「エンジニアは女性の職業だと思われていない」すべてのエンジニアを働きやすくする仕組みづくり
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2020.05.02

エンジニア兼CEOとして、コミュニケーション問題の解決を目指す会社を経営する浪川さん。 彼女は女性向けエンジニアのコミュニティも運営しています。なぜか男女比が大きく偏っているエンジニア業界。彼女に女性エンジニアについての問題をうかがってみたところ、 男性も女性も関係なく、私たちがエンジニア組織の中で働く上で大事なこと がたくさん見つかりました。

未経験からはじめてSIerに

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未経験からエンジニアになって、最初はどんな仕事をされていたんですか?
まいどる/浪川 舞
最初は証券システムのJavaエンジニアをしていました。
入社した会社がJavaのプログラミングスクールもやっていたんです。
なので最初の3ヶ月は給料をもらいつつ研修も受けさせてもらえる環境で。
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めっちゃ手厚いですね!
4年くらい働かれていたということなんですが、ずっと証券システムをやっていたんですか?
まいどる/浪川 舞
いろんなことに挑戦させてくれる会社でしたね。
業務システムばかりっていうわけでもなくて、ドライブレコーダーで集めたデータを機械学習するような案件にも参画したり、自社サービスの立ち上げや運営をしたり。

理解のある会社だからこその問題

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いわゆるおカタいSIerって感じではなかったんですね。
女性エンジニアをやっていて働きづらいとかはありましたか?
まいどる/浪川 舞

理解ある職場ではありましたね。
ただやっぱり 男性が多いチームだったので言い出しづらいことももちろんありました。
たとえば今週は 生理痛がひどくて行けないかもしれません 、とか。

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そんな中で注意してたことはありますか?
まいどる/浪川 舞

タスクの調整力は意識していましたね。
当日いきなり休んでもなにか言われる職場ではなかったですが、事前の進捗共有がなければ「あの人のタスクどうなったんだっけ?」とチームが困惑してしまいます。
なので ちゃんと自身のタスクの進捗具合について、普段から共有しておくことが大事 だと思います。

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なるほど…
セルフマネジメントと状況の報告は、男女関係なく重要なこと ですね。
当日急に体調悪くなって休むことは、だれにでもあると思いますし。

技術コミュニティでは技術のことしか聞けない

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そのあとは別の会社の立ち上げに関わったと伺っています。
まいどる/浪川 舞
そうですね。株式会社ismで、主に女性のライフスタイルの課題解決にまつわる事業をしていました。
同時期に女性エンジニア向けのコミュニティを立ち上げています。
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女性エンジニア向けコミュニティ、すでにいくつかあると思うんです。
そんな中で新しく立ち上げた理由ってありますか?
まいどる/浪川 舞

もともと、技術に特化した女性エンジニアのコミュニティにはよく参加していたんです。
ただ、参加者と交流する中で、ライフスタイルやキャリアなど、女性ならではのことを聞けるコミュニティが必要だっていう課題感 がありました。

女性向けコミュニティの立ち上げ

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ライフスタイルやキャリアにまつわる話って、やっぱり女性に聞きたいって思いますか?
まいどる/浪川 舞
そういうことを女性同士にしか聞けないっていうのが、まさに女性特有だと思いますね。
技術のことは性別関係なく、その分野に詳しい方に聞けばいいじゃないですか。
でも出産とか妊娠とかの悩みは、女性にしか経験者がいないのでそうはいかないですよね。出産で1年休んじゃうけど、そのあと技術的についていけるのかーとか。
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実際に経験していないと答えられないですもんね。
まいどる/浪川 舞
それでWITYっていう女性エンジニア向けのキャリア、ライフスタイルの勉強会コミュニティを立ち上げました。
WITYでのブレインストーミングの様子
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それは女性限定の勉強会だったんですか?
まいどる/浪川 舞

コミュニティ自体はそうだったんですが、勉強会自体は男女問わず参加可能にしていました。
たとえば「つわり」がどれくらいつらいとか、なにができるとかって、女性だけわかっていればいい問題じゃないんです。
男性も含め、周囲の人がわかっておくべきこと なんですよね。

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たしかにそうですよね… 参加者ってどんな感じでしたか?
まいどる/浪川 舞
毎回100人近く来てくれて、かなり盛況でしたね。
実際の勉強会の様子。かなり盛況です。

エンジニアは女性の職業だと思われていない?

