エンジニアの仕事の質を大きく左右するマウス。1日8時間以上にもおよぶデスクワークにおいて、マウスは単なる入力デバイスではなく、作業効率と健康を両立させる重要なパートナーといえます。しかし、「軽量」「人間工学設計」「マルチボタン」など、近年のマウスは進化を続け、選択肢は多様化の一途をたどっています。
そこで今回は、東京・秋葉原の老舗パソコンショップ「パソコンSHOPアーク」に取材を実施。豊富な商品知識と、日々ユーザーの声に接している店舗スタッフの磯田尚輝さんに、エンジニアのためのマウス選びのポイントを詳しく伺いました。
形状やボタン配置、バッテリー持続時間など、購入時のチェックポイントから、最新トレンド、さらには意外な掘り出し物まで、マウス選びのすべてを徹底解説します。快適な作業環境を実現したいエンジニアの方は、ぜひお読みください。
エンジニアにとって、マウスは2番目に大切なデバイス
今回はエンジニアにとっても大事なマウス選びについてお伺いします。デスクワークを長時間行う人にとってマウス選びはどれくらい重要だとお考えですか?
マウスは、単なる周辺機器ではありません。長時間の作業に耐えるための相棒ともいえる存在です。直接手に触れる機器なので、モニターを除けば一番大事といってもいいと思います。
そんなに大切なんですね!
そうなんです。人によっては1日8時間以上マウスを使うこともあります。手に馴染まないマウスを使うと、疲労が蓄積し、最悪の場合は腱鞘炎になる可能性もあります。ですので、自分に合うマウスを慎重に選んでほしいです。
ちなみに、最近はどんなマウスがトレンドなのでしょうか?
最近は軽量化が大きなトレンドとなっています。ワイヤレス接続のマウスでも40g以下の軽量マウスが登場しています。
そんなに軽くなっているんですね。軽さも選ぶ際のポイントになりますか?
そうですね。軽さは操作感に直結し、長時間の作業でも手の疲れを軽減することにつながります。ただ、40g前後のマウスは高度な操作が求められるゲームをプレイする方などから人気です。エンジニアの方であればそこまで軽すぎなくても良いかもしれません。
人気PCショップ店員が伝授するマウス選びのポイント
ポイント1.マウスの形状
実際、エンジニアの方がマウスを選ぶときは、どのような点に注意して選べばいいのでしょうか?
最も重要なポイントとして挙げられるのがマウスの形状です。サイズ表記は同じでも、マウスの傾斜や高い位置が前後どちらにあるかで、持ち心地が全く変わります。こればかりは実際に触ってみないとわからないので、店舗で手に取って試すのがベストです。
なるほど。インターネットで見るだけでなく、実際に手に取ることが大切なんですね。
そうですね。自分の手にフィットするものを選ぶことで、腕や手首への負担を軽減できます。人によって使いやすいと感じる形状は違うので、自分に合った形を探してもらいたいです。
ポイント2.ボタンの数や機能性
他にもポイントはありますか?
次に注意してほしいのはボタンの数などの機能面ですね。通常のマウスは左右のボタンに加えてホイールボタンという3つが一般的です。ただエンジニアの方が使用するならその3つにサイドボタンを加えて、最低5つはボタンが欲しいです。
そんなに必要なんですね!
サイドボタンはプログラミングやデータ入力のシーンで、作業効率がかなり良くなります!また、最近の高機能マウスは専用ソフトウェアを使ってボタンの割り当てを変更できるものも多いので、自分好みにカスタマイズすればさらに使いやすくなります。こうした機能性も選ぶ際のポイントになります。
自分が使いやすいようにカスタマイズできるのはいいですね。
ポイント3.バッテリーの持ちが良いか
バッテリーについてはどうでしょうか?
バッテリーがどれくらい持つかというのも重要です。頻繁に充電が必要なマウスだと、作業中にバッテリー切れを起こしてストレスになりかねません。ご自身の使用頻度も考慮しながら選んでみてください。
そうですよね。どれくらいバッテリーが持てば良いという目安はありますか?
Bluetooth接続のマウスであれば、100時間程度のバッテリー持ちが理想的です。1日8時間程度作業しても、2週間程度バッテリーが持つので、充電の回数を減らせます。
また、マウスにはリチウムバッテリーが搭載された充電式と乾電池を入れるタイプがありますが、充電式がおすすめです。乾電池だと買い忘れてしまって使えなくなるリスクもあり、重量も重くなります。逆にマウスの値段を安く抑えたい方は乾電池のタイプも検討してもいいかもしれません。
必要な機能と予算を考慮しながら選んだ方がいいんですね。
そうですね。作業内容と予算などを決めてから来店いただければ、一緒に相談しながら選べるので、ぜひお店にいらしてください。
パソコンSHOPアークおすすめのマウス3選
おすすめ1.KeychronのM6
(引用:Keychron 公式サイト)
エンジニアにおススメのマウスを教えてください。
エンジニアの方に最もおすすめしたいのがKeychronのM6です。このマウスは、エンジニアが求めるすべての条件を兼ね備えています。
どんな特徴があるんですか?
