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デジタルツインとは?注目される背景やメリット、製造業で期待される理由
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デジタルツインとは?注目される背景やメリット、製造業で期待される理由
アンドエンジニア編集部
2021.08.09

IoTやAIなどのデジタル技術の進歩・普及が進む中、デジタルツインと呼ばれる技術が注目を集めています。あらゆるシミュレートによって将来を予測することに役立つ技術で、幅広い分野での活用が進められています。

ここでは、デジタルツインの定義やメリット、注目されている背景などについて解説します。

デジタルツインとは?

デジタルツインとは、デジタル技術を活用して仮想空間に物理空間の環境を再現する技術のことです。

デジタルツインを英語で直訳すると

デジタルツイン(Digital Twin)を直訳すると「デジタルの双子」という意味になります。仮想空間に物理世界の情報を再現することから、双子(ツイン)という表現が使われるようになりました。

デジタルツインの定義

デジタルツインは、物理空間にある情報をデジタル技術で集め、送信されたデータをもとに仮想空間に再現する技術と定義されます。IoTやAIなどの技術を活用して人や場所などの物理情報をリアルタイムに取得して仮想空間に再現し、未来をシミュレートします。

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デジタルツインが注目された背景

デジタルツインの広がりの背景にはIoTの普及があるといわれています。

これまで、物理空間の情報をデジタル化する場合は人の手で情報を入力しなければなりませんでした。その負担が大きいために仮想空間に入力される情報が限定されてしまい、物理空間を仮想空間にそのまま再現することはむずかしいとされてきました。しかしIoTによってリアルタイムかつ自動的にデータが取得できるようになり、物理空間を仮想空間に再現することが可能となりました。

仮想空間にてシミュレーションを行えば、現実世界での将来の故障や変化が予測することができます。こうした予測が叶うことから、デジタルツインに大きな注目が集まっているのです。

効果が期待されている業界は製造業

デジタルツインは特に製造業において効果が期待されています。

たとえば、製造ラインにおいて何らかのトラブルが発生した時、従来では原因を特定するために調査を行い、その結果をもとに改善を行うといった手順が必要でした。しかし、デジタルツインに連携させトラブルに関するデータをリアルタイムに収集・分析すれば、エラーや故障などの原因を素早く解明し改善することができます。

また、製品利用状況をデジタルツインの技術で仮想空間にリアルタイムに反映させることで利用状況のデータを蓄積することができ、より具体的な使用状況に基づいた設計・製造の改善が可能になるといわれています。

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IoTやDXとの関係

現在、さまざまな企業が持続可能なビジネス展開のためにDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しています。しかし、多くの企業ではまだまだ新しい技術を十分に活用できているとはいえません。

そこで、IoTが重要な役割を担います。IoTによってさまざまなデータを収集かつリアルタイムに分析し、ARの技術などを活用しながら視覚的に見せることで、ビッグデータを効果的に活用したビジネスの改革が実現します。デジタルツインとIoTの掛け合わせにより、少し前まではハードルが高かったこうした技術の導入が容易になり、DXの加速化が実現できるのです。

【関連記事】マイナビエージェント・スタートアップ特集 B&DX株式会社代表取締役社長 安部慶喜氏「「人を動かす」ことが日本の停滞を打破する鍵--DXにとどまらないあらゆる手段で企業の変革を実現」

デジタルツインを活用するメリット

デジタルツインを活用すると、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。3つのメリットを解説します。

コストの削減につながる

試作品を制作する場合、実際に製品を作成するよりもデジタルツインによって仮想空間で再現したほうが材料費や工数が削減でき、安価に済ませることができます。さらに試作品を改良する際も、デジタルツインであれば改良ポイントがすぐにフィードバックされスピーディーに次の試作品に活かすことができるため、時間的なコストも削減できます。

作業や業務の効率化が図れる

製造体制を最適化し作業や業務の効率化を図ることができます。たとえば、現場における従業員の稼働状況や負荷のデータをリアルタイムに収集・分析することで従業員の配置やスケジュール、製造プロセスを最適化し、最短で製造を進められるようになります。

リスクの回避や軽減ができる

新製品の開発では、何らかの不備やトラブルにより予定通りに製品が製造できず、工数や材料が無駄になるリスクが存在します。しかしデジタルツインでは物理空間を忠実に再現した仮想空間にて製品の試作や製造ラインの稼働を予測することができるため、物理空間の試作に比べ低リスクで新製品の開発を進めることができます。

デジタルツインを活用した事例

では、実際にデジタルツインを活用した事例について3つご紹介しましょう。

車体フレーム組み立てをデジタルツインで効率化

自動車などの製造工程のデジタルトランスフォーメーションを提供するオートフォーム社では、金型プレス成型などの工程にデジタルツインを導入しています。

部署間やサプライヤー間にてシームレスなデータ連携を実現させ、製品コンセプトの決定や設計から実際の製造までの各工程を効率化しました。製造中の材料や部品の不具合を早期発見・解消し、最小限のリソースで高品質製品を製造。金型作成やプレスなどにかかる時間を短縮しコスト削減を実現しています。

デジタルツインで24時間稼働するスマート工場

工場の自動化のためのロボットや機器を開発・生産するロボコム・アンド・エフエイコム社は、福島県南相馬市に先端デジタル技術を取り込んだスマート工場を開所しました。このスマート工場はデジタルツインによって24時間稼働の変種変量生産が可能となっています。

具体的には、CADなどで設計された製品図面や設備図面をもとにデジタルツインがシミュレーションを通して検証を行い、動作プログラムを構築。この動作プログラムが製造実行システムによって実行されることで、全自動ロボット加工ラインが稼働します。さらにこの加工ラインの稼働データを監視システムによってクラウドに蓄積し分析。こうしてデジタルツインで販売から生産設備まで連動することで、人手をかけず全自動で24時間稼働できる仕組みが構築されました。

東京都がデジタルツインによるリアルタイムデータを企業・行政へ提供

東京都では、西新宿や都心部、湾岸エリア、八王子市南大沢、島しょ地域にてデジタルツイン化を進めています。

防災や街づくり、産業振興など9分野を対象とし、民間企業や行政、都民がリアルタイムにデータを活用できる環境づくりを目指すと発表しました。デジタルツインの整備について具体的にどのように役割やコストを分担していくのか、整備後の都市モデルを誰がどのように維持し更新していくかはまだ模索段階ですが、2021年4月には東京都のデジタルサービス局が発足しており、今後の展開に注目が集まっています。

デジタルツインの現状や課題、今後の展望について

デジタルツインはすでに一定の成果を上げているものの、まだまだ発展途上でありさまざまな課題が残ります。

現在のデジタルツインは目的に応じて作成・利用されているため、分野や領域を超えてさまざまなデジタルツインを相互連携させることはむずかしい状況です。しかし近い将来、実世界のさまざまな対象においてデジタルツイン化が進むことで、分野や領域を超えた大規模なシミュレーションが行われることが予想されます。

そうして多様なモノ・ヒト同士が実世界の制約を超えてデジタルツイン上で高度に相互作用することができれば、SDGsの目標達成などあらゆる社会的課題の解決につながると期待されています。

まとめ

デジタルツインは、製造業を中心にさまざまな領域において最適化や効率化、コスト削減を実現する技術だとして期待されています。構築にはやや高度な技術を要するなど、まだまだ課題は多くありますが、それが解消されれば私達の生活をより豊かにしてくれる可能性を秘めている技術であり、今後の展開には要注目です。

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