集中力を助け、仕事や勉強の生産性を高めるアプリ『[集中](https://apps.apple.com/jp/app/%E9%9B%86%E4%B8%AD-%E5%8B%89%E5%BC%B7-%E4%BB%95%E4%BA%8B%E7%94%A8%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC/id1387759250)』をご存じでしょうか。
タイマーをセットして集中する時間を決め、*どれくらい集中できたか記録する*、という一見“ありそう”なアイデアに、*シンプルで使いやすいUIとユーモア*。**「広告ゼロ」という振り切ったユーザビリティー**が話題を呼び、コロナ禍で在宅時間が増えたビジネスパーソンや、勉強に集中したい学生たちから支持されています。

~~アプリ『[集中](https://apps.apple.com/jp/app/%E9%9B%86%E4%B8%AD-%E5%8B%89%E5%BC%B7-%E4%BB%95%E4%BA%8B%E7%94%A8%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC/id1387759250)』~~

開発したのは、**アプリ開発会社『bondavi株式会社』の代表、戸田大介さん**。アプリ制作への思いが強すぎて起業。社員を増やしたにも関わらず、収益の柱となっていた受注デザインの仕事を終了し、*広告収益が入らないアプリをリリースし続けて経営は赤字に*。

今回はそんな、少し変わった会社の実態から、「お金にならないのにどうしてそこまでするの？」という素朴な疑問、「愛されるアプリ」を作る秘けつまで、戸田さん本人に直撃。bondaviのアプリユーザーはもちろん、アプリ開発に関わる方も必見のインタビューとなりました！

~~『bondavi株式会社』の代表、戸田大介さん。広告代理店でデータアナリストとして勤務したのち、フリーランスのアプリ開発者として独立。のちに起業する。~~

## アプリが大ヒットしたのに赤字続きのアプリ会社、『bondavi』の誕生秘話

### 自分のアプリがバズって感動。アプリ開発を仕事に

#### balloon satsuki_harada left
アプリ開発を仕事にしようと思った経緯を教えていただけますか？

#### balloon bondavi_toda right
**もともとは会社員をしながら趣味でアプリを開発していたんです**。当時は女の子がひたすら褒めてくれるアプリとか、けっこうふざけたものを作っていたんですが、あるとき僕の作ったアプリがメディアに取り上げられて。
すると、*沖縄から北海道まで日本中の人からさまざまな反応が届いたんです*。

#### balloon satsuki_harada left
それは嬉しいですよね。

#### balloon bondavi_toda right
僕、大学まではずっと地方の自分のいる地域しか知らなかったので、そのとき**世界が開けたというか**。*自分1人で作ったものが世の中に広がって、いろんな人に影響を与えられるんだ*、ということに感動しちゃったんです。

#### balloon bondavi_toda right
つい、「これ（アプリ）で生きていきたいなあ」って思ってしまって。先のことも考えずに*「アプリ作りたいんで辞めます」*と上司に（笑）それで現在に至ります。

~~戸田さんが会社員時代に作ったアプリ、『褒め殺し』~~

### フリーランスから起業し、仲間探し

#### balloon satsuki_harada left
始めはフリーランスとしてアプリ開発をされていたとか。

#### balloon bondavi_toda right
そうですね。最初は会社を作ろうとか、社員を入れようというつもりは全くなくて。何かきっかけがあったというよりは思いつきで、「**会社を作って仲間と一緒にアプリを開発したらもっと楽しいんじゃないか**」と。

#### balloon satsuki_harada left
フリーランスになった時といい、思いついたら即行動派なんですね！
現在のメンバーは、どのようなつながりで集まったのですか？

#### balloon bondavi_toda right
SNSで公募しました。*TwitterやInstagramで募集要項を発表して、応募者の中から書類選考して、面談して……*という一般的なプロセスを踏みましたね。
僕は一緒に働く仲間は慎重に選びたかったので、試験採用期間も設けました。

#### balloon satsuki_harada left
戸田さんが採用で重視したポイントが気になります。

#### balloon bondavi_toda right
一番大きいのは人間性ですね。**僕が一緒にやりたいなって思えたかどうか**。それと、ちょっと難しい質問にもまとまった答えを返せるような、*頭の回転が早い方*を求めていました。

#### balloon bondavi_toda right
ただ、エンジニア採用の際はスキルも重視したかったので、募集方法自体を工夫しました。

#### balloon satsuki_harada left
具体的には？

#### balloon bondavi_toda right
**募集要項をプログラミング用語で書いたんです**。解読できた人しか選考に進めない、みたいな（笑）

#### balloon satsuki_harada left
面白い！

~~[実際に投稿された募集要項]( https://www.instagram.com/p/CDNl_bBncI1/?utm_medium=copy_link)~~

