コロナ禍以降、在宅勤務やハイブリッドワークが主流になっていますが、長時間PC作業が必要なエンジニアにとって、リモートワークは便利なものの自宅の椅子は疲れを感じやすい、という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、働きやすい環境づくりのプロフェッショナルとして、チェアやデスク、ワークブースなどの製造販売や空間設計を行っている株式会社オカムラにインタビュー。話を伺ったのは、同社でチェアの企画・開発を担当し、担当した製品がグッドデザイン賞をはじめ数々のデザインアワードを受賞している杉山渉さんです。エンジニアにおすすめのワークチェアを教えてもらいました。
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■株式会社オカムラ
代表取締役:中村雅行 設立:昭和20年10月(1945年) 従業員数(単体):3,940名[2024年3月31日現在] オンラインショップ:https://www.okamura.co.jp/shopping/
■杉山渉
株式会社オカムラ オフィス環境事業本部 開発本部 アドバンスドシーティングデザインセンター 2008年入社。ワークプレイスに関わる製品の企画・開発を行い、執務用のシーティングをはじめ、会議用のチェアやテーブル、ソファ等のプロデュースを国内外で担当。担当した製品が日本のグッドデザイン賞をはじめ、数々のデザインアワードを受賞。
ワークチェア選びの前にチェックするべき「座り方」
![岸 裕介](/placeholder.png)
オカムラのチェアはオフィスで目にすることが多いのですが、それ以外にもさまざまな場所で使われているそうですね。
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そうですね、オフィス以外にも教育施設、図書館、医療施設、自治体、一般家庭でも豊富なラインナップの製品・サービスを提供しています。また家具の製造販売だけでなく、オフィス空間の設計・デザインも行なっています。オフィスでの働き方について40年以上専門に研究する部門もあり、時代の変化に合わせたオフィス空間と家具を提案しています。
![岸 裕介](/placeholder.png)
近年のオフィスでのトレンドはありますか?
![杉山さん](/placeholder.png)
コロナ禍以降、在宅勤務が増えた一方で、仕事の効率化やコミュニケーションを増やすために出勤を促し、オフィス環境の向上に力を入れる企業も増えています。そういったご要望に応え、人間工学を元に開発された、長時間作業していても疲れにくいデスクやチェアをご提案しています。
![岸 裕介](/placeholder.png)
オフィス回帰にともなって、オフィスチェアの売れ筋に変化などありますか?
![杉山さん](/placeholder.png)
より快適なオフィス空間を実現するため、我々のラインナップの中でも高価格帯のものの売上が伸びている傾向にあります。しかし、高価格な製品をオフィスに入れたからと言って仕事の効率が上がるわけではありません。コミュニケーションの活性化など、企業ごとにオフィスで実現したいことを明確にし、それを実現できる空間・製品は何なのかをご提案するようにしています。
![岸 裕介](/placeholder.png)
エンジニアは長時間、椅子に座ることが多くなりますが、どのような椅子がおすすめでしょうか。
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![杉山さん](/placeholder.png)
体格によって最適な位置は異なるので、「体格や姿勢に合わせて背、座、肘が調節できる」椅子を選ぶことをおすすめします。お尻は背もたれにつけ、指2本くらいが入るよう座面の奥行きを調整します。腕は肘掛けに載せ、負担を軽減させます。足は前後に動かしても、足裏が床につけられることが大事です。オカムラの多くの製品では、座高の高さや座面の奥行きが調節できるようになっており、疲れにくい姿勢をサポートします。
![岸 裕介](/placeholder.png)
なるほど、椅子選びはもちろん、自分の身体に合うように調節することが重要なのですね。悪い姿勢のパターンというのはどういったものでしょうか?
![杉山さん](/placeholder.png)
長時間作業が続くと前滑り(まえすべり)でだらっと座っていたり、ノートパソコンを使う方だと椅子の前の方に座って前のめりになってしまったりすることが多いです。そうすると、目や首、腰、肩などに疲れや痛みを感じるようになってしまいます。
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![岸 裕介](/placeholder.png)
椅子に寄りかかって座る「前滑り」の姿勢はエンジニアあるあるかもしれないですね…。良い姿勢で座ろうとしても、疲れてくるとだんだん姿勢が崩れてきてしまうことも多いです。
![杉山さん](/placeholder.png)
どんなに好ましい姿勢をしていても、長時間続くと身体には負担がかかり、疲れてしまいます。休憩を入れるということはもちろん、後傾姿勢や立っての作業など、さまざまな姿勢を取ることを推奨しています。リクライニングや前傾機構など、さまざまな姿勢を取りやすい椅子もおすすめです。
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![岸 裕介](/placeholder.png)
特にエンジニアの椅子選びで注意すべきポイントはありますか?
