**SPA開発とは、SPA（シングルページ・アプリケーション）構成をとるアプリケーションの開発を指します。**ここでは、SPA開発の概要やメリットとデメリット、主要なSPA開発のフレームワークやライブラリについて解説していきます。

*SPAとは、シングルページ・アプリケーション（Single Page Application）の略で、ユーザエクスペリエンス（UX、User eXperience）の向上を図ったウェブの画面レイアウトを指します。*

ブラウザ画面をデスクトップのように使用し、単一のウェブ画面でありながらあたかも通常のアプリケーションを操作するような操作感を提供します。

*SPA開発は、1つのウェブページ上にアプリケーションを表示させるSPAを使用したアプリ開発です。*完成したアプリケーションは、画面遷移がウェブページで完結し、デスクトップアプリケーションを実行しているような操作感をユーザに与えることができます。

SPAを用いたソフトウェア開発は手間がかかるため、効率的な開発と利用を促進するために多くのフレームワークがリリースされています。フレームワークを使用することで、デメリットを抑制してメリットをよりシステムに活かせます。

SPAのメリットは、ウェブページを移動せずに、表示やコンテンツを切り替えるため、操作感が高まることが挙げられます。ページ全体が別のページをロードしないため、統一された表示が可能で、シームレスな描画とともに使いやすさも高められます。

*SPA開発では、SPAの特徴を活かしたデザインが可能となり、最初のロード時にファイルを読み込むことから、その後の処理はサーバへの負荷が少ないメリットもあります。*キビキビとした画面表示は使用者に好印象を与えることができます。

また、ブラウザ上でアプリケーションを動作させるためシステムの互換性が高まり、マルチプラットフォームで動作させることが簡単にできます。

SPAのデメリットとしては、最初にアプリケーションコードをロードするために時間を要することが挙げられます。最初の起動が遅くなるため、あらかじめ表示するHTMLを生成しておいたり、動的に必要なものだけを読み込んだりする工夫がされているものもあります。

*SPA開発においては、ブラウザ自体のロードが高いため、アプリに適するブラウザについての評価を行う必要があります。*クライアントサイドやサーバサイドのフレームワークが必要なため、システム移行性の低下や構築難易度が高いこともデメリットに挙げられます。

また、コンテンツの表示がクライアント側で行われることから、検索エンジンの最適化（SEO）の評価に反映されない場合もあります。

SPA開発では、HTMLとCSSに加えて、JavaScriptベースのフレームワークまたはライブラリを用いて、アプリケーションの開発を行います。そのため、*ベースとなるプログラミング言語の知識としてHTMLとCSS、JavaScriptが必要です。*それぞれの内容を入門書などで学んでおくと良いでしょう。

HTML・CSSとは何か？使い方やできること、独学方法を解説！

JavaScriptライブラリで何ができる？特徴やメリット・おすすめを解説！

### ウェブページがSPAかどうかを見分けるには

従来のMPA（マルチページ・アプリケーション）では、ウェブページをクリックするとリクエストがサーバに送られ、表示されるページがロードされます。

そのため、クリックごとに通信が発生し、画面がリフレッシュされます。簡単な見分け方は、クリックしたときの画面表示が滑らかかどうかを見ると、ある程度は区別がつきます。

ただし、ページを遷移せずに行うAjaxなどの非同期通信や、非同期通信をサポートするブラウザプラグインモジュールも多数リリースされているため、一概に違いを判断できるものではありません。

*SPA開発を行う上では、どのフレームワークを使うと開発生産性が高いのかなど、総合的に判断すると良いでしょう。*

Ajaxとは？HTTP通信の基本からAjaxの利用法まで解説！

## SPA開発で使用するフレームワーク

*SPA開発で使用するフレームワークとしては、JavaScriptのフレームワークが数多くリリースされています。*ここでは、主要なフレームワークであるAngular、React、Vue.js、Svelteを紹介し、どのようにSPA開発に利用できるのか解説していきます。