#### balloon satsuki_harada left
今のメンバーと、日々の実務について教えていただけますか？

#### balloon bondavi_toda right
現在は僕のほかに、*エンジニアであり開発担当の丸子、広報の松本の2名*が社員として働いています。
アプリ開発に関しては、デザインやアプリ内のテキストは僕が、プログラムは僕と丸子がそれぞれにプロダクトを担当している形ですね。

#### balloon satsuki_harada left
ひとつのプロダクトを1人の開発者で担当するってあまりないですよね？

#### balloon bondavi_toda right
アプリ開発会社だと、フロントエンド側とバックエンド側などで、開発者を分けるのが一般的かもしれません。うちは**プロダクトごとに担当者をはっきりと分けている方**じゃないでしょうか。

#### balloon bondavi_toda right
広報の仕事はシンプルで、プレスリリースの準備をしたり、メディアの研究をしたりというところです。

~~左が開発担当の丸子さん、右が広報の松本さん~~

## ダウンロード数300万の大ヒットでも赤字で運営を続けるワケ

### 大ヒットアプリ『集中』。「自分が欲しい」がすべての原点

#### balloon satsuki_harada left
集中する時間と休憩する時間を決めて生産性を高めるアプリ、*『集中』*。1つの知識やスキルを習得するために30日間継続するためのアプリ、*『継続する技術』*など、**開発されたアプリの累計ダウンロード数が300万を突破されました**。
戸田さんがアプリ開発において意識されていることはどんなことですか？

~~アプリ『[継続する技術](https://apps.apple.com/app/apple-store/id1120239484)』~~

#### balloon bondavi_toda right
僕は基本的に、**「自分が欲しいと思ったアプリを作る」というところをスタートにしています**。『集中』も、『継続する技術』もすべて、「こういうアプリがあったらいいのにな。でも今あるものってなんか違う」っていうところが出発点なんです。

#### balloon satsuki_harada left
たとえば、どんなところが違ったのですか？

#### balloon bondavi_toda right
そうですね。『集中』アプリなら、時間を設定できるタイマーアプリはたくさんあるんです。でも僕が欲しかったのは、*用意されているボタンを押すだけでタイマーがスタートして、集中した時間を記録できるものでした*。

#### balloon bondavi_toda right
『継続する技術』の場合は、*目標をひとつだけ設定できるアプリ*が欲しかったんですよね。「走る」「筋トレする」「ダイエットをする」と、同時並行で何個も目標を設定するアプリはよくあるのですが、同時並行でいくつも目標を立てるって、僕にはできないので（笑）

~~アプリ『継続する技術』の目標設定画面~~

#### balloon satsuki_harada left
アイデア自体はありそうだけれど、「自分が欲しいもの」という切り口で機能を見直すことで、結果的に使う人の動機や目的に寄り添っているのですね！
ところで、コロナ禍で在宅ワークに切り替えたビジネスパーソンや、授業がなくなり家で勉強する学生さんが増えましたが、『集中』アプリのおすすめの使い方があれば教えていただけますか？

#### balloon bondavi_toda right
僕自身は、**「何時から何時まで何セット集中する」ということをルーチンにしていますね**。
具体的には、朝起きたら25分を3回。食事の後は25分を6回。日々のリズムが固定化されると、生産性が高まる気がしています。

#### balloon satsuki_harada left
かなり規則的な生活をされているのですね……！

#### balloon bondavi_toda right
ただ、多くの方はミーティングがあったり、業務連絡があったりして自分のリズムを作りづらいんじゃないかと思うので、あまり汎用的なアイデアではないかもしれません。

### 広告を載せずに、『無駄機能』で収益化目指す

#### balloon satsuki_harada left
『集中』アプリには、「応援コメントが名言風になる」「ドラマティックにタイマーを一時停止する」など、*課金することで拡張できるユニークな『無駄機能』*がありますね。

#### balloon bondavi_toda right
『無駄機能』は、**「どうしたら不快な気持ちにならず、気持ちよくお金を払ってもらえるのか？」**を突き詰めた結果なんです。

#### balloon satsuki_harada left
どういうことでしょう？

#### balloon bondavi_toda right
本来であれば、アプリを収益化するためには広告を入れなくてはいけない。でも僕、アプリに広告が入っていると「ウッ」ってなっちゃうんですよ。*自分が使いたいものを作ることを前提にしているので、「広告が入ったアプリ」はどうしても作りたくないな、と*。

