに3〜4人に振り分けられてランチします。案件や部署・役職を超えて、普段話さないメンバーとも交流できる機会となっています。1,500円までシャッフルランチの補助費用が出るので、特に若手の社員たちがちょっといいランチを楽しんでいますね。

岸 裕介

「練習用サーバー貸与制度」はどんな制度ですか?

西村さん

これまでインフラ周りの経験がないものの、サーバーサイドエンジニアとして活躍していきたいと思っているメンバー向けに用意した制度です。自身で仮想環境を立ててみたり、実務に入る前の予習だったり、あるいは実務を行った後の復習にも使えるよう練習用サーバーを貸与しています。

岸 裕介

他にも、エンジニアに好評な制度はありますか?

西村さん

「セミナー支援制度」ですね。新しい技術のキャッチアップのために、外部の有料セミナーに参加する費用を会社から支給する制度です(全額or半額)。事前申請でほとんどの申請が通ります。また、「書籍購入制度」で技術書の費用も支給されるので積極的にスキルを高められます。

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カヤックボンド社の社内制度

社風に本当に合っているか? 長く続く制度は「参加型」

岸 裕介

社内制度を運営していく上で、心がけていることはありますか?

梶さん

カヤックのカルチャーは「最終的な部分は個人の自由意思に任せる」、「強制しない」というのが特徴的です。例えば、社内で長く続いている「サイコロ給」でもやらない人がいるし、それは個人の自由です。だからこそ、制度を作る側に熱意があって、会社の文化や理念に基づいた制度であり、かつ社員が面白いと思って乗っかってくれる制度でなければ、廃れていってしまう傾向にあります。カヤックの社員たちは新しいものに敏感で、飽きっぽい側面もあるので(笑)。

梶さん

うわべだけの制度は無くなるスピードも早い。面白く働く、作る人を増やすという社風に沿った制度を作ることを意識しています。そして、それぞれの制度にどんな意味があるのかは、全社の集会や経営者からのメッセージで明文化しています。

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出社率を増やすために社員のアイデアから生まれた焚き火会議室(カヤック社)
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夜になると従業員が楽しく語らう憩いの場に
佐藤さん

プレイヤーの視点で感じるのは、とりあえずやってみることと、ルールを決めすぎないということです。変にこねくり回さずに、まずは荒くても良いからすぐにやってみる。ルールは参加者と一緒に作って、ブラッシュアップしていく。そうすると、長く続く制度になりやすいのかなと感じています。

西村さん

カヤックボンドは、組織文化をより良く作り変えている段階で、どういう会社にすべきかをみんなで話し合っています。現場と経営層が一緒になって制度を作ることが重要だと考え、キャリア形成を考えるチーム、インフラ環境を整えるチーム、文化醸成のためのチームに分かれて制度づくりを進めています。社員も自分が策定に関わった制度であれば浸透しやすく、そこに「乗っかろう」という気持ちを持ってもらえるのではないかと。カヤックボンドらしい、誰もが取り組める「参加型」の制度を整えていきたいですね。

岸 裕介

では最後に、それぞれの今後の展望を教えてください。

西村さん

みんなでいろんな制度を作っていきたいと思っていますし、より面白くて働きやすい、家族に「良い会社」だと言えるような会社にしたいです。まだ会社のカルチャーを作る初期段階なので、ときには右往左往しながら、それを一緒に楽しんでいただける方に仲間になってもらいたいですね。

佐藤さん

私は昨年、事業部長として「FTD」を運用してきて、盛り上がった月もあればそうじゃない月もあったので、なるべく全員が1度は参加したと言えるような社内制度にしていきたいです。みんなを制度づくりも含めて巻き込んでいくことを意識しつつ、最終的にはビジネスでも貢献できるようなものが生まれてくれたらうれしいですね。

梶さん

今後はカヤックだけではなくグループ17社で連携しながら、会社を横断した制度も作っていきたいです。そうすれば、グループ全体のシナジーをより生かせるのではないかと。私たちらしい「面白さ」を追求しながら、働きやすく楽しい環境を実現していきたいと思います。

ライター

岸 裕介
大学卒業後、構成作家・フリーランスライターとして、幅広いメディア媒体に携わる。現在は採用関連のインタビュー記事や新卒採用パンフレットの制作に注力しながら、SaaS企業のマーケティングにも携わっている。いま一番関心があるのは、キャンプ場でワーケーションできるのかどうか。
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