AWSでECサイトを作るメリットとは？
AWSを利用してECサイトを作ると、どのようなメリットがあるのでしょうか？AWS（ Amazon Web Services）は、クラウドコンピューティングを提供する世界最大のサービスで、サーバ、ストレージ、機械学習、IoTなど幅広い領域のサービスを提供しています。
ECサイト構築においても、さまざまな事例や実績があり、高い可用性と効率化の土台を提供し、快適なWeb環境を実現しています。この記事では、AWSでECサイトを構築するメリットや構築方法について解説をします。
AWSが提供するクラウドコンピューティングとは
クラウドコンピューティングは、インターネットを通じてサーバ、ストレージ、データベース、ネットワーキング、ソフトウェア、アナリティクス、および他のコンピューティングリソースにアクセスするための、オンデマンドなサービス提供モデルです。
Amazon Web Services（AWS）は、このクラウドコンピューティングサービスの主要な提供者の1つであり、世界中の企業や個人がスケーラブルなITインフラストラクチャを構築し、管理するためのツールやサービスを提供しています。
【参考】：アマゾン Web サービス（AWS クラウド）｜ ホーム
ECサイトとは？
ECサイトとは、インターネット上で商品やサービスなどを販売するウェブサイトの総称です。EC（Electronic Commerce）の頭文字を取ったもので、日本語では「電子商取引」を意味します。ECサイトは、ネットショップ、オンラインショップなどとも呼ばています。
ECサイトは買い手と売り手の取引を容易にするための商品棚、販売員、レジの役割を果たします。ECサイトにはネットショップの他にも、ネットオークションサイト、コンテンツ配信サイト、オンライントレードのサイトなどが含まれます。
ECサイトを構築する手段としては、ショッピングモールサイトへの出店や、個人でも1日で開設できるECサービスなどがあります。
AWSでECサイトを構築するメリット
AWSでECサイトを構築することで、どのようなメリットを得られるのかについて見ていきましょう。
EC向けのサービスがある
AWSはECサイト構築・運用の実績があります。それは、AWSにはECサイトの構築に適したサービスがあり、またECサイト向けのアプリが提供されているからです。では、EC向けアプリとECサイト構築に適したサービスを見てみましょう。
■ ECサイト構築に適したサービス AWSでECサイトを構築する際に最適なサービスはいくつかあります。以下にいくつかの選択肢を紹介します。無料枠を利用する方法もありますが、サイトの構成例などを参考にアーキテクチャ図、構成図を作成し、概算料金も計算しておきましょう。
【参考】：目的別 クラウド構成と概算料金例｜AWS
1.Amazon EC2（Elastic Compute Cloud） 仮想サーバを提供するサービスで、ECサイトのホスティングに適しています。EC2を使用することで、自由にスケーリングできる柔軟性があります。
【参考】：Amazon EC2| AWS
2.Amazon S3（Simple Storage Service） 静的コンテンツのホスティングに適しています。ストレージサービスで、耐久性とセキュリティが高いのが特徴です。
【参考】：Amazon S3｜AWS
3.Amazon RDS （Relational Database Service） データベースのセットアップと運用を簡単に行えるサービスです。ECサイトのデータベースとして利用できます。
【参考】：Amazon RDS｜AWS
4.AWS Amplify AWSで専門知識がなくともフルスタックのWebアプリやモバイルアプリを数時間で構築し、開始もスケールも簡単に行えるプラットフォームです。
【参考】：AWS Amplify｜AWS
■ ECサイト向けアプリケーション AWSに適したECサイト向けアプリケーションを適用することで、簡単にECサイトの構築が行えます。以下では例を紹介します。
1.デジタルコマースソリューション AWSがすでに用意しているECサイト運営用のアプリケーションです。ECサイトの運用に必要な機能を備えており、利用者はこのアプリケーションを活用できます。
【参考】：デジタルコマースソリューション | 流通・小売、e コマース | AWS
2.AWS Marketplaceのeコマースソフト AWS Marketplaceにあるeコマースアプリケーションから好きなソフトウェアを選び、Elastic Beanstalkにデプロイして実行させます。AWS Marketplaceのソフトウェアは、AWSで動作確認されており、AWSアカウントがあればただちに利用できます。
AWSで実績のあるeコマースソフトウェアとしては「EC-CUBE on AWS」がよく知られていますが、提供はEC-CUBEであり、AWSではサポートしていません。
【参考】：AWS Elastic Beanstalk｜AWS 【参考】：AWS Marketplace｜AWS
導入コストの削減
AWSでは従量課金制とインフラのスケーリングにより、導入コストを削減できます。それぞれ、詳しくみてみましょう。
