「すべては、猫様のために。」 バイオロギングと機械学習で猫様と飼い主様の生活を支えるデバイス「Catlog」の技術に迫る!
Twitterで愛らしい猫の動画が反響を呼び、猫カフェにはあまたの猫好きが通う昨今。 猫の人気はかなり高まってきているように感じます。
でも、いざ飼ってみると、「外出中や仕事中にうちの猫が何してるか気になってしまう…」「体調を崩しちゃったらどうしよう…」などと子煩悩ならぬ猫煩悩になってしまうかも。 実はその悩みはテクノロジーで解決できるんです。
そんな悩みを解決するデバイス「Catlog」を開発しているのが株式会社RABOです。 「世界中の猫と飼い主が、 1秒でも長く一緒にいられるように 猫の生活をテクノロジーで見守る。」をミッションに掲げて開発している「Catlog」の裏側はどうなっているのか。
今回は、株式会社RABOのPresident & CEO 伊豫愉芸子さんにお話を伺います!
※以下、猫は敬意を込めて「猫様」、エンジニアは「エンジニャー」と記載いたします。
「バイオロギング」と猫様のUXを考えたデザイン
「バイオロギング」と軽量化の課題
そもそも、Catlogのベースとなっている技術はどのようなものなのでしょうか?
「バイオロギング」という技術で、もともとは人間が目視できない海洋生物の生態行動の研究のために開発されたものです。 下の画像のように、動物に加速度センサーを取り付けて行動を記録します。
ペットに応用しようという動きはこれまでにあったのでしょうか?
欧米ではこれまでもペット向けのウェアラブルデバイスは複数展開されており、一部は大手企業に買収されたり盛り上がりを見せています。
ただ、GPSの入った犬向けのものしかなかったんです。 犬と猫様では生物としても全く違いますし、飼い主様のユースケースも違います。 このため、猫様専用という点を重視してCatlogを開発しています。
Catlogでも一番努力しているのは小型化・軽量化の課題です。 猫様の負担にならないよう搭載するセンサーを限定し、10円玉2枚分まで軽量化しました。 センサーの役割が限られることによって、解析の難易度がバイオロギングの中でもかなり高い方になっていると思います。
猫様のUXも重視しているんですね。
そうなんです。同様に「Catlog Board」も猫様の負担にならないように工夫しています。 今までの猫様用のIoTトイレは、トイレごと新しいものに替える必要があったり、電源確保のために置き場所が限定されたりするという課題があったんです。
猫様にとってトイレはとても大事な存在です。 砂の種類を変えただけでそこに排泄しなくなることもあるほど繊細なので、いつものトイレの下に敷くだけで使えるようにデザインしています。
「Catlog」と「Catlog Board」で猫様の健康を徹底管理!
Boardに「乗る」という行為の検知や、体重測定についてはイメージが付きやすいのですが、排泄行為はどのように検知できるのでしょうか?
普段の猫様の傾向から平均値を割り出せるので、Boardから降りた後に残っている重量から推測して記録しています。
個体差はあるものの、猫様ごとに大体決まった量で、尿と糞で識別可能なほど量が違います。 ですので、尿や糞の量に大きな変化が合った場合には、健康面に異常がある可能性を示唆することができます。
「Catlog」で判定できる「歩く」「走る」「食べる」「眠る」「くつろぐ」「毛づくろい」「水を飲む」といった行動に加えて、「Catlog Board」も活用すると健康に関する情報や、異常行動をさらに検出できるようになるんですよね。
そうですね。併用することで、体重や尿の量・排泄の時間や頻度といったデータも解析に利用できるようになります。 飼い主さんと獣医師さんの両方の視点からみても、猫様の健康管理で必要な情報はこれ以上ないと思います。 猫様の健康管理に関する情報はCatlogのサービスで完結することができるんです。
日々進化するプロダクトとプロダクトに直結した機械学習
先程、小型化と軽量化のお話をしましたが、特別なセンサーを使用しているわけではないのですか?
搭載しているのは加速度センサーで、そこから取得できた3軸の加速度センサーの値をどのように解析するかがポイントです。 弊社では機械学習を利用して各行動を分析しています。
猫様の行動は、動物行動学的には大きく分けて17種類あると言われていて、Catlogではその内7種類の行動を判別できています。 17種類全ての行動に加えて、嘔吐や痙攣のような異常行動も判別できるよう現在開発を進めています。
そうした行動分類には実際のユーザーの方々から取得したデータが活用されているのでしょうか。
また、飼い主様からのフィードバックを反映させてCatlogの精度を上げることのできる機能も実装済みです。 使う猫様が増えれば増えるほど、行動分類の精度が向上していきます。
猫様の個性を学ぶという説明も目にしたのですが、個別の猫様ごとのカスタマイズも今後実装予定なんでしょうか?
実はすでに実装を始めていて、調整を続けています。 猫様にはすごく個性があって、例えば食事だと、食べ物・食べ方・食器・タイミングが猫様ごとに異なります。 こういったパラメーターの多い行動は、猫様ごとに学習して精度を上げていっています。
CatlogやCatlog Boardの裏には、最先端の技術があるんですね。 これらのセンサーから得られたデータを解析する上での面白さって何なんでしょうか?
機械学習エンジニャーやプロダクト開発に興味のある方から見ると、弊社が一番特徴的で面白いのは、機械学習の精度がプロダクトの価値に直結している点だと思うんです。 機械学習の精度の高さによって実現される猫様の行動や健康の把握が、そのまま利用者の満足度・エンゲージメントやサービスの普及に直結するんです。
機械学習がミッションの実現に直接影響を与えるプロダクトは他にはあまりないと思いますね。
未だ世界にない新しいプロダクト、Catlogで実現したい世界
今後の方向性やビジョンを教えていただけますか?
「猫様と飼い主が1秒でも長く一緒にいられるように」というのが私達のビジョンです。 CatlogとCatlog Boardで取得したデータをそのためにどう解析していくかが大きなテーマになっていくと思います。
なるほど、データの解析が鍵なんですね。 ちなみに、RABOさんで働きたいエンジニャーには猫様への愛が必須要件なんでしょうか?
猫様に限定しているわけではありませんが、「大切なものを大切にする」ことは重視しています。 猫様たちやその猫様を大切に思う飼い主様たちに利用していただくプロダクトなので。
また、メンバーはプロダクト開発に長けたメンバーばかりなので、スキルに関してはかなりシビアです。 創立3年目のスタートアップ企業なので、自分自身の力で課題を発見して解決しながら進めていく力は重要だと思っています。
将来、RABOで働きたいエンジニャーの方向けに伝えたいメッセージがあれば教えて下さい。
Catlogは現在、世の中にカテゴリすら存在しないプロダクトで、私達はその新しいカテゴリを作りにいっています。 バイオロギングという行動分類とプロダクト開発に長け、猫様と過ごした長い経験を持っているチームは今まで世界になかった全く新しいチームだと自負しています。
プロダクトができて約1年しか経っていないにも関わらず、SNSではCatlogというプロダクトが少しずつ認知され始めていますし、機械学習という観点でも今までにない領域を切り拓くチャレンジングな取り組みを続けています。
弊社は常にエンジニャーの募集はしているので、モノづくりや機械学習に興味がある方がいれば、お話させていただければと思っています。
本日はありがとうございました!
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