まず、先ほどポイントにもあげたボタンの数ですが、8つもついています。特徴的なのがサイドにもスクロールホイールがついていることです。エクセルなどの作業で、上下だけでなく左右にもスクロールできるので、作業効率が良くなります。
サイドにホイールがあるのは珍しいですね。操作感はどうでしょうか?
重量は78gで軽すぎず重すぎないため、ちょうどよいと感じる方が多いと思います。マウス上部は大きくカーブしているため、手のひらを載せるように操作することができ、長時間の作業でも疲れにくいと思います。 バッテリーの持ちも、Bluetooth対応の機器ながら約80時間程度と、申し分ないです。
先ほどおっしゃっていたポイントも抑えられていて高性能ですね!
そうなんです。特にサイドのスクロールホイールは便利で、エンジニアの方にはおすすめです。
おすすめ2.LamzuのMAYA X
(引用:Lamzu 公式サイト)
他にもおすすめ商品はありますか?
軽量マウスを探している方におすすめなのがラムズMAYA Xです。重量が約47gとかなり軽量です。
とても軽いですね。その他の機能はどうですか?
形状も丸みを帯びていて、手のひらを乗せて操作するタイプなので疲労も感じにくいです。また専用のワイヤレス接続によって1秒間になんと4000回もの接続が可能です。ゲームやデザインなど、精密な操作に適しています。
4000回はすごいですね。
そうですね。本当に高性能なので、値段も高めですが、細かい作業をする方にはおススメできるマウスです。
おすすめ3.HITSCANのHyperlight
(引用:HITSCAN 公式サイト)
他にはありますか?
HITSCANのHyperlightもおすすめです。重量は約38gと先ほどのMAYA Xよりもさらに軽いです。
そんなに軽いんですね。こちらも細かい作業が適していますか?
そうですね。小型の設計になっているので指先での操作がしやすいです。軽くて小型なので、もちろん持ち運びにも適していますね。
知る人ぞ知るおすすめ商品は「トラックボールタイプ」のマウス
知る人ぞ知るというようなおすすめの商品はありますか?
トラックボールタイプのマウスもおすすめです。トラックボールのマウスは、手を動かすのではなく親指でトラックボールを回すことで操作します。また、人間工学に基づいてデザインされています。
どんなデザインなのですか?
人間の手の平は実は地面に対して平行ではなく、小指側を下げることが自然な姿勢なんです。このマウスはその自然な姿勢でマウスを握れるよう、上部が外側に傾斜しているので、手首などへの負担も少ないです。
(引用:logicool公式サイト)
疲労を軽減したい人におすすめですね。
そうですね。特に腱鞘炎になってしまっている人にもおすすめです。ただ、操作には慣れが必要なので、他のマウス同様、一度手に取って選んでほしいです。また、細かい操作にはそこまで向いていないので、作業内容によっては選択肢から外した方が良いかもしれません。
トラックボールタイプのおすすめ商品はありますか?
(引用:logicool公式サイト)
logicoolのERGO M575がおすすめです。乾電池式なのですが、単三電池で最長24カ月も使用が可能です。これだけ長く使えればストレスもないと思います。
マウスの使い方次第で疲労感がまったく異なる
マウスを使う上で、疲労を軽減するコツはありますか?
マウスを使うときは、握りしめるのではなく手の平を上に乗せるように使うことが疲労軽減のポイントです。握りこむと負荷がかかってしまうので、脱力するよう意識してみてください。そのためにも、自分の手に合ったマウスを選ぶことが大切です。
他に注意することはありますか?
マウス選びだけでなく、机と椅子の高さを適切にすることも大切です。
なるほど。これまで意識したことはなかったです。どれくらいの高さが最適なんですか?
椅子に座った状態で、腕をだらんとおろした時に、肘の高さが机の天板と同じになるように調整してください。椅子や机の高さを調整できない場合はマウスの下にマウスパッドなどを敷くことでも対策できます。
なるほど。椅子や机を買い替えるのはハードルが高いですからね。
そうですね。クッション性のあるマウスパッドを選べば、手首への負担を減らすこともできますので、ぜひいろいろ工夫してみてくださると幸いです。
<取材後記> 今回はエンジニアにおすすめなマウスを機能面や疲労軽減の観点から紹介していただきました。マウス次第で疲労感がまったく異なるそうですので、ぜひこだわって選びたいですね。一度パソコンショップに足を運んで手に取って選んでみると、あなたの仕事が数倍はかどるようになるかもしれません!
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