■ 従量課金制でコストを最適化 AWSは従量課金制を採用しており、実際に使用したリソースに対してのみ課金されるため、無駄な費用を削減できます。サイトの需要に合わせてリソースをスケーリングすることで、必要なときにのみリソースを使用することができます。
■インフラストラクチャのスケーリング ECサイトの需要が変動する場合でも、AWSは自動的にスケーリングすることができます。これにより、トラフィックの急増や予測不可能な負荷にも対応することができます。
セキュリティと信頼性
AWSは高いセキュリティと高い可用性、信頼性を提供しており、安心して利用ができます。それぞれの詳細を確認してみましょう。
■ AWSのセキュリティ機能 AWSは多層化されたセキュリティモデルを提供し、データの保護、ネットワークのセキュリティ、アクセス管理、暗号化などの機能を備えています。また、コンプライアンスや規制に準拠したソリューションも提供されています。
■ 高い可用性と信頼性 AWSは世界中に複数のリージョンと可用性ゾーンを持ち、サービスの高可用性を確保しています。また、AWSのサービスは99.99%の可用性を保証しており、高い信頼性を提供しています。
AWSでECサイトを構築する際の注意点
ECサイトをAWSで構築する際の注意点を以下にまとめましたので、それぞれのポイントを押さえてスムーズな構築を目指しましょう。
専門的な知識の必要性
AWSでECサイトの構築・運用を行うには、AWSに関する専門的な知識とスキルが必要です。未経験者がいきなりECサイトを構築するのはリスクがあるため、必要に応じて専門家に相談した方がよいでしょう。
■ AWSの学習とスキルの必要性 AWSのサービスやリソースを効果的に使用するためには、AWSの学習とスキルの習得が必要です。AWSの公式ドキュメントやトレーニングコースを利用して、必要な知識を習得することが重要です。
■ ベストプラクティスの理解 AWSのベストプラクティスを理解し、適切に実装することが重要です。セキュリティ、パフォーマンス、コスト最適化などの観点から、ベストプラクティスに従って設計と実装を行う必要があります。
コスト管理の難しさ
AWSを使用する際には、コスト予測と進捗管理が必要です。想定外のトラフィック増加などで想定外の料金が発生する場合がありますので、モニタリングと原因分析、対策を行うよう注意しましょう。
■ コスト予測と適切なリソース設定 AWSの料金モデルやサービスの料金体系を理解し、コストを予測し、適切なリソース設定を行うことが重要です。また、コストを抑えるための戦略を策定し、定期的にコストの監視と最適化を行うことが必要です。
■ AWSの料金モデルの理解 AWSの料金モデルは複雑であり、サービスごとに異なる料金体系が存在します。料金計算や請求書の理解を深めることで、コスト管理を効果的に行うことができます。
ECサイトの運用と監視
AWSは従量課金制ですので、利用量に応じて費用が発生します。思わぬトラフィックの増大などでパフォーマンスが低下したり、思わぬ請求を受けたりしますので、運用と監視をしっかり行う必要があります。
パフォーマンスの監視と最適化、バックアップと万が一の障害に備えた復旧戦略をしっかり立案しておくことが求められます。
パフォーマンス監視と最適化
監視ツールを用いてECサイトの運用と監視を行うことで、問題を早期に発見し、パフォーマンスの最適化を図ることが重要です。
■ CloudWatchを活用した監視 AWSのCloudWatchを使用して、サーバーメトリクスやアプリケーションのパフォーマンスを監視し、問題を特定することができます。また、CloudWatchのアラームを設定して、問題が発生した場合に通知を受け取ることもできます。
【参考】：Amazon CloudWatch とは
■ ボトルネックの特定と改善 監視データを分析し、ボトルネックやパフォーマンスの低下の原因を特定し、適切な対策を講じることが重要です。これには、アプリケーションやデータベースのチューニング、キャッシュの最適化、ネットワークの改善などが含まれます。
バックアップと復旧戦略
適切なバックアップと復旧戦略を策定することで、データの損失やサービスの中断を最小限に抑えることができます。
■ S3を使用したバックアップ AWSのS3（Simple Storage Service）を使用して、ECサイトのデータを安全にバックアップすることができます。S3は高い耐久性と可用性を提供し、データの安全な保存と復元を行うことができます。
【参考】：Amazon S3｜AWS
■ 災害復旧計画の策定 災害が発生した場合に備えて、適切な災害復旧計画を策定することが重要です。これには、データのバックアップと復元手順の文書化、災害復旧用の予備システムの準備、定期的な災害復旧演習などが含まれます。
AWSでのECサイト構築では運用計画も忘れずに
AWSを使用したECサイト構築には多くのメリットがありますが、適切な専門知識とスキル、コスト管理の能力、運用と監視の重要性を認識することが必要です。AWSの豊富な機能を活用し、セキュアでスケーラブルなECサイトを構築するために、継続的な学習と改善が欠かせません。
AWSには無料の利用枠がありますので、ぜひ勉強を兼ねて利用してみましょう。
新着記事やエンジニアに役立つ情報をお届け！
日々のキャッチアップをお手伝いします！
編集部オススメコンテンツ
アンドエンジニアへの取材依頼、情報提供などはこちらから