#### balloon bondavi_toda right
かといって、必要な機能を有料化するというのも違う。自分が学生のころを振り返ると、アプリに課金するようなお金の余裕はなかったし、*「課金しなくちゃ使えない機能って感じ悪い」*と思っていましたから。

~~アプリ『集中』の『無駄機能』画面~~

#### balloon satsuki_harada left
だから、本来の機能自体には影響しないけれど、課金することでちょっと楽しくなるようなバランスを考えられたのですね。

#### balloon bondavi_toda right
ただ、データを取ったところ**実際に課金してくれた人の数値は全体の1%程度**。99%のユーザーは課金せずに使っていますね（笑）

### アプリはウケても収益は赤字。メンバーの反応は？

#### balloon satsuki_harada left
昨年6月のTwitterで、**「売上の8割を占める受託デザインの仕事を終了した」**とありましたが、現在メインの収入源は？

~~戸田さんの[Twitter画面](https://twitter.com/todayske/status/1401506646992424961)~~

#### balloon bondavi_toda right
『無駄機能』ですね、はい。

#### balloon satsuki_harada left
課金率1%️のツイートでは*「資金が尽きる前に黒字化しないと会社がつぶれるという状況」*とありましたが、その後、収益に変化はあったのでしょうか。

#### balloon bondavi_toda right
あのツイートの後、ダウンロード数が増えてきたので若干は回復しました。プラス、買い切りスタイルだった*『無駄機能』の価格を下げて月額制*にしまして。それも少しは影響していますね。
一時的には課金率がガクンと減ったのですが、**『集中』というアプリや『bondavi』のプロダクトそのものを応援してくれる方が増えたのではないでしょうか**。

#### balloon satsuki_harada left
回復傾向とはいえ、赤字が続くことへの焦りはありませんか？

#### balloon bondavi_toda right
そうですね。**でも結果的にこれでよかったと思っています**。このまま赤字が続いて会社がつぶれそうになったらまた元の受注スタイルに戻せばいいし、*それまでの間好きなアプリ開発に専念できるんだったら十分幸せなので*。

~~インタビューを受ける戸田さん~~

#### balloon satsuki_harada left
『無駄機能』という現在の収益スタイルを、スタッフの方はどのように捉えていらっしゃるのでしょうか？

#### balloon bondavi_toda right
実は先日、コロナが落ち着いたタイミングで飲み会があり、アプリの収益や会社の状況について2人がどう思っているのかを聞いてみたんです。
広報の松本は、*「ユーザーのために広告を載せないということはすごく共感しています！」*と話してくれました。ただ、**「広告なしでどれだけできるのか、正直不安と楽しみな気持ちが半々」**だと……（笑）

#### balloon satsuki_harada left
率直な意見ですね（笑）

#### balloon bondavi_toda right
開発担当の丸子はもう少しシビアで、**「『無駄機能』で黒字化を目指してると聞いたときはふざけてるのかなと思っていた」**と。

#### balloon bondavi_toda right
ただ、丸子もユーザーインタビューやレビューで「アプリが本当に役に立っている」という声に触れて、「この方針も間違っていないのかも」という気持ちに変わりつつあるようです。

## 稼げなくても、“企業として”アプリを作り続ける理由

### 本当にいいアプリを、世の中に届けたい

#### balloon satsuki_harada left
失礼ですが、収益化に振りきらないにも関わらず、どうしてアプリ開発を*趣味ではなく“企業として”続けられる*のでしょうか？

#### balloon bondavi_toda right
僕の中では2つの理由があるんです。ひとつめは**「1人でやるよりも優秀な仲間がいたほうが、より人の役に立つことができる」**ということ。
丸子も松本もとても優秀で、丸子は開発を初めて2年しか経っていないにも関わらず、すごく複雑なコードもかける。作りたいものに手が追いつかない時、戦力になってくれる仲間がいることは本当にありがたいですね。

#### balloon satsuki_harada left
まさに右腕！

#### balloon bondavi_toda right
松本も、広報経験がなかったにも関わらず、独学で成長して会社を支えてくれました。彼女が入社してからの1年半で、会社やアプリのことをメディアに取り上げていただく機会は格段に増えました。

#### balloon satsuki_harada left
そうだったんですね！でも、そもそもどうして技術者ではなく広報を募集されたのですか？

#### balloon bondavi_toda right
先ほどもお話しした通り、*僕らのアプリは広告を入れていないので*、**『bondavi』という会社をいかに世の中に知ってもらえるかが会社存続の肝**になります。松本が『bondavi』と社会との接点を作ってくれたことで、僕は開発に専念することができているんです。