Angularは、Google CloudやGoogle FontsなどGoogleが提供するウェブアプリで用いられています。Googleと個人やコミュニティによって開発されました。

JavaScriptを大規模プロジェクトで利用できるように改良したTypeScriptをベースとした、フルスタックのフレームワークで、AngularJSの後継バージョンとなります。

Angularを採用するWebサイトの例には、Microsoft、Google、IBMなどがあります。

Angularは、コンポーネントをベースとしたアーキテクチャによって大規模アプリの開発に適しています。フルスタックのフレームワークであり、必要な機能が揃っているため、ウェブユーザインターフェースの構築以外にも対応できます。

*AngularはSPA開発をするためにコンポーネントを組み合わせ、複雑なウェブアプリケーションに対応可能です。*必要な機能が揃っている反面、コードサイズに関しては多少大きくなります。また、SPA開発やTypeScriptの知識が必要ですので多少知識のハードルが上がります。

【参考】：[Angular](https://angular.jp/)

Angular 14が正式リリース！その新機能とリリースポリシーを解説！

Reactは、ユーザインターフェース構築のためのフロントエンド用JavaScriptライブラリです。Reactは、Meta（旧Facebook）とコミュニティによって開発されたライブラリで、ユーザインターフェース用コンポーネントを用いてアプリケーションを開発します。

Reactを採用するWebサイトの事例には、Meta、PayPal、Netflixなどがあります。

Reactでは、クライアントサイドで仮想DOMを利用しており、DOMの状態をメモリ上にキャッシュし効率化を図っています。従来サーバサイドで行っていた処理をJavaScriptで行うために、JSXと呼ばれるJavaScriptの拡張言語を使用します。

*Reactはコンポーネントベースのため、コンポーネント単位で開発を行い、それらを組み合わせて複雑なインターフェースを構築していきます。*そのため、大規模なプログラム開発が簡単にできます。

ライブラリのみなのでコードサイズが小さい特長がありますが、SPA開発などで双方向の通信などが必要な場合などは、Node.jsを併用してサーバサイドで処理を行うことも可能です。

【参考】：[React](https://ja.react.dev/)

Reactとは？入門編！意味や将来性を初心者にもわかりやすく説明

Vue.jsは、ユーザインターフェース構築のためのJavaScriptフレームワークです。Googleの開発者がAngularの良い部分を取り入れ、軽量なフレームワークを目指して開発しました。

ユーザインターフェース構築用ですが、プログレッシブフレームワークと名付けられており、段階的な採用や移行が可能です。そのため、ビュー層のライブラリから段階的に導入することができます。

Vue.jsを採用するWebサイトとしては、Trivago、Nintendo、Appleなどがあります。

*Vue.jsでは、ページ全体を制御するとともに、データの更新を再読み込みせずに行うSPAでの開発や構築が可能です。*

再利用可能なコンポーネントを用いて、大規模アプリケーションの開発が可能であり、リアクティブという、単純で直観的に管理できるJavaScriptオブジェクトのシステムを採用し、レンダリングを管理しています。

【参考】：[Vue.js](https://ja.vuejs.org/)

Vue.jsとは？すぐに分かる概要から特長・使い方まで解説！

SvelteはJavaScriptベースのフレームワークと異なり、HTMLテンプレートをコンパイルして使用するプログラミング言語です。フロントエンドフレームワークとして動作し、プログラミングはテンプレート構文を用いて拡張したHTMLで、.svelteファイルを作成して使用します。

HTMLテンプレートをコンパイルすると、JavaScriptモジュール（.js）とスタイルシートファイル（.css）が生成されます。この機能は、アプリ全体をSvelteで実装することも可能ですが、部分的に作成して段階的な移行も可能です。もちろんコンポーネントを配布して利用することもできます。

Svelteを採用するWebサイトの事例には、LINEヤフー、IKEA、Spotifyなどがあります。

*SPA開発で用いる処理はリアクティブで、コンポーネントの状態を変更して再レンダリングを行うには、ローカルで宣言された変数に代入するだけで、再描画が行われます。*Svelteは、JavaScriptベースのフレームワークと異なりますが、必要なスキルはHTMLとCSS、JavaScriptと違いはありません。

