年間3,000億円の売上を目指すSIer、Sky株式会社が仕掛ける新しい自社パッケージ商品とその戦略とは。
自社でプロダクトを開発したいけどSIerでは請け負いの案件ばかり…。
そのように考えているエンジニアの方も多いのではないでしょうか。
実際そのようなSIerが多いなか、違った動きを見せているのが、Sky株式会社。
請負開発だけではなく、SKYSEA Client Viewをはじめとした自社パッケージ商品も提供しているSky株式会社では、年間売上3,000億円を目指し、自社パッケージ商品に関しては、10年以内に10個以上の自社パッケージ商品を新しく自社開発し、展開していくことを予定しています。
Sky株式会社の手がける自社パッケージ商品とは?その開発ではどのような経験を積むことができる?
Sky株式会社で自社パッケージ商品の開発を受け持つICTソリューション事業部で事業部長を務めるI.Kさんにお話を伺いました。
コロナ禍での自社パッケージ商品の状況
Sky株式会社の自社パッケージ商品といえば、SKYSEA Client Viewのイメージが非常に強いですが、他の自社パッケージ商品についても教えていただけますでしょうか。
学校向け市場で圧倒的シェアを誇る「SKYMENU」
まずは文教市場、いわゆる学校向けのサービスであるSKYMENUでしょうか。 学校向けの管理サービスとしてはSKYMENUは圧倒的シェアを誇っており、3万校以上に導入いただいています。
2020年から3年間で小中学校の生徒に一人一台のタブレットを配布するというGIGAスクール構想が掲げられたんですが、コロナ禍で在宅学習のニーズも高まりGIGAスクール構想が一気に前倒しになったんです。
急激なニーズの高まりに合わせて、3年計画だった開発を1年で一気に進めました。 ソフトウェア開発が間に合わなければこのコロナ禍で十分なサービスを提供できませんでしたし、メンバーはかなり頑張ってくれました。
3年計画の開発を1年で進めるのは本当にすごいですね…!
ただ、これで開発を終えたわけではなくこれからもどんどん機能を追加していきます。 パスワード等を入れられない低学年向けのQRコードでの認証、進級処理や転校処理、保護者や生徒と学校のコミュニケーションなど、必要な機能はまだまだあるんです。
また、これからは高校の生徒に一人一台のタブレットを配布するGIGAハイスクール構想もあります。 これまでの小中学校向けとはまた違った機能も求められてくるかと思います。
コロナ禍での需要増だけで終わらせない姿勢ですね。 多くの生徒の手元にデバイスが行き届くなか、そこに何を提供していくのかは面白そうでやりがいがありそうです。
大規模な組織の業務を支える「SKYDIV Desktop Client」
仮想環境(シンクライアント)を提供するSKYDIV Desktop Clientは、テレワークが一気に推進されるなどの影響で、市況が活発になっていますよね。
2020年から本格的に販売をしているのですが、現在は自治体の案件が多いです。 背景としては、2015年に自治体セキュリティ強靭化という取り組みが施行され、自治体のネットワークを分離しての管理やセキュリティ向上が必要となりました。 ただ、当時はSKYDIV Desktop Clientはなく外資企業のサービスなどが多く導入されたんです。
その仮想環境に入るソフトとして、SKYSEA Client Viewが端末の管理ツールとして多く導入いただけました。 その後、5~6年ほどが経ち仮想環境のサービスがリプレイスになるタイミングで、SKYSEA Client Viewを導入いただいている自治体の方々に、SKYDIV Desktop Clientをご検討いただく機会が非常に増えているんです。
今がまさにリプレイスのタイミングなんですね。
仮想環境を提供する製品は専門性が非常に高く、障害発生時の切り分けやサポートでお困りの声を耳にすることも多いんです。 Sky株式会社は国内顧客向けのサポート体制やフォローが充実している面も評価いただき、安心して導入いただいております。
テレワークの導入が増えてくるなかで、SKYDIV Desktop Clientはどのようなアップデートをしているんでしょうか。
これまでは単純に仮想環境をつくり、その安全性を確保するという機能が中心でした。 ただテレワークの需要が高まり今後も残り続けると思われるなかで必要な機能は増えており、オフィス内外で利用できる機能の制限や、テレワークならではのオンラインMTGへの対応、データ流出を防ぐような仕組みなどを中心に強化をしております。
テレワークのニーズに合わせた機能追加を進めているんですね。 SKYDIV Desktop Clientは自治体向けのリプレイス需要があるということですが、民間企業向けの販売もさらに強化していくのでしょうか。
民間企業のテレワークもやはり増えてきており、仮想環境構築の需要は非常にありますので、販売を進めてまいります。 物理サーバーの設置などはハードルがあるので、そのためにもクラウドでも動作するよう開発し、提供を進めています。
売上3,000億円の実現に向けた「新しい自社パッケージ製品」
SKYMENUやSKYDIV Desktop Clientのほか、Sky株式会社では新しい自社パッケージ商品の開発も進めているんですよね?