#### balloon satsuki_harada left
お2人の存在が『bondavi』のモノづくりを支えているんですね！

#### balloon bondavi_toda right
はい。彼らの働きで生産性が上がり、そのぶん**ユーザーのためにできることが増えている**ことは確実です。結果的に『bondavi』としてよりよいプロダクトを発信することにつながっているのではないでしょうか。

~~[『bondavi』公式サイト](https://bondavi.jp/data)のメディア掲載実績~~

#### balloon bondavi_toda right
ふたつめは単純に、**「仲間がいたほうが楽しい」**ということですね。自分たちが作ったものが人の役に立った時とか、会社が成長したときに、一緒に「やったー！」と喜べる人がいるっていうのは素直にうれしいことなのかも。

### 『bondavi』が “チーム”として目指す未来は？

#### balloon satsuki_harada left
今後、会社の拡大は考えていらっしゃいますか。

#### balloon bondavi_toda right
「メンバーを増やす」ということはあまり考えていませんね。というのも、人が増えると、1人ひとりに目配りすることが難しくなると思っていて。

#### balloon satsuki_harada left
具体的にどういった点が？

#### balloon bondavi_toda right
**僕は、一緒に働いてくれる人のことをじっくり時間をかけて考えたいんです**。今も、メンバーがいい仕事をできるように働く環境を整えているところで。
もしメンバーが10人、20人に増えた時に、間にマネージャー職を置くことで*全員がハッピーに仕事ができる方法をちゃんと考えられるのか*。僕自身、その辺りの組織論はまだまだ慎重に検討する余地があると思っています。

#### balloon satsuki_harada left
なるほど。

#### balloon bondavi_toda right
ただ、人員的な規模を広げようというところではなく、**アプリのダウンロード数や会社自体の認知**という部分はどんどん広げていきたいと思っています。というか、*広げないとつぶれちゃうっていう状況なんですが……*。

#### balloon satsuki_harada left
今後会社として目指す方向性があれば教えてください。また、アプリ開発以外でやりたいことや現在構想していることはありますか？

アプリ開発を手掛ける『bondavi株式会社』の代表、戸田大介さんにインタビュー。少し変わった会社の実態から、「お金にならないのにどうしてそこまでするの？」という素朴な疑問、「愛されるアプリ」を作る秘けつまで深堀させていただきました。

戸田さん

広告制作会社でコピーライターとして勤務したのち、2018年にフリーランスのライターに転身。取材記事から広告、会報誌の編集や記事ディレクションまで、ライティング周りの幅広い業務に携わる。現在は渋谷のWEB制作・マーケティング会社にデスクを置き、日々エンジニアに囲まれて仕事をしている。

原田さつき

アプリ開発会社なのにアプリでの収益がほぼない会社、『bondavi』

ヒットアプリ続出で累計ダウンロード数は300万。ただし収益は寄付のみ

モノ作りの出発点は「自分が欲しいかどうか」

1人より、仲間がいた方がユーザーのためになるアプリを作れる

累計ダウンロード数300万「でも赤字」。bondavi株式会社に学ぶ、”幸せ"のモノづくり論【前編】

自分にとっての幸せとは何なのか？

大切なことだとわかりつつも、なかなか追求しきれない人生の問い。

それを常に考え、経営者として本気で実践している人たちがいます。

**自分たちが本当に使いたいSNSアプリ『mio』を想い優先で自社開発**し、**Going my wayを貫くために自己資金での経営を貫く**『Anycloud』

今回は、互いにスタートアップの起業を経験した後にこのスタイルに辿り着いた、CEOの村井謙太さんとCOOの清水一貴さんにお話を伺いました。

SNS疲れに終止符。素の自分を出せるSNS『mio』が追求する“心理的安全性”の価値【前編】

~~COO 清水一貴さん（左） / CEO 村井謙太さん（右）~~

## Progate時代から変わらない、愛されるプロダクトを作る喜び

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村井さんにとって、自分の幸せを追求することのプライオリティが非常に高いことはよくわかりました。 いま29歳でいらっしゃいますが、どんなキャリアを積んでこられましたか？

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**最初に起業したのは、東大在学中**です。 1、2年生のときは遊んでたんですけど、3年生になってそろそろ大丈夫かと思い始めて。 学生のうちにチャレンジしたいという気持ちで、熱意だけでテンション高く起業しました。