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では続いて、コミュニティ以外の課題についてお聞きしていこうと思います。
まいどる/浪川 舞
挙げるとするならば「エンジニアは女性の職業だと思われていない」っていうのが課題だと思います。
そういった意識がエンジニア業界の男女比にも表れているんじゃないのかなって思います。
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エンジニアっていう職業を女性が選ばないのってなんでだと思います?
まいどる/浪川 舞

女性限定の勉強会を開くと、いつも以上にたくさんの人が来るんですよね。
つまりエンジニアという職業に性別は関係なくて、単に 自分がマイノリティな場所に行くことに抵抗を感じている んだと思うんです。

企業側がもっと発信していくべき!

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たしかに男性側も、女性が90%みたいなコミュニティに参加するのには抵抗を感じそうです。
まいどる/浪川 舞
それ以外にも、企業側に環境が整備されてないということもよくあります。
スタートアップだと「オフィスのトイレに生理用品を捨てるところがない」なんて聞いたことも…
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男性ばかりの業界だとなかなか気づきづらいことですねそれ。
環境がもっと整備されていけばいいのかもしれませんね。
まいどる/浪川 舞
産休や育休など、女性向けの福利厚生があるかどうかを気にする人も多いです。
ここを企業側でもっと発信するべきだと思います。育休や産休が取れると父親側にもメリットがありますもんね。

男性も女性も悩みが言い合える環境

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職場環境とか雰囲気ってこうした方がいい、というようなものってありますか?
まいどる/浪川 舞

これは性別は関係なくて、みんなが気軽になんでも言い合える環境になれば変わっていくと思います。
女性側も体調がきつくても我慢しているだけでは周囲には伝わらないし、 男性だろうと女性だろうとそれでは気が付かない じゃないですか。
でもそれって気がつかない男性が悪いとか、そういう話ではないと思うんです。

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男性側も悩みを女性に気軽に言えるといいんですかね。
まいどる/浪川 舞
そうですね。
前職はかなり男性が多い職場だったんですが、上司が私によくちょっとした悩みを言ってくれたんですよね。飼っているネコがどうとか
それでこの人だったら悩みを言える、って信頼できるようになったんです。

コミュニケーションは仕組みでよくしていく

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たしかにお互いが悩みを開示していくのが大事なのかもしれませんね。
そういう悩みを言える場って飲み会とかになるんでしょうか?
まいどる/浪川 舞

飲み会が必ずしも必要なわけじゃないんです。私自身は好きですけど。
気をつけないといけないのが、パブリックな場所だと人はなかなか悩みを言えない ということです。
会議のあとにちょっと残って話すとかでもいいんですけど、プライベートさは必要です。

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じゃあエンジニアではよくやっている「1on1」ってめっちゃ大事なんですかね?
まいどる/浪川 舞
すごく大事だと思います。
ただ「この日じゃないと悩みを言っちゃいけないんだ」って思ってしまうのもまた問題で。
定期的に悩みを言える場を確保しつつ、いつでも悩みを言える環境づくりが大事だと思っています。
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コミュニケーションしやすい雰囲気づくりが大事、ということですか?
まいどる/浪川 舞
雰囲気というよりは、コミュニケーションを仕組みでよくしていく必要を感じますね。
ただ、人間同士のやり取りではあるので、仕組み化しすぎるのも問題です。人によってはチャットだと言いやすいけど対面だと言いづらいこと、その逆もあると思います。個別に対応していくのも大事だと思います。
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仕組み化しつつ、個人個人をちゃんと見ることが大事なんですね。
まいどる/浪川 舞
そうですね。
女性エンジニアだから!っていう見方ではなくて、ひとりの人間として見てほしいなって思います。

だれもが同じようにつながれる社会に向けて

まいどる/浪川 舞
だから ピアクエスト っていう会社を設立しました。
この「ピア」は「ピアツーピア通信」の「ピア」から来ているんですけど。
だれかが上でだれかが下じゃない、フラットな関係の組織を実現したいんです。
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めっちゃいい社名だ…!
どういう仕事をする会社なんですか?
まいどる/浪川 舞
今はプロジェクトマネージャー向けのサービスを作っています。
チームの雰囲気作りってプロジェクトマネージャーにかかっているんですよ。
プロジェクトマネージャーが雰囲気作りに専念できるように、それ以外のタスクを軽減できるようなツールを作ろうとしています。
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たしかにそうですね…!
雰囲気がよくなる組織が増えてほしいですね!
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機械学習で修士号を取得し、リサーチエンジニアとして就職したはずが、いつのまにか月間数千万ユーザーを支える検索エンジニアに。PythonよりもRubyが好き。最近はエンジニア採用やマネジメントに興味を持っている。おいしいものを作るのも食べるのも好き。好きなSQLのWindow関数は row_number()。
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