【参考】：[Svelte](https://svelte.jp/)

フロントエンドとは？バックエンドとの違いや使う言語について解説

## SPA開発はフレームワークを利用することで生産性が向上します

SPA開発は、HTMLとCSS、JavaScriptのスキルが求められます。使用するフレームワークによって実装方法が異なることから、フレームワーク自体のスキルも必要です。1度フレームワークの使い方に慣れれば、コンポーネントの再利用が可能です。

**SPA開発では、すでに実装済みのWebサイトや公式サイトの情報を参考に、必要なフレームワークを選定し効率的に活用すると良いでしょう。**

SPA開発とは、シングルページ・アプリケーション構成をとるアプリケーションの開発を指します。SPA開発では、ユーザエクスペリエンスの向上が期待できます。ここでは、SPA開発の概要やメリットとデメリット、使用するフレームワークやライブラリについて解説します。

SPA開発とは、シングルページ・アプリケーション構成をとるアプリケーションの開発を指します

ブラウザ画面をデスクトップのように使用し、ユーザエクスペリエンスを向上します

JavaScriptのフレームワークなどを用いて、SPA開発の生産性を高めることができます

SPA開発とは？概要やメリット・デメリット、フレームワークを解説

アマゾンのクラウドサービスプラットフォーム「AWS」と、経営・業務の効率や意思決定の迅速化を可能にするITソリューション「SAP」は、生成AIの活用を可能にするための戦略的提携について発表しました。具体的には、**AWSの生成AI基盤「Amazon Bedrock」とSAPの生成AI基盤「SAP AI Core」が統合されます。**

これまで多くの企業がSAPを活用して業務効率化を行ない、その運用基盤としてAWSを採用。AWSのクラウドサービスとSAPソリューションが1つの契約で利用することができるクラウド導入オプション「RISE with SAP」を利用している企業が増えています。この組み合わせにより、さらにSAPアプリケーションから生成AIを多角的に利用できるようになります。

**特に重要になるのが、SAP AI Coreから大規模言語モデル（LLM）を簡単にかつ安全に利用できるようになることです。さらに、Amazon Bedrockの生成AIも統合することができ、独自のデータでカスタマイズされたアプリケーションを開発できるようになります。これにより、SAPにより構築された業務プロセスを一気に先進的なものに進化させることが可能になります。**

また、SAP HANAクラウドが、AWSの専用チップ「AWS Graviton」をサポートしたことにより、SAPのパフォーマンス向上、コスト削減、エネルギー効率の3つを同時に実現することができるようになりました。SAPの分析タスクの演算時間を最大30％短縮し、換算CO2排出量を推定で45%削減。**高性能の次世代チップ「Grviton4」でも、SAPソリューションとSAPアプリケーションに対応する予定です。**

さらに、**SAPはSAP AIの学習のために、AI及び機械学習用にAWS Trainium及びAWS Inferentiaチップを採用する予定。**実証実験では、「従来23日間かかっていた学習トレーニングをわずか2日で行なうことができた」とのことです。

アマゾン傘下のTwitch、Zappos.com、Zoox Incでは、すでにSAP+AWSという組み合わせで業務を効率化しています。また、Amazonの衛星ブロードバンドネットワーク「Project Kuiper」では、RISEを使い、複雑なサプライチェーンと製造業務を管理しています。Project Kuiperとは、信頼性のあるインターネット接続が得られない場所で活動する顧客に、高速で手頃な価格のブロードバンド環境を提供すること。そのビジョンを実現するためには、Project Kuiperは前例のないスピードで衛星コンステレーションを構築する必要に迫られており、SAPを活用したRISEにより、IT管理ではなく、イノベーションに集中できる環境が得られています。

