コンサル企業からテックカンパニーへ進化する。リンクアンドモチベーションがテクノロジーで実現したい未来とエンジニア組織とは。
組織人事コンサルティングのリーディングカンパニーとして有名なリンクアンドモチベーション。
近年ではSaaSプロダクト「モチベーションクラウド」が大きく成長し、さらに複数のソフトウェアプロダクトをリリースするなど、ソフトウェア企業の側面も強くなっています。
コンサルティングのノウハウをソフトウェアに落とし込む取り組みとは? リンクアンドモチベーションが目指す未来とそのための開発とは?
リンクアンドモチベーションにエンジニア社員第一号として入社し、現在は開発責任者を務める柴戸さんにお話を伺いました。
コンサルティングのノウハウをソフトウェアに落とし込む
リンクアンドモチベーションはコンサルティングのイメージが強かったのですが、最近では「モチベーションクラウド」で名前を聞くことも増えてきました。
2000年に「モチベーション」にフォーカスした組織人事のコンサルティングファームとして創業し、コンサルティングでの組織変革の支援実績は年間2,000社以上にのぼります。 引き続きコンサルティングも主力の事業ですが、現在は既存事業で蓄積してきたノウハウをソフトウェアのプロダクトに変えていく第二創業期にあたる、と言えます。
クラウド・サブスクリプションでSaaS化
上記のグラフにもあるとおり、リンクアンドモチベーションでは複数のソフトウェアプロダクトをリリースされていますよね。 どれも既存のコンサルティングをソフトウェア化したものなのでしょうか?
既存事業をソフトウェア化したものと、そうでないものの両方があります。 「モチベーションクラウド」は、従来の組織人事コンサルティングの課題を解決する、クラウドでサブスクリプション型のプロダクトです。
"対会社"の満足度向上を目的とした「コミュニケーションクラウド」、学校向けにリリースした「ティーチャーズクラウド」などは、既存事業としては展開していない領域のプロダクトですね。
既存のコンサルティングにはどのような課題があったのでしょうか?
人が価値を提供している以上、「面(人的リソース)」に限界があることです。 クラウド化することで、できるだけ多くのお客様に価値提供でき、さらにテクノロジーの力を用いることで、属人性の低下により再現性を向上させ、継続性を向上させることで実効性を高めることができると考えました。
また、お客様の組織を改善し、強化するためには、「伴走」が欠かせません。 例えば、研修を受けたり本を読んだりして、一時的にやる気が上がることってありますよね。
あります、あります。
ただ、短期的なモチベーションの向上や単発的な研修だけでは組織の課題を解決しきれないことは多く、長期的にお客様と一緒に改善に取り組むことも必要です。 できるだけ多くのお客様に、長期的に価値を提供することを目指すと、クラウドでサブスクリプションのソフトウェアにするのが最適という結論に至りました。
「コンサルタントの頭の中」をエンジニアがプログラムに落とし込む
これまで人がやっていたコンサルティングを、どのようにしてソフトウェアに落とし込んでいくのでしょうか?
例えば、コンサルタントの頭の中にある大量の「if文」を言語化して、それをさらにプログラムに落とし込むんです。
例えば、コンサルタントが評価制度や人事制度について考える際、お客様から様々なインプットを受けながら、「この会社規模でこういう状況の場合は、こういう制度や仕組みが適している」というように、頭の中で大量の条件分岐や場合分けを行っています。 エンジニアはこのようなコンサルタントの思考プロセスを引き出し整理しながら、プログラムに落とし込んでいきます。
大量の「if文」だと捉えれば、たしかにプログラムに落とし込めそうな気がしてきます。 コンサルタントと協力しながら開発を進めるうえで意識していることはありますか?
大前提として、「組織と個人に変革の機会を提供する」という会社の理念に沿っているか、お客様のためになる取り組みになっているか、を意識しています。 このような前提のもとで共通の目的を持てないと、コンサルタントとエンジニアの間でのコンフリクトも起きかねません。
コンフリクトが!?
ソフトウェア化によって、コンサルタントが「自分の仕事がなくなる!」と思う可能性もあるじゃないですか。 また、コンサルタントにとっては目の前のお客様を大切にしながら、時間のかかる取り組みにリソースを割いてもらうわけです。
目の前のお客様へのコンサルティングも、将来に向けたソフトウェア化も、両方ともお客様への価値につながる大事なことだという気持ちをお互いが持って一緒にやらないとうまくいきませんし、大事にしていますね。
リンクアンドモチベーションが目指すHRの未来
社内外のデータの統合や連携で価値のある気づきを提供
今後進めていきたい取り組みなどはありますか?