![杉山さん](/placeholder.png)
長時間でのPC作業が多いと思いますので、「身体にかかる圧力を椅子の背と座に分散させる」というのは重要だと思います。オカムラでは「異硬度クッション」という独自のクッションがあり、椅子の前側は太ももを圧迫しないよう柔らかく、後ろにいくにつれてお尻や身体を支えるために硬くすることで体圧を分散させ、座り心地と姿勢の安定性を両立させています。オカムラでは、ほぼ全ての椅子にこの「異硬度クッション」を採用しています。
![異硬度クッション](/placeholder.png)
プロが選ぶ、身体に寄り添うフィット感のあるワークチェア
「Sylphy(シルフィー)」
![岸 裕介](/placeholder.png)
おすすめのチェア製品を教えてください。身体に寄り添うフィット感のあるチェアはどれでしょうか。
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![杉山さん](/placeholder.png)
まず「Sylphy(シルフィー)」というチェアをご紹介させていただきます。シルフィーは、独自開発したバックカーブアジャスト機構を取り入れており、背もたれのカーブが身体に合わせて調整できます。大柄の人の場合は緩やかに、小柄な人の場合は狭いカーブに変えられます。この機能によってしっかりと背もたれに身体をつけ、腰の負担を減らすことができます。
![背もたれのカーブが身体に合わせて調整](/placeholder.png)
![岸 裕介](/placeholder.png)
たしかに体格によってフィットする背もたれは変わりますね。
![杉山さん](/placeholder.png)
長時間快適に座れるように「異硬度クッション」も採用しており、エンジニアの方には特におすすめです。また、アームの有無、背の高さ、カラーバリエーションなども選べるので、用途や予算、オフィス・お部屋の雰囲気に合わせて最適な椅子を選ぶことができます。
「Spher(スフィア)」
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![杉山さん](/placeholder.png)
もう一つ身体に寄り添うフィット感のある製品として紹介したいのは、「Spher(スフィア)」というチェアです。背もたれと座面内部の樹脂の構造を工夫することで、どんな体格の人が座っても操作なしに、自然に身体にフィットするように作られています。
![杉山さん](/placeholder.png)
しなやかさと強度を兼ね備えたインナーシェルを背もたれと座面に使用しているので、体格に合わせて自然とシェルが変形しながら身体をやさしく包み込みます。細かい調節を必要とせず、さまざまな体格にしっかりフィット。長時間座っても疲れにくくなっています。
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![岸 裕介](/placeholder.png)
低反発とは異なり、形状を保ったままフィットするのは画期的ですね。
![杉山さん](/placeholder.png)
私たちの技術を外部の方にも評価いただき、モノづくり部品大賞を受賞しています。数年単位の開発を行なって完成したもので、エンジニアの方々にも自信を持っておすすめできます。
![岸 裕介](/placeholder.png)
最近のオフィスでは、固定席ではなくフリーアドレスを採用する企業も増えてきているので、わずらわしい調整なしで誰でも使いやすそうです。
![杉山さん](/placeholder.png)
そうですね、どんな人が座ってもわずらわしい調節なしに身体にフィットできるよう開発しました。インナーシェルが柔軟に変形するので、身体の動きにも自然と追従してサポートします。
イタリアのデザイン会社とコラボ!機能的デザインのワークチェア
「ContessaⅡ(コンテッサ セコンダ)」
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![岸 裕介](/placeholder.png)
洗練された機能的デザインのチェアについても教えてください。
![杉山さん](/placeholder.png)
「ContessaⅡ(コンテッサ セコンダ)」をおすすめします。コンテッサ セコンダは、オカムラの製品ラインナップの中での最上位モデルです。機能性、座り心地、洗練されたデザインが高く評価されており、コロナ禍で在宅勤務が増えた際も、「オフィスと同じものを使いたい」と多くご購入いただいた人気製品です。
![岸 裕介](/placeholder.png)
フレームがシルバーで高級感がありますね。
![杉山さん](/placeholder.png)
車のデザインも手がけるイタリアのデザイン会社イタルデザインとコラボレーションしており、ジャーマンデザイン賞やグッドデザイン賞(U.S.A.)、日本のグッドデザイン賞などを受賞しています。
![岸 裕介](/placeholder.png)
デザインだけでなく、機能性も高いということですよね。
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![杉山さん](/placeholder.png)
大きな特徴は「スマートオペレーション」で、肘の先端についたレバーに調節機能が集約されているので、姿勢を変えることなく、スマートに座面高さ調節やリクライニング調節ができます。クッションタイプには異硬度クッションを採用し、最上級の快適性を実現しています。
「Finora(フィノラ)」
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![杉山さん](/placeholder.png)
もう一つ洗練された機能的デザインのチェアとして紹介したいのは、「Finora(フィノラ)」というオフィスチェアです。コンテッサ セコンダと同様、イタリアのイタルデザインがデザインを手掛けました。車のリアを彷彿とさせるカスタムパネルがデザインのアクセントになっており、インテリアや好みに合わせてメッキ・ブラック・ホワイトから選ぶことができます。座面高さや奥行き調節、リクライニングの強弱調節もできる製品です。
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![岸 裕介](/placeholder.png)
たしかに背の部分にあるカスタムパネルが印象的です。
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また、アームは4方向に動き、多様な作業姿勢と体格にフィットします。iPadなどのタブレットデバイスでの作業がある場合、下がった肘を支えるアームは非常に重要です。アームが姿勢に合わせて調整できないと、肘がふらついてしまい、姿勢も崩れやすくなります。
シンプルで軽快、コンパクトなワークチェアは?