SAPとAWSのパートナーシップの詳細については、2024年6月3日～5日の期間オークランドで開催されたSAP Sapphireカンファレンスで詳しく紹介されました（[https://www.sap.com/events/sapphire.html](https://www.sap.com/events/sapphire.html)）。

【記事出典】amazon PRESS CENTER「[AWS and SAP Unlock New Innovation with Generative AI](https://press.aboutamazon.com/2024/5/aws-and-sap-unlock-new-innovation-with-generative-ai)」

アマゾンとSAP、生成AI活用で戦略的提携

[【関連記事】VLOOKUPとは？使い方や活用方法をわかりやすく解説](https://and-engineer.com/articles/Zl3ArxAAACAASmjr)

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## VLOOKUPで別シートを参照するには

VLOOKUP関数は、Excelで使用できる関数です。この関数を利用すれば、Excel表のデータが多くても効率的に検索し、必要な情報を取得できます。

**VLOOKUPは同じシート内から検索したデータを取得できますが、別のシートからデータを引っ張ることも可能です。**別シートからのデータ取得を活用すると、より便利にExcelを使うことができます。

この記事では、ExcelでVLOOKUPをより活用したい方のために、VLOOKUPで別シートを参照してデータを検索する具体的な手順や、活用できるシーンなどを解説していきます。

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ここでは、VLOOKUPの概要と構文、引数の意味について解説していきます。まずは基本を押さえましょう。

VLOOKUPは、Excelで表内のデータを縦方向に検索し、指定された条件に一致する情報を取得します。

例えば、商品IDから商品名を抽出したり、社員番号から氏名を引き出したりする場合に使われます。

*VLOOKUPを使用することで、大量のデータの中からでも特定の値を検索して求める情報を取り出すことができます。*これにより、目視や手作業による検索や、コピー＆ペーストなどの作業の手間を大幅に削減できます。

また、今回解説する別シートの参照によって、シートを更新すると自動的に他のシートのデータに反映されるようにすることもできます。これにより手動でのデータ更新作業が減り、作業ミスを減少させることができます。

VLOOKUPは、「検索値」「範囲」「列番号」「検索方法」の4つの引数を指定して使います。それぞれの引数の役割について解説します。

~~ 【図】：VLOOKUPの構文と引数　~~

*■検索値*
検索値はVLOOKUPの最初の引数で、探したい数値や文字列を指定します。例えば、検索範囲から「消しゴム」という商品の価格を見つけたい場合、検索値として「消しゴム」を入力します。

関数内に直接文字列を入力する際は「=VLOOKUP("消しゴム",J4:L12,2,FALSE)」のように前後を「"」（ダブルクォーテーション）で囲んで記述します。

セル参照も可能で、例えば「=VLOOKUP(D4,J4:L12,2,FALSE)」と記述すれば、D4セルに入力されている文字列や数値が検索値となります。

~~ 【図】：検索値、範囲、列番号　~~

*■範囲*
範囲は、VLOOKUPの2つ目の引数です。検索対象となるデータの範囲を指定します。

注意点として、検索値はこの範囲の1番左の列に位置しなければなりません。例えば、指定した範囲の左から2列目を検索対象にしようとすると、範囲の設定の誤りとなり「#n/a」エラーが発生します。

*■列番号*
列番号は、VLOOKUPの3つ目の引数で、範囲内で取り出したい値がある列を指定します。左端の列から数えて何列目にあるかを入力します。

例えば、「商品名」が1列目、「価格」が2列目、「カテゴリ」が3列目であれば、カテゴリを取り出すには列番号として「3」を指定します。

*■検索方法*
検索方法は、VLOOKUPの4つ目の引数です。検索値の検索方法が、完全一致か近似一致かを指定します。

完全一致を指定するには「FALSE」、近似一致の場合は「TRUE」を入力します。この引数は省略可能ですが、省略すると「TRUE」で検索されます。

完全一致で検索するケースが多いことや、意図しない検索結果を取得することを避けるため、「FALSE」を入力するのが一般的です。

## VLOOKUPで別シートを参照する方法

VLOOKUP関数は、同じシートのデータを検索できるだけでなく、異なるシートにあるデータを検索して取得することで、さらに便利に使用できます。ここでは、別シートからデータを参照する基本的な方法を解説します。