データの統合と連携です。 HRの分野ではデータが細分化されすぎているのが課題なんです。
HR関連では勤怠、評価、タレントマネジメントなどそれぞれでプロダクトが細分化されているため、データが独立しています。 また、ヘルスケアなどの仕事以外だけど仕事のパフォーマンスに影響するデータとの連携もできていません。 このままだと本当にお客様のためになるようなデータ活用はできません。
だからこそ、社内の各事業・プロダクトの個人や組織のデータを統合し、さらに外部のデータも活用していきたいんです。 様々な情報を組み合わせてはじめて、HRとして価値ある気づきや変革の機会を提供できると考えています。
個別のデータだけを見るのではなく、様々なデータを組み合わせつつ、その人を取り巻く環境や組織の状況も考慮して気付きを提供する。 組織と個人の改善のためにも、そういう状態をつくれたらいいなと思います。
テクノロジーで「予兆検知」と「未来の見える化」
未来のあるべき姿として、「予兆検知」をキーワードに挙げられていますよね。
組織や人に異変が起こるとき、必ず予兆があるはずです。人の健康も同じだと思います。 その予兆をデータからテクノロジーで検知できると考えています。
例えば、すごくわかりやすいところで言うと、毎朝早く出社していた人に遅刻が増えたり、午前中に連絡が取れないなどの場合は、それは何かしらの予兆として捉えられます。 この予兆は「勤怠」や「コミュニケーションツール」のデータからより正確に検知できるでしょう。
特にコロナ禍でリモートワークが推進されるなかで、ソフトウェアやツールの導入は一層進んでいます。 また、スマートウォッチなどバイタル系の情報を取得できるデバイスも増えてきています。 インプットされるデータが増えることで、様々な予兆を人間より早く・正確にテクノロジーで検知することが可能になるはずです。
人間では検知できない予兆でも、機械によるデータの分析であれば早期に・正確に検知できそうですね。
アンケートを用いたサーベイや分析は「それまでに起きたこと」の診断で、あくまで「過去の見える化」でしかありません。 インプットされるデータが増えればサーベイ等の手間も減らせますし、よりリアルタイムに・手軽に「現在の見える化」ができ、組織や個人の状況の把握や予兆の検知ができるでしょう。
また、社内にある大量の組織変革のデータを用いて、様々な取り組みの成功可能性も予測できると思っています。 これができれば、組織や個人において「未来の見える化」も可能になるのではないでしょうか。
データ連携、予兆検知、未来予測、どれもとても興味深い取り組みです…!
「安定」と「挑戦」のバランスがとれた環境
最後に、エンジニアがリンクアンドモチベーションで働くうえで魅力的な点を教えてください。
「安定」と「挑戦」のどちらも揃っている点ですね。
リンクアンドモチベーションにおける「安定」
まず「安定」という面では、東証一部上場企業という会社規模であり、事業ポートフォリオも多角的で安定していると言えます。 会社の基盤が安定しているので、プライベートも充実させながら安心して働ける環境です。
これまで培ってきた顧客基盤や蓄積してきたデータ、ノウハウも強みです。 大企業からスタートアップまで多くのお客様とお付き合いがあり、何か新しいことをやる場合にもお客様へのインタビューや仮説検証を進めやすいと言えます。
また、経営が安定しているからこそ、腰を据えてエンジニアやテクノロジーへ投資できる状況です。 適切なインプットを得やすく、やりたいことにしっかり取り組める環境も、「安定」という言葉に込めています。
リンクアンドモチベーションにおける「挑戦」
「挑戦」という点ではどうでしょうか?
「挑戦」という観点では、「正解を自分たちでつくることができる」環境があります。 内製のエンジニア組織は、立ち上がってまだ3年弱で、規模もエンジニアだけで20名程度なんです。
まだたった3年なんですね…!
歴史が浅い分、ルールが整備しきれてない部分もあり課題も多くありますが、逆にしがらみはほとんどありません。 大きな裁量を持っての開発はもちろん、新しい技術やサービスの導入、エンジニアチームのルールや文化づくりにも積極的にトライしていただけます。 裁量の大きさや幅広いチャレンジを大切に、責任や権限をどんどん委譲しており、挑戦あふれる職場だと思います。
また、今後もこのマーケットで様々なプロダクトを開発して大きなシェアを狙える非常に良いポジションにいる状況です。 プロダクトのリリースのペースも上がっており、新規プロダクトへの挑戦もしやすい環境になっています。
モチベーションクラウドもまだまだ完成したプロダクトではなく、今後も改善や機能追加を続けていきます。 既存プロダクトはもちろん、新規プロダクトの立ち上げ、未来に向けたR&D的な取り組みなど、やれることは多くあります。 気になったエンジニアの方はぜひエントリーしてみてください!
「安定」と「挑戦」のバランスがとれており、エンジニアにとって働きがいのある環境ですね! リンクアンドモチベーション様、柴戸様、ありがとうございました!
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