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それが、Anycloudの前の『Progate』ですか？

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いえ、その前です。 当時は、サービスのアイデアは浮かぶものの形にできず、お金もないから外注もできず。 情熱もあって、友達にも「俺は起業する」とカッコつけているのに、ただただ時間だけが過ぎていくという無力感を味わいました。

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すごく消化不良で 「**ゼロイチで何かを作るには、プログラミングができないとノーバリュ―**だな。」 「自分で作れないとダメだな」 と、痛感したんです。 それが、大学3年の秋に**東大プログラミングサークル『ゼロワン』**を立ち上げるきっかけになりました。

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そこがプログラミングとの出会いだったんですね。 東大プログラミングサークル、かなりのパワーワードですよね。

#### balloon miokentamurai right
**東大エンジニア集団だと名乗れば、受託開発の依頼があるだろうという狙い**もありました。 実際、依頼をいただいたので、自分も本格的にプログラミングを勉強して、力をつけることができたんです。

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**知識を身に付けてから仕事を始めるのではなく、仕事にすることで勉強せざるを得ない環境に追い込む**というお話は、フリーランスで活躍されている方からよく聞きます。 そこから、オンラインプログラミングサービスの『Progate』につながるんですね。

~~画像出典：[Progate](https://prog-8.com/)~~

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Progateは、プログラミング学習時に自分が苦労したことを解決したいと思って立ち上げたサービスです。 東大の同級生だった加藤將倫（[@cmasad43](https://twitter.com/cmasad43)）と一緒に起業しました。

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いまや**世界100ヶ国以上で240万人に使われているサービス**ですよね。 自分の作ったサービスがそこまで広く評価されて使われるって、すごすぎて想像できないです……！

#### balloon miokentamurai right
**ユーザーがファンとしてついてきてくれるプロダクトを作る**、というのが、Progate時代も今も変わらない、自分にとっての喜びですね。

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どう働くかの基本が、そこにあるんですね。

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そういえば、村井さんは東大を中退されていますが、卒業しなかったのはどうしてですか？

#### balloon miokentamurai right
卒論だけが終わらなくて、4年間休学したあと、最終的に退学しました。

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正直もったいなあと思ってしまうんですけど、ProgateやAnycloudの起業・経営を経験する中で、大学を卒業することへの価値観が変わった部分もあったんでしょうか。

#### balloon miokentamurai right
**プログラミングは独学でどこまでも深められるし、学歴は無関係**です。 **自分はすでに起業しているので、東大を卒業するかどうかはもう関係ない**な、と。そういう価値観にはなっていましたね。

## 働くことは、生きること。自分の幸せをコアに、意思決定したい

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**村井さんは『Progate』**で、**清水さんは旅人の求人サイト『SAGOJO』**で、それぞれスタートアップの起業を経験していらっしゃいますよね。 どちらもスタートアップの成功例だと思うのですが、なぜAnycloudは自己資金なんでしょうか？

#### balloon miokentamurai right
それは最近もずっと考えてはいるんですけど……。 簡単に言うと、**スタートアップとして投資家から資金調達を受けると、会社の成長ファーストになってしまう**からですね。 目標をクリアしても、すぐに次の目標が設定されて、**無限に成長していかないといけなくなる**んです。

#### balloon miokazutakasimizu right
成長スパンが、どうしても3～5年くらいに設定されてしまうんですよね。

#### balloon miokentamurai right
清水ともよく話すんですけど、「何を意思決定のルートとするか」「何をエンジンのコアにするか」ということって、とても大事だと思うんです。 資本主義だと、そのコアは会社の成長です。 **でも僕にとっては、「何のために生きるのか」と「何のために会社やるのか」がかなり近いので、どうせ働くなら自分の幸せを目指そうよ**という想いがあるんです。

#### balloon eriko_ichibangase left
自分の幸せ。mioのコンセプトにも通じてきそうなお話ですね。

#### balloon miokentamurai right
**どんどん豊かになっているのに、人々の幸福度があまり変わらない世界に違和感**を持っています。 モノを豊かにするのもいいけど、普通に人間の幸せのために活動しようという想いが強いんです。 成長ファーストな世界だと生ぬるいことを言うなとなっちゃうんですけど、そこは自分のポリシーですね。

#### balloon miokazutakasimizu right
成長を求めずにゆるくやりたい、という意味ではないですよ。 むしろ僕らとしては、**会社が生まれてからなくなるまでに提供できるトータルの価値を最大化したいという想いが強い**んです。

