「エンジニア向け」e-sportsへの関わり方、一覧!あなたの関わり方は、どこから?
プロゲーミングチームR2Gの代表、都築さん。 今回は、エンジニアでありプロゲーミングチームの代表である都築さんに、エンジニアとしてのe-sportsとの関わり方についてお聞きしました。
草の根からe-sportsを支える「個人開発者」
「プロゲーマーでもゲーム開発者でもないけどe-sportsに関わってみたい」というエンジニアは結構いると思うんですよね。 どのような関わり方ができると思いますか?
オススメなのは、好きなゲームに関するサービスをつくることですね。
サービスをつくる…?
実はe-sportsってまだまだ発展途上で全然インフラが整ってないんです。 なので、個人や有志がつくったサービスが多く活躍しています。 広告で収益化できているサービスもあると思いますよ。
好きなゲームに関わりながら収益化は夢がありますね…! 個人で開発されている、ゲームに関するサービスって、例えばどういったサービスがあるんですか?
例えば、R2Gがメインで取り組んでいる「スマブラSP」だと…。
技の発生や持続などのフレーム数(格闘ゲームにおける、時間の最小単位。「スマブラSP」だと1/60秒。)、反確行動(相手の技をガードしたときに、反撃が確定する行動のこと。)を簡単に調べられるツールやYoutubeなどの動画コンテンツが普及したことで、初心者〜中級者の学習や上達の速度は格段に上がっています。 上達のショートカットができることで、楽しめる人が増えたことはとても大きいですね。 結果として、プレイヤー数やファンの増加につながっていると感じます。
また、オンライン対戦マッチング&レーティングシステムであるスマメイトのおかげで、いわゆる「ガチ勢」の対戦が活発になりました。 その結果、全国から「強いプレイヤー」が生まれて知名度が上がるなど、コミュニティが活性化しましたね。 「スマメイトのレート2100」と言うと、プロの間でも一目置かれるような存在です。
大会のトーナメント作成や、参加者管理ができる「smash.gg」は、スマブラに留まらず、あらゆるe-sportsで用いられています。 だいたいどのe-sportsの大会を見ても、「smash.gg」が使われていますね。 こういったサービスのおかげで、大会の開催頻度や場所が格段に増えたと感じます。
まだまだ足りないものばかりなので、サービスをつくると結構バズりますし使ってもらえます。 自分で作ったサービスを利用してもらえることがモチベーションになるエンジニアには特にオススメです。
初心者のサポート、コミュニティの活性化、色んな人に使ってもらえる…。 e-sportsにおけるサービス開発ってまるでOSSみたいですね…!
発展途上でインフラが整っていないので、実はかなりのブルーオーシャンだと思います。 好きなゲームがある方は、足りないものを見つけて作ってみてほしいですね!
プロゲーミングチームに関わるなら副業から?
外部からe-sportsに関わるのもいいですが、R2Gのようなプロゲーミングチームに関わりたいというエンジニアもいると思います。 そのような方はどうすれば…?
現実的な話をすると、本業としてがっつり関わるのはまだ厳しいと思っています。
現状、プロゲーミングチームで主に求められるのは、「クリエイター」と「データサイエンティスト」です。 クリエイターはグッズ、ユニフォーム、動画など活躍の場面が多いですね。 データサイエンティストは試合やプレイヤーのデータを分析して、プレイヤーの成長やチームの勝利に貢献します。
データ分析の部分でエンジニアが関わってたりもするんですか?
ここはエンジニアやデータサイエンティストが活躍できるポイントですね。 ただ、今のところは間口が非常に狭いです。 e-sportsのビジネスモデルやマネタイズもまだ発展途上なので、分析にコストを割けるチームが少ないのが現実ですね。 まずは副業のような形で関わるのが今のところは現実的だと思っています。
どうすればその間口は広がるんでしょう…?
データ分析が、競技での結果に大きく貢献することを証明するのが重要でしょうね。 R2Gが戦っているゲームタイトルでは、我々が先陣を切ってデータ分析を取り入れて、結果を出していきたいですね。
必要なのは「ゲーム愛」と「コミュ力」!
e-sportsでのデータ分析って、どういう人が向いているんでしょうか?
分析スキルは当然必要として…。 ①ゲーム愛:ゲームの細かい知識まで勉強 ②コミュ力:プレイヤーと相互に話せるコミュニケーション能力 がある人が向いていると思ってます。
①ですが、ディープなゲーム知識がないと、収集すべきデータの定義やデータの理解ができません。 そのゲームについての勉強が苦にならないゲーム愛があるといいですよね。
②は、データ分析のアウトプットを成果につなげるためには、分析結果を分かりやすく落とし込み、適切に伝えるコミュニケーション能力が非常に重要です。 また、プロゲーマーのゲームについての知識や疑問、課題点を引き出すことも大事ですね e-sportsにおけるデータサイエンティストは、コーチやセコンドのような存在なので。
なるほど、ただデータ分析できるだけではダメなんですね…!
こうやって話すと結構ハードル高く感じてしまうかもしれませんが、やりがいは大きいですよ! サポートしている選手が勝つ瞬間はかなり嬉しいです(笑)。
ゲーム開発に関わる「裏道」
そういえば、「裏道」ですが、ゲームの開発やe-sportsに関わる方法がもう一つだけあって…。
裏道…ですか?
大会の上位勢だったプレイヤーが、ゲームシステムやゲームバランスの調整班・テスターとして雇用されるという事例もあるんです。 大好きなゲームの開発を仕事にできるのは理想的ですよね。 なので、最強レベルのプレイヤーになるというのが、ゲーム開発に関わる裏道です!
それができたら苦労はないですよ(笑)!
まだまだ発展途上のe-sports、エンジニアの立場からもいろいろな関わり方が見えてきました。
ゲーム好きエンジニアの皆さんもチャレンジしてみては?
都築さん、ありがとうございました!
文中の大会写真:Darimoko 舞台となった大会は日本最大規模の大会であるEVOJapan2020のday3 R2G所属のぱせりまん選手は3,000人以上の参加者の中で堂々の4位入賞を果たした。
ライター
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