「CYNARA(シナーラ)」
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![岸 裕介](/placeholder.png)
シンプルで軽快・コンパクトなチェアはありますか?
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「CYNARA(シナーラ)」は背と座がメッシュで構成されているため非常に軽量となっています。座面の高さ調節は可能ですが、アームの調節などの機能をなくした分、シンプルなデザインです。背座だけでなく脚までカラーが統一されたカラー展開は珍しく、設計事務所やデザイナーの方にも人気の製品です。自宅の雰囲気に合わせて選ぶことができ、働く環境を向上させたいエンジニアの方にもおすすめです。
![岸 裕介](/placeholder.png)
インテリアのアクセントにもなりそうですね。ブラックやホワイトが人気ですか?
![杉山さん](/placeholder.png)
ブラック・ホワイトはもちろん人気ですが、ダークグレーも人気が高いです。柔らかいテイストの空間に馴染む色になっています。
「mode(モード)」
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![杉山さん](/placeholder.png)
他にもコンパクトなチェアとしておすすめしたいのは「mode(モード)」という製品です。柄と手触りの異なる4種40色のクロス、2種16色のメッシュ、3色の革から選べるオーダースーツのようなチェアとして人気があります。機能はシンプルながら、選ぶ柄や色によって表情が変わるので、空間のしつらえに合わせていただくことができます。レザーを使用して、社長室や役員会議室などに採用いただくこともあります。
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![岸 裕介](/placeholder.png)
家に置いたら一気におしゃれな空間になりそうです。
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リクライニングの固定・解除と半力の強弱の調節レバーを座面の下に集約しており、座ったままで操作が可能です。背の内部構造は繊細なフレームと弾性に富んだメッシュ素材で構成しているため、優しく包み込まれるような座り心地を実現しています。
自分の身体に合うワークチェアかどうか、確かめてから購入を
![岸 裕介](/placeholder.png)
リクライニング機能が付いているものも多いですが、リクライニングというのはリラックスの観点で良いのでしょうか。
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![杉山さん](/placeholder.png)
リクライニング機能は、身体の自然な動きに追従するための機能です。オカムラのリクライニング機能はくるぶしを中心に背もたれと座面がシンクロしてスライドするため、身体を支えるポイントがズレることなく、身体にフィットしたまま動かすことができます。
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なるほど、体に負担のかからない自然なリクライニングを実現できるということですね。
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また、背もたれと座面を前傾させる「前傾機能付きリクライニング」があるチェアもあります。 これによって上半身が安定し、腰の負担を軽減してくれます。また腹部の圧迫感を軽減することができるため、ノートPCを使用することが多く前傾姿勢になりがちなエンジニアの方々には、この機能が付いたチェアがおすすめです。
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リモート勤務用にチェアを選ぶ際、アドバイスはありますか?
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インテリアに馴染むというのも重要なのですが、身体に合う・合わないという観点が非常に重要になってきます。例えばどんなに良いチェアでも、小柄な女性が座ると身体にフィットしにくい場合もあります。ぜひ実際に座ってみてから購入することをおすすめします。
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自分に合うかどうか、試してみた方が良いということですね。その場合、どこに行けば?
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オカムラのチェアはショールームや家具販売店に置いてあるので、ぜひお気軽にお試しいただければと思います。
□オカムラウェブサイト ショールーム
https://www.okamura.co.jp/showroom/office/
※事前予約制です。
※各ショールームによって展示製品が異なります。具体的に見たい製品がある場合は、展示の有無を各ショールームにご確認ください。
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また冒頭でもお伝えしたとおり、正しい姿勢で座るということも大切です。座り方が良くないと、せっかくの機能が活かしきれず、結局身体の疲れにつながってしまいます。
![岸 裕介](/placeholder.png)
お尻を背もたれにつけることや、座面の奥行き、座面の高さなどが重要なのですね。私も椅子の高さや座り方を改めて見直したいと思います。
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エンジニアの皆さんは集中して作業しているとつい長時間同じ姿勢が続いてしまうことも多いと思いますが、立ち仕事と座り仕事の組み合わせが最も疲れにくく、腰への負担が少ない上に眠気が抑えられる傾向にあることも分かっています。立ち上がったりリクライニングでリラックスしたりしながら、長く健康的に働いていただければと思います。
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ライター
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