まず、VLOOKUP関数を入力したいセルに、「=VLOOKUP(検索値, 」と、1つ目の引数である検索値までを入力します。

別シートを参照する場合、次に記述する2つ目の引数である、範囲がポイントです。*指定するセル範囲の前に、別シートの「シート名!」を記述します。*

例えば、別シート名が「商品一覧」の場合、「商品一覧!C4:E12」のようになります。

検索値の記述の後に続けて、直接範囲を文字入力するのではなく、マウスで別シートに切り替えてドラッグで範囲を選択すると、セル範囲の前に「シート名!」が自動的に入力されます。

~~ 【図】：検索値の後で範囲指定すると自動入力される　~~

次に、取得したい値が存在する列番号を指定します。これは、範囲内で検索したい値が含まれている列の番号です。例えば、範囲内の3列目にある値を取得したい場合、「3」と入力します。これが3番目の引数となります。

最後に、検索方法を指定します。完全一致の場合は「FALSE」、近似一致の場合は「TRUE」を入力します。意図せず「TRUE」になっていると検索がうまくいかないことがあり、完全一致で検索することが多いため、基本的には「FALSE」を入力することをおすすめします。

全ての引数を入力したら、数式を確定します。このようにして、別シートからデータを参照するVLOOKUP関数を入力することができます。

*VLOOKUPを入力する時、直接記述するのではなく、関数の挿入機能を使って入力することもできます。*この方法は他の関数でも利用できるので、知っておくと便利でしょう。

VLOOKUP関数を使用したいセルをクリックし、数式バーの横にある「fx」ボタンを押して「関数の挿入」ウィンドウを開きます。次に、「VLOOKUP」を検索して選択し、「OK」を押します。

「関数の引数」で、VLOOKUPの引数を順に入力します。検索値は直接値を入力するか、マウスでセルを指定できます。

範囲の欄の入力では、範囲の値を直接入力することも、マウスで範囲指定することもできます。

~~ 【図】：関数の挿入機能でVLOOKUP関数を入力する　~~

マウスで範囲指定する場合は、「範囲」欄の右にある上向き矢印をクリックし、参照先の別シートに切り替えて、対象のセル範囲を選択してEnterキーを押します。

例えば「商品マスタ」シートを選択して範囲指定すると、「商品マスタ!B2F20」のように、別シートの名前が付与された範囲が自動的に入力されます。

あとは、列番号、検索方法を入力してOKボタンを押して数式を確定します。すると、セルにVLOOKUPの数式が入力されます。

## VLOOKUPで別シートを参照する実践例

ここでは、実際にVLOOKUPで別シートの検索を行ってデータを取得し、より便利に使う実践例を紹介します。

### 複数シートで参照する商品価格を一元管理する

*VLOOKUP関数を使用して「価格表」シートで商品の価格を一元管理し、価格情報が変更されたら、異なる複数の受注シートの情報をまとめて更新する方法を解説します。*

まず、「東京都受注」「千葉県受注」などエリアごとの受注シートを作成し、それぞれ、「受注コード」「商品名」「価格」「個数」の項目を用意します。

この受注シートに、商品価格をその度に入力するのは手間がかかりますし、商品価格は変更される場合もあります。そのため、この価格が自動的に入力されるようにしたいです。

そこで、「商品名」と「価格」のデータを持つ「価格表」シートから「東京都受注」「千葉県受注」シートに商品価格を取得するようにします。

「価格表」シートには、B列に商品名、C列に価格を入力します。

「東京都受注」「千葉県受注」それぞれのシートには、「価格」列のD3セルに以下のVLOOKUP関数を入力します。範囲は、フィルハンドルを行ったときに動かないよう「$」を付けます。

```
=VLOOKUP(C3,価格表!$B$3:$C$12,2,FALSE)
```