#### balloon eriko_ichibangase left
え、ちょっとお話が難しくなったかも！つまり……？

#### balloon miokazutakasimizu right
目標設定する、成長スパンの違いです。 
短期的な成長のためには今注力している事業を最優先するのが正解、でも長い目で考えると、チーム作りや新規事業など他の要素も同じくらい重要ってこと、ありますよね。

#### balloon eriko_ichibangase left
はい、それはよくわかります。大企業ならそれぞれのセクションや役割がありますが、小さな会社では取捨選択を迫られることもありますね。

#### balloon miokentamurai right
あと、若者への悪影響が指摘されているFacebook（Meta）のように、時代の変遷の中で、プロダクトの評価が変わることもあります。 利益を生み出しているかどうかだけではなく、「そのプロダクトは今本当に価値を提供しているのか？」という点も判断基準にしたい、という気持ちがあります。

#### balloon miokazutakasimizu right
僕らは、**「会社の長期的な価値の最大化に効くのはどの選択肢だろう」というのを、常にフラットな目線で検討・選択できる状態でいたい**んです。

#### balloon eriko_ichibangase left
なるほど、とてもよくわかりました。 でも同時に、「自己資金で長期的に成長するより、資金調達して急成長するほうがトータルの価値が大きくなることも多いのでは？」という、素朴な疑問も湧きます。

#### balloon miokentamurai right
もちろん、それも本当です。 前にいたProgateにしても、世界中に価値を提供できるまでに急成長したのは初期から出資してくださった投資家さんがいるからです。 今でも、感謝の気持ちはとても大きいですよ。

#### balloon miokentamurai right
ただ、**スタートアップにはスタートアップの掟や常識、空気感みたいなのがあって、レールを外れるのは難しい**面もあるんです。 清水も言ったように僕らはチーム作りにも興味があるし、いろんな新規事業にも挑戦したい。そうなると、スタートアップという選択肢はなかなか難しいと感じるんです。

#### balloon eriko_ichibangase left
実際に2年実践してこられて、そのスタンスは変わりませんか？

#### balloon miokentamurai right
**自己資金でGoing my wayというスタンスは変わりません**ね。 **資金調達しないぶん成長スピードが遅いですが、それ以外のデメリットは感じていません**。 ゆっくりでもちゃんと積み上げていけば、Progateのように多くのユーザーに使ってもらえるようなプロダクトを再度作ることも不可能ではないと感じています。

#### balloon miokazutakasimizu right
もちろん、**プライベートカンパニーだからといって、世の中に価値を与えないような会社であってはいけない**と思っています。 個人の幸せを追求したいとは言いましたが、**僕らにとって価値を世の中に与えるのも自分たちの幸せ、人生の意義として相当に大きい**ものなんです。 価値のあるプロダクトを作りたいですね。

~~Anycloudの公式サイトより。村井さんと清水さんの明るい笑顔が印象的~~

#### balloon eriko_ichibangase left
Anycloudの公式サイトのお2人の写真、コーポレートサイトとは思えないほどの笑顔ですよね。 あの笑顔は、幸せを追求していくという理念を象徴してるんですか？

#### balloon miokentamurai right
めちゃくちゃ笑ってますよね。 僕としては、清水はもっと締まった写真のほうがいいんじゃないかと思ったんですけどね（笑）。

#### balloon miokazutakasimizu right
何枚か撮ってもらった写真を各自で選んだんですけど、なぜか2人とも爆笑してる写真を選んだんですよ（笑）。

#### balloon eriko_ichibangase left
偶然だったんですね！かなり気になってたので、聞けてよかったです。 お話を聞いていても、お2人にすごく似合っているサイトだなと思いますよ。

## 受託開発の利益で、自社開発。自己資金経営は、自給自足スタイル。

#### balloon eriko_ichibangase left
2019年に創業されたAnycloudですが、今は何人ですか？

#### balloon miokentamurai right
**自分と清水の2人で、ほかに業務委託のエンジニアが5～6名**所属しています。

#### balloon eriko_ichibangase left
mioではマネタイズできていないとのことでしたが、Anycloudの経営は別事業の利益で行われているということですよね？

#### balloon miokentamurai right
**受託開発で利益を上げて、その資金で自社開発のプロダクトを作るという自給自足**の流れです。

#### balloon eriko_ichibangase left
受託開発は、どんなスタイルで受けていらっしゃるんですか？

#### balloon miokentamurai right
ITに詳しくないクライアントなら、まるっと開発を請け負うこともありますし、スタートアップ企業のようにITに詳しいクライアントならプロジェクトメンバーの1人として参画することもありますし。いろいろですね。