まさに進めています。 これまでの自社パッケージ商品はすべて単独の部署で開発してきたんですが、新しい自社パッケージ商品は複数の部署と混合で開発するという、弊社では珍しい開発の形態をとるなど、新しいチャレンジもしています。
なぜそのような体制にチャレンジを?
それぞれの部署の強みを活かして開発すべきと判断したんです。
今回の新しい自社パッケージ商品はOCR等を活用した情報管理系のシステムです。 OCRや複合機が絡む部分は複合機関連開発の部署、業務系システムとの連携部分は企業向け業務システム開発の部署、クラウドのサーバーやアプリケーション面は自社パッケージ商品の開発が担当しています。
それぞれの部署が専門性の高い領域を担当しているんですね。 この形式の開発でよかった点や大変だった点を教えてください。
複合機や業務系などそれぞれの詳しい領域の情報共有やお互いの理解が一層進みましたし、開発効率は非常に良かったですね。 それぞれの得意分野を担当したことでスムーズに進みましたし、今後も同様の開発スタイルで商品開発を進める可能性が生まれました。
様々な領域に質の高い開発チームがいるSky株式会社だからこそ実現できた開発形式ですね。 お話を聞いていると、今回のサービスは、これまでSky株式会社が手がけてきた自社パッケージ商品とは少し違う分野・違うシーンで使われるものなのかなと感じます。
おっしゃるとおり、少し違うと思います。 これまでは、例えばSKYMENUは学校のPCの授業中の管理・制御、SKYDIV Desktop Clientは仮想環境の作成・管理など、業務管理系のツールがメインでしたが、今回は完全にソリューション・アプリケーションですね。
Sky株式会社の自社パッケージ商品の中でも、開発形式もテーマも新しいものなんですね。 自社パッケージ商品の開発に携わるなかで、向上する技術や得られる経験など教えてください。
技術面ですと、サーバーは基本的にクラウドへの対応も必須になるので、クラウドの開発の経験は積むことができます。 アプリケーション側も、ブラウザで動くWebアプリケーションから、Windowsはもちろん、MacやiPad、Chromebookなどの端末で動くアプリケーション、端末で動くデバイスドライバーまで、様々な形のアプリケーションの開発の経験ができます。
また、開発工程の一番上からリリースまで、一通りの工程に携わることができるのも魅力的な経験かと思います。 仕様の検討からUIや操作性の検討、それらの開発、評価・検証やリリースまで全てをやれるのは、自社パッケージ商品ならではの経験ではないでしょうか。
そして、1つの製品の中でも各機能ごとにチームを設けており、早い段階でチームリーダーなど責任のあるポジションを経験できます。 設計から開発、テストやリリース、品質管理や不具合管理など、開発工程を身近に感じながら責任を持って仕事をしてもらえると思います。
新規サービスに携わる醍醐味がありますね。 売上3,000億円に向けての自社パッケージ商品についての目標も教えてください。
2026~2027年頃までに10製品ほどの自社パッケージ商品リリースを目指しています。 1年に1商品を立ち上げるのも大変ですし、多くの自社パッケージ商品を効率よく開発するためにも、色々な部署と連携して開発する形式が増えるのではないでしょうか。
そうなると、今回の経験が活きてくるんですね。
他部署と連携した開発は最初は不安で気を使ってしまいましたが、今では垣根もなくなりさらに効率的な開発ができると思います。 売上3,000億円の達成に向けて自社パッケージ商品の開発は重要で今後より活発になりますし、新規の開発に興味がある方はぜひご検討ください!
インタビュー企業
ライター
編集部オススメコンテンツ
アンドエンジニアへの取材依頼、情報提供などはこちらから