~~ 【図】：価格表シートから各受注シートにデータを取得する　~~

これで、商品名を検索値として、「価格表」シートのデータがある範囲から一致する価格を検索し、結果を表示します。

関数をC列の他のセルに縦にフィルハンドル入力することで、他の商品コードに対応する価格を自動的に取得します。

こうすることで、例えば「ラジオ」の価格が変更された場合、「価格表」シートの該当セルを更新するだけで、「東京都受注」「千葉県受注」シート両方に反映されます。

~~ 【図】：価格表のデータを更新すると各受注シートに反映される　~~

### 複数の別シートからデータを集める

*VLOOKUPを使用して複数の別シートから情報を取得し、1つのシートにまとめる方法を紹介します。*

ここでは、自社の各営業課の情報をまとめる「営業課情報」シートに、別シートの「売上」シートや「担当エリア」シートから営業課ごとの情報をまとめる例を見てみましょう。

「営業課情報」シートには、「営業課」「売上」「担当エリア」があり、このシートに情報をまとめます。「営業課」を検索値としてデータを取得します。

「売上」シートには「営業課」と「売上」のデータ、「担当エリア」シートには「営業課」と「売上」のデータがあります。

~~ 【図】：売上シートと担当エリアシートから情報を取得する　~~

「営業課情報」シートで売上を取得するために、「売上」列の1番上のC3セルに次のVLOOKUP関数を入力します。

```
=VLOOKUP(B3,売上!$B$3:$C$6,2,FALSE)
```

この数式で、「営業課情報」シートの「営業課」を検索値として、「売上」シートの指定範囲から売上データを検索し、対応する売上金額を取得します。

そして、担当エリアを取得するために、「担当エリア」列の1番上のD3セルに次のVLOOKUP関数を入力します。

```
=VLOOKUP(B3,担当エリア!$B$3:$C$6,2,FALSE)
```

これで、「営業課情報」シートの「営業課」を検索値として、「担当エリア」シートから対応する担当エリアを取得します。

売上、担当エリアともに、VLOOKUP関数を同じ列の下のセルにもコピーします。

これで、「売上」や「担当エリア」などの個別の情報はそれぞれのシートで管理して、「営業課情報」シートで各営業課の情報を一目で把握することができます。

ここでは、VLOOKUP関数をより便利に使うための応用を紹介します。複数条件での参照方法、COLUMN関数を使った応用、そして別ファイルとの連携を解説します。

VLOOKUP関数は、通常、1つの検索値に基づいて検索結果を取得します。*そのため、複数条件の検索は行えませんが、複数つの検索値を1つに結合したセルを用意することで実現できます。*

ExcelのVLOOKUPは、指定した範囲から必要な情報を取得する関数です。同じシートだけでなく別シートからデータを取得することでより便利に使えます。この記事では、Excelをさらに活用するために、VLOOKUPで別シートからデータを取得する方法を解説します。