#### balloon eriko_ichibangase left
受託開発は、基本的に業務委託のエンジニアさんたちですか？

#### balloon miokentamurai right
そうですね。 自分と清水は受託開発のディレクションがメインなので、去年はそれ以外の時間はずっとmioの開発につぎ込んでいましたね。

#### balloon miokentamurai right
ただ、mioのように2人だけで開発していてもなかなか埒が明かないので……。 **受託開発を増やして利益の基盤を作って、いろんな事業をやれるようにするのが当面の目標**です。

## 元、悩みを相談できる副社長同士。今は同じ志を持つ共同経営者

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話が前後しますが、そもそも、村井さんと清水さんの出会いは、いつですか？

#### balloon miokazutakasimizu right
学生時代に旅行系メディアをやっていて、その関係で参加した飲み会で村井に出会ったんですよ。 起業家の人が多い飲み会だったんですが、**学生は自分たちだけだったので意気投合**して。

#### balloon miokentamurai right
Progate時代も、毎月ランチするくらい仲が良くて、会社経営のこともよく相談してました。

#### balloon eriko_ichibangase left
そのころから、いつか一緒にやりたいねと話されていたんですか？

#### balloon miokentamurai right
当時はそこまで具体的ではなかったですね。 当時はお互い会社の副社長という立場だったので共通の悩みも多くて、頻繁に相談し合う関係という感じでした。

#### balloon eriko_ichibangase left
その後、それぞれが副社長の立場を退いてAnycloudを起業ということになるわけですが……、その流れについてお伺いしてもいいですか？ 普通の転職よりデリケートな気がしますが、円滑に進めるために気を付けた部分はあるんでしょうか。

#### balloon miokentamurai right
僕はわがままを言わせてもらって、わりとスパッと辞めましたね。 代表と二人三脚でやってきた会社でしたけど、ある程度、権限移譲できてたフェーズでもありましたし。 代表も、**謙太はやりたくなったらそうするんでしょ、行ってらっしゃい**、みたいな理解を示してくれましたね。

#### balloon miokentamurai right
代表には迷惑をかけてしまった部分もあると思いますが、快く送り出してくれたことには感謝しています。

#### balloon eriko_ichibangase left
清水さんは新卒で入った会社を辞めてSAGOJOを立ち上げて、その後Anycloudに移っていらっしゃいますよね。 どんな感じでの転職でしたか？

#### balloon miokazutakasimizu right
最初の会社は、インターンで半年、新卒で入社して半年ほどでした。 会社に伝えたのは辞める1ヶ月前くらいだったのですが、上司が背中を押してくれました。 気を遣わずに…というか、気を遣えずに辞めました。

#### balloon miokazutakasimizu right
でも、SAGOJOからAnycloudに移るときは、村井ほどタスクを移譲できていなかったのもあって、すぐにとは行きませんでした。 「これさえ押さえておけば大丈夫」というところまでドキュメントを残したり、設定を済ませたり、そこはかなり気を遣いましたね。

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経営陣であるだけでなく、タスクをたくさん抱えている立場なら、それは大変だったでしょう……。

#### balloon miokazutakasimizu right
社内や投資家の方との調整もありましたし、**辞めると言ってから実際に辞めるまで1年くらいかかりました**。 僕が先に辞めると言い出したのに、3ヶ月後くらいに村井は一瞬で辞めちゃうし（笑）。

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どこまでスムーズかは状況にもよるでしょうが、スタートアップで重要な立場にあったお2人が、今2人だけの会社でこのスタイル。 自分の生き方に、強い意志があるんだなと感じます。

## どこでも働ける楽しさと健全なチーム作りを、ソフトウエアで提供したい

#### balloon eriko_ichibangase left
Anycloud創業時、村井さんはnoteに「事業は何でもいい。要は時代に合わせてわくわくすることをやりたい」と書かれていました。 これからやりたいこと、興味を持たれているジャンルはありますか？

#### balloon miokentamurai right
会社としては、今年は受託開発を増やすことをメインに考えています。 自己資金でプロダクトを作るためには、ここは非常に重要なところなのでしっかり力を入れます。

#### balloon miokazutakasimizu right
この記事を見て声をかけてくれる企業さんがあったら嬉しいですね！

#### balloon miokentamurai right
その他は、**短期的に何をするかにはあまり重きを置いてない**ので、ざっくりとですけど、**興味があるジャンルとしては、VR**ですね。 Progateの前から興味を持っているんですが、当時はまだ早すぎるかとやめたんですけど、そろそろかなと。

#### balloon miokentamurai right
そうはいってもまだ普及期ではないですけど。 でも、2年後くらいにわりといいデバイスが出てくるくらいのフェーズには来てるし、**VRが来ると、かなりいろんなパラダイムが変わる**んじゃないかと思ってます。

#### balloon eriko_ichibangase left
どんな時代になりそうですか？

#### balloon miokentamurai right
自分はメタバースはあまり詳しくないですけど、**小さな画面でデジタル活動をしてるのが、もっと3次元的になっていくんじゃないか**とか、可能性を感じますね。 研究したい分野です。

#### balloon miokazutakasimizu right
僕も村井と同じで、VRとか技術をウォッチして、チャンスがあればやっていきたい気持ちは同じですね。

#### balloon miokentamurai right
あと、**バーチャルオフィスも作ってみたい**ですね。 去年の10月頃、清水と1ヶ月くらい石垣島で過ごしたんですよ。土地が変われば人も変わるし、すごく楽しかったんです。 でも今はまだ、リアルで会わないと提供できない価値が多いですよね。そういうのをもっとオンラインで探って、**どこででも働ける楽しさを実現したい**ですね。

~~Anycloudではバーチャルオフィスを導入している~~

~~バーチャルオフィスを作りたいと思ったきっかけのひとつである石垣島の観光~~

#### balloon miokazutakasimizu right
自分たちが**リモートやってて、「もっとリアルに近いコミュニケーションができればな」と思うことも多い**ですからね。

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やっぱりここでもmio的な要素が欲しくなるんですね……！ 作るスキルがあるだけに、いろんなアイデアが出そうですね。

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どうしても、リアルに近い洗練されたプロダクトを追求したくなっちゃいますね。 社内で使うツールは僕たちも作りやすいし、他の企業さんに提供していくという展開もわかりやすいですしね。

互いにスタートアップの起業を経験した後に友達ともっと仲良くなれるSNS『mio』を生み出した、CEOの村井謙太さんとCOOの清水一貴さんに、ご経歴、経営理念、人生観についてお話を伺いました。

心理学科卒業後、新卒未経験でSI企業に就職し、Java系のSEとして10年。 結婚出産を経て、2015年にトラベルライターに転身。 現在はライターのほか、webディレクターや広報の業務にも携わっている。 新婚旅行では1年かけて世界50ヶ国を巡るほどの旅行好き。 日々の晩酌が何よりの楽しみ。

一番ヶ瀬 絵梨子

1992年三重県生まれ。
東京大学在学中に株式会社Progateを創業し、 100万人以上のユーザーが使う初心者向けプログラミング学習サービスのProgateを開発・運営する。
CTO(最高技術責任者)として経営、プロダクト開発、教材開発、採用、組織マネジメントなど幅広い業務に携わる。
2019年株式会社Anycloudを創業。

村井さん

1993年生まれ。
新卒でマーケティングのコンサルタントとして勤務し、クライアント、自社事業のグロースに携わる。
2015年に株式会社SAGOJOを創業。 エンジニアがいなかったのでプログラミングを独学し、開発、マーケティング、マネジメントなど技術、ビジネスの両面で幅広い業務に従事。
2019年株式会社Anycloudを創業。

清水さん

ゼロイチでサービスを作り上げるには、プログラミングスキルがマストである

資金調達を受ける成長ファーストの経営は、個人の幸せとバッティングしやすい面もある

成長スピードが遅いことだけが、自己資金経営の唯一最大のデメリットである

Anycloudが作りたいのは、どこでも働ける楽しさと健全なチーム作りを実現するプロダクト

“東大中退”のProgate創業者村井氏が選んだ、働く喜びと自分の幸せを諦めない働き方とは【後編】

## 『mio』が目指すのは、中高生が友達とつるむ感覚で使えるリアルなSNS

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**2021年11月に、新しいSNS『mio』をリリース**されましたよね。** “友達ともっと仲良くなれるSNS”がコンセプト**だそうですが、どういうことですか？

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**友達の数やいいねに価値を置いておらず、素の自分を出しやすいという意味です。** 投稿をきっかけにコミュニケーションが生まれるSNSアプリという点ではTwitterやInstagramなどの既存のSNSと同じですが、投稿に対するリアクションやコメントは他の人からは見えないようになっています。

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**飾らない日常の投稿をきっかけにDMで会話が始まり、その会話が周りには見えない**ということですね。 SNSというよりも、**教室や休憩室でのリアルな会話に近い**ですね。

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