VLOOKUPで別シート参照の際、範囲指定の前に「シート名!」を加える必要がある

VLOOKUPで別シートを参照すると、変動するデータの一元管理や、複数のシートから情報をまとめることができる

VLOOKUPで別シートを参照すると、データ管理の手間を大幅に削減でき、業務の効率化が図れる

VLOOKUPで別シートを参照するには？記述方法や実践例を解説

VLOOKUPはExcelで使用できる関数の1つで、初心者や数式が苦手という人でも簡単に表から条件に合ったデータを取得できる便利な機能です。

**VLOOKUP関数を使うと、指定した範囲の表を検索し、指定したデータに対応する値を取り出すことができます。**

この記事では、Excelをより活用したい方のために、VLOOKUP関数の基礎から応用、活用できるシーン、さらにはエラーが出た際の対処法まで詳しく解説します。

ここでは、VLOOKUPでできることや基本的な構文などの概要を説明します。構文に関連して、引数の1つである「検索方法」の注意事項についても解説します。

VLOOKUPは、Excelの表から縦方向にデータを検索し、指定した条件に一致する値を取得します。

*VLOOKUPを使えば、データの件数が多い大きな表からでも、必要な情報を効率よく抽出することが可能です。*

例えば、社員IDを入力するだけでその社員の所属部署を表示したり、顧客リストから特定の業種の企業名を検索したりすることができます。

VLOOKUPを活用することで、表の中から目視でデータを探すより手間を省くことができ、作業時間の短縮や、データ処理の誤りの減少につながります。

VLOOKUPを使用するには、取得した情報を表示したいセルに以下の式を入力します。

```
=VLOOKUP(検索値, 範囲, 列番号, 検索方法)
```

「検索値」「範囲」「列番号」「検索方法」は、引数と呼ばれるもので、「,」区切りで検索のための条件を記述します。それぞれの引数についてわかりやすく説明します。

*■検索値*
検索値はVLOOKUPの1番目の引数で、抽出したいデータの条件を指定します。例えば、「商品名」列、「価格」列を含む在庫リスト表の中からマウスパッドの価格を取得したい場合、商品名「マウスパッド」が検索値です。

検索値は、関数内で直接指定することも、セル参照を使用することもできます。例えば、マウスパッドを直接指定する場合は、次のように入力します。

```
=VLOOKUP("マウスパッド", A2:B10, 2, FALSE)
```

セル参照を使用する場合は、検索値が入力されているセルを指定します。例えば、セルA1に検索値が入力されている場合、次のように入力します。

この場合、セルA1に「マウスパッド」が入っていても「キーボード」が入っていても、その値が検索値となります。

*■範囲*
範囲はVLOOKUPの2番目の引数で、VLOOKUPが検索を行うデータの範囲です。範囲には、検索値が含まれる列と、取得したいデータが含まれる列を指定します。

例えば、商品名で検索して価格を取得したいとき、商品名がA列、価格がB列、データが2行目から15行目まである場合は、範囲は「A2:B15」となります。

また、検索値は、検索範囲の最初の列（1番左の列）に存在する必要があります。例えば、「C2:F10」で範囲指定する場合、検索値はC列になければなりません。

*■列番号*
列番号はVLOOKUPの3番目の引数です。指定した範囲の中で、取得したいデータが含まれる列の位置を指定します。

範囲の最初の列を1とカウントし、次の列は2となります。例えば、商品名を検索して価格を取得する場合、価格が範囲内の2列目にあるとすると、列番号は2になります。

*■検索方法*
検索方法はVLOOKUPの4番目の引数で、検索値を完全一致、近似一致のどちらの検索方法で検索するかを指定します。

完全一致で検索したい場合は「FALSE」、近似一致で検索する場合は「TRUE」を指定します。

VLOOKUP関数を使用する際、検索方法で完全一致「FALSE」と近似一致「TRUE」のどちらを選ぶかで結果が大きく変わるため、詳しく解説します。

まず、検索値が文字列の場合には、完全一致「FALSE」を指定する方が良いでしょう。例えば、「マウスパッド」に近い文字列の商品名を検索しようと近似一致「TRUE」にしても、意図した通りの結果が返らないことが多いためです。

検索値が数値の場合は、検索値に最も近いデータを検索します。例えば、範囲内に5、20、 40という値が並んでいるとき、検索値に25を指定すると、最も近い20で検索されます。

この場合、検索値の対象となる列が昇順に並んでいる必要がありますので注意が必要です。VLOOKUPでは基本的に、該当した1番上の行だけ取得するためです。

*そのため、「TRUE」を使用したい明確な用途がない限り、検索値が文字列の場合でも数値の場合でも、予期しない結果が返るのを避けるため、基本的には「FALSE」を指定するのが良いでしょう。*

ここでは、ExcelのVLOOKUP関数をより効果的に活用するための応用を説明します。IF関数との組み合わせによる条件分岐、複数条件の設定方法、そして別シートのデータ参照について解説します。

VLOOKUP関数は、IF関数と組み合わせることで、条件分岐を使った結果表示を行うことができます。

IF関数の構文は「=IF (論理式, 真の場合, 偽の場合)」です。この「論理式」の中に、VLOOKUP関数をそのまま使って条件を指定できます。

例えば、検索値「マウスパッド」の価格が1,000円以下かどうかを判定し、1,000円以下であれば「1000円以下」、そうでなければ「1000円超」を表示するには、以下のような式を使用します。

```
=IF(VLOOKUP("マウスパッド", A2:B5, 2, FALSE) <= 1000, "1000円以下", "1000円超")
```

IF関数の引数の「論理式」の中に、「VLOOKUP("マウスパッド", A2:B5, 2, FALSE) 」がそのまま含まれ、そのVLOOKUPの結果が「<= 1000」であるかの真偽を判定しています。

VLOOKUPとIFの組み合わせで何ができる？便利な使い方を解説

VLOOKUP関数の検索値は、1つの値しか指定できません。しかし、工夫次第で複数条件にも対応可能です。

*2列以上の値を結合したセルを作成し、そのセルをVLOOKUP関数の検索値として使用することで、複数条件でのデータ検索を行います。*

例えば、商品データベースでカテゴリーと商品名を条件に在庫数を検索する場合を考えます。下の表を確認してみましょう。以降の説明では、1行目を見出し行、1列目をA列とします。

カテゴリー | 商品名  | 在庫数
文房具        | ノート  | 50
文房具        | 鉛筆      | 100
家電           | テレビ   | 20
家電           | 冷蔵庫   | 10

VLOOKUPでは検索値の指定は1つのため、「文房具」かつ「鉛筆」を検索値として指定できません。

そこで、「カテゴリー・商品名」という結合セルを追加し、検索値として使用します。

カテゴリー | 商品名  | カテゴリー・商品名 | 在庫数
文房具        | ノート  | 文房具ノート            | 50
文房具        | 鉛筆     | 文房具鉛筆                | 100
家電           | テレビ  | 家電テレビ                | 20
家電           | 冷蔵庫  | 家電冷蔵庫                | 10

「カテゴリー・商品名」のC列には、「カテゴリー」と「商品名」を結合する式を入力します。C2に「=A2&B2」を入力し、フィルハンドルを使って下の行に適用しましょう。

これにより、「カテゴリー・商品名」の「文房具鉛筆」を検索値とすることで、複数条件を満たす検索を行えます。

VLOOKUP関数で複数条件を指定する？簡単にできる方法を図解

VLOOKUP関数を使用してデータを検索する際、検索の対象になる表が別シートにあることがあります。

*その場合、VLOOKUPの引数の「範囲」の値の前に、シート名を表す「‘シート名’!」を追加することで別シートを参照できます。*

```
=VLOOKUP("マウスパッド", '商品マスタ'!C2:E30, 3, FALSE)
```

上記の例では、「商品マスタ」シートのC2からE30の範囲内で、C列から「マウスパッド」という値を検索し、その行のE列にある値を取得します。

ここでは、ExcelのVLOOKUP関数を実際の業務で活用できる具体的なシーンについて説明します。大量の顧客情報を素早く検索する方法や、別シートで一元管理された情報を参照する方法を紹介します。

### 顧客IDを使って大量の顧客情報を素早く検索する

**VLOOKUPを使用することで、大量のデータの中から必要な情報を素早く検索することができます。**

例えば、「顧客ID」、「顧客名」、「住所」、「電話番号」、「メールアドレス」などを含む顧客リストに情報が3,000件ほどあり、日々、特定の顧客IDに基づいて顧客情報を確認する業務を行うとします。

顧客ID「001746」の顧客のメールアドレスを取得したい場合、目視で確認するのは案外大変です。

表をスクロールして該当の顧客IDを探し、そのまま右方向に、行がずれないようにメールアドレスの列を見に行く必要があります。見間違いによるミスが発生する可能性もあるでしょう。

そこで、VLOOKUPを使えば素早く、間違いなくデータを取得できます。

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